2009/07/04 - 2009/07/13
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アルデバランさん
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<アラヤネスの中庭とコマレスの塔>
ご主人様、いよいよお目当てのナスル宮殿です。
ナスル宮殿はメスアール宮、コマレス宮、ライオン宮とそれらの付属施設から成り、ご主人様いわく、西側手前は公的な要素が強く、奥へ行けば行くほど私的要素が強くなるそうだ。
幸い空いていたんでゆっくり見ることができました。
彼方此方チョロチョロするなと怒られましたが、ご主人様は2回目なんでいいけど、我輩はなんせ始めてなんで許して下さい…
-
まずはメスアールの間。
床にしかれたレンガとタイルの擦り切れ度合いが歴史を感じます。
なに?観光客の多さでこうなった?
夢がないですなあ… -
それじゃあこれならどうだ!
玉座の天井でっせ。
なに?後から改修した?
クー… -
よーっし、これならどうだ!
腰壁タイルのアスレホ、柱頭から上の漆喰細工!
伊豆の長八も真っ青でっせ!
なに?これも、後からの改修… -
よおーし!
これで勝負!
染みじゃないよ…
かつての栄華を物語る名残り!
よくこんなもん見つけたね…
負けました。 -
マチューカの庭を眺めるとこんな感じです。
それにしてもこの池の形は何を表す… -
この木組みは16世紀にキリスト教の礼拝堂に改修されたときの聖歌隊席の手摺の欄干だ。
正面の壁はマチューカの中庭を隔てる壁だが本来は無かった。メスアールの間は庭に面して開かれた間だったんだ…
長方形で寸詰まりになっているのは、後にカソリックの礼拝堂の為壁で仕切ってしまった為だ。 -
オリジナルではないにしても綺麗な事は綺麗ですね。
奥の壁際の天井。 -
メスアールの間の北側に付属するイスラムの礼拝室。
部屋の形が変形で斜めなのは「キブラ」のため。メッカの方向を向いて礼拝する必要があるからだ。
では、メッカにある礼拝堂はどうかと言うと、そんな意地悪な質問しないで…
答えはメッカにあるカーバ神殿の方向を向いている… -
礼拝室の右側の壁は壁龕が打たれており、いわゆるミフラーブになっている。
-
なぜかひたすら床のレンガをデジカメに収める人。
最初から最後までずっと取り続けてました。
もう一人ここではレンガをメジャーで計って記録している人もいました。
いずれにしても根気のいる事です。お疲れ様… -
メスアールの間にあった装飾タイル、アスレホ。
さあ、この絵のヘラクレスの柱の様にここで頑張る!
ではなくて、「プルス・ウルトラ」もっと向こうへ、更なる前進だ。 -
で、前進すると黄金の間だ。ここで見るべきは首が疲れるのを覚悟して天井。
木組装飾に金箔が施されてるのでそう呼ばれるが、ゴシック模様が渋すぎる。
周りの石膏細工と合ってる? -
ここの窓からも対面のアルバイシン地区が良く見える。
サンニコラスのファン・ラナスを見て見ましょ… -
そして、黄金の間に面するのがメスアールの中庭だ。
ここは気に入りました!
この四方に囲まれた中庭は明るく気持ちがいい。
正面が、次なるコマレス宮の正面入口だ。
左の入口からコマレス宮に行ける。では右はと言うと
ピッタリ閉まってたんで分かりません…
3段の大理石の階段もただの階段でなく大きく風格がある!
