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境界の町ハートレックと、向こう岸のココン<br /><br />── 誰も急がない国境にて<br /><br />バンコクを出たのはまだ空が白んで間もない時間だった。高速道路を南東へ、ひたすら走る。<br /><br />途中、コンビニで買ったタイティーを飲み干すころには、景色はどんどんローカルになり、舗装の粗い道をカタカタと車が進む。7時間近くかけてたどり着いたのは、タイ最南東の国境の町「ハートレック」。<br /><br />最後の10キロは、まさに山あり谷あり。<br /><br />スピードを出せば体が「ふわっ」と浮くような急なアップダウンが連続していて、助手席に座る私はつい笑ってしまった。まるで自然のジェットコースターだ。<br /><br />国境の町は、まるで待ち合わせの場所のように<br /><br />ハートレックは静かな国境の町だ。<br /><br />“町”というには少し控えめすぎるかもしれない。<br /><br />郵便局とイミグレーションの建物、そして数軒のレストランとコンビニ。<br /><br />土産物店がぽつぽつ並び、サングラス、時計、懐中電灯、なぜかラブリーなぬいぐるみなどが雑多に並んでいる。<br /><br />誰が買うのだろう……と思いきや、どうやらカンボジア側から来た人々が、ここで生活用品を買って戻っていくらしい。<br /><br /><br />タイの方が物資も豊富で安価なため、国境を越えて買い物するのが日常になっているのだとか。<br /><br />国境のゲートの向こうは、カンボジアの「ココン(Koh Kong)」という町。<br /><br />大きな橋があり、そこを越えるとすぐに広がるのはジャングルのような濃い緑と、少し雑然とした風景。<br /><br />以前、知人がカンボジア側に入った際の話によると、ココンの街は近年少しずつ発展してきており、小さなリゾートやマーケット、カジノなどもあるという。中国資本の開発も進みつつあり、タイとはまた違った“静かな喧騒”が広がっているらしい。<br /><br />言葉が通じない、でも通じる旅<br /><br />町を歩いていて気づいたのは、聞きなれたタイ語とは異なる言葉が飛び交っていることだった。<br /><br />売店の奥から聞こえる店主同士の会話が、全く理解できない。クメール語だろうか、それともこの辺り特有の方言か。とにかく、音のリズムがまるで違うのだ。<br /><br />それでも笑顔は通じる。<br /><br />「サワディーカー」と挨拶すると、にっこり返してくれる。言葉が違っても、旅先ではそれだけで十分だったりする。<br /><br />小さな港町の昼食<br /><br />ちょうどお腹がすいた頃、小さなレストランを見つけた。<br /><br />メニューは壁に手書き。読めるような、読めないような。厨房からは、ナンプラーの香りと炭火の匂いが漂ってきて、もう「ここにしよう」と決めた。<br /><br />頼んだのは、地元風のカオパット(タイ風チャーハン)と、魚のスープ。<br /><br />見た目は地味だったが、塩気と酸味のバランスが絶妙で、驚くほど美味しかった。魚はこの辺りの港で獲れたものなのだろう。骨まで柔らかく、スープに溶け込んでいた。<br /><br />冷えたココナッツジュースを飲みながら、店の奥にいたおばちゃんと目が合い、なぜか「おいしかった」とだけタイ語で伝えると、親指を立てて笑ってくれた。ああ、旅ってこういう瞬間だなと思う。<br /><br />境界の海を見に行く<br /><br />国境ゲートのすぐ横の道を下ると、坂の先に海が広がっている。<br /><br />…とはいえ、想像していたような青く澄んだ海ではなかった。港の機能があるのか、濁った海水と簡素な桟橋。でも、そこにぽつんと立ってみると、右手がタイ、左手がカンボジア。海の真ん中にも国境があるんだな、と妙に納得してしまう。<br /><br />風は柔らかく、波音だけが耳に残った。<br /><br />何もない町。でも心に残る<br /><br />ハートレックは、観光地ではない。特別な名所もなければ、派手な演出もない。<br /><br />けれど、国境という見えない線のこちら側と向こう側を、風景や言葉や人々のやりとりの中で感じられる、そんな稀有な場所だった。<br /><br />ココンを目指す旅人も、ここで一度立ち止まって、坂道を下りて海を眺めてみてほしい。<br /><br />「国境って、こういうものなのかもしれない」と、ふと心に残る気づきがあるかもしれない。<br /><br />タイ 最南東の街 ハートレック 近くの港 編<br />http://4travel.jp/traveler/chinchikurin/album/10553744

