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☆『采女祭』(うねめまつり)は旧暦の8月15日の中秋の名月に当たる日に行われる行事です。17時から始まる花扇奉納行列は秋の七草で美しく飾られた2m余の花扇と数十人の稚児、御所車に乗った十二単姿の花扇使らがJR奈良駅から商店街を通り、猿沢の池までの約1km余りを練り歩きます。その後、采女神社にて春日大社の神官による厳かな神事の後、18時より南都楽所の奏でる雅楽の調べに乗せて猿沢の池に2艘の管弦船を浮かべる儀式へと続き、花扇を池中に投じて、祭りはクライマックスを迎えます。<br /><br />17時〜花扇奉納行列(JR奈良駅を出発)<br />18時〜花扇奉納神事 采女神社<br />19時〜管弦船の儀 (猿沢の池)<br /><br />★『采女伝説 二つの物語』<br /><br />「奈良市に伝わる物語]<br /><br />中秋の名月の日には猿沢池にて采女祭が行われます。猿沢池のほとりに建つ采女神社は、何と、社が後ろ向きに建っています。これは采女伝説によるものです。昔、大変美しかった采女は奈良の帝に寵愛を受けていました。ところが、いつしか帝は心変わりをしてしまい、采女は嘆いて、猿沢池に身を投げて自らの命を絶ったそうです。<br />社は初め猿沢の池の方向に建てられていましたが、我が身を投じた池を見るに忍びないと、一夜のうちに社は、池を背にして建っていたそうです。<br /><br />[郡山市に伝わる物語]<br /><br />約千三百年前、陸奥の国安積の里(現・郡山市)は冷害が続き朝廷への貢物ができないほどだった。このため奈良の都から巡察使葛城王が訪れた。<br />里人たちは窮状を訴え貢物の免除をお願いした。しかし、その願いは聞いてくれなかったという。<br />その夜、王をもてなす宴が開かれ、王は里長の娘、春姫を見そめた。春姫は心から王をもてなし、<br /><br />「安積山影さえ見ゆる<br />山の井の 浅き心を我が思わなくに」<br /><br />どうしてご機嫌が悪いのですか。安積山のふもとに山の井の清水があります。<br />安積山の影を水面に映し、浅い井戸のように思われますが、どうして、どうして、とても深い清水です。<br />それと同じで私たちが王をお慕いしている気持ちはとても深いものです。どうかご機嫌を直して下さい。<br />「安積釆女とその時代」より(今泉正顕氏著)<br />と詠み献上しました。<br /><br />王は大変喜び、春姫を帝の采女として献上することを条件に、貢物を三年間免除することになった。春姫には、次郎という相思相愛の許嫁がおり、悲しみをこらえて別れました。<br /><br />都での春姫は、帝の御蘢愛を受けていましたが、仲秋の名月の日、次郎恋しさに猿沢の池畔の柳に衣をかけ、入水したように見せ、愛する次郎の待つ安積へ向かいました。<br />里へたどりついた春姫は、次郎の死を知り、雪の降る夜、あとを追って次郎と同じ山の井の清水に身を投じました。やがてみちのく安積の里にも春が訪れ、山の井の清水のまわり一面に名も知れぬ薄紫の美しい可憐な花が咲き乱れていました。<br />だれ言うともなく、二人の永遠の愛が地下で結ばれ、この花になったのだと噂をしました。「安積の花かつみ(学名ヒメシャガ)」とは、この花のことです。この采女物語は今、郡山の夏の夜を彩どるうねめまつりとして受けつがれています。<br /><br />『采女』とは・・・。<br />後宮で帝の食事の世話や裁縫などをする役割を担っていた女性。<br /><br />猿沢の池に身を投じた采女は今の福島県郡山市から来たと伝えられており、現在、奈良市と福島県郡山市とは姉妹都市(昭和46年締結)となっています。<br /><br />★奈良に住んでいながら、まだ一度も見たことがなかったので、今日の夕方、天気も良かったので車で猿沢の池近くまで行ってきました。<br /><br />車は近くの駐車場に預けて徒歩5分足らずで猿沢の池に着きました。まだ陽も沈んでいない17時頃でしたが、もう既に池の周りには人が沢山集まっていました。<br />一番良い撮影スポットには年配の撮影隊が三脚を立てて陣取っています。池に管弦船を浮かべての祭りが始まるまで2時間待っていました。池の畔に着いた頃、人はまだそれほど集まっていなかったのですが、18時を過ぎるあたりから徐々に人が増え、17時から始まる祭りの頃には沢山の人が集まり賑わいました。毎年福島県郡山市長が奈良に来てこの行事に参加しています。猿沢の池での管弦船を浮かべる儀式の前に奈良市長と郡山市長の挨拶の後、池に浮かべられた二艘の船が厳かに雅楽の音とともにゆっくりと池の面を進み、祭りはクライマックスに達しました。<br /><br />例年なら管弦船には女優さんが来て乗り込むそうですが、今年はミス・奈良が乗っていました。<br /><br /><br /><br /><br />