何故か、左右の入口とも形はアーチになっていない…
この壁は後の世にだいぶ手が加えられているそうだ。
でも優美。 -
逆に黄金の間をみるとこうだ…
なぜ、このメスアールの中庭が気に入ったか分かった。
一層部分のアーチと二層の窓の均整の取れたバランスもさることながら、真ん中に配した水盤と大理石、中庭特有の開放感、そして何よりも左右の壁は2階までフラットで化粧をほとんど施してない漆喰だ。
この明るさがなんともいえない! -
中庭を囲む黄金の間と対面は2層になっており、軒下までびっしりと漆喰細工が施されている。
屋根の垂木の部分までボツボツと化粧細工がしてある。 -
黄金の間から遊んでみました。
屋根部分は木造の上に瓦を乗せてるのが分かるが、構造的にも石造りでなく木造で漆喰をめぐらしているようだ。石はきっと重くてゴメレスの坂を登らなかったんだろう… -
黄金の間のアーケードの上の慎ましやかな2連窓。
-
最大の謎。
今回のナスル宮殿で疑問点が二つ…
その一つ目がこれだ!
メスアールの中庭にあるトンネル。コマレスの塔、大使の間の方向に穿ってあるので、ここがボアブディルとその母親アイシャが父王に幽閉された牢獄なのか? -
いよいよコマレス宮に入る。
まず目に入るのはコマレスの塔とは反対側の南面の7連のアーチが2層に重なりその間に、先程のメスアールの中庭で見た2連窓を中心に、小さな窓を7つ並べた、一見二階建て実は三階建ての優美なアーケードだ。
ただし、これはアーケドだけで後ろに部屋はない。
その証拠の画が次の横から俯瞰した画だ。 -
アルカサバの円塔の上からナスル宮殿、カルロス5世宮殿を眺めると…
手前がマドラサの中庭、正面はメスアールの間だが、その右にカルロス5世宮殿がギリギリまで迫る。
まるで、双方の壁がくっついている様だ。こんな事をした犯人はもちろんカルロス5世だ。 -
どうやら、カルロス5世は宮殿からナスル宮に直接行き来できるように繋げたかったらしい。
アラヤネス中庭の両サイドのうち西棟の端にある部屋の階段から見上げると、
カルロス5世宮殿の中が見え、階段で行き来できることが分かる。 -
その西棟の端の部屋の窓の年代物の鉄。
外はカルロス5世宮殿だ。 -
ウーン
この凛とした美しさ… -
両サイドの柱廊の天井。
なぜかつっかい棒のような鉄の棒を渡してある… -
アラヤネスの中庭に面した柱廊というか回廊の両脇にあるアルコーブ。
何に使用したのか、天井は見事なモカラベというかムカルナス(鍾乳石飾り)と腰壁のアラベスク模様のアスレホ(彩釉タイル)
洗面器のような水盤をポツンと置いてある部屋もありました… -
大使の間の前の柱廊。
それでは、コマレスの塔にある大使の間に行って見ましょう。 -
大使の間に入るにはその前にバルカの間という細長い部屋を通る。
この天井は先程の細長い黄金の間やアラヤネスの中庭の両サイドの柱廊の天井と同じように木製の見事な細工がしてある舟形天井だ。
それにしても、左右の部屋は控えの間なのか物置のような感じでパッとしない… -
でも、見上げると貫禄あるアーチといい、漆喰細工といい、たいしたものだ!
アーチの向こうが大使の間。 -
見上げついでに…
バルカの間、入口のアーチ。その上の精緻な透かし彫りのはめ殺し窓。
戸の軸受がこれまた木製のムカルナス! -
横の壁に50cm位の馬蹄形アーチの小さな壁龕が…
何の為にあるのか?
