2008/07/31 - 2008/07/31
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鯨の味噌汁さん
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さて、旅の三日目。
前夜、ウィーンで「全世界おのぼりさん御用達コンサート」を鑑賞した翌朝、路面電車でウィーン南駅へ移動。
とりあえず、プラハの途中にあるブルノという町までのキップを買う。
ブルノはチェコ第二の都市であり、地方へのバス便が発達している。
であるからして、ブルノ駅に降り、時刻表を確認し、次の予定を組むことにする。
ウィーン南駅9:00発の国際特急。13両、食堂車も連結した、堂々たる編成だ。
が、途中事故があったらしく、特急のくせに各駅停車なみのスピードでトロトロ走っている。
ブルノに到着すると、すでに正午だった。
駅を降りて、最初に教会の尖塔が目に入った。よさげな感じである。
人口は多いが、旧市街は小さくまとまって、上品だ。
駅に接したバスターミナルで、次の目的地を調べるうち、
「ここに一泊してもいいではないか」
と思ってしまう。
で、結局そのまま宿を決めてしまった。なんていい加減な。
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チェコは、ビールの国だという。
「ビールを飲まないヒトは入国を拒否される」
「入国審査の係官がビールを片手にチェックしている」
「水道はビールが出てくる」
などとガイドブックには書いており(全部ウソだが)、いやがうえにもビールを飲まねば、と思ってしまう。
というわけで、街の見物もそこそこに、旧市街の真ん中にある広場のカフェで、昼間っからビールを飲んでしまう。
念のため言うと、そういうヤカラは鯨だけではない。
バカンスの季節であるから、地元の方々も、こぞってビールを飲んでいらっしゃる。
乾いた空気で、日差しは強い。かつ、当然のように地ビールなので、やたらとうまい。
どのくらいうまいかというと、勃起屹立、即発射可、というくらいのうまさである。(よくわからない)
「ビールうまいぞよさこい踊り」でも踊りたいくらいだ。(これもよくわからない)
たちまちグルグルにまわってしまう。(好きなくせに弱い)
で、結局、またもホテルに戻ってヒルネをしてしまった。
中欧を旅しているのだが、連日のシエスタとなってしまう。
お天道様にまこと申し訳ない。 -
暗くなってから目がさめ、またもその店に行き、ビールを飲んでしまう。
と、隣で静かに飲んでいた50歳位のチェコ人のおじさんが、ふと、こちらを向いて話しかけてきた。
「中国人か、日本人か」
「日本人だ」
「何でこの街に来たのか」
「斉藤寝具(サイト・シング)」
「日本人なんて来ないぞ。みんな素通りしていく」
「町がきれいだから」
おじさんは、いたく喜んだ。
なぜか隣の席から移動してきて、乾杯してしまう。
「おれはこの街で、日本人にカラテを習っている」
げげげ。相手をさせられては堪らん。
「残念ながら、私はスモウ・レスラーである。空手は知らない」
めちゃめちゃな理由で逃げをうつ。
「おお。スモウも素晴らしい。ウワテナゲ。オオソトガリ。ハライゴシ」
ちょっとまて、上手投げしか正解じゃないぞ。柔道と混同しとるぞおじさん。
「日本人はどれくらいバカンスを取るんだ」
「1週間」
「なんてこったい。チェコ人は8週間だ。日本人は虫みたいに働くんだな」
「かたじけない」
おじさんはそれから、聞きもしないのに、自分のことを延々としゃべった。
「若いころ、アメリカにいたんだ。
カリフォルニアに家を買った。
でも、おふくろがトシ取ったから、こっちに戻ってきたんだ」
そう言いながら、名刺をくれた。
世界的な生命保険会社の、シニアディレクターだった。
こっぱげで、小柄なオヤヂなのだが、エリートなのである。
親の面倒をみるため、故郷に戻ってくる、なんて、そのまま日本でもある話だ。
アメリカが東京、そしてチェコが新潟、と思えば、どこも事情はいっしょだ。
変われば変わるほどいよいよ同じ、というコトバが浮かんだが、残念ながら英訳できない。
おじさんは、若いころ猛勉強して、アメリカに留学したんだろう。
そして、かの地で働き、家庭を持ち、家を買ったのだ。
チェコが民主化したころ、最初に国外に出て行った世代かもしれない。
このエリートのおじさんとは、握手して別れた。
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この旅行記へのコメント (2)
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- しょうちゃんさん 2009/05/29 22:17:49
- ブルン
- またまた、楽しく旅行記拝見。本になりますよ。ブルン(ドイツ語読み)にはメンデルの法則のメンデルの名を関した大学(Mendel University of Agriculture and Forestry)があります。この大学で開催されたConferenceに参加したとき、Conference 終了後、アメリカ人のなかに昔祖父がすんでいた町を訪れる人や、祖父の兄弟に会いにいく人がいました。そういえば、エルビス・プレスリー(ハンガリー系)の両親も、戦後の混乱期にアメリカにわたったとか。1,961年生まれの奥様は美人ですね。アラブに行って、こう言うのはタブーですけど。なお、ハイランドの牛は一匹いましたね。エディンバラのお店は、マッスル・インでは?補足:自費留学していたときは、夜行列車をよく利用しました。赤羽トンネルの住民より
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2009/05/31 07:31:32
- RE: ブルン
- おはようございます。ご訪問ありがとうございます。
ブルンはメンデルの出生地、確かにそうでした。
あまり観光施設なんてのはありませんでしたが・・・
どちらかというと堅実な地方都市、という空気でした。
エジンバラのレストランはマッスル・イン、正解です。
あとで見たら、ガイドブックにもちゃんと載っていました。
配偶者の写真は、厳選して載せています。(殴られるので)
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