天平の雅を今に伝える 毎年行われる奈良の伝統的行事『采女祭』(うねめ まつり)☆2011

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2011/09/12 - 2011/09/12

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大目付

大目付さん

☆『采女祭』(うねめまつり)は旧暦の8月15日の中秋の名月に当たる日に行われる行事です。17時から始まる花扇奉納行列は秋の七草で美しく飾られた2m余の花扇と数十人の稚児、御所車に乗った十二単姿の花扇使らがJR奈良駅から商店街を通り、猿沢の池までの約1km余りを練り歩きます。その後、采女神社にて春日大社の神官による厳かな神事の後、18時より南都楽所の奏でる雅楽の調べに乗せて猿沢の池に2艘の管弦船を浮かべる儀式へと続き、花扇を池中に投じて、祭りはクライマックスを迎えます。

17時〜花扇奉納行列(JR奈良駅を出発)
18時〜花扇奉納神事 采女神社
19時〜管弦船の儀 (猿沢の池)

★『采女伝説 二つの物語』

「奈良市に伝わる物語]

中秋の名月の日には猿沢池にて采女祭が行われます。猿沢池のほとりに建つ采女神社は、何と、社が後ろ向きに建っています。これは采女伝説によるものです。昔、大変美しかった采女は奈良の帝に寵愛を受けていました。ところが、いつしか帝は心変わりをしてしまい、采女は嘆いて、猿沢池に身を投げて自らの命を絶ったそうです。
社は初め猿沢の池の方向に建てられていましたが、我が身を投じた池を見るに忍びないと、一夜のうちに社は、池を背にして建っていたそうです。

[郡山市に伝わる物語]

約千三百年前、陸奥の国安積の里(現・郡山市)は冷害が続き朝廷への貢物ができないほどだった。このため奈良の都から巡察使葛城王が訪れた。
里人たちは窮状を訴え貢物の免除をお願いした。しかし、その願いは聞いてくれなかったという。
その夜、王をもてなす宴が開かれ、王は里長の娘、春姫を見そめた。春姫は心から王をもてなし、

「安積山影さえ見ゆる
山の井の 浅き心を我が思わなくに」

どうしてご機嫌が悪いのですか。安積山のふもとに山の井の清水があります。
安積山の影を水面に映し、浅い井戸のように思われますが、どうして、どうして、とても深い清水です。
それと同じで私たちが王をお慕いしている気持ちはとても深いものです。どうかご機嫌を直して下さい。
「安積釆女とその時代」より(今泉正顕氏著)
と詠み献上しました。

王は大変喜び、春姫を帝の采女として献上することを条件に、貢物を三年間免除することになった。春姫には、次郎という相思相愛の許嫁がおり、悲しみをこらえて別れました。

都での春姫は、帝の御蘢愛を受けていましたが、仲秋の名月の日、次郎恋しさに猿沢の池畔の柳に衣をかけ、入水したように見せ、愛する次郎の待つ安積へ向かいました。
里へたどりついた春姫は、次郎の死を知り、雪の降る夜、あとを追って次郎と同じ山の井の清水に身を投じました。やがてみちのく安積の里にも春が訪れ、山の井の清水のまわり一面に名も知れぬ薄紫の美しい可憐な花が咲き乱れていました。
だれ言うともなく、二人の永遠の愛が地下で結ばれ、この花になったのだと噂をしました。「安積の花かつみ(学名ヒメシャガ)」とは、この花のことです。この采女物語は今、郡山の夏の夜を彩どるうねめまつりとして受けつがれています。

