中国版新幹線（北京南→天津）乗車ルポ

2011/12/05 - 2011/12/05

北京オリンピック、上海万博などと並ぶ中国の国家的プロジェクトとして誕生した中国版新幹線こと「中国高速鉄道」

日本やEU諸国の技術を導入して開業したこの高速列車は、今や中国の幅広い地域で欠かせない足として活躍しています。

今回、北京滞在の最終日、北京南〜天津間の京津城際鉄路（京津都市間鉄道）で中国版新幹線を体験してきました。車両はドイツのICE3型電車をベースに製造されたCRH3型です。

エリア 天津(中国)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 5.0
• ショッピング: 3.5
• 交通: 4.5

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: 鉄道 タクシー 徒歩 飛行機
• 航空会社: 中国国際航空 中国南方航空 ANA
• 旅行の手配内容: 個別手配

12月2日夕刻。
北京南駅で天津までの当日券を買おうとするも、夕ラッシュ時とあり都合のいい時間帯の列車は満席。
北京〜天津間の城際快速（中国新幹線）は人気が高い列車とあり、当日の乗車直前にチケットを入手するのは困難なようでした。
気を取り直して、窓口で4日朝の北京南〜天津間の往復券（2等）を購入し、出直すことにしました。

写真は北京南駅。最近開港した空港ターミナルや台湾新幹線の左営駅みたいな内装でした。

北京南駅 駅

今回私は北京南〜天津間の指定券を窓口で購入したわけですが、地下鉄の連絡改札前には高速鉄道の券売機がありました。
ただ、この券売機は故障しているものが多いうえ、そもそも中国当局が中国国民向けに発給している身分証明書がないと使えません。
このあたり、ハードが充実しているとはいえ、ソフト面で課題が多いなあと感じました。

北京南駅 駅

北京南駅コンコースには、7月の例の事故の直前に開業した北京〜上海間の新幹線（京滬高速鉄道）の路線図が展示されていました。
中国の新幹線計画の集大成となる路線とあり、PRに力が入っている様子です。

北京南駅 駅

北京南駅には、高速鉄道を含めた中国国鉄の路線図が掲示されていました。よく見ると、右下には台湾の環島鉄路や福建省と台湾を結ぶ計画線が記入してあります。

前置きはこのぐらいにして、12月4日の乗車記に移ります。

北京南駅 駅

12月4日
地下鉄を乗り継ぎ、8時半過ぎに北京南駅に到着。
乗車するのは、8時45分発のC2011号天津行きです。

北京南駅 駅

中国国鉄の改札は発車15分前からホーム別、列車別に行われます。
9時発の上海虹橋行き列車のホーム入口には改札を待つ乗客の長い列ができていました。

北京南駅 駅

こちらは私が乗る8時45分発の天津行きのホーム入口。
すでにあらかたの乗客が乗り終えたようで人の姿は少なめです。

北京南駅 駅

20番線の発車案内表示

北京南駅 駅

乗車する車両はCRH3型。ドイツのICE3型をベースに製造された車両です。
現在、北京南〜天津間の城際快速は全てこの車両で運転されています。

北京南駅 駅

車体に描かれたロゴマーク１
「CRH」とは「China Highspeed Railway（中国鉄路高速）」の略です。

北京南駅 駅

車体に描かれたロゴマーク２
「和諧号」。中国で外国の技術を導入して作られた高速列車に付けられている愛称です。

北京南駅 駅

側面の行先表示機も、ICE3型のものとそっくりです。

北京南駅 駅

座席の枕カバーにもロゴが印刷されています。

窓の横には非常脱出用のハンマーが備え付けられていました。

8時45分定刻に北京南駅を発車しました。

北京南駅 駅

発車後1分で時速100キロ、13分で284キロ。相当な加速度で速度を上げて行きます。

この朝の北京地方の天候は濃霧。
濃霧の中を、時速300キロ近いスピードで徐行もせず走っているわけで、考えてみれば凄い話です。

2等車の車内はご覧の通り満席でした。
もともと中国では旅客輸送に占める鉄道輸送のウェイトが高いわけですが、新幹線もその例外ではなく、登場後数年ですっかり大衆の足として定着しているようです。