照明を置いたとか、彫られた周りの文言から推測するに水を張った水盤があったとか…
大胆にもここに赤ん坊を入れて記念撮影をしていたお母さん、止めましょう。 -
大使の間。
まずは、やはり天井…
征夷大将軍が座する二重折上格天井も顔負けの細かな木工細工の天井だ。
丸いドームではなく2回折れ曲がった3段ドーム。
真ん中はポコっと凹んでムカルナスだ。
アービングも奇妙な建て組みの円蓋と言っている。 -
上ばかり見上げていたので、目を床に転じてみると
ちょうど天井の真ん中の真下にいかにも古そうなタイルが…
正真正銘のラスター・コバルト彩のアスレホだ。
分かりにくいがマグレブ文字も見える…
長い年月で輝きを失っているのが残念だ。
遅ればせながら保護するためなのかロープが張られ立ち入り禁止。 -
天井まで壁一面の漆喰細工。
この謁見の間のアラビア文字とアラベスク模様の役割はきっと、大使たちを幻惑させる役割に違いない…
異教徒の攻勢にさらされたナスル朝グラナダ王国にとって生きる道は外交政策しかなかったのか…
それとも、富と技術を誇らしげに見せつけ虚勢を張っていたのか… -
大使の間の奥のバルコニ。
この塔は外壁も兼ねており、このバルコニは当初はなかったが、
防衛とか機能よりも美意識を優先させた…
アービングはこのバルコニに座って眺めることがいたく気に入ったようでここからの眺めを感傷を込めて記述している。 -
アルバイシンやダーロ渓谷から見た外側の無骨な石積みの塔からはとても想像ができない華麗な内部。
-
次、ライオン宮、行ってみましょ。
あちゃー…
逆光だわー!
でも、光と影が織り成すコンチェルトと言っておこう。
中庭の真ん中にあるはずの主役のライオンはドック入りで不在。
水盤がでかーいケースに入ってました… -
それなら、これでどうだ!
スラリとした柱の林。
アルハンブラと言えばナスル宮、ナスル宮と言えばライオン宮
核心中の核心…
ナスル宮の面白い所はコマレス宮と後に出来たライオン宮の向きが90度の直角の配置にあることだ。
意識的な配置なのか不明だが、方向音痴の人は自分が何処を向いてるのか分からなくなる… -
だがしかし、北側の諸王の間も修復中!
と言うことは、諸王の間の天井も見れないのか。
がっかり…
養生のベニヤが空しい。
東西双方のアーケードからせり出してるパビリオンは角錘屋根なんだ。 -
仕方ないので、西側のパビリオンの噴水。
当然ことながら水も枯れてました…
ライオンの噴水から四方に水路が走り各部屋の中まで続いている。水路で四分割された中庭…
てっきり、ライオンの噴水から四方へ水が流れると思っていたが
どうやら逆のようだ。段になっている。
四方から真ん中に流れるようだ。 -
カトリック両王はボアブディルをアフリカの彼方に追っ払いグラナダを征服したとき、
この諸王の間に祭壇を設け大戦勝ミサを挙行したそうだ。
残念ながら中には入れない…
でも、その名残りが回廊の天井に?
まさか、グラナダ音楽祭で諸王の間は会場にしないよね… -
同じく回廊の天井。
ご主人様が想像するに、イサベルとフェルナンドの頭文字だということらしい。
でもね、イサベルの頭文字は「I」でっせ。
眉に唾ですな… -
オアシスの椰子を表すってこじつけの様な気もするが…
柱はダブルもあれば、欲張ってトリプルもある。
架構のためでなく、装飾のためですな…
円柱しかもすらっと細く、柱頭からアーチまでは四角
で漆喰細工がびっしりと。椰子か…
バックは例によってカルロス5世宮殿… -
中庭の四方はアベンセラーヘスの間、二姉妹の間、諸王の間、モカラベの間。回廊とアーケードがぐるっと取り囲む。
そのアベンセラーヘスの間に入ってみました。
天井のムカルナスのハニカム・ヴォールト。
星型の移行部から16個の窓を経てドームだ
コマレス宮までの天井はいずれも精緻な木工細工だったが、ライオン宮は一転してモカラベ(ムカルナス)の天井だ。 -
アベンセラーヘスの間の床。
美しい大理石と真ん中に噴水が…
部屋の中に噴水とは贅沢な。 -
柱廊にもところどころに噴水が。
よそ見して歩くと、溝に足を取られる。
いやいや、ココは王の私的空間、所謂大奥。
各噴水脇には女性が侍っていたので心配ご無用… -
箱入り噴水。
大事にされてます…
チョットゆっくり見すぎたようだ。
もう、7時45分だ…
先を急ごう!
