ポルトガル周遊旅行(2009年末)/コインブラ散策編

2009/12/29 - 2010/01/03

今回の旅行を計画した際、訪れたい街として挙げたのがポルト・ナザレ・リスボンでした。ポルトからナザレへのルートは何通りかありましたが、いずれもコインブラを経由。日本を出発する前は、コインブラは観光せずにバスへと乗り換え、世界遺産の修道院があるアルコバサの街を見ようと思っていたのですが、アルコバサ行きのバスが当日は運行されないことをポルトで確認。急遽プランを変更して、半日コインブラを散策することにしました。このコインブラは、リスボンの北約200km、人口約15万人の大学都市で、政治のリスボン、商業のポルトに次ぐポルトガル第3の街です。モンデゴ川の北岸の丘に、大学を中心とした街並みが広がり、中世の城壁、ロマネスクの旧カテドラル、旧大学、サンタ・クルス修道院など見どころもたくさんありました。名門のコインブラ大学は欧州でも有数の歴史ある大学で、多くの政治家や文化人を輩出し、ポルトガルの歴史に重要な役割を果たしてきたそうです。ナザレ行きのバスが出発するまでの限られた時間でしたが、駆け足で街を歩いてみました。

□①12月26日　成田→JL407便→フランクフルト(泊)
□②12月27日　フランクフルト→LH4550便→ポルト(泊)
□③12月28日　ポルト散策(ドウロ河畔・旧市街)、ポルト(泊)
■④12月29日　ポルト→コインブラ(バス乗継ぎ)→ナザレ(泊)
□⑤12月30日　ナザレ→リスボン(ベレン散策)、リスボン(泊)
□⑥12月31日　リスボン散策、シントラ小旅行、リスボン(泊)
□⑦1月 1日　　リスボン散策、ロカ岬小旅行、リスボン(泊)
□⑧1月 2日　　リスボン→LH4531便→フランクフルト→機中泊
□⑨1月 3日　　JL408便(機中泊)→成田

エリア コインブラ(ポルトガル)

• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス
• 航空会社: JAL

ポルト・カンパニャン駅

ポルト編の旅行記で、市街の中心にあるサン・ベント駅を紹介しましたが、リスボンからの長距離特急電車が発着するのは、こちらのCampanha駅です。カンパニャン駅とサン・ベント駅はCPの近郊電車で1駅5分弱、またメトロ（1回乗換え）でもアクセスできます。

特急アルファ・ペンドゥラー

ポルトガルが誇る特急アルファ号です。この写真は28日に下見で訪れた際に撮りました。アルファ号はリスボンを基点に、北はポルト方面、南はファーロの街を結んでいます。

コインブラに向け出発

12月29日はホテルを7時過ぎにチェックアウトし、メトロでカンパニャン駅まで来ました。7時45分発のリスボン・サンタアポローニア行き、特急アルファ120号にてコインブラへと向かいます。少し時間があったので、駅のカフェテリアにて朝食。

アルファ・ペンドゥラーの1等車

1等は3列シート、2等は2+2の4列シートです。コインブラまでは1時間なのですが、せっかくの旅の機会なので1等車にしてみました。スーツ姿のビジネス利用者が大半でした。リスボンまでは約3時間だそうです。
デッキへのドア上部に電光掲示板があり、走行速度や外気温、到着時刻などが表示されていました。スピードは230km/hくらい出ていましたが、新幹線みたいに横揺れせず快適な乗り心地です。

1等車は飲み物と新聞のサービス

有料で座席での食事配達サービスもあり、しばらくすると係りが食事の要否を尋ねにまわってきます。今回は予め日本でポルト⇔コインブラの区間特急乗車券を手配しておき、現地の窓口で指定席券だけ購入(4ユーロ)しました。

コインブラに到着

特急が停車するのはコインブラB駅という街外れの駅で、そこからこの連絡電車でコインブラ駅までは1駅5分程度です。B駅は数多くの列車が発着し、電車の行き先表示板はあてにならないので、乗車前に自分の目的地に行くのか、現地の人に聞くのが賢明です。

コインブラの駅舎

コインブラのバスターミナルはこの駅から徒歩で15分程度離れた場所にあります。ナザレ行きのバスは13時30分の予定なので約4時間、街歩きに…。スーツケースは駅前のカフェ・クリスタルで預け（4時間までなら2ユーロ）、まず初めにバスターミナルの下見＆切符購入に向かいました。

