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13才の少年は親元を飛び出し、その町を出た。<br /><br />Leap before you look!!<br /><br />Look before you leap!!<br /><br />ちょっとは悩んだけど、<br /><br />これ以上、田舎に暮らすのは嫌だったし、自分で生きていく自信があった。<br /><br />何もできない癖して。<br /><br /><br />――それは反抗期の始まりだったのかも知れない。<br /><br /><br /><br /><br />あれから、30年以上の月日が流れた。<br /><br />

ヤドリギ

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2010/02/13 - 2011/03/02

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シンバ

シンバさん

13才の少年は親元を飛び出し、その町を出た。

Leap before you look!!

Look before you leap!!

ちょっとは悩んだけど、

これ以上、田舎に暮らすのは嫌だったし、自分で生きていく自信があった。

何もできない癖して。


――それは反抗期の始まりだったのかも知れない。




あれから、30年以上の月日が流れた。

同行者
一人旅
一人あたり費用
1万円未満
交通手段
自家用車
  • 少年は、おっさんになった。<br /><br />いつからか、坂のてっぺんから見える、奥美濃の山々を美しいと思うようになっていた。<br /><br />その坂を越え、ちょっと車を走らせれば彼の実家だ。

    少年は、おっさんになった。

    いつからか、坂のてっぺんから見える、奥美濃の山々を美しいと思うようになっていた。

    その坂を越え、ちょっと車を走らせれば彼の実家だ。

  • 親と顔を合わすのは面倒だが、<br /><br />野菜の収穫は楽しい。<br /><br />何より、タダってとこがいい。<br />

    親と顔を合わすのは面倒だが、

    野菜の収穫は楽しい。

    何より、タダってとこがいい。

  • 用だけ済ませてさっさと帰ろうとしていると、<br /><br />最近息子が鳥撮りに興味を持ち出したことを知った母が、<br /><br />「赤い橋のたもとの桜の木・・・ヤドリギがついてて・・・この時期、その実を食べに・・・珍しい鳥が来るんだよ。」<br /><br />と話しかけてきた。

    用だけ済ませてさっさと帰ろうとしていると、

    最近息子が鳥撮りに興味を持ち出したことを知った母が、

    「赤い橋のたもとの桜の木・・・ヤドリギがついてて・・・この時期、その実を食べに・・・珍しい鳥が来るんだよ。」

    と話しかけてきた。

  • 息子は、「ふ〜ん。」とさほど興味がない振りをする。<br /><br />そして、その帰り道、赤い橋のたもとへ向かった。<br /><br />他所から遊びに来るような場所ではないのかも知れないが、<br /><br />その橋のたもとでは魚がよく釣れるし、春には桜が咲いて、夏にはしょぼいけど花火大会が行われる。<br /><br />結構、素敵な場所であることは知っていた。

    息子は、「ふ〜ん。」とさほど興味がない振りをする。

    そして、その帰り道、赤い橋のたもとへ向かった。

    他所から遊びに来るような場所ではないのかも知れないが、

    その橋のたもとでは魚がよく釣れるし、春には桜が咲いて、夏にはしょぼいけど花火大会が行われる。

    結構、素敵な場所であることは知っていた。

  • 「ほんとだ。」<br /><br />桜を宿主として、たくさんの“ヤドリギ”が寄生していた。

    「ほんとだ。」

    桜を宿主として、たくさんの“ヤドリギ”が寄生していた。

  • ただ、珍しいという鳥は見当たらなかった。<br /><br />自宅に帰り、珍しい鳥の正体を調べた。<br /><br />レンジャク科の鳥“ヒレンジャク”と“キレンジャク”が、ヤドリギの実を好物としているようだ。

    ただ、珍しいという鳥は見当たらなかった。

    自宅に帰り、珍しい鳥の正体を調べた。

    レンジャク科の鳥“ヒレンジャク”と“キレンジャク”が、ヤドリギの実を好物としているようだ。

  • 以降、彼は例の坂を越える機会が増えた。<br /><br />“ヤドリギ”に集まる“レンジャク”の写真を撮りたくて。<br /><br />そして、ついでに実家に立ち寄った。