タイ 最南東の町 ハートレック Hat Lek に行ってきました。

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2011/03/09 - 2011/03/09

363位(同エリア894件中)

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ちんちくりん

ちんちくりんさん

境界の町ハートレックと、向こう岸のココン

── 誰も急がない国境にて

バンコクを出たのはまだ空が白んで間もない時間だった。高速道路を南東へ、ひたすら走る。

途中、コンビニで買ったタイティーを飲み干すころには、景色はどんどんローカルになり、舗装の粗い道をカタカタと車が進む。7時間近くかけてたどり着いたのは、タイ最南東の国境の町「ハートレック」。

最後の10キロは、まさに山あり谷あり。

スピードを出せば体が「ふわっ」と浮くような急なアップダウンが連続していて、助手席に座る私はつい笑ってしまった。まるで自然のジェットコースターだ。

国境の町は、まるで待ち合わせの場所のように

ハートレックは静かな国境の町だ。

“町”というには少し控えめすぎるかもしれない。

郵便局とイミグレーションの建物、そして数軒のレストランとコンビニ。

土産物店がぽつぽつ並び、サングラス、時計、懐中電灯、なぜかラブリーなぬいぐるみなどが雑多に並んでいる。

誰が買うのだろう……と思いきや、どうやらカンボジア側から来た人々が、ここで生活用品を買って戻っていくらしい。


タイの方が物資も豊富で安価なため、国境を越えて買い物するのが日常になっているのだとか。

国境のゲートの向こうは、カンボジアの「ココン(Koh Kong)」という町。

大きな橋があり、そこを越えるとすぐに広がるのはジャングルのような濃い緑と、少し雑然とした風景。

以前、知人がカンボジア側に入った際の話によると、ココンの街は近年少しずつ発展してきており、小さなリゾートやマーケット、カジノなどもあるという。中国資本の開発も進みつつあり、タイとはまた違った“静かな喧騒”が広がっているらしい。

言葉が通じない、でも通じる旅

町を歩いていて気づいたのは、聞きなれたタイ語とは異なる言葉が飛び交っていることだった。

売店の奥から聞こえる店主同士の会話が、全く理解できない。クメール語だろうか、それともこの辺り特有の方言か。とにかく、音のリズムがまるで違うのだ。

それでも笑顔は通じる。

「サワディーカー」と挨拶すると、にっこり返してくれる。言葉が違っても、旅先ではそれだけで十分だったりする。

小さな港町の昼食

ちょうどお腹がすいた頃、小さなレストランを見つけた。

メニューは壁に手書き。読めるような、読めないような。厨房からは、ナンプラーの香りと炭火の匂いが漂ってきて、もう「ここにしよう」と決めた。

頼んだのは、地元風のカオパット(タイ風チャーハン)と、魚のスープ。

見た目は地味だったが、塩気と酸味のバランスが絶妙で、驚くほど美味しかった。魚はこの辺りの港で獲れたものなのだろう。骨まで柔らかく、スープに溶け込んでいた。

冷えたココナッツジュースを飲みながら、店の奥にいたおばちゃんと目が合い、なぜか「おいしかった」とだけタイ語で伝えると、親指を立てて笑ってくれた。ああ、旅ってこういう瞬間だなと思う。

境界の海を見に行く

国境ゲートのすぐ横の道を下ると、坂の先に海が広がっている。

…とはいえ、想像していたような青く澄んだ海ではなかった。港の機能があるのか、濁った海水と簡素な桟橋。でも、そこにぽつんと立ってみると、右手がタイ、左手がカンボジア。海の真ん中にも国境があるんだな、と妙に納得してしまう。

