寒牡丹の石光寺を訪ねて

2012/02/05 - 2012/02/05

寒い日が続き外出する気分にもならなかったのですが今日は少し寒さも緩み、さてどこかに出掛けようということになりました。時期的にはもう遅いかもしれないけど石光寺に行って寒牡丹を鑑賞、その後当麻の里を歩くことにしました。

エリア 御所・葛城(奈良)

中将姫伝説で知られる石光寺に来ました。ここは春は牡丹や芍薬、冬は寒牡丹でも有名な花の寺でもあるのです。昨日までの寒さは幾分やわらぎましたがどんよりとした冬空の下、どんな可憐な寒牡丹に出会えるでしょう。

石光寺 (染寺) 関西花の寺霊場第20番
拝観料 大人 400円

寒牡丹の開花は11月下旬から1月下旬なので最盛期は逃したようですがまだ花は残っているようです。

石光寺縁起を見ると、「天智天皇の時代にこの地に光を放つ三つの石があり、掘ると弥勒三尊の石仏が現れた。そこで天皇の勅願によって堂宇を建立し、『石光寺』の名を賜って役行者が開山し弥勒如来を本尊として祀ったのが始まり」とされています。

弥勒堂の屋根には牡丹の瓦が上がってました。さすが花の寺ですね。

中将姫伝説によると、中将姫がここの井戸で蓮糸を洗い桜の木に掛けて乾かすと見事な五色の糸になり、それで極楽浄土の世界を織り上げたのが当麻曼荼羅だということです。それでこのお寺は「染寺」ともよばれています。
右が中将姫の像、その足元にある井戸は「染の井」、左のガラスに囲われた古木は「糸かけ桜」です。

春の開花を待つ春牡丹は約２７００株、芍薬は約５００株ほどあります。開花期は百花繚乱まさに花の寺の本領発揮ですがこの時期はちょっと寂しいです。

冬枯れの庭に石仏が佇みます。

藁に囲まれたおなじみの姿の寒牡丹です。
石光寺には３００株ほどの寒牡丹があるそうですが、開花はその年の気候に大きく左右されるため、すべて開花するのは難しいのだそうです。

透きとおるようなピンクの花は寒さに震えているよう。

奥の庭にまわるとたくさんの藁囲いの寒牡丹が並んでいますが花はほとんど終わってしまったようです。藁をかぶった寒牡丹は雪ん子のようにも見えますね。

お寺の説明によると寒牡丹と冬牡丹は違うのだそうです。
　「寒牡丹」は二期咲き牡丹の一種で低温の初冬に自然に咲き出します。花自体の 寒さ対策なのか葉は小さいかほとんどなく、花首も短く弱々しいもので、開花率も低いのです。
「冬牡丹」は春に咲く牡丹を人工的に温度調節をし冬に開花させたものです。春のつもりで咲いているので長い茎と大きな緑の葉をつけています。

石光寺には冬牡丹はなく寒牡丹ばかりです。寒牡丹を咲かせるのは相当のご苦労があるようです。弱々しく可憐な寒牡丹は冬の庭によく似合います。

石光寺と交流のあった与謝野晶子の歌碑が立っていました。

初春や当麻の寺へ文かけば
奈良の都に住むここちする

与謝野鉄幹の歌碑も。

時雨ふる日はおもひいづ
当麻の里の染寺に
ひともと枯れし柳の木
京の禁裡の広前に
ぬれて踏みける銀杏の葉

境内には他にも歌碑や句碑が立てられています。多くの文人に愛されたお寺なのでしょう。

背山より いまかも飛雪 寒牡丹
皆吉 爽雨

寒牡丹の花は少ないですが、この時期に見頃の花もあるのです。

色とりどりのツバキや蝋梅。

蝋梅は満開です。

寒咲きアヤメも見頃でした。

初夏に咲くアヤメより背も低くか弱いですね。

冬咲きニンドウはふくらみ始め。

ミツマタ

春の華やかな庭しか知らなかったのですが、どことなく寂しげな冬の庭もいいですね。
庭を一巡りし石光寺を出て当麻寺へ向かいます。

石光寺から当麻寺までは歩いて10分ほどです。この辺りは二上山の麓で当麻の里と呼ばれていて、のどかな風景が広がっています。

二上山も目の前です。明日香から眺めると夕陽が二上山の二つの峰(雄岳、雌岳)のちょうど間に沈むので極楽西方浄土として昔から人々に崇められてきた山です。雄岳の山頂には大津皇子のお墓もあります。

