小説を歩く　有川　浩「阪急電車」

2009/05 - 2009/05

小説の舞台を歩いてみようと企画も、万城目　学さんの「鴨川ホルモー→http://4travel.jp/traveler/jillluka/album/10247195/」「鹿男あをによし→http://4travel.jp/traveler/jillluka/album/10245483/」、森見　登美彦さんの「夜は短し　歩けよ乙女→http://4travel.jp/traveler/jillluka/album/10246986/」に続き４作目です。
今回は有川　浩さんの小説「阪急電車」の舞台歩いてみたいと思います。

発売当初、阪急系の書店”BOOK 1'st”の店頭にはこの本が大量に積まれていたのですが、ちょっと小洒落た阪急電車のガイドブックだと勘違いしていた僕は本を手に取ることもありませんでした。
しかし、ある日母から「本屋に寄ることあったら”阪急電車”って小説買ってきて」・・・「阪急電車？あっ、あれ小説なん？」・・・「そう、今津線が舞台なんやって」・・・。
今津線は僕の最寄りの路線、今まで数限りなりなく乗ってお世話になっている路線です、そんな線が舞台になっている小説ならば買わずばなりません。
本屋で”阪急電車”を手にした僕には幾つか驚きがありました・・・
まずは、作者が有川　浩さんだった事、有川さんの作品は過去に航空自衛隊と謎の飛行生命体との共存を描いたSF作品”空の中”を読んだことがありました。
そして、”空の中”の作風からてっきり男性だと思っていた有川さんが女性だった事。
最後に、有川さんが今津線沿線にお住まいとの事。
とても親近感が湧きました。

先述の通りこの小説は、六甲山の東裾を南北に通り宝塚市の宝塚駅から西宮市の今津駅を結ぶ阪急・今津線の宝塚〜西宮北口（地元では西北と呼んでます）の各駅を舞台にしています。
なぜ小説が途中の西北までかと言うと、過去今津線は宝塚から今津まで線路が繋がっていたのですが、現在は西北で線路が分離され、各々折り返し運転しているからです。
かつて西北は、今津線と神戸本線の線路が直角に平面で交差するダイヤモンドクロス→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:ST_nishinomiya-kitaguchi.jpgという線形を持つとんでもない駅でした、その不思議な光景は僕が小学生の頃に神戸線のホーム延伸のために解消されましたが、乗り換え用の地下道で聞いた独特の線路の音は今でも耳に残っています。

さて、この小説はそんな今津線の各駅を舞台にした短編集です、まずは宝塚から西北に向かって各駅毎に前編の話があり、西北で折り返し宝塚まで各駅毎に後編の話がある、面白い構成になっています。
ちなみに今津線は舞台を貸しているだけ、話の中身は人間模様です。

電車は、人数分の人生をのせて、どこまでも続かない線路を走っていく−
片道わずか１５分　そのとき、物語が動き出す。
恋の始まり、別れの兆し、そして途中下車・・・・・・

是非皆様もご一読を。

エリア 宝塚(兵庫)

宝塚駅　「征志、運命の女性に会う。」

宝塚駅は宝塚線と今津線の合流点、JR福知山線との乗換駅でもあります。
かつては地上の小さな駅でしたが、今はとんでもなく大柄な高架駅になっています。

宝塚駅 駅

ホームはこんな感じです。
写真中央が今津線電車、左で見切れてるのが宝塚線電車です。
本来の今津線ホームは写真右なのですが、お昼間は乗り換えの便を良くするの為に一つのホームに両線が発着します。

お馴染みの”宝塚花の道””宝塚大劇場”は駅から徒歩数分です。

電車は武庫川を渡って南進します。
実は電車の後ろの大劇場の建物（歌劇の練習室や遊園地の業務部門、社員食堂等があります）で学生時代バイトしてました。

宝塚南口駅　「翔子、呪いの願をかける」

宝塚南口周辺は最近元気がないです、以前はかなり栄えてたのですがショッピングセンター「サンビオラ」の衰退、閉店と共に活気がなくなりました。
宝塚随一の豪華ホテル”宝塚ホテル→http://www.takarazuka-hotel.com/cgi-bin2/cms2/index.cgi?hid=26takarazukah”の最寄り駅です。

逆瀬川駅　「時江、犬を飼おうと思う。」

宝塚市役所の最寄り駅、駅前に乗り入れるバス路線も多い今津線の中核駅です。
駅前にはアピアという駅ビルが４つあり、かつては何故か西武百貨店が入ってた事もあります。
写真は東側から見た駅。