『采女』とは・・・。
後宮で帝の食事の世話や裁縫などをする役割を担っていた女性。

猿沢の池に身を投じた采女は今の福島県郡山市から来たと伝えられており、現在、奈良市と福島県郡山市とは姉妹都市(昭和46年締結)となっています。

★奈良に住んでいながら、まだ一度も見たことがなかったので、今日の夕方、天気も良かったので車で猿沢の池近くまで行ってきました。

車は近くの駐車場に預けて徒歩5分足らずで猿沢の池に着きました。まだ陽も沈んでいない17時頃でしたが、もう既に池の周りには人が沢山集まっていました。
一番良い撮影スポットには年配の撮影隊が三脚を立てて陣取っています。池に管弦船を浮かべての祭りが始まるまで2時間待っていました。池の畔に着いた頃、人はまだそれほど集まっていなかったのですが、18時を過ぎるあたりから徐々に人が増え、17時から始まる祭りの頃には沢山の人が集まり賑わいました。毎年福島県郡山市長が奈良に来てこの行事に参加しています。猿沢の池での管弦船を浮かべる儀式の前に奈良市長と郡山市長の挨拶の後、池に浮かべられた二艘の船が厳かに雅楽の音とともにゆっくりと池の面を進み、祭りはクライマックスに達しました。

例年なら管弦船には女優さんが来て乗り込むそうですが、今年はミス・奈良が乗っていました。




同行者
一人旅
交通手段
自家用車 徒歩
  • 猿沢の池に浮かべられた船。これから飾り付けなどして夜の行事の準備に入ります

    猿沢の池に浮かべられた船。これから飾り付けなどして夜の行事の準備に入ります

  • 猿沢の池から見える興福寺五重塔

    猿沢の池から見える興福寺五重塔

  • 猿沢の池での行事が始まる前の池の畔。露店が沢山並んでいます。

    猿沢の池での行事が始まる前の池の畔。露店が沢山並んでいます。

  • 猿沢の池からは興福寺南円堂の屋根も見えます

    猿沢の池からは興福寺南円堂の屋根も見えます

  • 池には提灯が。まだ時間が早いので灯されていません

    池には提灯が。まだ時間が早いので灯されていません

  • 綺麗に着飾った小さいお稚児さんたちが居ます。

    綺麗に着飾った小さいお稚児さんたちが居ます。

  • 猿沢の池

    猿沢の池

  • JR奈良駅から市内を練り歩いてきたお稚児さんや花扇使たちが、神社での儀式を終え、池の畔にやってきました。

    JR奈良駅から市内を練り歩いてきたお稚児さんや花扇使たちが、神社での儀式を終え、池の畔にやってきました。

  • お稚児さん、花扇使たちが船に乗り込む前です。ここで暫く時間まで待機しています。

    お稚児さん、花扇使たちが船に乗り込む前です。ここで暫く時間まで待機しています。

  • お稚児さんの中には青い目の外人さんも何人かいます。

    お稚児さんの中には青い目の外人さんも何人かいます。

  • 船の準備が出来るまでここで暫く待機します

    船の準備が出来るまでここで暫く待機します

  • 19時からの出番を待つお稚児さんたち

    19時からの出番を待つお稚児さんたち

  • 陽も落ち始め、回りが少しずつ暗くなって、提灯にも火が灯されました。

    陽も落ち始め、回りが少しずつ暗くなって、提灯にも火が灯されました。

  • 向こうに興福寺・南円堂の屋根が見えます。陽も落ち始め辺りは暗くなって提灯の火が目立ち始めました。

    向こうに興福寺・南円堂の屋根が見えます。陽も落ち始め辺りは暗くなって提灯の火が目立ち始めました。

  • 場所が悪かったので手持ちで撮したらぶれてしまいましたが、雰囲気だけ読み取って下さい ^^;

    場所が悪かったので手持ちで撮したらぶれてしまいましたが、雰囲気だけ読み取って下さい ^^;

  • 手こぎ船がゆっくりと池の面を進んでいきます。

    手こぎ船がゆっくりと池の面を進んでいきます。

  • 船頭さんが一生懸命漕いでいます。

    船頭さんが一生懸命漕いでいます。

  • 船からスモークが炊かれて、より幻想的な雰囲気です。

    船からスモークが炊かれて、より幻想的な雰囲気です。

  • ミス・奈良が乗っています。でもどの人がそうなのか分かりませんでした。<br /> (^_^;)<br />みんな綺麗な人たちばかりです。(^o^)<br /><br />例年有名な女優さんがこの船に乗り込むそうですが、今年はミス奈良です。

    イチオシ

    ミス・奈良が乗っています。でもどの人がそうなのか分かりませんでした。
     (^_^;)
    みんな綺麗な人たちばかりです。(^o^)

