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 回を重ねる毎にマニアックさの度合いが強まっていくような気がするこの連載ですが、行き先が行き先なので仕方ありません。ついて来れていない読者の皆様、ごめんなさい。思えば、このJICインフォメーションにも、敢えて読者に歩み寄らないという姿勢を貫き通すことで、極めて高品質のコンテンツと成った連載がありましたね。そう、『ロシア・旧ソ連製旅客機を訪ねて』(153-159号掲載)です。<br /><br />いやーあれは凄かった。さぞや多数の読者を置いてきぼりにしたことでしょうが、趣味者をぐいぐい引き込む名紀行文でした(気になった方はバックナンバーをチェック!)。自分がそれに匹敵するものが書けるとは思っていませんが、「こんなのもアリなんだ」と勇気づけられたので、連載の方針を定めました。マニアックさには開き直ろう、と。読者の皆様、もう一度ごめんなさい。そして…あきらめてください。<br /><br /> 前回から紹介しているヴェルホヤンスク地区(ウルース)博物館は、屋内にばかり展示物が並んでいるわけではありません。博物館の所蔵する展示品のハイライト、それは屋外の庭にある「ユルタ」です。ユルタとは何でしょうか。それは、モンゴルでゲル、中国でパオ等と呼称されているもののロシア語名(юрта)、つまり、移動可能なテント式住居のことです。ここには、「ヤクート式」ユルタと「エヴェンキ式」ユルタが展示されています。中にも入れますよ、もちろん。<br /><br /> まずエヴェンキ式。これはたくさんの細くて長い木製の骨を円錐形にまとめ、布をかぶせた形をしています。アメリカインディアンの使っていたテント「ティピー」にそっくりな、というかモロそのまんまの構造で、まことにシンプル。酷寒の地で暮らすにはちょっと辛そうに思えますが、移動には便利そうです。<br /><br />エヴェンキはサハ共和国の住民構成の約2%(18,000人)を占める民族です。と聞くと少なく思えますが、サハ共和国の人口の大多数は都市部に居住しているため、共和国北部の、ヴェルホヤンスク地方のあるあたりではもっとその比率が高まり、重要な勢力となるそうです。エヴェンキは、伝統的にトナカイの遊牧を生業としている人が多いので、移動を前提とした構造は合理的です。

エクメネの最果てへ ―サハ共和国 冬の旅― (14)

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2009/01/12 - 2009/01/12

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JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

 回を重ねる毎にマニアックさの度合いが強まっていくような気がするこの連載ですが、行き先が行き先なので仕方ありません。ついて来れていない読者の皆様、ごめんなさい。思えば、このJICインフォメーションにも、敢えて読者に歩み寄らないという姿勢を貫き通すことで、極めて高品質のコンテンツと成った連載がありましたね。そう、『ロシア・旧ソ連製旅客機を訪ねて』(153-159号掲載)です。

いやーあれは凄かった。さぞや多数の読者を置いてきぼりにしたことでしょうが、趣味者をぐいぐい引き込む名紀行文でした(気になった方はバックナンバーをチェック!)。自分がそれに匹敵するものが書けるとは思っていませんが、「こんなのもアリなんだ」と勇気づけられたので、連載の方針を定めました。マニアックさには開き直ろう、と。読者の皆様、もう一度ごめんなさい。そして…あきらめてください。

 前回から紹介しているヴェルホヤンスク地区(ウルース)博物館は、屋内にばかり展示物が並んでいるわけではありません。博物館の所蔵する展示品のハイライト、それは屋外の庭にある「ユルタ」です。ユルタとは何でしょうか。それは、モンゴルでゲル、中国でパオ等と呼称されているもののロシア語名(юрта)、つまり、移動可能なテント式住居のことです。ここには、「ヤクート式」ユルタと「エヴェンキ式」ユルタが展示されています。中にも入れますよ、もちろん。

 まずエヴェンキ式。これはたくさんの細くて長い木製の骨を円錐形にまとめ、布をかぶせた形をしています。アメリカインディアンの使っていたテント「ティピー」にそっくりな、というかモロそのまんまの構造で、まことにシンプル。酷寒の地で暮らすにはちょっと辛そうに思えますが、移動には便利そうです。

エヴェンキはサハ共和国の住民構成の約2%(18,000人)を占める民族です。と聞くと少なく思えますが、サハ共和国の人口の大多数は都市部に居住しているため、共和国北部の、ヴェルホヤンスク地方のあるあたりではもっとその比率が高まり、重要な勢力となるそうです。エヴェンキは、伝統的にトナカイの遊牧を生業としている人が多いので、移動を前提とした構造は合理的です。

