2011/05/09 - 2011/05/09
294位(同エリア2168件中)
りょしゅうさん
- りょしゅうさんTOP
- 旅行記76冊
- クチコミ14件
- Q&A回答6件
- 297,637アクセス
- フォロワー40人
古代出雲海人族(こだいいずもあまぞく)の末裔かも知れない友人(漁協関係者)に聞くと、日本海を北東に流れる対馬海流は、能登半島方面へ向かう本流と、出雲のウップルイ(十六島)湾に流れ込む支流があるという。
古代海人族は、有史以前より星を眺め、風と地形と海流を利用し、環日本海を縦横に航海した。
古事記によると、今回訪れる韓竈神社に祀られる素戔嗚尊は海原を支配したというし、素戔嗚尊と、天照大神とのウケイ(誓約)により、日本の代表的な海の神である宗像三女神が生まれたともされている。
これらの記述はスサノオと海人族との関係が、これ以上はないほど親密だったと、物語っているのではないだろうか?
古代出雲首長が豊葦原中国(とよあしはらのなかつくに)の盟主になれたのは、古代海人族を抜きには語れない。
今回その足跡を尋ねた出雲市唐川町は、韓竈(からかま)神社の氏子たちが今もひっそりと住む、人口170人にも満たない小さな集落である。
「唐川」は「カラカワ」、「韓竈」は「カラカマ」そして「十六島」は「ウップルイ」と読む。いずれも朝鮮半島と関係のある名前で「古代海人族」の足跡を想像させる。
アクセス:山陰道宍道ICより県道184号線経由、車で約30分
(自家用車、レンタカーでないと無理)
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
PR
-
出雲市(旧平田市)の国道431から、標識に従い日本海に面する河下町方面に約6km。
トンネルを抜けウップルイ(十六島)湾までくると、このような案内板がある。
ここより、すぐ右手(東)は「出雲風土記の国引き神話」に記載される去豆の折絶(コズのオリタエ)にあたる。 -
左に折れ、2分も走ると唐川川。
ここら辺りは、もう、「出雲風土記」に 八束水臣津野命(やつかみずおみつぬのみこと)が新羅から引っ張ってきた「支豆支の御埼」(杵築崎)。
遠方に見える山々が、北門(きたど)の佐伎(さき)の国から引っ張ってきた「狭田(さだ)の国」。 -
唐川川から遠くに鰐淵(ワニブチ)小学校が見える。
鰐淵小学校の児童は毎年サケを放流していて、近年はサケが帰って来るそうだ。
※「鰐淵」何か意味ありそうな地名ですね。
(次号はこのことを詳しく・・・) -
旧石膏鉱山の従業員宿舎。
一棟四軒の長屋で、当時はこの場所だけでも、こんな建物が十棟は建っていたとか。今は二棟残すのみ。
何だか昭和初期を思い出させる、懐かしい建物です。
廃坑から40年以上も経ち、300人以上も児童がいた鰐淵小学校も、今ではたったの27人。 -
石膏鉱山跡地。
この場所に車を止め、写真を写していると、軽トラックで乗り付けたジイさん(失礼)が訝しそうに僕に近寄る。 -
「ここは何の跡地ですか?」と尋ねると、「案内ステアゲーケン(してあげるから)付いてコラッシャイ(来なさい)」そして嬉しそうに「ここはワス(自分)のトツ(土地)デステネ」と・・・。
そういえばここは雲州平田。出雲弁の中でも本家本元のフラタ(平田)弁まる出しです(笑)
トンネルの上にはサイロがあり、時化などで港に船が入れないとき、サイロに石膏を貯蔵しておき、積み出すときはこのトンネルにトラックを入れ、サイロから石膏を流し入れたそうだ。 -
山から掘り出した石膏を積み出すトロッコ鉄道の橋脚。
撤去作業中だとか。 -
「コラ(これは)鉱山の社長の墓デスケン」と、少し離れた所にある墓まで案内してくれた。
神式の墓だが地主さん、拍手ではなく仏式のように手を合わせるのみ(笑) -
その隣には自分ところの墓も・・・家は11代続いているそうです。
「モー、ヨシェバカ二サナエケマシェンワー(もう、寄墓にしないといけませんわ)」とおっしゃってました。
地主さんのお名前は荒木さん。地元の僕だから荒木さんの説明が分かります(笑)
因みに唐川町はほとんどが荒木という姓です。 -
親切な荒木さんにお別れしてから5分。
「韓竈神社」には、右へ向かう。 -
島根県出雲市唐川町字後野。
ここが「韓竈神社」の最寄のバス停。
しかし、間違ってもバスで行くなんて考えないこと。
時刻表を良く見てください!
