2010/06/20 - 2010/06/21
551位(同エリア925件中)
極楽人さん
2010年6月21日
オルヴィエートのホテルに大きな荷物を置いて、一泊旅行に出かけました。
最初の目的地は『モンテプルチャーノ』。
トスカーナの丘の上の、小さな村です。
町の名は「赤ワインの銘柄」として有名ですが、他にはこれといった観光名所はありません。
周囲には、オルチャ渓谷の緑の田園風景が広がっています。
そんな、なんでもない風景を見に行きました。
“旅先の雨”にたたられましたが、
発想を切り替えて『雨のトスカーナ』を楽しむことにしました。
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス
- 航空会社
- 中国国際航空
-
朝、10:04 の普通電車(R)でオルヴィエートを出発します。
電車はローマ始発のフィレンツェ行き。
2等座席はガラガラで、申し訳ないような気分です。
30分ほどで、モンテプルチャーノの最寄り駅に到着しました。 -
駅の名は『キウジ-キンチャーノテルメ』(CHIUSI-CHIANCIANO TERME)。キウジの町と、近郊の温泉保養地の名前とを並列にしています。
『モンテプルチャーノ』という鉄道駅もありますが、町から遠くて不便なようです。 -
駅前から、モンテプルチャーノ行きの路線バスが出ています。
発車までしばらく時間があるので、駅中のバールでパニーニの昼食。おいしそうなのがたくさん並んでいます。価格は2.5〜3.5ユーロです。
バスの時刻表は日本から調べてゆきました。
平日と日曜ではダイヤが異なるので、要注意です。 -
12:30過ぎ、遅れ気味のバスに乗車。
切符(2ユーロ?)は駅のバールで買っておきました。
車内では買えません。
一緒に待っていた米国の旅行者は途中駅のバールで降ろされ、イタリア語で「すぐ前のタバコ屋で買って来い。」と言われて焦っていました。田舎では“国際語民族”も形無しです。
とにかく、キウジの町を出ます。 -
バスは野を越え、山を越えて北へ走ります。
途中の保養地『キンチャーノ・テルメ』で大半の乗客が降りて、また“専用状態”になってしまいました。
車窓にはこんな素敵な町も見えて、つい降りてみたい衝動に駆られます。 -
ブドウ畑とオリーブの木。
厚く垂れ込めた雲の行方が、ちょっと気がかりですが・・・ -
バスの旅は約1時間。
丘の上に、めざすモンテプルチャーノの町が見えてきました。
期待できそうです。 -
15分遅れで、丘の麓のバスターミナルへ到着。
中は、切符売り場と売店、小さなバールが併設されています。 -
ホテルは“バスターミナル至近”で選んで、日本から予約しておきました。
地図では“土地の勾配”が分りません。
ひょっとしたら隣の崖の上かも、と心配していましたが、平坦な道を100mも歩かないところにありました。
町の入口へも近く、我々には幸運なロケーションでした。 -
ホテル前の急坂を登って、最初に見えるのがこの教会の広場。
セント・アグネーゼ広場です。
町はここから西(横)方向に平ぺったい「長円形」に伸びていて、この広場が東の端になります。
いま登ってきたのは教会の右方向から、撮影地点はその道を左に曲がった場所です。 -
ここはもう高台です。
町の下には、なだらかなフォルムのトスカーナの丘陵が広がっています。
青空の下で鮮やかな色合いを見てみたいものですが、今日の天気では望めません。
雨もいいもんだ、いいもんだ、と自分を納得させます。 -
この野原の真ん中に立ちたいと願うのは、公共交通機関の旅ではちょっと難しいかもしれません。
レンタカーなら・・・ いやいや、車だってそう簡単に好きな場所で止まれるとは限りません。
やっぱり『旅の基本』に戻り、せっせと歩いてみるしかないのでしょう。 -
大草原の小さな家。
あの辺までなら行けるかもしれません。 -
さて、こちらは至近で見るモンテプルチャーノ。
中央の尖塔は、町の中心に近い『サンタ・フランチェスコ教会』でしょうか。
これから旧市街に入ります。
街の西端から東端まで2km 足らず。
小さな町ですが、道はすべて坂道です。 -
ここが中世への入口。
『PORTA AL PRATO』の城門をくぐります。
雨が降り出しました。 -
町を東西に貫くメインストリートは、分かりやすい一本道です。
ときどき近郊からと思われる観光客が通りますが、あとは静かな街並みです。
カンティーナ(Cantina)と呼ばれるワイン蔵もたくさんあって試飲も出来るようですが、何処にあるのやら。
人が少ないのは、このあたりがまだ“町外れ”だからか、雨のせいなのか・・・ -
やがて、メインストリートはやや左に折れ曲がります。その角の右側に、とても古い教会が。
もらってきた観光地図には記載がなく、独りよがりに感動したものと思われます。
それとも、これから歴史の再評価が始まるのか・・・!? -
小さい町なので、路地を入るとすぐ城壁に突き当たります。
城壁には町の出入り口が設けられていて、そこから崖
際の景色が見渡せます。
たとえば、こんなふう。 -
こんなふう②。
-
こんなふう③
-
こんなふう④
耳をすませば、あせた素焼きの屋根に弾ける雨の音が聞こえてきます。 -
こんなふう⑤
-
崖の縁で威容を誇る、剛健な邸宅。
「町の護りはまかせておけ」と言っています。 -
眼を外に向ければ、
郊外の森の中に『サン・ビアージョ寺院』。
イタリアルネッサンス時代を彩る貴重な建築の1つ、とされているそうです。 -
メインストリートに戻ります。
両側の街並みがいっそう古くなって、そろそろ街の中心に近づきました。 -
『PLAZZA GRANDE』、グランデ広場です。