    以降、彼は例の坂を越える機会が増えた。

    “ヤドリギ”に集まる“レンジャク”の写真を撮りたくて。

    そして、ついでに実家に立ち寄った。

  • しかし、その年“レンジャク”を捕えることはできなかった。<br /><br />成果は、“スズメ”と、

    しかし、その年“レンジャク”を捕えることはできなかった。

    成果は、“スズメ”と、

  • 河原の“ヒバリ”だけ。

    河原の“ヒバリ”だけ。

  • その年、どういう訳か、珍しい鳥が来なかった。<br /><br />と、彼は親から教えてもらった。<br /><br />珍しい鳥は“レンジャク”って言う鳥だよ。<br /><br />と、彼は親に教えてやった。

    その年、どういう訳か、珍しい鳥が来なかった。

    と、彼は親から教えてもらった。

    珍しい鳥は“レンジャク”って言う鳥だよ。

    と、彼は親に教えてやった。

  • そしてまた、坂を挟んだ、以前の関係に戻った。<br /><br />旬の物が手に入れば、親は坂を越え、それを運ぶ。<br /><br />野菜の価格が上がれば、息子は坂を越え、収穫に行く。

    そしてまた、坂を挟んだ、以前の関係に戻った。

    旬の物が手に入れば、親は坂を越え、それを運ぶ。

    野菜の価格が上がれば、息子は坂を越え、収穫に行く。

  • <br /><br />そして、次の2月が来た。<br /><br />また、その坂を、越える機会が増えた。<br />



    そして、次の2月が来た。

    また、その坂を、越える機会が増えた。

  • 撮れなくてもいいかな。<br /><br />何となく、彼は、そう思うようになっていた。

    撮れなくてもいいかな。

    何となく、彼は、そう思うようになっていた。

  • いつまでたっても、一人前になれない“ヤドリギ”

    いつまでたっても、一人前になれない“ヤドリギ”

  • いつまでも、“桜の木”を越えることはできないけど、

    いつまでも、“桜の木”を越えることはできないけど、

  • いつの日か、いっぱい実を付けて、<br /><br />“レンジャク”にその実を与えている姿を見てみたいなぁ。

    いつの日か、いっぱい実を付けて、

    “レンジャク”にその実を与えている姿を見てみたいなぁ。

  • 2011年3月2日。<br /><br />今年のシーズンもこれで終わりにしようと考えていた。

    2011年3月2日。

    今年のシーズンもこれで終わりにしようと考えていた。

  • 今年もダメだったな。

    今年もダメだったな。

  • <br /><br /><br />“ヤドリギ”に先越されたようだ。




    “ヤドリギ”に先越されたようだ。

  • <br /><br />負けないように、<br /><br />両親に“ありがとう”って言わなくちゃぁ。<br /><br />と、彼は思った。



    負けないように、

    両親に“ありがとう”って言わなくちゃぁ。

    と、彼は思った。

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この旅行記へのコメント (10)

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  • zzr-cさん 2011/03/09 18:59:04
    うさぎ追いしかの山
    シンバさま こんばんわ!

    何だか、昔小学校の音楽の時間に習った曲が頭をぐるぐる回りました。

    小説のような感じで読み応えがありました。

    最後には何故かほっとしてしまいましたよ!

    ヒレンジャクが撮影できて^_^

    じぃ〜

    シンバ

    シンバさん からの返信 2011/03/16 01:50:23
    RE: うさぎ追いしかの山
    じぃ〜さん、こんばんは。
    丁度、頂いた書き込みに返信しようとしてた時に、今般の大地震が発生しました。
    自宅は全く揺れなかったのですが、TVでそのすさまじい被害の実態を知り、ちょっと気分が滅入っていました。
    日本って凄いですね!!
    色々と問題は山積みですが、間違いなく復興できると信じています。

    ――三陸海岸に長閑な毎日が帰ってきますように♪

    ――ふるさとのヤドリギに来年もヒレンジャクが飛来しますように♪

    シンバ
  • sate8さん 2011/03/04 22:51:33
    シンバさんたら、詩人。
    シンバさん、こんばんは。
    前々からなんとなく、思っていたのですが、
    シンバさんは、やっぱり詩人ですね。