バスは平日は2便。土・日・祝日は運行していません! -
車は案内板にしたがって右へ・・・。 -
ここでも右へ・・・800mと書いてあります。 -
普通はここで車を止める。 -
親切にもトイレマップが・・・
韓竈神社への道順も書いてある。
前出の荒木さんは、ここから先は「車が1台通れるかどうかの細い道で、たまには鹿が山から岩を落として通れないこともある。一人で岩を除けることが出来れば別ですがね」と言う意味のことを出雲弁でおっしゃってました。 -
それでも構わず進んで行くと広い駐車場に出ました。
ここが車で行ける最後の駐車場。
他にだれも車を止めていません。 -
「韓竈神社」入り口。
この神社、地元の人は親しみを込め「カンカマさん」と呼んでいます。
最近は、メディア等でも紹介され、パワースポットとして急激に注目を集めている。
紅葉の美しさで有名な鰐淵寺は、山を隔てた東側に位置している。 -
入り口の鳥居の袂には、かって参拝した人たちが残した杖が置いてありま。 -
狭い参道、急勾配の石階段。 -
参道というより登山道だ。(汗) -
ここら辺までくると息が上がってきます。(汗)
しかしこの苦労が喜びを倍加させるとか? -
最後の急勾配。(大汗!) -
これが噂に聞く、幅45cmほどの岩の割れ目。
「やっと着いた!」
これをくぐれば、絶対スサノオのパワーが頂けます(笑) -
「雲陽誌」(1717年)によると、社への入口は横一尺五寸ばかり、高さ八尺ほどの岩穴となっており、奥の方まで二間ばかりあり、これが社までの通路となっている」と記されている。
最後の通路(参道)は“産道”だった。(笑) -
「韓竈神社」(祭神:素戔嗚尊)
創立は不詳であるが 出雲国風土記(733年)にも記されている古社。 -
社名のカラカマは、朝鮮から渡来した「釜」を意味するとされている。即ちこれは、祭神の素蓋嗚命が新羅から我が国に渡られ、「植林方法」を伝えると共に、「鉄器文化」を伝えていることに関係があろう。
又当社より奥部の北山山系が古くからの産銅地帯で、前出の石膏鉱山も元は銅鉱山だった。このことも由来に関係があると思う。 -
「出雲風土記」は「八束水臣津野命」が三瓶山を杭にし、園の長浜を綱にしてここら辺(島根半島西部)を引っ張ってきたというが、朝鮮半島からはスサノオを始め幾多の人が、数世紀に渡り、繰り返し繰り返し渡来して来たのに違いない。
もしかするとスサノオは個人ではないのかも知れない。新羅から先進文化を持ち込んだスサノオ族とでもいうようなものか、或いは何代にもわたるその族長の尊称だったのかもしれない。 -
ここには僕の他に2人ほど・・・。
あの大震災後、福島県いわき市の避難所からこの出雲にいらっしゃった方と、案内をなさった地元の人です。
「出雲っていいところですね!心が落ち着きます」とおっしゃっていました。
被災にも負けない明るい笑顔が印象的でした。
「上から見下ろしてスミマセン。頑張ってくださいね!」(独り言) -
帰りは割れ目の上部の大きな穴から帰ることに。 -
穴は社の屋根より高いところにあります。 -
穴の向こう側は、足元が急に落ち込んでいて怖いくらいです。
元の割れ目のほうが良かったかな? -
左手の方に大きな石があり、硬貨が置いてある。
「三途の川の渡し賃?ばかな、ここは山で、川ではない!」(笑) -
高さ3mくらいの岩壁には、滑りやすいがつま先が乗っかるような足場はありました。
ただ、割れ目のほうが通り易いと思う。 -
神社から下って車を止めていた駐車場の脇には、スサノオノミコトがこの地に航海をしてきた「岩船」がある。
