その他の都市旅行記(ブログ) 一覧に戻る
 荷物を解いて人心地つくと早速1階の食堂で夕食です。では、この日いただいた食事メニューを紹介しましょう。<br /><br />■冷たいメニュー<br />1. キョルチャフ(кёрчах)<br />2. フナの仲間、カラシの焼魚(караси печёные)<br />3. 馬肉のストロガニナ(строганина жеребятина)<br />4. 魚のストロガニナ(строганина рыбная)<br /><br /> いきなりわけのわからないメニューに面食らっている皆様、ちゃんとマニアックに説明いたしますのでご心配なく。<br /><br /> まずキョルチャフ。これは連載の第2回で紹介したので憶えておいでの方もいらっしゃるでしょう。クッキーくらいの大きさに凍らせたミルクのシャーベットです。サハ共和国ではたびたび食卓に上るデザートですが、口どけさわやかで、おいしい。いくらでも食べられます。<br /><br /> カラシという魚も、連載の第2回で少し紹介しましたね。そうです、あの全てが凍った市場で売られていた小さな魚たちです。ところでこのメニュー、焼いて食べるにもかかわらず、なぜか冷ましてあるのです。あったかい方がおいしいと思うんだけどなあ…。ちょっと小骨が多いですが、味は日本人にもなじみある、白身の焼魚でした。特にソースはなく、塩をつけて食べます。<br /><br /> さて、次はストロガニナ。連載7回目にしてようやく紹介いたしますが、これは冬のヤクート人のソウルフードと言ってもいいくらい、超重要な食べ物で、凍った魚や肉を薄く削ぎ切りにした料理です。<br /><br /> 魚は特にチール(чир)が好んで用いられるようです。チール、これまた連載第2回で紹介しましたね。市場で「地獄の剣山」になっていたあの大きな魚です。あれを、凍ったままナイフで削って皿に盛り付ければ出来上がり。だから、カンナ屑のようにくるんと巻いた形をしています。少し塩をつけて口に入れると、半分融けながらシャリッとした食感が混ざり合います。刺身で生魚になじんでいる日本人には親しみやすい、大変おいしい料理ですよ。<br /><br /> 一方、肉のストロガニナは馬肉が使われています。皆さん、肉と言えばどんな動物を思い浮かべますか?日本人なら牛、豚、鶏が筆頭でしょう。ところがヤクート人にとってそれは圧倒的に馬なんです。市場へ行っても馬、スーパーに行っても馬、どこへ行っても肉売り場では、巨大な馬肉の塊が売られているのが目立ちます。ヤクート人の方々は、この馬肉こそを主食とみなしていて、本当によく食べるんです。それこそ茶碗でご飯を食べるかのように。<br /><br />サルダナさんは、かつて日本に留学していた頃、肉が高くて全然食べられず、大いに困ったのだそうです。さて、馬肉のストロガニナ、食べてみると凍った馬刺しそのものです。少しクセがあるので日本人には好みが分かれるかもしれません。

エクメネの最果てへ ―サハ共和国 冬の旅― (15)

4いいね!

2009/01/12 - 2009/01/12

225位(同エリア341件中)

0

2

JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

 荷物を解いて人心地つくと早速1階の食堂で夕食です。では、この日いただいた食事メニューを紹介しましょう。

■冷たいメニュー
1. キョルチャフ(кёрчах)
2. フナの仲間、カラシの焼魚(караси печёные)
3. 馬肉のストロガニナ(строганина жеребятина)
4. 魚のストロガニナ(строганина рыбная)

 いきなりわけのわからないメニューに面食らっている皆様、ちゃんとマニアックに説明いたしますのでご心配なく。

 まずキョルチャフ。これは連載の第2回で紹介したので憶えておいでの方もいらっしゃるでしょう。クッキーくらいの大きさに凍らせたミルクのシャーベットです。サハ共和国ではたびたび食卓に上るデザートですが、口どけさわやかで、おいしい。いくらでも食べられます。