二姉妹の間は明日報告します… -
王の浴室の屋根。
星型の明り取りにガラスの蓋がしてある。
明日、悲劇が起きることなどこの時は
予想だにしなかった… -
リンダラハの中庭を上から覗く。
小ざっぱりしているが、叢林が覆いチョット狭苦しく感じる。
やはり後に建てたカルロス5世の部屋、王妃の化粧の間が邪魔してるのか?
この噴水、マチューカの中庭の池の形に何となく似てない? -
廊下を進むと、広間に出るが、
天井がですね、何故か歪んでるんですよ…
施工が悪かった? -
「イーヴィング」って何?
と聞いたら、ご主人様から雷が落ちた。
「バッカモーン!
ここが、ワシントン・アービングがあの本を書いた部屋だ!」
お、思わず、仰け反る… -
そのワシントン・アービングの部屋。
でも、ドアの上につけないでね。
一瞬このドアの向こうがアービングの部屋かと
思ってしまいました。
この奥はカルロス5世の部屋が有るんだよね。
アービングはブルボン家のフェリッペ5世と書いてるけど… -
またまた、見晴らしの良い渡り廊下にやってきました。
カルロス5世は大使の間からやはりこの景観を見て
「不運な男もいたものよ、この一切を失ったとはな!」
と言ったとか… -
チャピス坂からサクロモンテ方面も見てみると…
-
コルドバ邸を300ミリまでズーム。
今日は開いてます。
下からは分かんなかったけど、中は回廊式でやはりパティオがあるようだ。 -
レハの中庭。
リンダハラの中庭と違って至って簡素で慎ましやかだ…
長椅子の上の鉄格子、なんか危なっかしいね… -
リンダハラの中庭を出ると、メスアール、コマレス、ライオン宮から成るナスル宮殿は終わりです。
そして、そこにはパルタル宮殿。 -
広場のようになっており、ナスル宮殿の濃厚なアスレホ、漆喰細工、木工細工、ムカルナス、大理石そして
時間を忘れる建築美の堪能の後でホッとできる空間だ。
もう、8時… -
アラヤネスの中庭の池よりデカイ池の向こうに貴婦人の塔。
シンプルでいいね。 -
逆に貴婦人の塔から池越しにユスフ3世宮殿跡方面を見る。
-
ユスフ3世宮殿跡方面に階段を登ってさあ、出ましょう…
出口の門は閉まっていたけど無理に出る…
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この旅行記へのコメント (2)
-
- のまどさん 2014/01/22 22:28:06
- 参考にさせていただきます。
- アルデバランさん、こんにちは。
かばん持ち…娘を持つお父さんの苦労をユーモアに表したタイトルですね。(最初、ご主人様は奥様のことだと思っていました。)
来月、太陽崇拝のためグラナダに参ります。アルハンブラは自身の怠慢で4時間しかチケットが確保できなかったので、事前に情報収集をして効率的に回りたいです。アルデバランさんのブログから歴史や建築に関するお知恵をご拝借すべく、度々お邪魔させていただきます。
ラオスのエレファントビレッジ、近々リベンジできるといいですね。
- アルデバランさん からの返信 2014/01/22 23:41:03
- RE: 参考にさせていただきます。
- のまどさん こんにちわ
スペイン、グラナダですか、楽しみですね。
とても懐かしくかつ羨ましいです。
たしか5年ほど経ちますが、ほどんど何も変わっていないでしょうね。
おっしゃる通り娘との二人旅は貧乏旅行でしたので小洒落たショップやレストランには行けませんでしたが楽しめました。
私もぜひ再訪したいのですが、体力面、金銭面でついつい近場になってしまいます。
ということで、先週の連休はミャンマーでした…
充実した楽しい旅をなさって、その様子の報告をお待ちしております。
アルデバラン
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