2009/02/11 - 2009/02/15
4531位(同エリア5577件中)
ちゃおさん
沖縄には琉球王朝以来の伝統料理、王宮料理など外来者を楽しませてくれる料理が盛り沢山あるが、石垣最後の夜、数日前から心に期していた「ひーじゃー」、「山羊肉の煮込み汁」を食べに出かけた。
沖縄本島でも「ひーじゃー」を出す店はそれ程多くなく、浦添に1軒あって時折食べに行ったこともあったが、ホテルで聞いたところ、この石垣でも市内には2-3軒しかないようだ。
その内の一つ、一昨日通りすがりに目にした「トニー食堂」へ行って見る。
店の外も中もまあ、賑やかなこと。トニーと言うから「トニー・カーチス」のファンかと思ったら、若くして亡くなった「赤木圭一郎」のファンで、と言っても今の若い人には「赤木」も「カーチス」も殆ど知らないと思うが、その「赤木」の写真、プロマイドで店内は隙間もなく飾られている。
ふと見るとその横に石垣市教育委員長からの表彰状も掲げられていて、更にその書かれている内容を見ると、「通事国浩殿」となているではないか!
ああ、この人、この店のマスターが「通事」さんだったのか!
もう何年も前、司馬遼太郎氏の「街道を往く」を読み漁り、日本各地の風物に触れ、旅に出なくても旅行した気分になり、夢の中で旅もし、後日、機会があってその土地を訪ねたりもしたが、その司馬さんもこの石垣までやってきて「街道を往く」を書いている。
その中で確か「通事」氏のことも書かれていて、この店のことも出ていたように記憶していた。
そこでマスターの「通事」さんに司馬さんのこと、街道のこと、珍しい姓のこと、等を聞いてみたが、全く思い当たらない風だった。
大体司馬遼太郎という作家名すら心当たりがなく、話していて当方が拍子抜けしたが、今年73歳になるというご本人は至って快活で、話し好きで、店内に英語の書き込みなどが掲示されていても、ご本人は英語は全く分らず、当方内心これでは「通事姓」が泣くなあ、との心を見透かせてか、自分の息子は今50になるが、その息子とか孫は英語がペラペラだとか、矢張りどこか「姓」へのこだわりを棄てきれず、当方、出された「ひーじゃー」(ヤギ汁)の湯気を吹き吹き、快活な沖縄人の話しに聞き入った。
本島の「ひーじゃー」は汁の中にヨモギ(ふーちばー)とか生姜(うこん)が沢山入っていて、ピリっとした味もあったが、石垣のそれは、それ等具材が少なく、本島のよりはやや劣った味付けであったが、それでも数年ぶりに食べた山羊汁。
王宮料理の奥ゆかしさも良いが、こうした庶民の味、庶民が1年に一度か二三度食べる山羊汁を元気な石垣の古老からの話を聞きながら食べることが出来、その味以上の満足感が得られたものだった。
4日間の旅を終え、明日はいよいよ石垣を離れる。その最後の夜に「街道を往く」にも出てきた現実の「通事」さん(本人が知らないことが奇妙ではあるが)と話ができたことでも、今回の旅行は価値あるものだった。
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栄福食堂(トニー食堂)の宣伝看板(翌朝撮影)
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店内には「トニーカーチス」、「赤木圭一郎」等の写真、書付その他で、賑々しく飾られていた。
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マスターは元外国航路の船員で、赤木さんの大ファンだそうだ。
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この店のマスター「通事国浩」さん。おん齢73歳になるという。
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この店のマスターが通事さんであるとはこの表彰状を見て知ったことだったが・・・
でも肝心のご本人は司馬良太郎さんも街道も全くご存知なかった。 -
出された「ひーじゃー汁」。沖縄独特の味わい。
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今日昼間通りかかった宮良川に群生する天然記念物「ひるぎ」の群生地。
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河口近くの淡水と海水の交じり合う汽水地での海洋植物。マングローブの種類。
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密林のように密生している。
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今は引き潮で海水が後退しているのが残念だ。
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