2010/06/19 - 2010/06/23
39位(同エリア133件中)
極楽人さん
オルヴィエート(ORVIETO)はウンブリア州の中堅都市、
ローマからフィレンツェに向かう途中にあります。
草原から自然隆起したという高台に、美しい旧市街が広がっています。
街の起源は古く、ローマ帝国以前(古代エトルリア人)の遺跡もたくさん残っています。
2010年6月19日、21日、22日と3泊して、オルヴィエートや周辺の町や村を訪ねました。
真ん中の20日はちょっと遠出の一泊旅行、大きな荷物をホテルに預かってもらいました。
『サン・パトリツィオの井戸』や『地下洞窟』など観光名所も多いのですが、風景に眼をとられてすっかり忘れてしまいました。
- 交通手段
- 鉄道
-
2010年6月19日 午前10:45分。
ローマ・テルミニ駅発のフィレンツェ行き普通電車(R)で、オルヴィエートに向かいます。
12:03到着ですから、所要時間は特急(ES)とそんなに変わりません。
普通電車(=各停)の良いところは、
値段が安い、好きな座席に座れる、車窓が開くことが多い、空いている、電車を自由に変更できる、停車のたびにタバコ休憩できる・・・などなど。
時間があってお金がない喫煙者には最適です。(!?)
因みに、この時の運賃は 7.1ユーロ/人。
これ以降の旅程では、殆んど普通電車を利用しました。 -
車内では、ペットの「プレイリー君」と旅をする女性と一緒になりました。
-
これがオルヴィエート鉄道駅。
駅中は、バールや売店などがひと通り揃っていました。 -
駅前広場の噴水をはさんで、反対側にケーブルカー(フニコラーレ)の駅。
その上方に旧市街の茶色い城壁が見えています。
フニコラーレでは数分で丘の上の旧市街まで行けるはずですが、このときは改修中で運休していました。
ポルトガルのナザレでしたか、やはり同じような体験をしました。
本活的な旅行シーズンが始まる前に、点検を済ませておくのでしょう。 -
予約したホテルは旧市街ではなく、新市街の駅近。
歩いてほんの200m程の場所にあります。
いつの旅でも、妻の荷物が"とんでもなく"重くなるので、持ち運ぶ距離を短くする工夫は『必須』です。もっとも、妻は出発直前に最新型の『超軽量ケース』に買い換えています。フニコラーレが運休の今、これはやはり"正解"でした。
とりあえず荷物を置きに、宿へ向かいます。
左側がホテルの本館、右奥の花のベランダが宿泊した別館です。
旧市街の城壁のすぐ下にあたります。
ホテル前の急坂、短いですがてこずりました。
地図では「平面」だったんですが・・・ -
本館のロビーで、オーナーのおばあさんが迎えてくれました。
話題が豊富で親しみやすい人柄に、ファンも多いと聞きました。
ここは家族経営の老舗ホテルです。 -
さて、駅前から黄色い路線バスで旧市街へ向かいます。チケットは1回券1ユーロ、フニコラーレの駅で買います。「オルヴィエートまでの鉄道チケットを提示すると割引になる」そうですが、試しませんでした。
バスは丘の上にあるフニコラーレ駅(写真)の前、Cahen広場に到着します。ここが旧市街の入口(東端)です。
路線バスは中心部まで行きますが、我々はここで降ります。左端のインフォメーションで地図をもらい、帰りのバスの時間を確認しなくてはいけません。
黄色い路線バスは夜8時45分が最終。その後は別のバスが夜11時過ぎまで運行しているようです。乗り場はこの広場だけ、ということです。 -
フニコラーレ駅のすぐ横に、中世の要塞『Fortezza』があります。
先ずはここから見学。
中は広い庭園で、街の人が憩う公園になっています。 -
城壁からは、丘のふもとの新市街と緑の田園が望めました。
-
さらに下を除くと、さっきバスで登って来た自動車道路が。
フニコラーレなら2分程のところを、斜面の道をくねくねと曲がりながら来るので10分近くかかります。 -
丘の下のパノラマ。
-
旧市街は、図のような楕円形の高台に乗っています。
現在地は右の端です。
主要な道は3本あり、一番下の「崖のふちを通る道」、中央の「街の中央を貫く道」、そして一番上の「北側を通る道」です。 -
中央の道『CORSO CAVOUR』は、旧市街の目抜き通り。繁華街を貫いています。
名物のワインや食材を売る店、お土産屋、書店、カフェ、レストランなどが途切れることなく並んでいます。 -
10分ほど歩くと中心の共和国広場へ。
左に市庁舎、中央右側には『モーロの塔』がそびえます。 -
このあたり、
歩きつかれた観光客や若者が階段に憩う様子は、小ぶりの"スペイン広場"といった風情です。 -
脇をのぞくと、落ち着いた路地が何本も。
-
目立たない路地に、トラットリア『ラ・パロンバ』がありました。
この地方を拠点にイタリアを紹介する旅行ガイド(ウェブマガジン)で、絶賛されているレストランです。
ここで、少し遅い昼食をとることにしました。
運良く「予約なし」でも入れましたが、夜は地元の人で一杯になるので、予約したほうが確実と思われます。 -
妻がお店の看板メニュー『トリュフのウンブリケッリ』を注文、こういうことはよく調べています。オーナーの娘さんが席に来て、"おろし金"でたっぷりのトリュフをおろしてくれます。周囲のお客からも、ため息と歓声があがる瞬間です。
-
それが、これ。
トリュフは、何度食べても印象の薄い味です。
同様に、トリュフをスパゲッティに振りかけたメニューも採りましたが、"香り"は感じても味の記憶はあいまいです。
二人で食事して、ワインやデザートを全部入れて50ユーロほど。決して贅沢なお店ではありません。 -
