2008/01/13 - 2008/01/13
142位(同エリア366件中)
ショコラさん
冬晴れの1月の週末。この時期にしては珍しく暖かく、こんな日に家にいるなんてもったいない! というわけで、いつか行こうと思っていたブルク城(Schloss Burg)へ出かけることにしました。
このお城のことは、通っていたドイツ語学校の先生から教えてもらいました。先生によると、お城は内部が(中世)民族博物館になっていてなかなか面白いし、塔からの眺めも素晴らしくてお薦めとのことでした。
ブルク城はゾーリンゲン(あのヘンケルスで有名な刃物の町)の中心地から南東へ8kmほどの、ヴッパー河畔の山の上のブルク村にあります。
ブルク城は12世紀にベルク家(城主はブルクじゃなく「ベルク」。綴りが似ていてややこしい)のアドルフ2世によって築城され、ベルク伯の本拠地となっていたお城。その後、ベルク伯はデュッセルドルフに居城を建築し、ブルク城は狩猟や儀礼の際に使われるようになったそう。17世紀に起こった30年戦争で城は破壊されてしまいましたが、地元の人々の尽力で再建されて現在に至っているとのことです。
ところで、このブルク城という名ですが、ブルクも「城」の意味なので、「Schloss Burg(シュロス・ブルク)」をそのまま日本語に訳すと「城城」? なんかダジャレみたいだ。
★ブルク城(Schloss Burg)のサイト(ドイツ語)
URL:http://www.schlossburg.de/
※公共機関でアクセスする場合は、ゾーリンゲンからバスに乗って山麓のウンターブルク(Unter-burg)まで行き、そこからチェアリフト(http://www.seilbahn-burg.de/)に乗り継いで山頂まで行くことができます。
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ブルク城前に到着〜。
前に見えている頑丈そうな建物がブルク城の入り口です。
門の上には弩用の狭間があります。 -
↑の建物の門をくぐると、道は両側を背の高い建物にはさまれていて、その向こうにもうひとつ門がありました。
このような造りになっているのは、おそらく城内への敵の侵入を防ぐためなんでしょうね。 -
城門にくっつくようにして、かわいい木組みの建物が♪
2つ目の門の上にも狭間があります。形からすると、こちらは鉄砲用かも。 -
2つ目の門をくぐると広場に出ました。
←2つ目の門をくぐって振り返ったところ。
城門にくっついていた木組みの建物は、1階が土産物店になっていました。
帰るとき、このお店で地元産のハチミツとジャムを買いました。 -
広場の向こう側にもかわいい家が♪ ここも1階は土産物店になってます。
その後ろに建っている石積みの時計塔もかわいい〜!
当時は見張り塔だったのかもしれませんが、てっぺんの風見鶏なんかを見ると、なんともほのぼのとした雰囲気が。 -
すぐそばのうろこ壁の小さなおうちも土産物店になっていました。
お店の女性の服装をよく見ると、中世風だ〜♪ -
広場から延びている舗道沿いにはカフェや、
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こんなかわいいレストランもあります。
この様子からして、ここってけっこう観光客が来るみたいです。
ところで、このレストランの2階の中央に絵のついた看板が掲げられていますが、これはポットの絵のようです。この足付きのおもしろい形のポット、城内の博物館にも展示されていました。
実は、お城の見学後、このレストランで食事をしたのですが、お茶をしていた人たちは、これと同じ足付きポットでサーブされていました。で、わたしもこのポットでサーブされたくて、食後にコーヒーを頼んだら、運ばれてきたのはカップだけだった……(^^;)
あとでわかりましたが、どうやらこのポットでサーブしてもらうためには「Original Bergische Kaffeetafel」と注文しなければいけなかったらしい。このベルギッシェ・カフェターフェルとは、ここベルギッシュラント地方でお祝いやお葬式などの行事の時に用意される食事で、そのときにこのポットが使われるみたいです(ポットの中身はコーヒーだけでなく、紅茶やココアの場合も)。
で、このポット(3本足で、ポットのおなかについている蛇口をひねって注ぐしくみ)とともに出されるのは、ハム、チーズ、パウンドケーキ、レーズンブレッド、ブレーツェル、ワッフル、バター、ジャム、クヴァーク(フレッシュチーズ)、ミルクライス(ワッフルに塗る)など、すごいボリューム。ドイツ版アフタヌーンティーとでもいったところでしょうか。
知っていたらトライしたのにな〜〜。
※このポットの写真が以下のページで見られます。
URL:http://de.wikipedia.org/wiki/Bergische_Kaffeetafel
それはされおき、このお店の名《Zur Schoenen Aussicht(「美しい眺め」の意)》の通り、店内からベルギッシュラントの山並みが見渡せます。お城見学の前後の食事や休憩におすすめです。
ちなみに、このお店のベルギッシェ・カフェターフェルは9ユーロのようです(http://www.zur-schoenen-aussicht-solingen.de/bergischekaffetafel.html)。
★レストラン《Zur Schoenen Aussicht》
URL:http://www.zur-schoenen-aussicht-solingen.de/ -
広場周辺をぶらぶらしたあと、本命のお城へ向かいました。
またまた門があります。 -
門をくぐったところに騎馬像がありました。初代城主アドルフ2世でしょうか?