そして、この岩の続きにある大きな丸い岩を帆柱岩として、この地に降臨したとの伝承があり、人々がこの巨大なそれぞれの岩に神が宿り、神が船として乗り廻わされたと信じたのもうなずけるものがある。
ここに、「古代海人族」の足跡を感じないではいられない。 -
「唐川」の里」
その地名にも渡来人の姿が見え隠れする。
韓竈神社を下りてから、車なら3分もかからない。
2009年度。しまね景観大賞に輝く!! -
唐川行き路線バスの最終停留所である車庫。
この車庫に入るくらいのマイクロバスが通っている。
平日は3便。こちらも土・日・祝日は運行していない。
何故か今日は軽トラックが占領・・・(笑) -
山陰特有の赤瓦の家は、緑鮮やかな山村の風景と相まって、のどかな時間を演出してくれる。 -
唐川茶は風土が作った逸品。
唐川で栽培されるお茶の起源は、古くは近くの鰐淵寺から伝わったとされている。 -
霧が多く発生し、お茶の栽培には最適な場所。 -
集落には約20ヘクタールの茶畑があり、年間約50トンを生産。 -
島根の茶は「煎が効く」といわれ、二番・三番煎じでも美味しい。
深い甘みの中でほのかに感じる苦み、さらにのどごしのまろやかさが旨みをひきたてている。
一度ご賞味あれ!! -
今年は気温が低く茶摘は遅れているが、あと1週間もすると各家々がいっせいに摘み始めるという。
ひっそりと“スサノオ”を祀る「唐川」
まさに「神様の隠れ里」と言っても言い過ぎでないような・・おんぼらーとした景観だった。
※「おんぼらー(のんびり、穏やか)」は出雲特有の方言だと思っていたが、古代出雲と関係が深い古志(越)の能登半島の方言でもあるようだ。このことからも古代出雲海人族の交流範囲が窺える。
古代“出雲海人族”の足跡?⇔弁慶伝説の「鰐淵寺」と黄泉の穴「猪目洞窟」へ続く
http://4travel.jp/traveler/ryosyuu/album/10569130/
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (4)
-
- 前日光さん 2011/08/16 21:01:57
- 行ってきました、韓竈神社!
- こんばんは。
旅行記になるまでには、随分と時間がかかると思いますので、鰐淵寺と韓竈神社の感想など。
ここに行ったのは、帰る日(8月9日)の午前中でした。
2時までには米子空港に行かねばならないという時間的拘束も在り、韓竈神社は諦めかけていました。
ただ駐車場の場所は確認しておきたいと思い、後野のバス停まで行きました。11時43分でした。ここまで来たなら行ってしまえと鳥居前に到着したのが48分、その後、あの急な石段を登り、ついに産道(笑)=参道を潜りお参りを果たすことができたというわけです。
一人では、ちょっと行けないところだなというのが、正直なところです。
猪目洞窟や黄泉比良坂で感じたものと同じ空気を感じました。
それと同時に、りょしゅうさんもおっしゃられているように、朝鮮半島との繋がりといったものもあったに違いないと思いました。
八岐大蛇の正体は何だろうか?という私のライフワークの答えの一つとして、渡来人説、たたら(鉄)説、斐伊川氾濫説。。。などなど、ますます興味が湧いてしまいました。
出雲(石見も)は、本当におもしろいところですね!
四季折々の島根を訪問したいと、今回またしても強く思いました。
前日光
- りょしゅうさん からの返信 2011/08/17 16:47:25
- RE: 行ってきました、韓竈神社!
