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    <閑話休題>  「イサーン(vulko)について」<br /><br />旅行作家桑野淳一氏の著書、「タイの古寺を歩く」の書き出しにイサーンについて次の様な記述がある。「あてもなくタイの野山を縫って、古寺を歩いた。かつて鬱蒼とした森に包まれていた大地を歩いた。このタイの深い森には1万年前から既に人が住んでいた。更に彼らはおどろくべきことに世界初の農耕民であり、世界初の金属加工技術を持っていた民だった。<br /><br />世界最古の文明と言われる中国でさえ紀元前4千年頃はキビを栽培している状態だった。その頃、タイのバンチェンでは既に稲作が行われていた。更にバンチェンでは紀元前3千年に青銅器を製作した跡があった。青銅器の製作はメソポタミアで紀元前二千八百年、中国では更にそれより千年後のことであるから、今のところ、やはり世界最古の青銅器文明はタイにあったということになる。<br /><br />しかし、一介の旅人にとって、この森に抱かれればそんなことはどうでもよい。この深い、幽玄なる森にまぎれもなく人類最古の文明が宿っていた事実の方が大きい。その森を彼らが生きて歩いたように、私もまた森の風を受けて歩くことができればそれでいい。」<br /><br />引用が長くなったが、氏はこのイサーンの地をこよなく愛していたに違いない。<br /><br />イサーンの森。数千年前は至るところ鬱蒼と繁っていた森も今は大半赤茶けた草原になっている。しかし当時を彷彿させる森林もまだ僅かに残ってはいる。<br /><br />その一つがピマーイ遺跡近くにあるタイ国天然記念物、「サイガーム」(.mi:k,)。<br /><br />1本の根から枝分かれしたバンヤンツリーは大きさでいえば東京ドームの半分程の広がりを持っていて他を圧倒していた。沖縄県名護市のガジュマルは樹齢数百年で、流石に大きく国の天然記念物に指定されているが、このサイガーム(=バンヤンツリー、ベンガル菩提樹、ガジュマルの一種)は名護のそれの数百倍、いや数千倍する大きさと広がりを持っていた。<br /><br />一体いつの時代から繁茂し始めたのだろう。屋久島の縄文杉が樹齢六千年、台湾阿里山の神木にしても五千年の樹齢であるとすれば、このサイガームは一体何年になると言うのだ。1万年であってもおかしく無い。遠方から眺めればこれ一つで大きな森を形成している。イサーンの森は今もこの様な形で残されていたのだ。数日前バスで横断したピサヌローク−ウドンタニの間に横たわるドンパセージェ山脈の奥深くには今尚人跡未踏の密林があるだろう。タイ国土の約三分の一の広がりを持つイサーン地方は、豊富な自然と、タイ・ラオス・カンボジアとの過去数千年に亙る民族の混交による豊かな文化が醸し出されているのだ。<br /><br />バンコクよりも相当海抜が高い高原地帯は心なしか気候温順で、湿気も少なく、真夏の国の中であってもしのぎ易さが感じられた。しかし乾燥の結果、多くの森林が失われ、牧草地も荒れ、タイの中では所得の低い地域に数えられていて、国内では住みづらい地方のイメージもあるが、部外者にはそうは見えなかった。むしろ部分的にアメリカナイズされたコンテンポラリーとマッチし、唄と踊り、食事、人々の感情の豊かさ、等々イサーン独特の文化と伝統は見るものに本当のタイ人の心、ホスピタリテイー、今やバンコクから急速に失われつつあるタイ人の良き善風は、尚且つこの地方に薫風として残されていると感じられた。<br /><br />ウドンタニ、コンケーンの新しい町、コラート、ピマーイの歴史ある町。森と草原、牧草地。メコンの流れ。イサーンも悪くない。水田の少なさに余りある広大な平地は、開発次第によっては急速な所得の向上をもたらすに違いないが、イサーンの人々は必ずしもそれを望まず、現状に満足しているが如くであった。ここにも又純朴な人々が生活している。<br /><br />年金受給者の老後の生活場所としてチェンマイ辺りの人気が高いが、当方にはこのイサーン地方のいずれかの町の方がむしろ住み易いように感じられた。物価の安さはチェンマイとそれ程変わらないか安い位だが、少なくともこの地方ではチェンマイにある様なスモッグは全く見られず、その限りでも健康的である。コラートとバンコクの間の山間部には大きな湖があり、バンコクからは車で僅か2時間程度の距離に、リゾート地として開発整備された風光明媚な避暑地もある。緑陰の中での年金生活は理想的とも思えた。<br /><br />或いはルーイの山奥で仙人のような予後の生活を送るのも悪くはない。桃源郷がタイのどこかにあるとすれば、イサーン地方のどこかにあるに違いない。イサーンには又来よう。今度はじっくりゆっくり見て回ろう。<br /> <br />

タイーラオス3000キロの旅(28)イサーンについて;

