2011/10/26 - 2011/10/27
267位(同エリア699件中)
とむさん
関西電力が公募する非公開の地下ルート見学会に参加してきました。
【くろよん】(黒部第四発電所)はルートほぼ中央に位置します。
特別なコネ等のない一般人は公募に当選しないと行けません。
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- 高速・路線バス タクシー JR特急 JRローカル 私鉄
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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[第一章:プロローグ]
立山黒部アルペンルートと黒部トロッコ電車(正式名:黒部峡谷鉄道)は、地域としては同じ富山県東部(一部長野県)だが、全くの別ルート、つながってはいない。
立山黒部アルペンルートは長野県扇沢と富山県立山駅の間をルート専用6種類の乗物で結んでいて、この区間には一般車は乗り入れできない。
一方、黒部峡谷鉄道は富山県宇奈月温泉から黒部峡谷を20キロ遡上して欅平(けやきだいら)で行き止まり、他の交通手段がなく宇奈月まで同じ鉄路で引き返す。
つまり、黒部トロッコで黒部ダムへは行けないのだ。
トロッコ電車は冬季運休で、雪崩が頻発する沢に架かる一部の鉄橋は解体し、トンネル入口は鉄扉で閉ざすという、過酷な環境の山岳鉄道だ。
冬は線路とほぼ平行して1人がやっと通れる冬季歩道というトンネルが富山側から欅平への唯一の連絡路となるが、徒歩6時間以上、もちろん一般人は入れない。
黒部ダム、雪の大谷、落差日本一の称名滝などを抱え、年間100万人の観光客が訪れる日本有数の山岳観光地【立山黒部アルペンルート】も約5か月間冬季閉鎖になる。
両ルートは日本海側で鉄道 道路で往来は出来るが山側では隔絶されていて、唯一の連絡路は日電歩道という、限られた登山者が2日間かけないと踏破出来ないルートのみ。
しかも残雪が消える秋の1〜2ヶ月限定という、気軽に足を踏み入れることなど出来ない いわゆる 秘境黒部峡谷だ。
欅平→黒部ダム間は直線距離で僅か14kmだが、そこには厳しい地形と天候が立ちはだかり人を寄せ付けない。
実は…その秘境の地中に一般人が入れない秘密ルートが存在する事はあまり知られていない。
長野側の扇沢からトロリーバス用のトンネルで黒部ダムへ着くとそこに秘密の入口がある。
トロッコ電車の終点欅平まで5種類の乗物で結ぶモグラのような黒部ルートだ。
そして、ルート途中の数ヶ所から秘境の風景を垣間見ることが出来るという。
このルートは地下に作られた【くろよん】(正式名:黒部川第四発電所)の他、いくつかの発電施設等の維持管理用で通年運用されている。
その秘境に1996年から公募で黒部ルート見学会が開催されているのをネットで発見!
これは・・・もう・・・行くっきゃない! -
主催する関西電力のサイト(抜粋)によると
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黒部ルートは すべて地下トンネル区間です。各乗り物は工事用設備のため、一般交通機関に比べ、車内は大変狭く、また振動が強いため快適ではありません。
○年度内の参加は1名1回限りとし、2回以上の参加はできません。
(当選後キャンセルされた場合は参加されたものとします。)
○同一見学日に重複応募の方は、抽選対象外となります。
(代表者を変えて同一メンバーでの重複応募も抽選対象外となります。)
○参加者は当日集合時に公的証明書でご本人確認をさせて頂きます。
○大きな荷物、ピッケルやスキー、登山用装備での参加はお断りします。(ひざ上で抱えられるリュック1個程度)
○台風等の荒天により、黒部峡谷鉄道が運休した場合や、不測の事態が生じた場合は中止となり、その際の予備日は設けることが出来ません。
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となかなか厳しい。
今年(2011)の募集は5月下旬から11月初旬まで34回、各回60名で欅平発と黒部ダム発30名ずつ、年間たったの二千人だ。
各回の募集締切りは実施日の約6週前、1グループ全員記名で6名までと非常に狭き門。
早速所定様式の葉書で応募する。
そして…来たっ!!!当選通知!!!
10月27日 欅平集合→黒部ダム解散 約3時間半のルート内の経費は無料だ。
今年度(2011年)の応募倍数は最大7.3倍だったが、東日本大震災の影響で観光客が減少していると思われるので例年はもっと高い倍率ではなかろうか?