主要な歴史的建造物は、町で一番高いこの広場の周辺に集まっています。
正面の建物の地下には、古くて大きなカンティーナ(ワイン蔵)があります。
広場では毎夏、町をあげての『樽転がし競争』が行われる、とも聞きました。 -
広場に面して、シックで個性的な『ドゥオーモ』。
-
同じく『市庁舎』。
中央の塔を除いて、支配下にあったフィレンツエのヴェッキオ宮に似せて作ったそうです。
有料で塔に上がれるようですが、その必要は感じません。どの崖からでも、眼下にトスカーナの平原が望めるからです。 -
雨にも負けず、
広場の隅で人を集めているのは、
ワールドカップ中継のバール。 -
急に雨脚が強くなり、人々が手近な屋根の下に駆け込みました。
私も、急いで市庁舎の玄関口へ。
一緒になった人たちとは、ちょっと世間ばなし。
お互い不慣れな英語に、イタリア語や日本語、身振り手振りも混じって、それでも会話はけっこう進むものです。海外旅行で「言葉」はとても大事ですが、「いちばん大事」でもないかナ、と感じる場面です。 -
バケツをひっくり返したような雨の中で、子供たちが楽しそうにパフォーマンスを始めました。
ここまでずぶ濡れだと、かえって愉快になるようです。
グランデ広場特設スタジアム、サッカー観戦をあきらめた観衆からも盛大な拍手をもらっていました。 -
小降りになって、その先へ。
町の西端には、茂みの中に地味な風情のお城がたたずんでいました。
ここが終点、引き返します。 -
帰り道は、ずっと下りです。
時々露地を曲がって崖の方へ。
屋根が素敵な町です。 -
初めての露地では、初めての景色にあらためて眼を見張りながら・・・
一本道から外れないように、ホテルに戻ります。 -
ホテル近くのスーパーマーケットで出逢った、デブ猫君。
食事には困っていないようですね。 -
さて、我々の夕食ですが・・・
ホテルの陽気なフロントマンが、いいお店を紹介してくれました。
印のついた地図を頼りに訪ねましたが、残念ながらこの日は閉店でした。
それで、また一本道を登って、地元のお客で混みあう一軒を見つけました。
まずは、赤ワインを。
迷わず、『モンテプルチャーノ』を注文しました。
ワインは得意ではありませんが、産地で味わう気分には格別のものがあります。
でも、歩いた後なのでビールの方が良かったような。 -
メニューはよく分からないので、近くのテーブルに出ていたものを頼みました。
分厚いステーキと、具だくさんの豆スープ(写真)。
スープにはパンまで入っています。
隣席のご夫婦は、3人の子供に一皿ずつの豆スープ。
これだけでお腹がいっぱいになります。 -
こちらはムール貝の大盛り。
シーフード自慢のお店だったようで、別の席では大きな海老も運ばれていました。
行き当たりばったりで入りましたが、安くておいしいお店に当たりました。 -
翌朝、早く起きてひとりで出かけました。
城壁の中から見えた田園の道を、どうしても歩いてみたかったのです。
壁の外側を時計回りに伝って、自動車道路の端を歩きます。数は少ないものの、ときどき車が猛烈なスピードで走り抜けます。 -
車が行き交う道の中央に、山鳩がうずくまっていました。
車に撥ねられたのか、外傷はないようですが近寄っても逃げる気力を見せません。
オルヴィエートの食堂では食べてしまったけれど、
ここは一肌脱ぐ場面です。両手で抱えて、猫などに見つかりにくい舗道の脇へ移動させました。
これ以上は何も出来ません。
そのまま立ち去りましたが、手のひらにしばらく山鳩のぬくもりが残りました。 -
しばらく行くと道はふた手に別れて、一本は城壁の周囲を、もう一本は田園の中へ。
もちろん、田園に続く道を進みます。 -
葡萄畑の真ん中の、農家でしょうか。
城壁内の家にはなかったくすんだピンクの壁も、味わいがあります。 -
道は農道のようで、舗装もされていません。
ただ人や荷馬車が通ったことで“道”になっているようです。
日本の田舎にも、昔はそういう道がたくさんありました。 -
ずっと先に歩いて、また別の農家。
これも葡萄畑の真ん中です。
城壁から見えたあたりでしょうか? -
刈り取られた草のロール、無造作に転がっています。
後日、ヴェローナに向かう電車の窓から、これの立方体のやつを見て驚きました。
いろんな形があるようです。 -
1時間ほど歩いて、城壁の下に戻ります。
田園の、いい空気をたっぷり吸いました。 -
アグリツーリズモの看板が出ています。
このあたりで『農家体験』が出来るようです。 -
城壁の西の外れに、糸杉の並木道が。
その奥に、『サン・ビアージョ寺院』が見えています。
城壁から見た、丸いクーポラを持つあの教会です。 -
独得なフォルムや優れた建築技法から、「イタリア建築の宝石」と言われているそうです。
およそ2時間の散策を終えて、ホテルに帰ります。
朝食は8時から。ちょうどいい時間です。
帰路、気になって例の山鳩を探しましたが、どこにも見当たりません。無事に飛び去ったのならいいんですが・・・ -
**********
ホテルに戻るとフロントマンに呼び止められました。
「先ほどから、お客様がお待ちです。」
指し示された方向、仄暗いロビーのそこだけ少し明るくなって、ドレス姿の美しい女性が立っていました。
初めて会う人のような、どこかで逢ったような。
胸のあたりに、リボンをあしらった赤ワインのボトルを抱えています。
「どちら様・・・」と聞きかけて、ドレスの柄に目がゆきました。
ヤ・マ・バ・ト!!!。
**********
こんなこと、あるはずないですね。
シャキッと眼を醒まして、次はシエナに向かいます。(完)
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