2010/02/13 - 2011/03/02
62位(同エリア196件中)
シンバさん
13才の少年は親元を飛び出し、その町を出た。
Leap before you look!!
Look before you leap!!
ちょっとは悩んだけど、
これ以上、田舎に暮らすのは嫌だったし、自分で生きていく自信があった。
何もできない癖して。
――それは反抗期の始まりだったのかも知れない。
あれから、30年以上の月日が流れた。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 自家用車
-
少年は、おっさんになった。
いつからか、坂のてっぺんから見える、奥美濃の山々を美しいと思うようになっていた。
その坂を越え、ちょっと車を走らせれば彼の実家だ。 -
親と顔を合わすのは面倒だが、
野菜の収穫は楽しい。
何より、タダってとこがいい。 -
用だけ済ませてさっさと帰ろうとしていると、
最近息子が鳥撮りに興味を持ち出したことを知った母が、
「赤い橋のたもとの桜の木・・・ヤドリギがついてて・・・この時期、その実を食べに・・・珍しい鳥が来るんだよ。」
と話しかけてきた。 -
息子は、「ふ〜ん。」とさほど興味がない振りをする。
そして、その帰り道、赤い橋のたもとへ向かった。
他所から遊びに来るような場所ではないのかも知れないが、
その橋のたもとでは魚がよく釣れるし、春には桜が咲いて、夏にはしょぼいけど花火大会が行われる。
結構、素敵な場所であることは知っていた。 -
「ほんとだ。」
桜を宿主として、たくさんの“ヤドリギ”が寄生していた。 -
ただ、珍しいという鳥は見当たらなかった。
自宅に帰り、珍しい鳥の正体を調べた。
レンジャク科の鳥“ヒレンジャク”と“キレンジャク”が、ヤドリギの実を好物としているようだ。 -
以降、彼は例の坂を越える機会が増えた。
“ヤドリギ”に集まる“レンジャク”の写真を撮りたくて。
そして、ついでに実家に立ち寄った。 -
しかし、その年“レンジャク”を捕えることはできなかった。
成果は、“スズメ”と、 -
河原の“ヒバリ”だけ。
-
その年、どういう訳か、珍しい鳥が来なかった。
と、彼は親から教えてもらった。
珍しい鳥は“レンジャク”って言う鳥だよ。
と、彼は親に教えてやった。 -
そしてまた、坂を挟んだ、以前の関係に戻った。
旬の物が手に入れば、親は坂を越え、それを運ぶ。
野菜の価格が上がれば、息子は坂を越え、収穫に行く。 -
そして、次の2月が来た。
また、その坂を、越える機会が増えた。 -
撮れなくてもいいかな。
何となく、彼は、そう思うようになっていた。 -
いつまでたっても、一人前になれない“ヤドリギ”
-
いつまでも、“桜の木”を越えることはできないけど、
-
いつの日か、いっぱい実を付けて、
“レンジャク”にその実を与えている姿を見てみたいなぁ。 -
2011年3月2日。
今年のシーズンもこれで終わりにしようと考えていた。 -
今年もダメだったな。
-
-
“ヤドリギ”に先越されたようだ。 -
-
負けないように、
両親に“ありがとう”って言わなくちゃぁ。
と、彼は思った。
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この旅行記へのコメント (10)
-
- zzr-cさん 2011/03/09 18:59:04
- うさぎ追いしかの山
- シンバさま こんばんわ!
何だか、昔小学校の音楽の時間に習った曲が頭をぐるぐる回りました。
小説のような感じで読み応えがありました。
最後には何故かほっとしてしまいましたよ!
ヒレンジャクが撮影できて^_^
じぃ〜
- シンバさん からの返信 2011/03/16 01:50:23
- RE: うさぎ追いしかの山
- じぃ〜さん、こんばんは。
丁度、頂いた書き込みに返信しようとしてた時に、今般の大地震が発生しました。
自宅は全く揺れなかったのですが、TVでそのすさまじい被害の実態を知り、ちょっと気分が滅入っていました。
日本って凄いですね!!