- 無事“産道”通過おめでとうございます!!
それにしても約2時間で「カンカマさん」に参拝し米子空港へとは、スサノオも顔負けの迅速な行動ですね。
写真を撮る時間もなかったのでは・・・?
八岐大蛇のことですが、出雲風土記には記述されていないというのが通説ですが、実は風土記には所造天下大神(あめのしたつくらししおおかみ=大国主)が意宇郡母里郷で越八口(やまたのおろち)を退治したようなことが記述されています。
要するにオオクニヌシが意宇郡母里郷(今の安来市付近)で越(高志=現在の北陸地方)の勢力を平定したとされています。
記・紀ではスサノオで風土記ではオオクニヌシ。出雲神話の奥深さは、もう蟻地獄のようなものですね?(笑)
りょしゅう
-
- 前日光さん 2011/05/25 23:09:25
- 唐竃神社!
- りょしゅうさん、こんばんは。
お久しぶりです。ご無沙汰しておりまして。
震災以来、なんとなく元気が出ませんでしたが、私の憧れの「唐竃神社」のブログを拝見しまして、うれしくなってきました。
この夏も3月のリベンジをするべく、出雲に行きたいと思っています。
その節には、ぜひ訪れたいと思っていたのが唐竃神社です。
けっこう坂道がきつそうですね。
三佛寺投入堂よりは、坂道は短いのですか?
茶畑の美しい緑にも癒されますね。
また暑い夏の日の山陰になりますが、いろいろとアドバイスいただけましたら幸いです。
また、質問いたしますので、その時にはよろしくお願いいたします。
前日光
- りょしゅうさん からの返信 2011/05/26 14:52:01
- RE: 唐竃神社!
- 前日光さん、こんにちは! あの大震災から77日。
人の噂も・・と言いますが・・、東日本大震災は、人類が決して忘れてはいけない出来事でしょうね?
その「忘れてはいけないもの」。それらを何世紀にも渡り語り継いで来たものが、伝承であり神話ではないでしょうか?
今回のブログの舞台となった「唐川」と「唐竃神社」は、つい先だってまで、出雲の人々でもあまり知らない名前でした。
出雲市といっても、かの集落とその周りの人々にだけに知られ、ひっそりと守られてきた所で、どうしても“かくれ里”というタイトルを付けないではいられませんでした。
そして「唐川」「唐竃」という名前こそ、古代出雲人が、そのルーツを末代まで記憶に留めるための知恵だったのかもしれません。
そんな出雲に、この夏またおいでになるとのこと、大変うれしく思います。
唐竃神社までの道のりですが、ブログに載せていますように、正規の駐車場からは大分歩くようになりますので、鳥居付近の最後の駐車場に停めるのが一番良いと思います。ただ対向車が多いときはすれ違いに難儀をします。
ここからなら、三徳山三佛寺の投入堂へ行くよりも距離はだいぶ近いはずです。(登りは急)
ブログ写真の800mというのは多分ここからの距離だと思いますが、山登りの領分に入るため、時間は人それぞれまちまちでしょう。
普通の人ならまず大丈夫。普通でない僕でも「何だこんなものか・・・噂ほどでもない!」と思ったほどです。
また、次号アップ予定の「・・海人族の足跡?・・・」の舞台になる「鰐淵寺」には、浮浪の滝という修験場があり、(なだらかな山道徒歩8分)
そこには三徳山の投入堂のようなお堂が建てられていて、これは見物です。 どちらも、日差しは木立の中を歩くから心配はいりませんが、夏という時期、暑さが1番の大敵です。
「唐川の茶畑」は「唐竃神社」と「鰐淵寺」の中間に位置します。(フルコースで4〜6時間)
時間が許せば、マイナーなところですが旧平田の町を散策するのもいいと思いますよ。また、夏の晴れた日必見なのは“北半球一”の美しさと地元の人が言っている日御碕海岸の夕陽でしょう。
地元情報など、お知りになりたいことがあればいつでもどうぞ!!
りょしゅう
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
出雲市(島根) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
4
42