 カラシという魚も、連載の第2回で少し紹介しましたね。そうです、あの全てが凍った市場で売られていた小さな魚たちです。ところでこのメニュー、焼いて食べるにもかかわらず、なぜか冷ましてあるのです。あったかい方がおいしいと思うんだけどなあ…。ちょっと小骨が多いですが、味は日本人にもなじみある、白身の焼魚でした。特にソースはなく、塩をつけて食べます。

 さて、次はストロガニナ。連載7回目にしてようやく紹介いたしますが、これは冬のヤクート人のソウルフードと言ってもいいくらい、超重要な食べ物で、凍った魚や肉を薄く削ぎ切りにした料理です。

 魚は特にチール(чир)が好んで用いられるようです。チール、これまた連載第2回で紹介しましたね。市場で「地獄の剣山」になっていたあの大きな魚です。あれを、凍ったままナイフで削って皿に盛り付ければ出来上がり。だから、カンナ屑のようにくるんと巻いた形をしています。少し塩をつけて口に入れると、半分融けながらシャリッとした食感が混ざり合います。刺身で生魚になじんでいる日本人には親しみやすい、大変おいしい料理ですよ。

 一方、肉のストロガニナは馬肉が使われています。皆さん、肉と言えばどんな動物を思い浮かべますか?日本人なら牛、豚、鶏が筆頭でしょう。ところがヤクート人にとってそれは圧倒的に馬なんです。市場へ行っても馬、スーパーに行っても馬、どこへ行っても肉売り場では、巨大な馬肉の塊が売られているのが目立ちます。ヤクート人の方々は、この馬肉こそを主食とみなしていて、本当によく食べるんです。それこそ茶碗でご飯を食べるかのように。

サルダナさんは、かつて日本に留学していた頃、肉が高くて全然食べられず、大いに困ったのだそうです。さて、馬肉のストロガニナ、食べてみると凍った馬刺しそのものです。少しクセがあるので日本人には好みが分かれるかもしれません。

  • ■温かいメニュー<br />1. サラマート(саламат)<br />2. チールのウハー(уха из чира)<br />3. ウサギとキャベツの蒸し煮(заяц тушёный с капустой)<br /><br /> またまたよくわからないものが出てきましたね。サラマート。これは牛乳とチーズと小麦粉を火にかけて練り上げたものです。原料を見ればおわかりでしょう、つまりホワイトソースです。でも、特に何かにかけるものでもなく、スプーンですくって単独で食べます。うーん、こってり!<br /><br /> ウハーはご存知の方も多いでしょう、ロシア料理の魚のスープです。ただそこに使われている魚がチール、というあたりがヤクート風ですねー。魚がおいしいので、スープもいい味です。<br /><br /> ウサギとキャベツのメニューは、このヴェルホヤンスク近くで獲ったウサギを調理したもので、塩味ベースのシンプルな蒸し煮です。ウサギ肉、食べたことあるかたはご存知でしょう、骨と肉が入り組んでいて、食べるのが結構難しいんですよね。しかも、ここヴェルホヤンスクのウサギ肉は、野生で鍛え上げられた弾力たっぷりの筋肉、ナイフとフォークでしばし格闘することになりました。

    ■温かいメニュー
    1. サラマート(саламат)
    2. チールのウハー(уха из чира)
    3. ウサギとキャベツの蒸し煮(заяц тушёный с капустой)

     またまたよくわからないものが出てきましたね。サラマート。これは牛乳とチーズと小麦粉を火にかけて練り上げたものです。原料を見ればおわかりでしょう、つまりホワイトソースです。でも、特に何かにかけるものでもなく、スプーンですくって単独で食べます。うーん、こってり!