逆瀬川駅 駅

西側から見るとこんな感じ。

駅名の由来の逆瀬川。
シーズンになると蛍が乱舞します。

逆瀬川駅 駅

小林から逆瀬川方向を望みます。

逆瀬川駅 駅

小林駅　「翔子、小林駅で途中下車」

読みは”おばやし”です。
今津線の駅でこの２０年くらいの変化が一番無い駅です。
近くには商店街とイズミヤがあります。

小林駅 駅

車窓から阪神仁川競馬場が見えます。

仁川駅 駅

仁川駅　「ミサ、別れの覚悟をする。」

逆瀬川に次ぐ今津線の中核駅です、周辺に関西学院をはじめ学校が多いのが特徴です。

仁川を発車する宝塚行き電車、真ん中の引き込み線は平日夕方の下校時や、競馬開催時の仁川折り返し列車のためのものです。

仁川駅 駅

競馬場へは地下連絡通路でどうぞ。

仁川から甲東園にむけて電車は丘を駆け下ります。

甲東園　「悦子、年上彼の話を披露」

ここも仁川同様周辺に学校の多い駅です、下校時はホームいっぱいに人が並びます。

門戸厄神駅　「圭一、初めての恋の予感」

関西の有名女子大、神戸女学院大学や聖和大学の最寄り駅、ここはすこしおっとりとした下校風景が見られます。
駅名の由来は門戸厄神東光寺、あらゆる災厄を打ち払うという厄神明王（門戸厄神）を祀り、毎年1月18・19日の厄除大祭には何万人もの参拝者が集います。

西宮北口駅　「そして、電車は折り返す−」

かつては今津まで続いていた線路は、今はここで分断されており、各々折り返し運転をしています。
写真左の線路は神戸線梅田方面に続く渡り線で、大阪・梅田行きの朝の準急や競馬開催時の臨時急行などが使用しますが、曲線がきつくホームが造れないのでこの駅は通過扱いになります。

西宮北口駅 駅

駅舎はこんな感じ。
今津線と神戸線が”＋”の字型になっています。

分断された相方、もう一つの今津線西宮北口駅ホーム、現在、高架化工事中です。
遠くに見えている大きな建物は元の西宮球場跡に昨年オープンした阪急百貨店”西宮ガーデンズ→http://nishinomiya-gardens.com/index.htmlです。

西宮北口駅 駅

この旅行記へのコメント （13）

• 川岸　町子さん 2012/07/01 19:26:00

  映画と本

  jilllucaさん
  
  　わぁ〜、私、今ちょうどこの本を、会社の休憩時間に読んでいます。
  　映画はもう見ました。
  　映画よりも、本の方に魅かれるので、本を読むのを後回しにしたんです。
  
  　さて、あと半月を切りましたね。
  　日中は暑くなりかけているけど、陽が落ちると肌寒いです。
  　必ず羽織るものをお忘れなく。
  
  　お会いするのを楽しみにしています〜♪
  　お気をつけて、いらして下さいね。
  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　川岸　町子

  jilllucaさん からの返信 2012/07/02 19:54:29

  RE: 映画と本

  川岸町子さん
  
  こんばんは。
  
  > 　わぁ〜、私、今ちょうどこの本を、会社の休憩時間に読んでいます。
  > 　映画はもう見ました。> 　映画よりも、本の方に魅かれるので、本を読むのを後回しにしたんです。
  
  僕は今、有川さんの別のを読んでいますよ〜。
  面白いですよね〜、有川作品は。
  阪急電車読まれてるんですね、僕の家は逆瀬川駅最寄です。
  もちろん小説が出た時も今津線沿線はかなりのフィーバーでしたが、映画の時沿線はすごいテンションでしたよ（笑）
  今でもたまに小説読み返したり、ＤＶＤ見たりしてニンマリしています。
  
  > 　さて、あと半月を切りましたね。
  > 　日中は暑くなりかけているけど、陽が落ちると肌寒いです。
  > 　必ず羽織るものをお忘れなく。
  
  お気遣いありがとうございます。
  実は北海道の後、そのまま東京経由で海外出張で荷物多くて服どうしようか？と考えていたところです！！羽織るもの考えとかなくちゃ、ですね！！
  
  > 　お会いするのを楽しみにしています〜♪> 　お気をつけて、いらして下さいね。
  
  ありがとうございます。
  こちらこそお会いできるのを楽しみにしております。
  
  jillluca

• Kaninchenさん 2010/09/05 22:18:21

  映画化ですね♪

  Jilluca様　こんばんは☆
  
  「阪急電車」のまさかの（？）映画化！
  主演は中谷未来さん！！
  
  「阪急電車」と言うからには今津線ロケですよね！？
  中谷未来さんが宝塚に来てくれたら嬉し過ぎます＾＾
  
  小林のイズミヤとか行くんでしょうか。。
  
  kaninchen
  
  

  jilllucaさん からの返信 2010/09/05 23:53:26

  RE: 映画化ですね♪

  kaninchenさん
  
  こんばんわ。
  
  >「阪急電車」のまさかの（？）映画化！
  
  ほんとまさかの映画化ですね！！
  あの微妙なポジションの今津線が映画の主役になるなんて・・・地元民としてはお祭り騒ぎです！！
  
  > 「阪急電車」と言うからには今津線ロケですよね！？
  
  この秋から撮影開始で、東宝と阪急のタッグですので、今津線には撮影用の特別列車を走らせて撮影するようです、もちろん中谷美紀さんも戸田恵梨香さんも当然今津線ロケだそうですよ。
  是非お二人とも見てみたいものです。
  
