皆既日食と江南の旅（４）日食を見に、歙県　微州古城へ

2009/07/18 - 2009/07/26

　２００９年７月の皆既日食を観るために、上海行きの航空券を予約した。中国の揚子江地域は、大気汚染がひどく、晴天率も低いが、広大な陸地のどこかに雲の切れ間があるに違いない事が中国を選んだ理由だった。江南エリアは、摩天楼が発展する上海、のどかな水郷古鎮の生活、世界遺産の黄山、安徽古民家群や蘇州古典園林など行ってみたい処も多い。航空券の都合で日食の日を挟んで８泊９日の旅になった。漠然と上海は空気が汚くてよく見えそうも無い気がしたので、２２日は杭州近郊で日食を観る予定だけ立てて、後はその場の気分に任せた旅をした。
　第４目、７／２１　蘇州から皆既日食を観測する予定地としていた杭州へ向かう。ところが、天候がどんどん不穏になっていく、高まる期待と天候の不安に寝付けない。。。第５目、７／２２　杭州の天候が悪化し、絶望的な気分に陥る。天気予報を信じて、西２００kmにある黄山方面へタクシーを走らせ、ガイドブックにも載っていない街、安徽省黄山市歙県で日食を見る事ができた。

エリア 屯渓(中国)

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 10万円 - 15万円
• 交通手段: 高速・路線バス
• 航空会社: ANA

蘇州の北バスターミナル（蘇州汽車北站）
　さあ、明日はついに２２日日食の日です。気もそぞろに、観測予定地杭州へ行く為に、蘇州のバスターミナルにホテルから歩く。蘇州駅から東に１０分程歩いたところにあります。

長途バスの待合所
　チケットはいつも窓口に漢字でメモ書きしたものを見せて買います。すると一番適切な便のチケットを発券してくれます。たまたま発車間際の便だったりしますので発車時刻は即確認してください。
　入り口には飛行機と同じX線検査機で荷物の検査を受けると、写真のような待合所に通されます。電光掲示で発車番号を見つけて、売店でジュースなどを買い込んだり、トイレなど行って、発車まで窓口付近で待機します。

バスの改札
　発車時刻が近づくと、電光掲示に行き先が表示されて、乗客がわっと群がるので、チケットを差し出して改札を通って、バスに乗ります。

杭州行きのバス
　途中、サービスエリアで休憩があります。
　バスには徳国（ドイツ）NEOPLANとありますが、どう見ても中国製汽車のよう。

サービスエリアの売店
　ここは嘉興SAでチマキを売っていましたので、食券を勘で買って、２つ買いました。

買ったチマキ
　たぶんキレイなんだろう買い物袋に直接入れてくれます。東南アジアでは常識的な包装でしょう。味はやや淡白です。

杭州市内北部
　２時間半程で杭州市内に入ったようです。これは原発でしょうか。大都市近くにあるのは、日本より安全に自信があるんでしょう。

杭州北バスターミナル
　着きました。暑いです。疲れるので、バスはやめて、タクシーでホテルまで行く事にします。

ホリデーイン・エクスプレス杭州
　ではタクシーの運転手に通じませんので、杭州海外海快捷假日酒店と言うメモを渡すべきでした。タクシーは遠回りをしても損しないシステムはひどいですね。

ホリデーインの廉価版なので、質素で機能的な室内でした。ここだけ日本からWeb予約していたので、日本円で３０００円くらいでした。場所がやや北のはずれにあって、西湖とかの観光には向いていません。日食はやや北の空気の良さそうなところで見ようと思ったので、混雑を避ける為でもあります。

小龍蝦
　小さい龍のエビ？って美味しそうだと思って注文したのですが、なんと大きなザリガニ料理でした。殻が堅いので完食は諦めて半分ホテルに持ち帰りました。場所はホテルのすぐ前で、裏には折江工業大学があります。

前日夜８時半の天気予報
　恐れていた事が現実味を帯びて来る。長江一帯は大雨！
　どうしよう。。。

同時刻の日食時間帯の天気予報
　上海は雨、杭州は陰天？多雲よりさらに悪いんだろう。最悪、殆どの地域で雲が多いとある。杭州から南西方向の地域は晴れなんだが、皆既日食帯からズレてるし。。。

11時のＣＮＮの天気予報
　Favorable Weatherはインドの２カ所、バングラデシュのダッカ、それと中国の重慶とある。重慶までは、朝一の飛行機でも間にあわない。機上から見るとか。。。危険すぎる。。。どーしよう。。。