日本では給水器が備え付けられた鉄道車両は年々減っていますが、中国では最新鋭の新幹線にも給湯器があります。

デッキにて。木目調のカーブした化粧室のドアは、本家ICEや小田急のVSEを思わせます。

私が乗った車両は最後尾の2等車でしたが、車内最後部の運転席に接している部分は1等席でした。そのため、座席も横に2列+1列、広々しています。
運転席と客室の仕切りがガラス張りというのも、鉄道ファンには嬉しいサービスです。

ゆったりした1等の座席。これでも北京南〜天津間の運賃は日本円で68元。1000円もしないです。

9時18分定刻に天津駅に到着。北京南から33分、あっという間でした。

天津駅 駅

天津で並ぶCRH3型

天津駅 駅

往路に使用した乗車券。色こそ違えど、台湾新幹線の乗車券とほぼ同じ材質・書式でした。

濃霧に包まれた天津駅舎

天津駅 駅

天津駅前の解放橋。ここを渡った先は、かつてフランスの租界でした。

解放橋 建造物

フランス租界の中にある旧フランス公部局
現在は天津市の公的機関の庁舎に転用されています。

復路の列車の発車時間が近づいたので天津駅へ。
駅の入り口にある手荷物検査場には長い行列ができていました。
北京や天津の駅には必ずと言っていいほど、手荷物検査場があるので、列車に乗るときには時間に余裕を見て行くのが吉です。

天津駅 駅

いかにも社会主義の国らしい、薄暗い天津駅舎内。

天津駅 駅

旅行者でごった返す天津駅。
重い荷物を持ち、家族や職場単位で大人数で移動する人が多いように見えました。

天津駅 駅

復路に乗るのは10時10分天津発の北京南行きC2210号。

天津駅 駅

天津駅のホーム

天津駅 駅

発車前に5号車のバーカウンターに行き、ちょっとお買い物。
30分程度の区間なのに、売店が営業しているんです。

売店で買ったものその1　インスタントコーヒー　15元

買ったものその2　CRH3型の1/160スケールモデル
（中身はこのページの最後に公開）

途中、武清駅の手前で在来線の客車列車とすれ違いました。

復路も車窓には相変わらず見事な濃霧が広がります。

しかし、CRH3型は濃霧など意にも介さず、時速290キロで快調な走りを続けました。

枕カバーの裏には、チベットのミネラルウォーターの広告が。

北京南駅が近づくにつれ、あれほど鬱陶しかった霧が少しずつ晴れてきました。

10時48分、定刻に北京南駅に到着。
今度は上海付近を走る日本のE2系ベースの車両や、北京上海間の高速鉄道に乗ってみたいです。

北京南駅 駅

おまけ　列車内で購入したCRH3型の1/160スケールモデル

この旅行記へのコメント （2）

• ムロろ～んさん 2011/12/15 16:42:34

  天津までの滞在時間って？

  ムロろ〜んです。
  
  新幹線の旅行記を拝見しました。
  実際に33分の鉄道の旅って、短いですね。
  ちなみに列車のチケットはどのように購入されたのでしょうか？他の方の旅行記を拝見すると満席が多いという話を聞きます。
  
  今回の旅のメインは新幹線ですね。天津の滞在時間って？
  コーヒーがインスタントだったとは、日本の新幹線とは違いますね。参考になりました。

  TMBSさん からの返信 2011/12/15 20:35:41

  RE: 天津までの滞在時間って？

  列車のチケットですが、北京南駅の窓口で購入しました。
  最初は購入当日の夜6時ごろの列車を狙っていたのですが、夕方のラッシュにかかっていたせいか列車という列車が満席続きでやむなく2日後の朝の列車に変更した次第です。
  
  今回天津では小一時間程の滞在で、駅前の旧租界をささっとぶらついただけでした。
  
  日本の新幹線は、ちゃんとコーヒーメーカーで作ったものを入れてくれるのに、その辺り大きく違いましたね。