このエリアではマイカーの利便性が悪いので列車+バスの選択とする。
現地集合現地解散、東京から日帰り不可能なので宿と往復の足は事前に確保しておかなくてはいけない。
欅平集合が9時20分なので名剣温泉などの秘湯に前泊する以外は宇奈月7時57分発のトロッコ電車に乗らないと間に合わないので駅直近の宿を予約した。 -
[第二章:見学会前日 2011.10.26]
往路は池袋7時20分発-富山駅行きの高速バスを利用する。
首都圏を出て最初のバス停 黒部インターで降車13時。
終点の富山駅まで乗ってしまうと富山地方鉄道で相当戻る(地図を見ればお判りになると思う)ので、時間と料金を節約する。
最寄りの富山地方鉄道 舌山駅まで約2?。
舌山駅での乗降客は我々2人だけ。
乗り遅れると畑の中の無人駅で1時間以上待つ羽目になるので、あらかじめ調べておいたタクシー会社に電話すると数分で来てくれた。 -
2輌編成ワンマンカーのローカル列車の旅をしばらく楽しみ13時50分 宇奈月温泉駅到着。
宇奈月温泉 温泉
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上天気だ!宿に荷物を預け温泉街散策とトロッコ電車の撮影へ。
温泉周辺は標高220mと低く紅葉にはまだちょっと早かった。
標高600mの欅平あたりが見頃か?と期待が高まる。黒部峡谷鉄道 (トロッコ電車) 乗り物
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黒部川電気記念館
黒部川電気記念館 美術館・博物館
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イチオシ
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イチオシ
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宿の窓からはトロッコ電車の車庫,操車場に多数の客車と貨車が留置されているのが見られる。
黒部峡谷鉄道の車輌保有台数は民鉄の中でダントツだそうだ。
左下 黄/緑 の富山地鉄の車輌と比べると 黒鉄トロッコはずいぶんミニサイズだ。 -
地鉄宇奈月温泉駅(駅舎は左方)と黒鉄宇奈月駅(駅舎は右方)の駅舎は200m程離れている。
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[第三章:いよいよ見学会当日]
ドピーカン!ワオッ!天気ばかりは運次第・幸先いいぞっ!
参加者票をつけて・・・
宇奈月7時57分発のトロッコ電車は集合場所の欅平まで事前に払込済み、見学会参加者用の車輌が指定されていて並ばなくて済む。黒部峡谷鉄道 (トロッコ電車) 乗り物
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元々工事用トロッコなので軌道幅が狭く、きついカーブの連続なので小さいサイズの、いろいろなタイプの車輌10数両を重連の電気機関車が牽引する。
宇奈月―欅平間には黒薙(くろなぎ)と鐘釣(かねつり)の2駅が乗降客用で、他に工事用が6駅ある。
指定された車輌は窓付きだったが、写真撮影に徹するなら窓なしオープンを選ぶべきだ(事前に変更可能)
ただし、悪天候だと最悪かも…
眺望のよい右側席を確保できたが、窓を開けると寒くて同乗者に迷惑をかけるし、ガラス越しの写真ではいまいち……
おまけに…元気なオバハン2人が強引に尻を割り込ませて来て身動きもままならず…満足に写真も撮れなかった。 -
鐘釣駅から河原へ下りるとどこを掘っても温泉が湧き出し人気があるが今回は立ち寄れない。
最近のツアーは時間と費用の節約からか、鐘釣で引き返す団体が多いようで、我々が一昨年参加したツアーもそうだった。
これと次の写真はその時(2009/10/15)の物。
中央手前に手作りの露天風呂。鐘釣駅 駅
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激流でこんな巨岩がゴロゴロと転がってくるのかな?…恐ろしい!
右端 足湯の人間と比較すると…… -
欅平駅2F食堂に集合した一行は関西電力の案内人から説明を受け、ヘルメットを着用していよいよ地底の秘密ルートに突入だ。
欅平駅 駅
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最初はトロッコ電車に数分乗車して北アルプスの地中へ GO!