妻はこの店をいたく気に入り、3泊の滞在中に3度やって来ました。
その3回とも、日本からの旅行者が来ていました。
同じ記事を見て、ここへたどり着いたようです。
情報の威力を見せつけられた感じです。
写真は山鳩料理。お店の名前『パロンバ』は山鳩のことだと聞いて注文しました。骨が多く身は少なく、でもこれが一番高くて15ユーロでした。 -
レストランの場所から少し戻ったところに、ドゥオーモ広場へ入る横道があります。これが、オルヴィエート自慢のドーム。
13世紀末、奇跡に促されて建設が始まり、300年を経て完成したというきらびやかなゴシック建築です。
この日は、結婚式が行われていました。 -
狭いドーム広場からでは、全景が写しきれません。
ドーム広場は、鉄道駅からの路線バスの終点でもあります。 -
「・・・・・・??」
これはどこにあったのか。
写真の順番では、雨宿りのアイスクリーム屋さんからドゥオーモまでのどこかなんですが。
とにかく、やさしいマリア像です。 -
ドームの横を、さきほどの地図の「下側の道」が走っています。
崖伝いにつけられた道を進んで、街の西端を見てみます。
南西の角に建つ『サン・ロレンツォ・デ・アラリ教会。』
(たぶん。地図を見て書いているので自信なし) -
教会の先は崖の外です。
ウンブリアの緑豊かな平原が、糸杉の田園が広がっています。 -
林の影の、豊かそうな農家の豪邸。
たしか、プールもありました。 -
街の外へ、遥かかなたまで続く道。
ローマ帝国の時代には、南北の交易を担いました。 -
天気は晴れたり降ったり。
このときも突然、怪しくなりました。
雲間から射す光の柱は、
たしか『天使の梯子(ハシゴ)』とか云うんじゃなかったでしょうか。
何かいいことが起きるのか、いま起きているのか・・・ -
旧市街の端っこ、切れ込んだ断崖に家々が張り付いています。
-
カメラを引くと、
旧市街を乗せた台地が、平地から垂直に立ち上がっているのが見てとれます。 -
これもそう。
崖ぎわの道は、生活道路です。
風の強い日など、タバコ一箱買いに行くのも命がけですね。 -
崖の内側、一段低くなった路地。
800年ものあいだ、時間が止まったままの街。
くすんだ屋根の色、ざらついた壁の質感、濡れた石畳の歩道にも、落ち着いた中世の香りが充満しています。 -
さて、三本のうち残った北側の道ですが・・・
フニコラーレ駅からの道はポポロ広場へと繋がっています。
左の建物がポポロ宮。この地方の執政官の邸宅として建てられた石造りのロマネスク建築で、現在は会議場になっているそうです。
右は、グランドホテルです。 -
その先へ進むと、旧市街の北側の側面が望める公園に出ます。
先端に見えるのは『サン・ジョヴェナーレ教会』、オルヴィエートで最も古い教会です。
(写真は、よく晴れた別の日に撮影したものです。) -
更に西端へ。
教会だけでなく、この一帯は街のいちばん古い姿がそのまま残っています。 -
色褪せた褐色の素焼き屋根、
その向こうにウンブリアの大地。
こういうのが好きです。 -
別の日、街の中心に聳え立つ『モーロの塔』に登ってみました。入口は本屋さんの中、チケットもここで買います。
塔の高さは47m。
オルヴィエートが繁栄を極めた、13世紀の富の象徴です。
塔は正確に東西南北の方向を向いているそうで、旧市街とその周辺が隈なく見られるようになっています。 -
旧市街の、西の先端方向を望みます。
-
こちらは南。
ひときわ大きなドゥオーモが目立っています。 -
夜、街に灯が入りました。
夜7時半開店のトラットリア『ラ・パロンバ』で夕食を済ますと、どうしても路線バスの最終(20:45)に間に合わなくなります。 -
夜のバスが出るCahen広場のフニコラーレ駅まで、15分かけて歩きます。
写真のシルエットは、Cahen広場端のモニュメントです。 -
21:25 青・白ツートンカラーの小型バスで、新市街の鉄道駅まで帰ります。
料金は路線バスと同じ、1ユーロでした。 -
新市街のホテルを選んだ理由が、もうひとつあります。
『丘の上の町』の全体を、離れたところから見たかったのです。
朝食まえ、早朝に起きだして1人で新市街の外れをめざして歩き出しました。
どの道を行くかは地図で大まかな見当をつけて、あとは勘が頼りです。 -
向かいの山の中腹で、
農家の庭先に迷い込んでガチョウ夫婦に騒がれたり、
畠のぬかるみに踏み込んで靴を泥まみれにしたり・・・ -
結局、数キロ先の古城ホテルまで歩いてしまいました。
途中、何回か自動車道路を横切りますが、
早朝は車の数も少なく、気をつけていれば問題はありません。 -
撮影ポイントを決めて、朝陽を待ちます。
"全貌"と言ましたが、
旧市街は小高い台地に城壁を張り巡らせているので、街の中までは見えません。
もっと高い場所があればいいのですが・・・
それでも、
畠の向こうに横たわる美しい『丘状都市』の姿に、少なからず満足を覚えました。 -
葡萄と、オリーブと、抜けるような青空。
"オルヴィエートの一番いい時間"に立ち会えたような気がした瞬間でした。
(完)
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この旅行記へのコメント (1)
-
- antoniofoxさん 2011/04/25 09:31:41
- Umbria
- 多くの旅行記の写真、行ってところのAlibi・証拠写真と違ってArtisticな写真を楽しませていただきました。原画が見られない設定になっているのは残念ですが。
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