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2007/04/24 - 2007/05/08

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ちゃお

ちゃおさん

   <閑話休題>  「イサーン(vulko)について」

旅行作家桑野淳一氏の著書、「タイの古寺を歩く」の書き出しにイサーンについて次の様な記述がある。「あてもなくタイの野山を縫って、古寺を歩いた。かつて鬱蒼とした森に包まれていた大地を歩いた。このタイの深い森には1万年前から既に人が住んでいた。更に彼らはおどろくべきことに世界初の農耕民であり、世界初の金属加工技術を持っていた民だった。

世界最古の文明と言われる中国でさえ紀元前4千年頃はキビを栽培している状態だった。その頃、タイのバンチェンでは既に稲作が行われていた。更にバンチェンでは紀元前3千年に青銅器を製作した跡があった。青銅器の製作はメソポタミアで紀元前二千八百年、中国では更にそれより千年後のことであるから、今のところ、やはり世界最古の青銅器文明はタイにあったということになる。

しかし、一介の旅人にとって、この森に抱かれればそんなことはどうでもよい。この深い、幽玄なる森にまぎれもなく人類最古の文明が宿っていた事実の方が大きい。その森を彼らが生きて歩いたように、私もまた森の風を受けて歩くことができればそれでいい。」

引用が長くなったが、氏はこのイサーンの地をこよなく愛していたに違いない。

イサーンの森。数千年前は至るところ鬱蒼と繁っていた森も今は大半赤茶けた草原になっている。しかし当時を彷彿させる森林もまだ僅かに残ってはいる。

その一つがピマーイ遺跡近くにあるタイ国天然記念物、「サイガーム」(.mi:k,)。

1本の根から枝分かれしたバンヤンツリーは大きさでいえば東京ドームの半分程の広がりを持っていて他を圧倒していた。沖縄県名護市のガジュマルは樹齢数百年で、流石に大きく国の天然記念物に指定されているが、このサイガーム(=バンヤンツリー、ベンガル菩提樹、ガジュマルの一種)は名護のそれの数百倍、いや数千倍する大きさと広がりを持っていた。

一体いつの時代から繁茂し始めたのだろう。屋久島の縄文杉が樹齢六千年、台湾阿里山の神木にしても五千年の樹齢であるとすれば、このサイガームは一体何年になると言うのだ。1万年であってもおかしく無い。遠方から眺めればこれ一つで大きな森を形成している。イサーンの森は今もこの様な形で残されていたのだ。数日前バスで横断したピサヌローク−ウドンタニの間に横たわるドンパセージェ山脈の奥深くには今尚人跡未踏の密林があるだろう。タイ国土の約三分の一の広がりを持つイサーン地方は、豊富な自然と、タイ・ラオス・カンボジアとの過去数千年に亙る民族の混交による豊かな文化が醸し出されているのだ。

バンコクよりも相当海抜が高い高原地帯は心なしか気候温順で、湿気も少なく、真夏の国の中であってもしのぎ易さが感じられた。しかし乾燥の結果、多くの森林が失われ、牧草地も荒れ、タイの中では所得の低い地域に数えられていて、国内では住みづらい地方のイメージもあるが、部外者にはそうは見えなかった。むしろ部分的にアメリカナイズされたコンテンポラリーとマッチし、唄と踊り、食事、人々の感情の豊かさ、等々イサーン独特の文化と伝統は見るものに本当のタイ人の心、ホスピタリテイー、今やバンコクから急速に失われつつあるタイ人の良き善風は、尚且つこの地方に薫風として残されていると感じられた。

ウドンタニ、コンケーンの新しい町、コラート、ピマーイの歴史ある町。森と草原、牧草地。メコンの流れ。イサーンも悪くない。水田の少なさに余りある広大な平地は、開発次第によっては急速な所得の向上をもたらすに違いないが、イサーンの人々は必ずしもそれを望まず、現状に満足しているが如くであった。ここにも又純朴な人々が生活している。

年金受給者の老後の生活場所としてチェンマイ辺りの人気が高いが、当方にはこのイサーン地方のいずれかの町の方がむしろ住み易いように感じられた。物価の安さはチェンマイとそれ程変わらないか安い位だが、少なくともこの地方ではチェンマイにある様なスモッグは全く見られず、その限りでも健康的である。コラートとバンコクの間の山間部には大きな湖があり、バンコクからは車で僅か2時間程度の距離に、リゾート地として開発整備された風光明媚な避暑地もある。緑陰の中での年金生活は理想的とも思えた。

或いはルーイの山奥で仙人のような予後の生活を送るのも悪くはない。桃源郷がタイのどこかにあるとすれば、イサーン地方のどこかにあるに違いない。イサーンには又来よう。今度はじっくりゆっくり見て回ろう。

  • ピマーイ郊外にある「サイ・ガーム」。「バンヤンツリー」の木。1本の枝から数千年に亙って枝分れし、今はこの様な深い森になっている。

    ピマーイ郊外にある「サイ・ガーム」。「バンヤンツリー」の木。1本の枝から数千年に亙って枝分れし、今はこの様な深い森になっている。

  • 森の中では、放し飼いのリスが、枝から枝に渡り歩いている。人々は、マンゴーなどの餌を与えている。

    森の中では、放し飼いのリスが、枝から枝に渡り歩いている。人々は、マンゴーなどの餌を与えている。

  • イサーン地方の、丸々太った牛。

    イサーン地方の、丸々太った牛。

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