黒部峡谷鉄道 (トロッコ電車) 乗り物
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次に竪抗エレベータで地中を一気に200m上昇。
このエレベーターは中にレールが敷設されていて、貨車をそのまま積込む事が出来るほどで日本一の大型だそうだ。 -
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竪抗エレベーターを下りると最初の展望スポットに出られ、そこには白馬連峰が広がっていた。
左奥に白馬鑓岳 -
次に乗る上部軌道バッテリートロッコの客車は非常に小さく、10名づつ3両に分かれて乗り込む。
天井も低いので乗降の際はヘルメットがあちこちにコチコチと当たる。
やがて高熱隧道(こうねつずいどう)にさしかかる。
断熱仕様のため密閉されたトロッコの外は、真冬でも約40度になるという。
窓ガラスが水蒸気で曇るため、室内側にワイパーが取り付けてある。硫黄成分で腐食が進むのでレールは約2年で交換するとの事。
トンネルを掘り進むにつれて岩盤温度が摂氏160度まで上昇し、谷底から汲み上げた冷水をホースで人夫に掛けながらの難工事で、あまりの高温で発破のダイナマイトが自然爆発したり、泡雪崩(ほうなだれ=最大規模の表層雪崩)で宿舎が84人の人間ごとそっくり対岸の山腹まで600mも飛ばされたりと、想像を絶する地獄のような現場だったようだ。
犠牲者は数百人規模、現代では絶対許可されない工事だが、当時は国策の名のもと、何が何でも完成せよ! という様子が 吉村昭著【高熱隧道】で詳しく描写されているのでぜひ一読をお勧めする。
ここも一般に開放されておらず、黒部ルート見学会でしか通ることはできない。黒部駅 駅
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黒部ルートの乗物が唯一地上へ出る仙人谷の鉄橋上で展望タイム。
黒部駅 駅
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深く切れ込んだ谷底を流れる激流。
白い岩肌の花崗岩がきれいだ。 -
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各乗物は資材運搬用が主目的なので乗換にはほとんど歩かずに済むようになっている。
バッテリートロッコを降りると巨大な地下空間黒部川第四発電所(通称くろよん)が現れる。
標高約870mの山中に水力発電機4基が設置され、遠隔操作される地下発電所は 地表に出ているのは送電線取出し口だけだ。
後立山連峰の地中深くにあるここ【くろよん】も、もちろん黒部ルート見学会でしか見る事はできない。 -
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メンテナンスの際、シャフトを上に引き抜く為に天井が高い。
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【くろよん】見学の次はインクライン
インクラインとは交走式のケーブルカーで34度の傾斜をゆっくり登っていき、中間点で黒部ダム発の見学会一行とすれちがう。
通常のケーブルカーは車内が階段状になっているが、これはベンチが並んだ平らな部屋が三角の台車に水平に乗っている構造で、荷物を運ぶ際には客室を取り外す。黒部ダム 名所・史跡
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黒部ルート最後の乗物はトンネル内専用バス。
途中下車して横坑を少し歩き…左に写っている柵の外へ出ると…黒部駅 駅
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そこには素晴らしい風景が広がっていた!!!
絶景!思わず歓声が上がる。
紺碧の空に剱岳!雪渓!剱岳 自然・景勝地
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イチオシ
追記特報:2012/4月/5日 朝日新聞
日本には存在しないとされていた氷河が調査の結果立山連峰に3か所現存する(実際に動いている)事が確認された。
その一つがこの写真に写っている剱岳三ノ窓雪渓だ!
再び専用バスに戻って…標高1470mの地下駅黒部ダム駅 到着、13時前解散となった。 -
[第四章:エピローグ]
約3時間半の行程中3か所で黒部峡谷の素晴らしい景観を垣間見ることが出来、大満足。
モグラのように地中を進む間、案内人は説明やビデオ上映、そして展望スポットでは「シャッター押しましょう」となかなか良くやって下さった。
黒部ルートを一般開放してほしいとの要望が強いようだが設備、輸送能力など大幅な改良が必須で実現は当分(数十年?)ほぼ無理と思う。
運賃を数万円と高額に設定しても希望者は殺到するだろうが、旅行会社がツアーを組むのは現状では絶対不可能だ。
さて、解散した地下の黒部ダム駅はまだ立山黒部アルペンルートの中。
帰路は基本的に二通り考えられる。
A案:トロリーバスで扇沢へ出て長野県側へ。
B案:ケーブルカー⇒ロープウェイ⇒トロリーバス⇒高原バス⇒ケーブルカーと乗り継ぎ富山県側へ。
B案で首都圏へ帰るにはあと一泊ほしい。
我々はA案の扇沢⇒大糸線⇒中央線で帰京の予定だ。
松本発「特急あずさ」は一日に一本だけ総武線直通があるので迷わず決定。
黒部ダムにはアルペンルート全通前(ん十年前)と一昨年来ているが、今回は時間の余裕があるので長い階段を上り展望台まで登ってみた。 -
しかし、観光放水も紅葉も終わり、雪景色には早過ぎ中途半端。人影もまばらでシーズン終了の感だった。
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トロリーバス、路線バスと乗り継ぎ 大糸線 信濃大町 へ
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そして信州の〆は蕎麦だ。
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印象深く、楽しかった思い出を後に、松本から特急あずさで一路東京へ。
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