旧市街の中心、5月8日広場

バスターミナルで無事にナザレまでの切符を購入し、駅方面へと戻るべく、適当に来たバスに乗ったはいいものの、どうやら意図している方向から外れかけている予感が…。「これはまずい！」と思って適当なバス停で降りたところが、街の中心にある市庁舎の裏手であることに気づきました。なんという幸運♪

広場から伸びる細い路地

5月8日広場はコインブラの商業の中心地区にあたり、広場に面して市庁舎やサンタ・クルス修道院が建っています。この広場からコインブラ駅の間は、バイシーニャという路地が入り組んだエリアで、飲食店などが多く集まっていました。

サンタ・クルス修道院

12世紀にアフォンソ・エンリケス王によって建てられたこの修道院は、16世紀にマヌエル1世により大規模な改修が施されたそうです。正面のファサードは地味な印象を受けますが、内部のアズレージョは見事なものでした。

サンタ・クルス修道院

賑やかな外と、厳かな雰囲気の漂う内部のギャップが大きかったです。側廊部分のアズレージョのブルーが美しいですね。回廊が見ものだそうなので、有料ですが入ってみることにしました。

回廊へのホール

どこの扉が回廊につながっているのか分かりにくかったのですが、それっぽいドアの前に佇んでいると、向こう側から開けてくれました。

こちらのホールのようなところで2ユーロを払うと、英語で書かれた説明書のファイルを貸してくれました。2つある扉の右側がトイレで、左側を開くと回廊へ出ることができます。

サンタ・クルス修道院 静寂の回廊

静寂の回廊Claustro do Silencioという名前の通り、外部の喧騒が嘘であったかのように感じられる静かな空間です。こちらの回廊はマヌエル様式の傑作とも言われており、土台はローマ時代に造られたものだそうです。

丘の上にある旧大学へ

コインブラの最大の観光名所、旧大学へと向かいました。丘の上の高いところにあるので、緩やかなバス通りを20分近く歩いていきました。ここまで来れば、あとは石段を上るだけ。街路樹のオレンジが豊かに実っていました。

旧大学 鉄の門

最後の石段が100段以上あり、気温20度のなか、結構汗をかいてしまいました…。総合図書館入口に、旧大学の「帽子の間」や「ジョアニア図書館」へ入場できるチケット売場があるので、まずはそこで購入しましょう。

コインブラ旧大学

鉄の門(写真右手)を潜ると、広い中庭へと出ます。正面左角には学生たちがカブラ(Cabra：山羊)と呼ぶ18世紀建造のバロック時計塔、中央部分には「ラテン回廊」と屋内の「帽子の間」があります。帽子の間は撮影禁止ですが、もとは17世紀に造られた宮廷広間で、後に学位授与の式典に使われたとのこと。

旧大学 ラテン回廊

Via Latinaと呼ばれるこの回廊の名の由来は、かつてこの場所では、ラテン語を話すことが義務付けられていたことによるものだそうです。冬休み期間中のせいか、学生の姿は殆ど見かけませんでした…。

旧大学 ジョアニア図書館

上の全景写真では左側手前にあるのが、ジョアニア図書館です。18世紀にジョアン5世により建てられたこの図書館は、20分おきに指定された時間しか入れませんが、内部は華麗な金泥細工と、30万冊ともいわれる蔵書、装飾性の高い調度品などで圧倒されました。

旧大学建物内の回廊

こちらは学生が出入りするスペースになっているように見受けられました。至るところにアズレージョがあって、素敵ですね。

旧大学の中庭より

眼下にはコインブラの街を流れるモンデゴ川と、オレンジ色の屋根の美しい街並みが広がっていました。この高さまで徒歩で登ってくるのは、確かに大変ですね。中心街からバスに乗って、大学構内に行くこともできるようです。

入り組んだ旧市街

手前にある要塞のような建物が旧カテドラルです。迷路のように路地が入り組んだ市街を下りていくと、旧カテドラルを経由して5月8日広場方面へと行くことができます。

新カテドラル

旧大学の近くにあるこの教会は、1598年にイエズス会により建築が始められ、完成するまでにほぼ1世紀を費やしたそうです。上部は華やかなバロック様式、下部はクラシカル・スタイルのファサードが印象的でした。

旧カテドラル

丘の中腹にあるこのロマネスク様式のカテドラルは、初代国王アフォンソ・エンリケスの命を受けて12世紀半ばに建設されたもので、要塞を兼ねていたそうです。カテドラル前の小さな広場からは、小路が四方八方に分岐していて、迷いやすいです。

