2009/01/12 - 2009/01/14
225位(同エリア341件中)
JIC旅行センターさん
- JIC旅行センターさんTOP
- 旅行記327冊
- クチコミ0件
- Q&A回答0件
- 453,220アクセス
- フォロワー9人
ヴェルホヤンスクの2日目の夜がやってきました。今夜はこの町の一般家庭を訪問して、そこで夕食をご馳走になるのですから、失礼のないようにいたしましょう。モスクワから同行くださっている新聞記者のオオノさん、ヤクーツクの旅行会社から案内を務めてくれているサルダナさん、そして私、この3人の客人で、再び現地ドライバーのアナトリーさんの運転するウアズ(ロシア製四輪駆動車)に乗り込んで、いざ約束のお宅へと向かいます。しつこいようですが、ヴェルホヤンスクは小さな町です。どこへ行くにもそうですが、やっぱりすぐに着いてしまいました。アナトリーさんとはここでしばしお別れし、後で迎えに来ていただきます。
そこは平屋建ての木造家屋でした。こんばんは…。これだけの寒冷地にあるのですから、玄関はもちろん二重構造になっていて、扉と扉の間、風除室にあたるところは半畳ぐらいの広さがあります。私たち来訪者は、扉を2つとも抜けて完全に中に入ったところで靴と外套を着脱しました。これは我々の泊まっているホテル「寒極」とも同じやり方です。この時、私の足元はフェルトのヴァーレンキ、身体はロシア製の特殊防寒服(過去の連載参照)といういわゆる完全装備でしたが、両方ともここで脱ぎ去るわけです。はい、これで、普段着にスリッパという軽装になりました。
ですが、もちろん全く寒くはありません。これまでにも何度か言及しましたが、最果ての町ヴェルホヤンスクは、実は集中暖房(アタプレーニエ)が設置された、不相応に(と言っては失礼ですが)立派な町。この快適な室温も、町内各戸に行き渡っている社会インフラなのです。
今お邪魔しているこのご家庭は、40代くらいのご夫婦と、10代はじめくらいの娘さん、3歳くらいの息子さんの4人家族です。自己紹介もそこそこに、玄関からすぐの居間に通してくださいました。食卓の上には山盛りのごちそうが見えます!オオノさん、サルダナさん、私はその食卓に案内され、並んで座ります。普段の一家団欒が突然倍の人数になったような格好です。食事のメニューは、チール(淡水魚の種類)や馬肉のストロガニナ(冷凍状態を薄く削ったもの)や、ピロシキなど、サハ共和国に来てからはすっかりおなじみになったメニューが盛りだくさんです(詳しくは過去の連載で)。
いただきまーす。素朴ながらも、やっぱり家庭料理っておいしい!などと書いてしまうと、普段の食事をいただいているホテル「寒極」のフォローもしておかねばなりますまい。決してホテルの食事が味気ないわけではないのですよ。それどころかむしろ、ホテルの食事も「ほぼ家庭料理」なんです、実は。そう思ったきっかけは、この日の朝の出来事です。ちょっとほほえましい話なので、脱線を承知で紹介しておきましょう。
朝食後、私とオオノさんが食堂でくつろいでいると、外から突然、見知らぬ男性がぬっと入ってきました。はじめはアナトリーさんだ、と思ったのですが、彼が親しげに握手を求めてきたときに人違いとわかりました。じゃあ誰なんです?この人は。
-
と思った直後、ホテルの厨房から女性の叫び声がして、男性を激しく叱責しはじめました。男性も二言三言程度、言い返しはするものの、女性の大変な剣幕に全く歯が立たず。やがて観念してホテルから出て行きました。ははあ、どうやら厨房で働く女性の旦那さんだったんですね彼は。
「仕事場に来ちゃいけないってあれほど言ったのに!」
「そう怒るなって、お客さんに挨拶したかっただけだよ。」
「お客さんは見世物じゃないのよ失礼なことしないで!」
とまあ、(実は一言も聞き取れなかったので以上全部想像で書き起こしたヤクート語のやりとりですが、)大体こんなことがあってから、厨房の女性はわっと泣き出してしまいました。旦那さんはきっと、妻の職場に珍しい日本人が滞在しているというので、ひと目見に来たかったのでしょうね。一方奥さんは、めったに営業しないホテルに、久しぶりの、しかも外国からのお客がやってくるのを任されるというので、張り切って切り盛りしていたのでしょう。
それなのに旦那さんが呑気にちょっかいを出しに来たものだから、その無神経さに怒りが爆発、とっちめて追い返したはいいものの、我に返るとお客さんの前で派手に夫婦げんかを披露してしまったことに気づき、せっかくのおもてなしはどっちにしろぶち壊しになってしまった。何もかも台なしだわ、と情けなくって悔しくってわあわあ泣いちゃう。…ああ、みんな何て純朴で、温かい人たちなんでしょう。
よそゆきの空気が吹き飛ばされたら、素のホスピタリティが露わになるんですね。こうなってしまうともう、ホテルの食事も外食というより、個人のお宅でいただいている気分。それで「ほぼ家庭料理」と言ったわけなんです。ご両人、喧嘩をして後味が悪いでしょうけど、かえってこちらはこの町にぐっと親しみを覚えたんですから、何が幸いするかわからないものです。どうか仲直りしてくださいな。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
JIC旅行センターさんの関連旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
1