当日０時半の天気予報
　杭州はカミナリマークが出た。ホテルの外で空を見上げると、まさに嵐の前の曇天、強風。杭州での日食は諦めモードに突入！

朝５時の天気予報
　杭州は多雲地帯になったが、少し南西に行けば、重慶と同じ晴れ時々曇り地帯に行ける！今日の夕方には黄山に行く予定だったのを早めてしまえば良いんじゃないかな。。。
　バスは途中下車出来ないし、９時の皆既日食に間に合わないかもしれないので、ここはタクシーを飛ばすしか無い！
　という事で、朝６時にホテルをチェクアウトしてタクシーを呼んでもらう。空は曇天で小雨が降っている。運転手のおにちゃんに黄山までと告げると、遠いので上乗せ金を要求される。近距離を嫌う日本のタクシーと反対で、帰りの代金までせびってこられた。幾らでも払う気分だったが、なんとか200元のチップで妥協してもらう事にした。いざ黄山へ。。。雲よ晴れてくれー〜

７時１０分
　高速で車を走らせて、１時間程すると、雲が薄くなって来た。天気予報はあっていた。

８時５６分
　黄山市では、雲が無くなってほぼ快晴になった。日食グラスでみると、もう半分程太陽が欠けているのがわかる様になった。

　高速を微州区ICで降りて、どっか街に行ってもらう事にした。あとで気付いたが、棠越牌坊群らしきものも通過した。

９時５分
　タクシーを降りたのは世界遺産黄山のある安徽省黄山市歙県（ShaXian）の微州古城の前だった。高い城壁に沿って公園が整備されており、ここを観測地として腹をくくった。

９時１０分　
　予想外に時間がかかってしまった。すでに第一接触から４０分をすぎ大方３分の２ほど掛けていたが、日食グラスで見ない限り日食の最中だと感じることはできない。周囲は知らないと日食だとは気付かない明るさ。

９時１６分
　雲が出て来た。まずいまずい。。。

９時１９分
　雲のおかげで肉眼でも太陽が欠けているのがわかるが、雲は要らないよー。。。

９時２５分
　太陽が９割程欠けると、突然辺りが暗くなって来た。多分これ位になって初めて、人は日食を知るんだろうな。

同９時２５分
　太陽の辺りだけ雲が厚くなって来た。マジヤバ。

９時２８分
　日食グラス越しに撮ると、９割以上欠けているのがわかるが、

９時３０分
　雲が切れた！肉眼で見ると、まだ明るいが、直視出来る明るさ（危ないのでしないでくださいね）。

その６秒後の暗くなった周囲
　明らかに暗いです。嵐の前のような雰囲気

９時３１分５１秒のダイヤモンドリング
　ちょっと大っきすぎる。やや早かった。連写するべきでした。本当に一瞬でした。その１２秒後の写真はもう皆既日食同じでした。

９時３２分５５秒
　ついに皆既日食突入です。３脚持って来んかったのは失敗ですね。双眼鏡では綺麗に四方八方にコロナが伸びて、赤いプロミネンスが１カ所見えています。ゆらゆらと動く思ったコロナは意外にも凍った氷柱のように動かない。プロミネンスは妖しい赤い触手のようです。周囲を見渡すと意外にも明るい。