旧カテドラルの内部

ポルトガルで最古のゴシック様式の祭壇だそうです。正面入口そばにある階段を上っていくと13世紀のゴシックの回廊に出るそうですが、時間の関係もあって入場しませんでした。

旧カテドラル

拡大してみると、壁面には精巧な模様のアズレージョがあることがわかります。

旧カテドラルから、人々の往来が最も多い通りを進んでみることにしました…。

旧市街の路地と階段

旧カテドラルからは、このような幅が狭い階段を下りていきました。道に沿って、ところどころに土産物店などがありました。

アルメルディーナ門

路地を下りていくと、何とも街並みに溶け込んでいる感じの城門が現れました。アルメルディーナ門といい、中世の城壁の門だったそうです。この門を潜ると、コインブラきっての繁華街、フェレイラ・ボルジェス通りにぶつかります。

フェレイラ・ボルジェス通り

市庁舎のある5月8日広場へと続く、街のメインストリートです。右手が旧カテドラルや旧大学に続く丘、左手はバイシーニャ地区になります。

バイシーニャ地区のレストランの通り

バスターミナルに13時過ぎにはたどり着きたいので、逆算すると12時頃にはお昼を食べ始めなければ…と思い、レストランを探し歩いているところです。

手軽な中華の昼食

駅の近く、地図にも載っていた豪華飯店というチャイニーズ・レストランで、春巻きと海老炒飯をいただきました。中華は早くて、安くて、急いでいるときには有難い存在です。

駅前のカフェでスーツケースをピックアップし、タクシー(チップ多めでも5ユーロ)でバスターミナルに向かいました。駅前からわずか3分程度で到着し、無事、13時30分発のバスに乗ることができました。

この旅行記へのコメント （9）

• わんぱく大将さん 2011/12/12 06:33:27

  同じラテンでも

  shimonさん
  
  旅行記見ていただき有難うございました。　　お礼が遅くなり、すみません。
  ポルトガルは同じラテンでも、イタリア、スペインに比べ、真面目な人が多く、また、キリスト教を信じてる人が多いのもポルトガルだそうです。
  建物自体、大きくて華やかな感じもうけますか、国民気質というか、そういういうのも見えますね
  
  大将

  shimonさん からの返信 2011/12/17 08:36:09

  RE: 同じラテンでも

  大将さん、おはようございます。
  
  コインブラの旅行記へのご訪問、どうもありがとうございました。
  たしかにポルトガルに華やかさはあまり感じませんでしたが、どこか
  素朴で、敬虔な人々の多い国だなぁというのが第一印象です。
  
  教会建築も外観は地味ですが、内部には色鮮やかなアズレージョが
  いっぱい敷き詰められていたりして、意外性もありました。
  
  shimon

• zzr-cさん 2010/03/19 17:10:36

  街並み

  shimonさま　こんにちは
  
  zzr-cです。
  
  ポルトガルの旅行記にお邪魔しております。
  
  ポルトとコインブラまで一気見しました。
  
  ヨーロッパの街並みは重厚な造りで歴史を感じますね！
  
  しかし居住区は全く違う一面もあるようです。
  
  ちなみにポルトガルが誇る特急列車ですが、
  日本のものに比べるとちと横幅が狭いように見えますが・・・
  どうなんでしょう？
  
  zzr-c

  shimonさん からの返信 2010/03/27 12:37:35

  RE: 街並み

  zzr-cさん、こんにちは。
  
  先週末は宮崎に出かけていたりしたため、お返事遅くなりました…。
  
  ヨーロッパの歴史のある街並みやその土地の美術館等を巡るのが好きで
  欧州には毎年のように足を運んでいますが、ポルトガルも素敵でした。
  ポルトもコインブラもリスボンも、それぞれ違う良さがあるんですよね。
  
  ポルトガルの特急列車の車体幅ですが、3列シートゆえ少し狭く見える
  のかもしれません。乗ってみた印象ではそれほど窮屈でもありません
  でしたが、確かに東海道新幹線なんかと比べると確かに狭いのかもしれ
  ないですね。
  
  shimon

• パルファンさん 2010/02/27 00:21:17

  お尋ね〜

  こんばんは〜
  
  旅行記はすっかり出来上がり、もう次ぎの旅行が頭によぎるのでは？
  でも、印象深いポルトガル旅行でしたから、まだまだ余韻に浸ってます？
  
  さて、お尋ねしたいのですが、パルファンも、ポルトからリスボンに向う
  行程を考えてます。
  ポルト3泊のあと、コインブラに立ち寄り、その日の内にリスボンに。
  
  そこで、荷物を持ってのコインブラ入りなのですが、このコインブラＢ駅に
  荷物を預けるところがあるかどうかご存知でしょうか？
  或いは、Ａ駅のように、駅前に荷物を預けれるカフェがあるとか・・
  