色々と問題は山積みですが、間違いなく復興できると信じています。
――三陸海岸に長閑な毎日が帰ってきますように♪
――ふるさとのヤドリギに来年もヒレンジャクが飛来しますように♪
シンバ
-
- sate8さん 2011/03/04 22:51:33
- シンバさんたら、詩人。
- シンバさん、こんばんは。
前々からなんとなく、思っていたのですが、
シンバさんは、やっぱり詩人ですね。
この旅行記を拝見していたら、
井上陽水さんの「少年時代」が頭の中で流れ始め、
長野まゆみさんの小説『夜啼く鳥は夢を見た』を髣髴とさせられました。
- シンバさん からの返信 2011/03/07 18:48:55
- RE: シンバさんたら、詩人。
- と、とんでもーーー!!
sate8さん、こんばんは。
ただ、いつの日か、三十数年の思いを言葉にしたいなぁ〜と思いつつ(旅行記としてはアウトだろうけど)、赤い橋に通っていました。
そして、レンジャクが撮れなくても、言葉にしよう!!
と思った、その日(3月2日)、レンジャクがいたんですよ〜
って、レンジャクに出会えなかった方が、詩的だった気が・・・
シンバ
-
- antoni_gaudiさん 2011/03/04 22:41:05
- 親子
- >親と顔を合わすのは面倒だが
そうなんですよね。父と息子の関係って
私の父は他界しましたが
以前、私の父が病気になり、1年くらいですが父の600坪くらいの
畑を管理した事があります。収穫だけで精一杯でした。日曜日は
知人・友達にも手伝いをしてもらい、収穫した野菜は私の知って
いる弁当屋さん・料理屋さんに使って貰う為、自分の車に野菜を
満載にして運んだ経験があります。
周りからの暖かい励ましに、帰りの車の中で泣いた事も・・・・。
って、今となっては懐かしい思い出ですが・・・
(スンマセンこんな事書いちゃって)
いつかきっと、また'土いじり'をします。
シンバさんもいつかは'土いじり'をするのでは。
鮎、美味しそうですね〜♪
それと、念願のレンジャク見れて良かったですね。(^^)
(私も見てみたいです。)
それでは〜(*゚▽゚)ノ antoni_gaudi
- シンバさん からの返信 2011/03/07 18:33:04
- RE: 親子
- 私は家を出て、祖父母と一緒に暮らしていました。
就職は東京か大阪で♪
と思っていたのですが、“祖父母の最期を見届けなくては”との理由から地元に就職しました。
600坪もの畑を守るって、間違いなく大変なことだと思います。
幸いにも、田畑は私の代まで辿り着きませんでした♪
数年前に祖母が逝き、地元で暮らす理由がなくなったのですが・・・
夏に苔臭い鮎が必需品になって来たし、レンジャクが見たいですからねっ♪
シンバ
-
- くまのみホヌ子さん 2011/03/03 22:16:55
- ん、深い
- シンバさん、こんにちは
心に残るいい旅行記です。
もしかしたら、誰もが心当たりのある親との距離感かもしれません。
うまく表現できませんが、
そっと言えた「ありがとう」という言葉に
成長して大人になった彼を感じました。
深いですねーー。
やっぱりシンバさんは素敵です。
のみホ
- シンバさん からの返信 2011/03/07 18:15:14
- RE: ん、深い
- ちょっと早かったかなぁ(?)って思う巣立ち。
だから返って、いつまでも自立できないような気がします。
そもそも、子供過ぎて、背伸びをした気もします。
間違いなく、のみホさんの方がずーっと大人で。
ただ、いつまでも自立できない自分も認めよようかなぁ〜
って、最近、思ってるところなんですヨ♪
シンバ
-
- 天星さん 2011/03/03 12:43:59
- 30年〜
- 反抗期の少年さんへ
あれから30年という月日
おっさんになられましたね
時がたてば、たつほど
ふるさとっていいものですね〜
そのふるさとで育った野菜は
また格別ですよ。
何年か先、奥美濃の畑で
野菜づくりしているあなたがいれば....
そのおっさんに会ってみたいな!
現役農園主
天☆
- シンバさん からの返信 2011/03/07 18:04:36
- RE: 30年〜
- ホントは反抗期の少年だって言うのに、
こうしてネクタイをきりっと締めて、
まじめなリーマンを演じるのって大変なんですよね〜
だから、たまには農作業♪
そうそう、金魚の飼育も♪
めっちゃストレスが発散できますよね〜
シンバ
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