風は柔らかく、波音だけが耳に残った。

何もない町。でも心に残る

ハートレックは、観光地ではない。特別な名所もなければ、派手な演出もない。

けれど、国境という見えない線のこちら側と向こう側を、風景や言葉や人々のやりとりの中で感じられる、そんな稀有な場所だった。

ココンを目指す旅人も、ここで一度立ち止まって、坂道を下りて海を眺めてみてほしい。

「国境って、こういうものなのかもしれない」と、ふと心に残る気づきがあるかもしれない。

タイ 最南東の街 ハートレック 近くの港 編
http://4travel.jp/traveler/chinchikurin/album/10553744

  • どこいくの?<br /><br />ずっと外を見ているわんこ

    どこいくの?

    ずっと外を見ているわんこ

  • タイ側のイミグレーション<br /><br />僅かになにかの客引きっぽい人間がいる

    タイ側のイミグレーション

    僅かになにかの客引きっぽい人間がいる

  • 向こう側がカンボジア

    向こう側がカンボジア

  • ちいさなお土産屋さん<br /><br />実用的商品が多かった

    ちいさなお土産屋さん

    実用的商品が多かった

  • ぬいぐるみは誰に買われているんだろうか。。。

    ぬいぐるみは誰に買われているんだろうか。。。

  • サングラス、ラジオ、懐中電灯、時計などが多い

    サングラス、ラジオ、懐中電灯、時計などが多い

  • 海へ続く坂の途中に祭られている仏様

    海へ続く坂の途中に祭られている仏様

  • 住人の生活レベルはかなり田舎レベル

    住人の生活レベルはかなり田舎レベル

  • こちらがタイ側の海

    こちらがタイ側の海

  • 端っこにきたらもっときれいな海が広がっているのかと思っていたが雨季の近いこの時期は既に海水は相当濁っていた

    端っこにきたらもっときれいな海が広がっているのかと思っていたが雨季の近いこの時期は既に海水は相当濁っていた

  • タイ・カンボジア両国の国旗が見える

    タイ・カンボジア両国の国旗が見える

  • こちらがカンボジア側の海

    こちらがカンボジア側の海

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この旅行記へのコメント (2)

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  • やらまいかさん 2011/03/15 16:59:54
    ハートレック今昔
    こんにちは。

    S95を先月購入したのですが、
    それ以前から画質チェックを兼ねて
    タイの写真を拝見していました。

    丁度10数年前に撮ったハートレックの写真が
    有りましたので見比べて見ました。
    http://pics.livedoor.com/u/khraywho/photos
    「ここはテンポラリーで置いているだけなので
     気分次第で削除予定です。(^^ゞ」

    イミグレ周辺は様相が変わりましたが
    船着場周辺は余り変化が無い感じですね。

    ちんちくりん

    ちんちくりんさん からの返信 2011/03/19 05:38:14
    RE: ハートレック今昔
    > こんにちは。
    >
    > S95を先月購入したのですが、
    > それ以前から画質チェックを兼ねて
    > タイの写真を拝見していました。

    yaramaikaさま

    こんばんは〜。
    いつもご訪問ありがとうございます。
    お返事遅くなりまして申し訳ございません。
    S95にまじってたまにGF-1の写真もありますのでご留意ください(笑)

    > 丁度10数年前に撮ったハートレックの写真が
    > 有りましたので見比べて見ました。
    > http://pics.livedoor.com/u/khraywho/photos
    > 「ここはテンポラリーで置いているだけなので
    >  気分次第で削除予定です。(^^ゞ」
    >
    > イミグレ周辺は様相が変わりましたが
    > 船着場周辺は余り変化が無い感じですね。

    船着き場だったんですね。
    私が行ったときには船は見当たりませんでした。

    過去と現在とを見比べるのも楽しいですね。
    これからもよろしくお願いします。

    ちんちくりん

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