1962/03/03 - 1962/03/03
749位(同エリア985件中)
ソフィさん
1962年3月3日(土)
ストラスブールからバーゼルまで、ほぼ140キロの距離。
ライン河を挟んで東はヴォージュ山脈、西はドイツ領でシュヴァルツヴァルト。
この間に横たわるややフラットな一帯が、アルザス地方である。
ここに産する白ワインは爽やかな香りと味で、私は大好きだ。
コルマール、ミュルーズを通る、バーゼル行きの列車は、ヴォージュの山麓を走る。
ワイン醸造のシャトーが点在する、豊かなブドウ畑の田園風景にうっとりしながら、天気の良い日いずれ時間をつくって、こんなところを歩いてみたいと考える。
コルマールには木組みの建物が並ぶ、中世風の落着いた都市景観。
ミュルーズには、フランスきっての鉄道博物館。
どの街も訪ねてみたい魅力たっぷりの沿線だが、今日はゆっくり見る時間がない。
旅行ごとに行きたいところが増え、将来の旅の楽しみが、増すばかりである。
「片瀬さんはたくさん旅行をされたから、もう行くところはないでしょう」
という人がいるが、旅をする度に行きたいところが増えるので、減ることはない。
二度同じところを訪ねない旅は、より深くを知ろうとしていないのだろう。
雨雲が立ち込め、外の景色が見えづらくなってきた。
先刻から、コンパートメントの向かいに座っているオヤジが、気になっている。
表情は静かで穏やかだが、どこともなく風格が漂っている。
こちらから話しかけようと機会を見ていると、あちらから話しかけて来た。
「どこから来られたのですか」
「今パリ住まいだが、もともとは日本です」
「エ、そんなに遠くから。ところで日本にはノーベル賞受賞者は何人いますか」
「バーゼルには6人も住んでいるのですよ」
市民はそれを、誇りにしているらしい。
どこまで本当かわからないが、凄い話である。
そろそろスイスに入ったかなと思ったら、直ぐにバーゼルだった。
14時30分、バーゼル定刻到着。
写真は「ソフィーさんのマイページ」(訪問54カ国、文章1,500件 写真6,700枚)、
http://4travel.jp/traveler/katase/
スイスの写真が美しい「片瀬貴文さんのマイページ」(文章625件 写真2,400枚)
http://4travel.jp/traveler/takafumi/
ブログの作成日順に並んでいる「片瀬貴文の記録」(文章1,600件)
http://blog.alc.co.jp/d/2001114
(片瀬貴文)
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