  小説になった時もびっくりしましたが、今回の映画化は本当にびっくりしました・・・映画楽しみです。
  
  jillluca

  jilllucaさん からの返信 2011/05/08 15:43:06

  RE: 映画化ですね♪

  kaninchenさん
  
  こんにちは。
  もう半年以上も前の掲示板の続きを書き込みさせて頂きますね（笑）
  
  昨日、阪急西宮ガーデンズの映画館で”阪急電車”見てきました。
  
  有川ファンの僕が書くのもなんですけど、原作より映画の方がよくできていて面白かったです。
  でも、見知った電車と景色のオンパレードで・・・採点が他の地域の方より甘くなってるかも（笑）
  エンディングのaikoさんの歌のバックに流れる今津線の電車と各駅、そして俳優さんを見てるだけで感動でした。
  有名な都市ならまだしも、こんなローカルな映画なかなかないですし、ココに長年住んでてよかったと思いましたよ。
  そうそう、撮影用の臨時列車も何度か見て、中谷さんは見れませんでしたが、戸田恵梨香さんはチラッとみましたよ、めっちゃ可愛かったです。
  
  > 小林のイズミヤとか行くんでしょうか。。
  
  中谷美紀さんが小林のイズミヤで買い物するシーンばっちりありましたよ〜！！
  
  jillluca

  Kaninchenさん からの返信 2011/05/08 17:22:44

  RE: RE: 映画化ですね♪

  jilllucaさん
  
  こんにちは！
  私も最寄駅は逆瀬川なんですよ！！！
  びっくりです！
  何か凄いローカル話できそうです＾＾
  
  まだ”阪急電車”観に行けてないんです。。
  早く観たいっ！
  エキストラには応募したんですけど、抽選に外れて撮影には参加できませんでした。残念。
  エキストラで参加した友人は生中谷美紀を見てすっごいキレイやった〜っと言ってました。羨ましい。。
  
  映画を観たら絶対ロケ地巡りします！
  あぁー早く観たいっ！！
  
  kaninhen

  jilllucaさん からの返信 2011/05/08 21:14:46

  RE: 映画化ですね♪

  kaninchenさん
  
  こんばんは、早速のお返事ありがとうございます。
  
  >私も最寄駅は逆瀬川なんですよ！！！
  >びっくりです！
  >何か凄いローカル話できそうです＾＾
  
  わ〜、そうなんですか！！
  では、駅の売店がなくなり何故か団子屋になったなんてローカルネタもできますねっ！！（笑）
  僕の知る限りでは逆瀬川駅周辺に少なくとも４人くらいはトラベラーいるようですよ！！知らない内にきっとすれ違ってたりするんでしょうね！！
  なんか楽しいですね。
  
  >エキストラには応募したんですけど、抽選に外れて撮影には参加できません>でした。残念。
  >エキストラで参加した友人は生中谷美紀を見てすっごいキレイやった〜っと>言ってました。羨ましい。。
  
  そうなんですか、残念でしたね〜。
  僕も応募したかったですけど気づいた時にはエキストラ募集が終わってました・・・大阪城、空堀を舞台にした”プリンセス トヨトミ”もエキストラ募集見逃して・・・綾瀬はるかさん見たかった・・・。
  
  >映画を観たら絶対ロケ地巡りします！
  >あぁー早く観たいっ！！
  
  西宮のＴＯＨＯシネマズで見たのですが、見てるみんながほぼ地元の様で、なんだか自主制作映画の出来を見るような不思議な緊張感と一体感があってなんだか面白かったですよ。
  映画見た後はきっと甲東園と仁川の間で何かを探したくなるはずです・・・何を探したくなるかは映画を見てのお楽しみです（笑）
  絶対楽しめますので、ぜひ見てくださいね。
  
  では。
  
  jillluca

• クコンバさん 2009/05/31 18:03:55

  懐かしいです。

  ジルルカ 様
  
  こんにちは。
  
  阪急電車・今津線沿線はとても懐かしいです。
  ５〜６年間を過ごした場所です。
  ３５年位前に仁川に住み、その後甲東園の上大市３丁目に住んでいました。
  西宮北口駅は神戸線と今津線の線路が十字交差する珍しい駅でした。
  写真を拝見し、あの当時とは変わってしまいましたがなぜかとても懐かしい思いです。
  私にとって機会があればもう一度訪れてみたい場所です。
  
