2007/03 - 2007/03
20515位(同エリア24431件中)
サバーイさん
三島の小説に描かれたワット・アルンの点描です。
「 」は三島の描写です。
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「近づくにつれて、この塔は無数の赤絵青絵の支那皿を隈なく鏤(ちりば)めているのが知れた。
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いくつかの階層が欄干に区切られ、一層の欄干は茶、二層は緑、三層は紫紺であった。
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嵌(は)め込まれた数知れぬ皿は花を象(かたど)り、あるいは黄の小皿を花心として、そのまわりに皿の花弁がひらいていた。
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あるいは薄紫の杯を伏せた花心に、錦手の皿の花弁を配したのが、空高くつづいていた。葉は悉く瓦であった。
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そして頂からは白象たちの鼻が四方へ垂れていた。
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塔の重層感、重複感は息苦しいほどであった。
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色彩と光輝に充ちた高さが、幾重にも刻まれて、頂に向かって細まるさまは、幾重の夢が頭上からのしかかってくるかのようである。
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すこぶる急な階段の蹴込も隙間なく花紋で埋められ、それぞれの層を浮き彫の人面鳥が支えている。
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一層一層が幾重の夢、幾重の期待、幾重の祈りで押し潰されながら、なお累積し累積して、空へ向かってにじり寄って成した極彩色の塔。
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メナムの対岸から射し染めた暁の光を、その百千(ももち)の皿は百千の小さな鏡面になって素早くとらえ、巨大な螺鈿細工はかしましく輝きだした。
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この塔は永きに亘って、色彩をもってする暁鐘の役割を果たして来たのだった。
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鳴りひびいて暁にこたえる色彩。
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それは、暁と同等の力、同等の重み、同等の破裂感を持つように造られたのだった。」
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