    この旅行記を拝見していたら、
    井上陽水さんの「少年時代」が頭の中で流れ始め、
    長野まゆみさんの小説『夜啼く鳥は夢を見た』を髣髴とさせられました。

    シンバ

    シンバさん からの返信 2011/03/07 18:48:55
    RE: シンバさんたら、詩人。
    と、とんでもーーー!!
    sate8さん、こんばんは。

    ただ、いつの日か、三十数年の思いを言葉にしたいなぁ〜と思いつつ(旅行記としてはアウトだろうけど)、赤い橋に通っていました。

    そして、レンジャクが撮れなくても、言葉にしよう!!
    と思った、その日(3月2日)、レンジャクがいたんですよ〜

    って、レンジャクに出会えなかった方が、詩的だった気が・・・

    シンバ
  • antoni_gaudiさん 2011/03/04 22:41:05
    親子
    >親と顔を合わすのは面倒だが

    そうなんですよね。父と息子の関係って

    私の父は他界しましたが
    以前、私の父が病気になり、1年くらいですが父の600坪くらいの
    畑を管理した事があります。収穫だけで精一杯でした。日曜日は
    知人・友達にも手伝いをしてもらい、収穫した野菜は私の知って
    いる弁当屋さん・料理屋さんに使って貰う為、自分の車に野菜を
    満載にして運んだ経験があります。
    周りからの暖かい励ましに、帰りの車の中で泣いた事も・・・・。

    って、今となっては懐かしい思い出ですが・・・
    (スンマセンこんな事書いちゃって)

    いつかきっと、また'土いじり'をします。
    シンバさんもいつかは'土いじり'をするのでは。

    鮎、美味しそうですね〜♪
    それと、念願のレンジャク見れて良かったですね。(^^)
    (私も見てみたいです。)

    それでは〜(*゚▽゚)ノ antoni_gaudi

    シンバ

    シンバさん からの返信 2011/03/07 18:33:04
    RE: 親子
    私は家を出て、祖父母と一緒に暮らしていました。
    就職は東京か大阪で♪
    と思っていたのですが、“祖父母の最期を見届けなくては”との理由から地元に就職しました。

    600坪もの畑を守るって、間違いなく大変なことだと思います。
    幸いにも、田畑は私の代まで辿り着きませんでした♪

    数年前に祖母が逝き、地元で暮らす理由がなくなったのですが・・・
    夏に苔臭い鮎が必需品になって来たし、レンジャクが見たいですからねっ♪

    シンバ
  • くまのみホヌ子さん 2011/03/03 22:16:55
    ん、深い
    シンバさん、こんにちは

    心に残るいい旅行記です。
    もしかしたら、誰もが心当たりのある親との距離感かもしれません。
    うまく表現できませんが、
    そっと言えた「ありがとう」という言葉に
    成長して大人になった彼を感じました。

    深いですねーー。

    やっぱりシンバさんは素敵です。

       のみホ

    シンバ

    シンバさん からの返信 2011/03/07 18:15:14
    RE: ん、深い
    ちょっと早かったかなぁ(?)って思う巣立ち。

    だから返って、いつまでも自立できないような気がします。

    そもそも、子供過ぎて、背伸びをした気もします。

    間違いなく、のみホさんの方がずーっと大人で。

    ただ、いつまでも自立できない自分も認めよようかなぁ〜

    って、最近、思ってるところなんですヨ♪

    シンバ
  • 天星さん 2011/03/03 12:43:59
    30年〜
    反抗期の少年さんへ

    あれから30年という月日
    おっさんになられましたね

    時がたてば、たつほど
    ふるさとっていいものですね〜

    そのふるさとで育った野菜は
    また格別ですよ。

    何年か先、奥美濃の畑で
    野菜づくりしているあなたがいれば....

    そのおっさんに会ってみたいな!

    現役農園主
    天☆

    シンバ

    シンバさん からの返信 2011/03/07 18:04:36
    RE: 30年〜
    ホントは反抗期の少年だって言うのに、

    こうしてネクタイをきりっと締めて、

    まじめなリーマンを演じるのって大変なんですよね〜

    だから、たまには農作業♪

    そうそう、金魚の飼育も♪

    めっちゃストレスが発散できますよね〜

    シンバ

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