  •  次はヤクート式ですが、こっちはずいぶん印象が違います。まず形。ゲル、パオといえば円筒形、と勝手に思っていましたが、ヤクート式ユルタは四角いのです。それが上に行くほどすぼまった台形になっていて、お菓子のチロルチョコみたい。<br /><br /> 出入り口は側面に開けられた四角い穴で、ぴったりの大きさに作られたふた状の扉が蝶番で留められています。開けて中に入れてもらいました。内部もやっぱりイメージと違います。外観は土を塗り込めてあったのでわかりませんでしたが、全部、丸木を組んで作ってあるのです。<br /><br />さらに、本格的な土製のかまどがあり、煙突が天井へ刺さっています。うん、これはどこからどう見ても、移動式住居ではありません。単に「家」です。でも、何度確認してもロシア語ではユルタなのだそうです。言葉の上でどういう区別がされているのか、よくわかりません。<br /><br /> 恒常的建築物たることが判明したヤクート式ユルタの中で、職員の方から紅茶をいただきながら、そこでの生活様式についての説明を受けました。それにしてもここは、博物館の設備ということもあるのでしょうけれど、全然寒くありません。快適です。布一枚のエヴェンキ式と違って、移動の便を犠牲にする代わりに、居住性を追求してこの姿にたどりついたようです。<br /><br />職員の方のお話では、かつてこの「展示物ユルタ」を宿泊施設として使いながら、1ヶ月近くも滞在した旅行者がいたそうです。確かに設備上は申し分ないでしょう。でもそんなことが許されるなんて、何とも自由度の高い博物館ですね。

    次はヤクート式ですが、こっちはずいぶん印象が違います。まず形。ゲル、パオといえば円筒形、と勝手に思っていましたが、ヤクート式ユルタは四角いのです。それが上に行くほどすぼまった台形になっていて、お菓子のチロルチョコみたい。

     出入り口は側面に開けられた四角い穴で、ぴったりの大きさに作られたふた状の扉が蝶番で留められています。開けて中に入れてもらいました。内部もやっぱりイメージと違います。外観は土を塗り込めてあったのでわかりませんでしたが、全部、丸木を組んで作ってあるのです。

    さらに、本格的な土製のかまどがあり、煙突が天井へ刺さっています。うん、これはどこからどう見ても、移動式住居ではありません。単に「家」です。でも、何度確認してもロシア語ではユルタなのだそうです。言葉の上でどういう区別がされているのか、よくわかりません。

     恒常的建築物たることが判明したヤクート式ユルタの中で、職員の方から紅茶をいただきながら、そこでの生活様式についての説明を受けました。それにしてもここは、博物館の設備ということもあるのでしょうけれど、全然寒くありません。快適です。布一枚のエヴェンキ式と違って、移動の便を犠牲にする代わりに、居住性を追求してこの姿にたどりついたようです。

    職員の方のお話では、かつてこの「展示物ユルタ」を宿泊施設として使いながら、1ヶ月近くも滞在した旅行者がいたそうです。確かに設備上は申し分ないでしょう。でもそんなことが許されるなんて、何とも自由度の高い博物館ですね。

  • 博物館を辞して、今日の宿、ヴェルホヤンスクのホテルへと向かいます。小規模な町なので、博物館も、学校も、ホテルも、全部すぐ近くにまとまっています。ホテルの名前は「ポーリュスホーラダ(полюс холода)」、ずばりロシア語で寒極という意味です。水色に塗られた木造2階建てで、テラスがついたかわいい外観です。<br /><br /> 中に入ると玄関すぐ左側の部屋で防寒着やヴァーレンキ(フェルト製防寒靴)を脱げるようになっています。右側は食堂があり、その奥がキッチン。1階にはそのほか、トイレと浴室があります。このトイレ、水洗式なんですが、ちょっと変わってます。流したら何と、もわーんと湯気が!そう、お湯が流れるんです。それも当然ですね、この酷寒の地でトイレに「水」を流したら、その先でどんな悲劇が発生することか…、想像したくもありません(&gt;_&lt;)。<br /><br />ホテルの2階には4室あります。そのうち客室が3室、1室は従業員の控え室になっています。どの部屋も最大2-3名収容できる造りで、少なくとも合計8名は宿泊可能のようです。今回このホテルの宿泊客は、私、ヤクーツクの旅行会社のサルダナさん、新聞記者のオオノ氏の3名ですが、贅沢に1人1室ずつ使わせていただきました。<br /><br />※掲載写真は全て北海道新聞社の大能記者撮影

    博物館を辞して、今日の宿、ヴェルホヤンスクのホテルへと向かいます。小規模な町なので、博物館も、学校も、ホテルも、全部すぐ近くにまとまっています。ホテルの名前は「ポーリュスホーラダ(полюс холода)」、ずばりロシア語で寒極という意味です。水色に塗られた木造2階建てで、テラスがついたかわいい外観です。

     中に入ると玄関すぐ左側の部屋で防寒着やヴァーレンキ(フェルト製防寒靴)を脱げるようになっています。右側は食堂があり、その奥がキッチン。1階にはそのほか、トイレと浴室があります。このトイレ、水洗式なんですが、ちょっと変わってます。流したら何と、もわーんと湯気が!そう、お湯が流れるんです。それも当然ですね、この酷寒の地でトイレに「水」を流したら、その先でどんな悲劇が発生することか…、想像したくもありません(>_<)。

    ホテルの2階には4室あります。そのうち客室が3室、1室は従業員の控え室になっています。どの部屋も最大2-3名収容できる造りで、少なくとも合計8名は宿泊可能のようです。今回このホテルの宿泊客は、私、ヤクーツクの旅行会社のサルダナさん、新聞記者のオオノ氏の3名ですが、贅沢に1人1室ずつ使わせていただきました。

    ※掲載写真は全て北海道新聞社の大能記者撮影

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