    例年有名な女優さんがこの船に乗り込むそうですが、今年はミス奈良です。

  • 青い目の外人さんもいます。凛々しくて綺麗です。

    イチオシ

    青い目の外人さんもいます。凛々しくて綺麗です。

  • 池の面を船が滑っていきます。

    池の面を船が滑っていきます。

  • イチオシ

  • イチオシ

  • 場所を変えて手持ちで撮影しました。

    場所を変えて手持ちで撮影しました。

  • 池の畔には沢山の見物客が集まっています。

    池の畔には沢山の見物客が集まっています。

  • 船が池を一周したところで駐車場近くのお店で腹ごしらえをして次に唐招提寺へと向かいます。

    船が池を一周したところで駐車場近くのお店で腹ごしらえをして次に唐招提寺へと向かいます。

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この旅行記へのコメント (5)

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  • ジェニーさん 2011/10/08 07:57:03
    はじめまして!
    初めまして 大目付さん

    旅行記のうめね祭りを見せていただき感動しました。

    中秋の名月に猿沢池でうめね祭りがあったのですね。

    知りませんでした。実は9月の23,24に猿沢の池に行ってきたのです。

    こんなに素敵な幻想的な伝統行事があったなんて・・・・。

    昼間の静かな池しか見なかったので・・感動しました。

    素敵な旅行記を見せていただいてありがとうございました。

            ジェニー
  • はな♪さん 2011/09/13 22:57:36
    誇り
    大目付さま☆

    こんばんは♪

    こちらが仰っていたお祭りなんですね。

    雅楽の音色の中、厳かな雰囲気でもあり、且つ彩り豊かな花が添えられ
    見応えがありますね。

    水面に揺れる灯の雰囲気もいぃ感じですし…。

    この雰囲気、やはり歴史と文化がある奈良だからこそ、重みを感じますし、
    今尚、そして後世にも伝承していく誇りがあります。

    すてきな伝統行事、堪能させて頂きました。ありがとうございます。


    あっ、でもちょっと悲しい伝説でもありますね。
    ヒメシャガは好きな花ですが、二人の永遠の愛が形になったとおもうと
    感慨深いものですね。


    紅葉も目立つトコにアップしてくださったんですね。ありがとうございます。
    新緑のもみじもよいですが、やはり色付いた方が、色気もありますね♪


    では、はな♪

    大目付

    大目付さん からの返信 2011/09/13 23:10:41
    RE: 誇り
    > こちらが仰っていたお祭りなんですね。
    > 雅楽の音色の中、厳かな雰囲気でもあり、且つ彩り豊かな花が添えられ
    > 見応えがありますね。
    > 水面に揺れる灯の雰囲気もいぃ感じですし…。
    > この雰囲気、やはり歴史と文化がある奈良だからこそ、重みを感じますし、今尚、そして後世にも伝承していく誇りがあります。

    ☆奈良は京都よりも古い町ですから色々な伝統行事があります。船が厳かに池の上を滑るように行く様は優雅でした。お稚児さんの中に外人さんもいるとは知りませんでした。なかなか良かったですよ〜。奈良の伝統行事を見る外人さんも結構見かけました。


    > 紅葉も目立つトコにアップしてくださったんですね。ありがとうございます。
    > 新緑のもみじもよいですが、やはり色付いた方が、色気もありますね♪

    ☆楓はやはり紅葉していると綺麗ですよね〜。「サライ」は毎年秋になると京都の紅葉特集を組んでいますね。それを見て「東福寺」に行きドツボにはまりました(笑)


                                〜大目付〜
  • crossさん 2011/09/13 21:03:10
    采女祭...初めて知りましたよ♪
    大目付さん、こんばんは♪

    流石に奈良のお祭り...何かが違います。
    何かが...伝統的、神秘的、幻想的...先日見たど祭りとは大違いです。
    水面に浮かぶ龍をかたどった船がゆっくりと進んでゆく様子が何となく解ります♪
    采女さんたちもキレイな方たちですね〜♪
    王様も献上された采女には大喜び...解ります解ります♪
    献上された日には大宴会でもしたんでしょうね♪

    cross
  • ガブリエラさん 2011/09/13 20:58:55
    行きたかったです〜(涙)!
    大目付さん☆

    待ってました!
    私は、やはりけが人の母を置いて外出するには家事をするのが遅く、断念しました。
    行きたかったです!!

    夜の猿沢池、いいですね〜♪
    そして、あのカラフルな船、見たかったです。
    子供ちゃん達、緊張したでしょうね! 可愛いだろうなあ・・・・・。

    大目付師匠のアップを心まちにしてました♪
    素早いアップ、ありがとうございます☆

    ガブリエラ

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