後ろに見えるのはお城の一部分。 -
お城の端の一部分がアーチ状の門になっていて、そこをくぐるとこの中庭に出ました。
中庭の中央にあるのは、もしかして―― -
やっぱり、さらし台だ。。。これも展示物のひとつらしい。
無邪気に遊ぶ子どもたち。これがなんなのか知ってるのかなぁ。 -
大人も遊んでます(^^;;)
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では、中庭に面した入り口からお城に入って、博物館の見学へ。
内部は自由に見学できるようになっていて、写真撮影もOK。
←入ってすぐのところにあった壁画。ベルク家の家系図のようです。 -
この部屋は説明書きによると、(中世の城の)暖炉のある居間。とくに婦人部屋として使われた部屋らしい。
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たしかに暖炉がある。
でも、居間というにはとても広くて、大広間といったほうがよさそうな感じです。 -
こちらは別の部屋。
とても広々としていて舞台らしきものもあります。ホールでしょうか? 舞踏会などが行われた部屋かも。 -
ブルク城のジオラマ。
お城の全体像がよくわかります。昔はこんな感じだったのか〜。
まさに中世の城って感じです。 -
ここからは中世の武具の展示コーナー。
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立派な甲冑。
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鎖帷子! 中世ヨーロッパの本物の鎖帷子を見たのは初めて。鎖の網目、すっごく細い。
甲冑の下にこういうものまで着てたら、騎士のみなさんはさぞ重かったことでしょう。聞くところによると、甲冑と鎖帷子を合わせて装備重量は30〜50kgを超えることもあったのだとか。 -
さまざまな形の鉄兜。
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槍の形もさまざま。
どんなふうに使い分けていたんだろう? それとも時代の変遷によって形も変わっていったのか? -
お城の内部には礼拝堂もありました。
祭壇には鎧を身に着けた天使像が。 -
礼拝堂のステンドグラスは花模様。
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投石器の模型。
中世時代、攻城戦で活躍したのがこれ。
飛ばす石の大きさは拳大のものから600キロくらいのものまであったらしい。
命中率も悪くなかったそうです。
ちなみに、投石器は現地で調達するのが基本で、近くの森を伐採したりして材料を集めて組み立てられたとのこと。 -
時代は進み、武器は槍や投石器から鉄砲や、
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拳銃へ。
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水筒だ〜。
象牙製、皮製、真鍮製、鉄製など、いろんなもので作られていたんですねぇ。 -
象牙製の水筒にはこんな絵が。よく見ると左端に「1614」とあり、これが作られた年らしい。
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昔のお城の食卓風景でしょうか? テーブルにフォークがなく、ナイフしかないところを見ると、16〜17世紀の頃かな?
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寝室。
ベビー・ベッドにポータブル式のトイレもあります。 -
ティータイムの様子。
立派なティーセットだなぁ。現代に近い形なので、18世紀くらいかな? -
台所のかまどの様子。
こういう生活に直結した場所を見ると、その時代の暮らしが想像できておもしろい!
これまでいろいろお城を見たけれど、どちらかというと絢爛豪華なお城より、生活感のあるこんなお城のほうが見ていて楽しい。 -
居館内の見学を終えて、次は主塔へ。
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主塔へは城壁に沿って造られているこの回廊を通って行きます。
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これが主塔。
めちゃくちゃ頑丈そうだ〜。
こういう中世の城の主塔の1階から下は地下牢になっていたりするようだけど、この塔もそうなんだろうか?
