アジアハイウェイの源流を訪ねて（２７)阮朝の遺跡「テイエンムー寺」。

2010/12/24 - 2011/01/08

ボートから眺めた七重の塔は、阮朝時代に作られた仏教寺院だった。ここは遺跡ではなく現在も走路が住持し、宗教活動を行っている。しかしボートから見た時は如何にも古めかしい遺跡で、廃寺かとも思えた。

ベトナムの歴史については殆ど知らず、嘗てこの地が安南と呼ばれ、国名が大越、中世の頃はメコンデルタにチャンパなどと言う国が出来て、メコンを遡ってカンボジアまで侵攻し、シェムリアップを陥落させた、或いは戦前の交趾シナ、程度の知識しかない。

この阮朝はベトナム最後の王朝で、フランス統治下まで生き延び、仏印に進駐した日本軍とも協力関係にあったかと思う。江戸時代の初め頃にできた王朝で、細長いベトナムの調度真ん中辺りに位置し、交通の要衝でもあった。ベトナム戦争時、このフエの攻防戦が最大の山で、米軍はここを落とされてから、雪崩のようにサイゴンまで侵攻されたと記憶している。

そんな忌まわしい戦争の歴史をよそに、このお寺「テイエンムー寺」には多くの観光客が参詣に来ていて、それ程広くはない境内を散策している。ここベトナム仏教は大乗で、即ち、インドシナ或いはマレーから来た小乗ではなく、中国からもたらされたもので、寺院の各所には麗々しく漢字の聯が架かっていて、おやまあ、布袋様までいる。えーと何と言ったか弥勒様ですね。

エリア フエ(ベトナム)

• 旅行の満足度: 4.0

中国の仏教寺院で良く見られるような七重の塔がこの寺にもある。

ベトナムは従来から大乗。先刻のカンフー同様、中国の影響が色濃く残っている。

この寺の名前は「テイエンムー寺」。額が架かっていて山号は「霊鷲高峰」と呼ばれるらしい。

立派な偏額ではあるが、今のベトナム人には読めないし、理解できない。

おやおやまあ、笑い弥勒、布袋様まで安座している！

境内に参詣する人々。

中の安置物が殆ど新しいのはベトナム戦争時、破壊されたのかも知れない。

観光名所だけあって、外国人観光客も大勢来ている。

昔の奈良のさっぱりした境内を見ているような感じだ。

境内から見た七重の塔。