  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　クコンバ

  jilllucaさん からの返信 2009/05/31 20:20:51

  RE: 懐かしいです。

  クコンバさん
  
  こんばんわ。
  ３５年位前というと私生まれてるか生まれてないかの頃ですね〜。
  その頃に比べると仁川、甲東園の駅前は大きく変わってるかもしれませんね、でも上大市とか住宅地の辺りの雰囲気はあまり変わってないかもしれません、少なくとも当時の面影は色濃く残ってると思いますよ。
  観光地でもないのでなかなか足を向けられることはないかもしれませんが、お近くお寄りの際は是非ご訪問くださいね。
  そうそう、少なくとも阪急電車の色は当時のままです（笑）
  
  ジルルカ

• べるつくさん 2009/05/13 08:40:21

  あ、有川作品

  ジルルカさん、こんにちは。
  「プリンセス・トヨトミ」を読み終えたので、例のシリーズを作られていらっしゃるかなー、と見に来ました。
  と、意外にも有川作品での旅行記を発見。
  実はけっこうお気に入りの作者で、図書館戦争シリーズや各種自衛隊ものなどほとんどの作品を読んでいます。
  たしかに、ひろし、と読んでしまうと男性作家としか思えないですよね。実は、ひろ、なんですよね。
  横須賀に行ったときはヴェルニー公園で、ここが海の底の舞台かー、なんて感慨にふけってしまいました。
  阪急電車、読む前は阪急線全体をネタにしているのかと思いましたが、今津線限定でしたね。
  宝塚から三宮に通勤している知人がいるので、この本を紹介したらもう読んでいました。
  茶色の電車も随所に写しこんだ作品世界の旅行記、ありがとうございます。
  
  べるつく

  jilllucaさん からの返信 2011/05/08 15:52:37

  RE: あ、有川作品

  べるつくさん
  
  こんにちは〜。
  実は昨日、地元の映画館で”阪急電車〜片道１５分の奇跡〜”を見て、その旅行記を書きつつ、久々に”小説を歩く”の阪急電車の旅行記を見返してたら、べるつくさんのこの書き込みに返事が出ていないことに気づきました。
  お許しを・・・。
  
  映画はよかったですよ〜、なかなかお忙しいでしょうからあれですが、もし機会があれば是非見てみてくださいね。
  ちなみにjilllucaの最寄り駅は逆瀬川という駅です。
  
  それはさておき、”阪急電車””プリンセス トヨトミ””神様のカルテ”と小説原作のいい映画が続きますね〜。”岳”や”星守る犬”のような優れた漫画からの映画化も多いし、日本の文学（漫画も含めて）の質の高さが嬉しいです。
  
  先月、長野の茶臼山動物園に行った時に、松本で降りて”神様のカルテ”の舞台を歩いて来ました。
  数週間以内に久々に”小説を歩く”旅行記をリリースする予定です。
  
  jillluca

• がんもさん 2009/05/06 11:42:08

  阪急♪

  ジルルカさん、こんにちは。
  わ〜い！大好きな阪急電車だ♪
  しかも小説まであるとは知りませんでした･･･
  大阪に行く人にお土産は“トック”をおねだりしていた私です。
  財布の中には次はいつ使うの？なラガールカードが数枚入ってます
  （笑･･･タカラヅカのね。）
  
  話は変わりますが、昨日、知人と昔話をしていて
  “夙川”という駅名をわたしが読めなかったことを思い出しました。
  夙川で降りて乗り換えて･･･
  甲陽園のツマガリのお菓子を買いに行ったのですが、
  駅名が読めず（笑）困りました!？　え、バカすぎますか･･･すみません。
  
  また関西に遊びに行きたいなぁ〜！
  すてきな旅行記を見せていただきありがとうございました。
  
  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　がんもより
  

  jilllucaさん からの返信 2009/05/06 12:21:11

  RE: 阪急♪

  がんもさん
  
  そういえば、どこかの旅行記に阪急電車好きって書かれてましたね。
  ”トック・・ああTOKK”ね、あまりに身近すぎて最初なんの事か分からなかった・・・ご必要なれば毎号でも送りますよ（笑）
  
  確かに”夙川”は初見ではなかなか読めないですよね、僕は地元なので物心ついたときから読めましたけど・・・阪急の難読駅名でいえば”柴島”って駅あるんですけど何て読むと思います？クイズです。
  
  関西お越しの際はお声掛けて頂ければ鉄分の高い場所もご案内しますよ〜。
  
  ジルルカ