こんな道標を見ながら当麻の里をぶらりぶらり。

中将姫伝説の当麻寺まで歩いてきました。

中将姫が蓮糸を染めて、一夜にして織り上げたという当麻曼荼羅が御本尊です。

中将姫が剃髪されたというお堂は中の坊にあります。

当麻寺は近世以前に建てられた東西ふたつの塔が現存する日本唯一のお寺としても知られています。
写真は西塔。

東塔

日本最古の梵鐘や最古の石灯籠もあります。
春の牡丹の頃と違い冬は参拝客も少なく寂しげです。
金堂、講堂を見て境内を通り過ぎ、次のお楽しみに向かいました。

当麻に来ると買って帰るのを楽しみにしている中将餅ですが、残念なことに売り切れていました。おいしいよもぎ餅なのですがまた次回に。

この旅行記へのコメント （8）

• たらよろさん 2012/02/12 16:19:55

  中将餅！

  こんにちは、エトランゼ様♪
  
  ほんと、寒いと外に出る気が失せますね。
  仕事もやすみたくなっちゃうもの（笑）
  
  そんな中、ちょっと寒さが緩むとチャンスとばかり、、、わかります〜
  
  寒牡丹、高貴で美しいわ。
  凛とした風情が冬の花！を彷彿させますね。
  
  中将餅、たべてみたいなぁ。。。
  
  
  たらよろ

  エトランゼさん からの返信 2012/02/12 19:19:56

  RE: 中将餅！

  こんにちは。
  
  > 中将餅、たべてみたいなぁ。。。
  
  中将餅は店舗がここにしかないので貴重なんですよ 。
  赤福のよもぎ餅バージョンのような感じです。
  あんこも甘すぎずあっさりしていておいしいんです。
  売り切れで残念でした。
  グルメのたらよろさんにもぜひ食べていただきたいです。
  
  エトランゼ

• 豚のしっぽさん 2012/02/11 11:48:45

  冬のお庭☆

  　いい感じですね。。。冬もまた
  
  表紙のお写真、なんか可愛いなぁ〜って思いながら拝見
  
  寒牡丹！ガンバレ〜って(笑）
  
  ろう梅がもう満開なんですね
  
  
  　　冬のお庭情報ありがとぉ(#^.^#)
  
  
  
  　　　　　しっぽ

  エトランゼさん からの返信 2012/02/11 16:07:50

  RE: 冬のお庭☆

  冬に訪れたのは初めてだったのですが、これもまたいいな〜と思いました。
  春に元気いっぱい咲く花は艶やかですが、冬枯れの庭に咲く花も凛として素敵でした。
  寒くても出かけるといいことありますね。
  
  エトランゼ

• morino296さん 2012/02/11 11:42:38

  当麻の里

  エトランゼさん
  
  こんにちは。
  
  立春を過ぎても、まだまだ寒さが厳しく、出掛けるのが億劫になりますね。
  そんな中、ちょっと寒さが緩みお出掛けになった当麻の里、いいですね。
  
  私も２度、当麻寺に行きましたが、石光寺へは行きませんでした。
  近くにあるのですね。
  
  この寒さの中、花が咲いていると、なんだか嬉しくなりますね。
  寒牡丹、蝋梅はよく見かけますが、寒咲きアヤメは珍しいのではないでしょうか。
  
  中将餅、売り切れていましたか、残念でしたね。
  またのお楽しみですね。
  
  morino296
  

  エトランゼさん からの返信 2012/02/11 15:55:37

  RE: 当麻の里

  > 私も２度、当麻寺に行きましたが、石光寺へは行きませんでした。
  > 近くにあるのですね。
  
  二上山を眺めながらぶらぶら歩くとすぐです。
  石光寺は小さなお寺ですがきれいに手入れされたお庭が見所です。
  春は牡丹と芍薬が咲きそろい見事ですよ。
  それに駐車場も無料です。
  morino296さんも次の機会にはぜひ訪れてください。
  
  エトランゼ
  

• ガブリエラさん 2012/02/10 22:44:53

  この静かな感じが、いいです〜(*^_^*)

  エトランゼさん☆
  
  こんばんは♪
  
  冬の石光寺、当麻寺、ともに静かでいいですねヽ(^o^)丿
  ベストシーズンにお花満開なのを見にいくのもいいですが、こういうちょっと控え目に咲くお花、そして人ごみのない冬の静かなお寺、大好きな雰囲気です(*^_^*)
  
  そして、寒さに耐えて咲くお花、「頑張って！」って言いたくなります♪
  
  ガブ(^_^)v

  エトランゼさん からの返信 2012/02/10 23:11:29

  RE: この静かな感じが、いいです〜(*^_^*)

  ガブちゃん、こんばんは♪
  
  当麻の里には春の牡丹、芍薬の季節にしか行ったことがなかったのですが、冬の静けさもいいものですね。
  凛とした空気の中に咲く可憐な花は、どこか寂しげで、頑張ってるねって褒めてあげたくなります。
  
  エトランゼ