  コインブラから、リスボンには又、特急アルファ・ペンドゥラーを利用する
  つもりでして・・
  用件だけになってしまいましたが、おわかりでしたら教えて頂けますか？
  
  パルファン
  

  shimonさん からの返信 2010/02/27 03:37:57

  RE: お尋ね〜

  パルファンさん、こんばんは。
  
  早速ですがお尋ねの件、結論からいうとB駅にコインロッカー
  のようなものがあったのかは覚えていません。駅の外ですが、
  コインブラ駅（A駅）のように賑わってはいない感じでした。
  
  私が訪れたときは、ポルトからのAPをB駅で降りたホームは
  特急が停車するため、それなりに長いホームでした。降りた
  向かいの番線の、リスボン側にコインブラ駅との連絡列車が、
  ポルト側には別の場所に向かう近郊列車が停車していました。
  （長いホームの南北で、2本の別の列車が停車する格好です）
  その長い島式ホームの真ん中付近に、切符販売窓口と待合室
  がありましたが、ロッカーが近くにあったかは記憶不鮮明です。
  
  A駅前にあるカフェ・クリスタルは荷物と引き換えに番号入り
  引換証を渡されるので、誤って他人に荷物が渡るリスクは低い
  と思われます。私の主観では「このカフェなら安全そうだ」だと
  その場で感じました。
  
  ですので、A駅まで持っていかれて、そこで預けたほうが確実
  かなぁと思います。
  
  旅行記は、まだリスボン編が途中までしか完成していないので、
  そろそろ再開しないといけませんね。ポルトはとても素敵な街で
  気に入りました。滞在中、青空が望めるといいですね♪
  
  shimon

  パルファンさん からの返信 2010/02/27 22:46:53

  RE: RE: お尋ね〜

  こんばんは〜
  
  お忙しいのに、素早いお返事ありがとうございましたm(._.)m
  コインブラＢ駅の様子が伺え、とっても有用な情報でした。
  
  日本の新幹線新駅も、都合悪い所にあるところも・・
  先日行った尾道に対して、新尾道。なんとエレベーターが
  ホームから外の車庫に出てしまう荷物用しかないんですよ。
  旅行のインフォも手に入らず・・日本だからよかったのですが。
  
  さて、コインブラ
  荷物を持ってＡ駅まで行き預かるのが、今ある情報として
  一番なのでしょうね。がんばりますか〜
  
  関連して、もう一つ質問、Ｂ駅を出るとタクシープールはあるかしら？
  一度にお聞きすべきなのにごめんなさい。
  
  韓国の出張旅行記・・いいなぁ〜
  まずは、これが飛行機の食事！って感嘆
  仁寺洞でお茶を頂き、川沿いを散策するなど密度の濃い一日でしたね。
  
  では、またよろしく　　パルファン
  
  

  shimonさん からの返信 2010/02/27 23:25:40

  RE: お尋ね〜

  パルファンさん、こんばんは。
  
  確かに市街地から離れたところに高速鉄道の停車駅がある
  事例も増えてきていますね。
  
  コインブラB駅のタクシー乗り場ですが、実際には構内から
  外には出ていないので分かりません。殆ど駅周辺には商店が
  ない街外れの駅という雰囲気でしたから、タクシーが待機して
  いる確約はないかもしれません。グーグルアースで上空から
  覗くと、ホームから見て南東側に小さなロータリーらしきものが
  あるのですが、実際に見てみないと分かりませんね…。
  
  因みにA駅の前はバス停やタクシー乗り場もあって、それなりに
  賑やかでした。
  
  ソウルはスーツ＆革靴のため行動範囲はどうしても狭まりますが、
  まずまずエンジョイしてこれました。
  
  shimon

  パルファンさん からの返信 2010/02/28 00:48:38

  RE: RE: お尋ね〜

  遅くにおじゃまです・・
  
  早速のお返事ありがとうございます！
  
  タクシー乗り場の件、そうでしたね、出てませんものね。
  グーグルアースで見るというのも一案ですか〜
  試してみます。
  
  スーツと革靴！
  きめたshimonさんをみてみたいなぁ〜
  
  では、おやすみなさい　　　パルファン