９時３３分
　皆既日食と徽州古城の城壁で、シルエットは歙県の生んだ教育家、陶行知の像

９時３４分
　皆既日食時の周囲の様子。街灯が光っています。真っ暗にはなりません。

９時３４分
　目が慣れると、こんな感じにみえます。

９時３６分４９秒
　５分近い皆既日食が終わりました。これもダイヤモンドリングですが、今度は遅すぎて失敗。本当に一瞬です。コロナがよく見えます。

１０時０分
　明るくなると、まだ欠けているのですが、周囲見物人も散り散りになって行きます。地面の木漏れ日が三日月型になっている様子です。

１０時７分
　歙県の生んだ教育家、陶行知の像。まだ半分程欠けていますが、真夏の日差しが戻ってきました。日食グラス使わないと日食と気付かない感じです。

１０時８分
　日食グラスを使うとこんな感じに見えます。

１０時４８分
　気がつくと周りには人が居なくなっていました。ひとり日食ツアー終了です。

微州古城
　折角だから微州古城を見学して行きましょう。

何やら改修計画の実行中のようです。

微園
　ガイドブックも案内板も無いので、よくわからないが、庭じゃないようだ。入場料６０元は払う人いんのかな？？？

　これから、世界遺産　黄山風景区へ行く事にします。バスターミナルはどこだろう。

この旅行記へのコメント （6）

• youyong69さん 2010/07/19 15:26:24

  歙県　微州古城

  kankonokiさん　はじめまして。
  去年の8月から今年の4月まで合計4回、3ヵ月間は歙県に滞在して仕事してたんです。
  8月は上海〜杭州〜屯渓と高速バスを乗り継いでここまでたどり着きました。
  あまりの苦痛に後半の2回は上海虹橋空港〜黄山空港〜上海虹橋空港の飛行機便で移動してました。
  微州古城で日食を見た日本人がいたなんてびっくりしました。
  平日の夕方になると微州古城の周りで地元の御婦人方のダンスが始まるんです。
  歴史のある街なんですよね。食べ物はとても美味しかったです。
  

  kankonokiさん からの返信 2010/07/19 18:01:43

  RE: 歙県　微州古城

  youyongさん、こんにちは
  
  　旅行記を読んでいただいてありがとうございます。
  
  　微州古城に行ったのは、旅行記の通り全くの偶然でした。タクシーで着くなり、入れ替わり立ち替わり現地の人が寄って来るという、さぞ日本人は珍しかったのかなという秘境体験でした。午前中で黄山風景区に移動してしまったので、夕方のご婦人方のダンスは見れませんのは、残念でした。
  
  　歙県は豪商と秀才（科挙の状元）を排出する徽州の中心地だったとか後で知ったのですが、歙県の微州古城を４トラで検索しても私の旅行記しか引っかからない程、今は寂れているのかもしれません。でも、街は綺麗だし、物価も安そうで住むには良さそうな街だったのではないでしょうか。
  
  　確か、黄山までは上海から直逹バスがあったとは思いますが、途中杭州に用でもなければ飛行機が便利だと思います。
  
  kankonoki

  youyong69さん からの返信 2010/07/19 19:01:56

  RE: 歙県　微州古城

  kankonokiさん、早速コメントありがとうございます。
  確かに日本人は珍しいと思います。
  いろいろ歴史を勉強されているんですね。
  kankonokiさんの旅行記を読んで知った事が微州が生んだ教育者が陶行知の事です。
  歙県に行知中学という学校があり学生最後の年は会社に仮就職して、そこの学生に仕事を教えたりして「行知」ってどんな意味と思ってたんです。
  
  僕も後で上海から黄山行きのバスもあると知ったんですが中国の高速バスはトイレになかなか止まってくれないので漏れそうになった経験があり・・
  １度、国内線飛行機を利用すると高速バスは使いたくないです。
  上海虹橋空港〜黄山空港は片道50分で600元ぐらいですから楽です。(^_^;)
  
  夏に時間あったので「世界遺産の黄山に登りましょう」と言われて喜んでいたんですが雨が降って中止になり登れなくて残念でしたがkankonokiさんの旅行記を読んで行った気持ちになっています。
  
  また旅行記楽しみにしています。
  
  
  
  
  

  kankonokiさん からの返信 2010/07/21 16:58:26

  RE: RE: 歙県　微州古城

  youyongさん、こんにちは
  
  陶行知については、私もなにも知りませんでした。微州古城の中にも陶行知記念館があったのですが、外から中を窺っただけで、日食で興奮していて、とりあえず通過して、結局行かず終いでした。その後、黄山で行知亭を見て、驚きました。
  
  黄山の旅行記ですが、夕陽も、ご来光も観ずに、天都山や蓮華山登山もし損ねました不完全なもので恐縮です。黄山の景色は本当にすばらしく、写真だけではもったいないので是非今度の機会に行かれる事をお薦めします。万里の長城に次ぐ、行って良かった世界遺産でした。

• jiuさん 2010/04/14 04:24:24

  黄山行きは素晴らしい決断でしたね

  kankonokiさん、はじめまして。
  
  はじめは黄山で日食を観る計画をされたのかと思いましたが、杭州で
  臨機応変の対応をされたんですね。決断が功を奏しましたね。(^^)v
  
  jiu

  kankonokiさん からの返信 2010/04/15 00:00:40

  RE: 黄山行きは素晴らしい決断でしたね

  jiuさん、こんばんは
  
  　ご訪問ありがとうございます。ドタバタ劇でお恥ずかしい限りです。実は中国行きを決意した時から、雲の晴れ間を求めて移動する覚悟を決めておりましたので、想定内の事でした。でも朝が苦手なので大変でした。