     ウハーはご存知の方も多いでしょう、ロシア料理の魚のスープです。ただそこに使われている魚がチール、というあたりがヤクート風ですねー。魚がおいしいので、スープもいい味です。

     ウサギとキャベツのメニューは、このヴェルホヤンスク近くで獲ったウサギを調理したもので、塩味ベースのシンプルな蒸し煮です。ウサギ肉、食べたことあるかたはご存知でしょう、骨と肉が入り組んでいて、食べるのが結構難しいんですよね。しかも、ここヴェルホヤンスクのウサギ肉は、野生で鍛え上げられた弾力たっぷりの筋肉、ナイフとフォークでしばし格闘することになりました。

  • ■パン類<br />1. ヤクート風レペーシュキ(лепешки якутские)<br />2. ヤクート風ピロシキ(пирожки якутские)<br />3. 白パン(хлеб пшеничный)<br /><br /> レペーシュキとはロシアの平たいパンの一種です。ヤクート風は丸ボーロを大きくしたような形状をしていますが、材料は小麦粉のようです。形以外に、何をもってヤクート風と言ったものか、実はよくわかりません。すみません。<br /><br /> ピロシキはご存知ですね。具の入った揚げパンです。ただ、ヤクート風は平たい形をしていて、揚げるのではなくフライパンで焼いて作られているみたいです。ちょうどおやきのようなものですね。<br /><br /> 白パンは、ごく普通の小麦粉パン(ロシアで言うところのバトン)でした。<br /><br /> 以上で大体おわかりかと思いますが、ヤクート料理といのは、大別すると魚系、肉系メニューに分かれています。そして、何よりも素材勝負なのです。調理上、複雑な味付けがあまりされず、ちょっと塩をつけて食べるというスタイルが多いんですね。魚系メニューは、普段から豊富な魚介の味を楽しんでいる日本人にとって、きっと舌によく合うことでしょう。<br /><br />一方、肉系メニューが素材勝負で出てくると、それはつまり、ケモノ感まるだしなワイルド料理となりがちです。うーん、ちょっとこっちは万人受けしないかもしれないなあ…。そうそう、気をつけなければならないのは量です。大抵の日本人には多すぎる量が出てきますので、まともに人数分注文すると食べきれなくなること間違いなし。モンゴル系の顔立ちをしていても、ヤクート人の胃袋は日本人のそれとずいぶん違うみたいですよ。<br /><br /> それでは、ヴェルホヤンスクの第1夜となりました。おやすみなさい。<br /><br /><br /><つづく><br /><br />※掲載写真は全て北海道新聞社の大能記者撮影

    ■パン類
    1. ヤクート風レペーシュキ(лепешки якутские)
    2. ヤクート風ピロシキ(пирожки якутские)
    3. 白パン(хлеб пшеничный)

     レペーシュキとはロシアの平たいパンの一種です。ヤクート風は丸ボーロを大きくしたような形状をしていますが、材料は小麦粉のようです。形以外に、何をもってヤクート風と言ったものか、実はよくわかりません。すみません。

     ピロシキはご存知ですね。具の入った揚げパンです。ただ、ヤクート風は平たい形をしていて、揚げるのではなくフライパンで焼いて作られているみたいです。ちょうどおやきのようなものですね。

     白パンは、ごく普通の小麦粉パン(ロシアで言うところのバトン)でした。

     以上で大体おわかりかと思いますが、ヤクート料理といのは、大別すると魚系、肉系メニューに分かれています。そして、何よりも素材勝負なのです。調理上、複雑な味付けがあまりされず、ちょっと塩をつけて食べるというスタイルが多いんですね。魚系メニューは、普段から豊富な魚介の味を楽しんでいる日本人にとって、きっと舌によく合うことでしょう。

    一方、肉系メニューが素材勝負で出てくると、それはつまり、ケモノ感まるだしなワイルド料理となりがちです。うーん、ちょっとこっちは万人受けしないかもしれないなあ…。そうそう、気をつけなければならないのは量です。大抵の日本人には多すぎる量が出てきますので、まともに人数分注文すると食べきれなくなること間違いなし。モンゴル系の顔立ちをしていても、ヤクート人の胃袋は日本人のそれとずいぶん違うみたいですよ。

     それでは、ヴェルホヤンスクの第1夜となりました。おやすみなさい。


    <つづく>

    ※掲載写真は全て北海道新聞社の大能記者撮影

この旅行記のタグ

4いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

ロシアで使うWi-Fiはレンタルしましたか?

フォートラベル GLOBAL WiFiなら
ロシア最安 422円/日~

  • 空港で受取・返却可能
  • お得なポイントがたまる

ロシアの料金プランを見る

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

PAGE TOP