調べてみたら、1288年にベルク伯アドルフ5世とケルン大司教(ジークフリート・フォン・ヴェステルブルク)との間の戦い(ヴォリンゲンの戦い)で、この戦いに負けたケルン大司教はこのお城の地下牢に13ヵ月の間閉じ込められたのだとか。 -
回廊と主塔は空中廊下で結ばれています(左側が回廊、右端が主塔)。
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主塔の内部には、子ども部屋の様子を再現した展示物がありました。
こんなドールハウスが何種類もあります〜。
この料理用ストーブなんて、本当に使えそうなくらい精巧にできています。真鍮製でしょうか?
このようなドールハウスは16世紀初め頃からドイツで作られるようになったそうで(オランダという説もあり)、貴族の子女たちの教育用玩具(家事全般や、テーブルマナーなどの躾け)として用いられたのが始まりなんだとか。現存する最古のドールハウス(1611年製)はニュルンベルクのドイツ国立博物館(Germanisches National Museum)で見ることができるそうです。 -
こちらはキッチンのドールハウス。
いやー、ほんとによくできてます〜。
貴族の子女たちはこういうもので遊びながら、キッチンの使い方や片付け方を学んだわけか。 -
食器類のミニチュア。
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見れば見るほどすごい。。。おもちゃの域をはるかに超えて、これはもう立派な芸術品です(実際、芸術品並みに高価なものだったらしい)。
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これは子ども部屋のドールハウス。
これらのドールハウス、とっても見ごたえがありました。
ニュルンベルクの博物館で最古のドールハウスも見てみたいものです。 -
展示物の見学を終えて、最後に塔のてっぺんへ。
←塔のてっぺんへいく階段。 -
途中、さっき通ってきた回廊が見えました。
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てっぺんに到着!
お城全体が見渡せます〜♪ -
複雑な形をした石造りの建物、とんがり屋根、赤い窓枠――ほんと、かわいいお城だな〜。まるでグリム童話の舞台みたい。
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屋根の向こうに見えるベルギッシュラントの風景も美しい。。。
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イチオシ
いい眺め〜〜♪♪
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静かな村並み。
来てよかった!
このお城はお薦めの穴場スポットです。
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この旅行記へのコメント (2)
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- ippuniさん 2010/10/26 06:31:43
- 素敵なお城!
- ショコラさん
こんにちは!
ご無沙汰しております。
ブルク城、素敵なお城ですね♪
ヨーロッパはガイドブックに載っていない穴場的場所が多くて、
発見するたびに、秘密の場所を見つけたような気分になりますよね^^
ヨーロッパの人たちみたいにバカンスは毎回同じ場所で・・・
といった優雅な過ごし方がまだ出来ず(笑)、毎回時間を見つけては
ディスカバリーの旅になってしまいます^^;
フランスに住み始める前はあまりお城に興味がなかったのですが、
こちらに来てから色々な城を見ているうちに、城の建物というより
城を取り巻く風景(城下町?森?)に魅了されつつあります。
ドイツも素敵そう!
いつかゆっくりドイツの城巡りもしてみたいです^^
ippuni
- ショコラさん からの返信 2010/10/27 11:17:40
- RE: 素敵なお城!
- ippuniさん、こんにちは!
こちらこそご無沙汰してます。
旅行記、見てくださってありがとうございました〜。
このお城を訪れたときは、ほんとに秘密の場所を見つけたような気分でした。
わたしは絢爛豪華なお城より、地方にある領主の城のようなこじんまりとしたお城が好みなので(ドイツでいうと、エルツ城やコッヘム城など、生活の匂いが感じられるようなお城)、このブルク城はとてもツボでした。お城を取り巻く小さな村や周辺の風景がまたいいんです。さらにこの土地ならではポットのことを知って、ますますここに興味をもちました。
わたしもお城に対する見方が以前とはちがってきたかも。建物だけでなく、周辺の風景や街並み、そして当時のお城での生活にも興味が湧くようになってきました。そのお城が現役だったころ、人々はそこでどんな生活をしていたんだろうと。で、手始めに『中世への旅 騎士と城』という本を読み始めたところです。
> ヨーロッパの人たちみたいにバカンスは毎回同じ場所で・・・
> といった優雅な過ごし方がまだ出来ず(笑)、毎回時間を見つけては
> ディスカバリーの旅になってしまいます^^;
いっしょ、いっしょ(笑) ヨーロッパの人たちとわたしたちとではバカンスの過ごし方がちがうな〜とつくづく思います。
ショコラ
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