1962/03/03 - 1962/03/03
216位(同エリア274件中)
ソフィさん
1962年3月3日(土)
バーゼルの駅を出てから、細かいが冷たい雨が、ずっと降り続いていた。
しかし街の様子やショーウィンドウの飾りつけなど次々に珍しく、自然に歩が進む。
自分でも不思議な心のときめきを覚え、実に楽しい。
見知らぬ街を歩く、一種のエクスタシーを感じている。
すっかり暗くなって気がつけば、雨に濡れながら3時間近くも歩いていた。
空腹を覚えて、チョッとした街角のイタリア料理店に入った。
パリではどのレストランも少し構えているような気配が見えて、日本のそば屋のように気楽に入れそうなレストランは少ない。
レストランを選ぶにしても、料理や値段を確かめ、中の様子にチラッと目をやりながら、何度も逡巡してようやく決めることが多い。
それに比べて、スイスの街では外から見ても家族的な様子がうかがわれるレストランが多いように感じる。
値段の安さと、料理の簡便さが、入店の足を軽くしていることもある。
今晩は一番簡単に、スパゲッティを一皿頼んだ。
パリでは、オードヴル、メインディッシュ、デザートなどと聞かれて、スパゲッティだけの、こんな簡単な注文は出来ないことである。
だいたいパリの人は、スパゲティを軽んじる風がある。
「イタリアの旅行者は、パリに着くや否やもうスパゲティを茹でている」なる悪口は、パリ好きな人から、耳が痛くなるほど聞いている。
だから、パリのレストランのスパゲッティが美味しかった試しがない。
フランスのシェフたちには、味が判っていないからだろう。
スパゲティは敏感な生き物で、皿に盛られてからもどんどん変化する。
味のピークは、ほんの一瞬なのだ。
しかしここバーゼルは国際都市だけあって、スパゲッティは抜群の味だった。
恐らく、本場の味に近いのだろう。
冷え切った体に、アツアツのスパゲッティの、なんと感動的だったことか!
そもそも日本では、スパゲッティはいったん茹でてから、油でいためるものと思っている。
だが茹で上げたものに、サッとオリーブオイルを絡ませただけで、十分においしい。
私の好きなのは、その時のオリーブオイルに真赤な鷹の爪とニンニクで味付けしたもので「ペペロンチーノ(唐辛子)」と呼ばれている。
最も軽い味付けだが、スパゲッティそのものの味が生きていて、実にうまい。
今度日本に帰ったら、広めたいと考えている。
写真は「ソフィーさんのマイページ」(訪問54カ国、文章1,500件 写真6,700枚)、
http://4travel.jp/traveler/katase/
スイスの写真が美しい「片瀬貴文さんのマイページ」(文章625件 写真2,400枚)
http://4travel.jp/traveler/takafumi/
ブログの作成日順に並んでいる「片瀬貴文の記録」(文章1,600件)
http://blog.alc.co.jp/d/2001114
(片瀬貴文)
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