シェムリアップ旅行記(ブログ) 一覧に戻る
旅行会社から届いたメールを開くと、最近の原油価格低下と円高の影響を受けた極めてリーズナブルな価格の海外ツァーの案内があった。 この冬場に北半球はとても行く気はしないが、暖かいところはと思って眺めていた中で目に留まったのがアンコール遺跡、アンコール遺跡観光は前々からの念願でもあった。 これまで海外へは主としてヨーロッパを回っていて…元気なうちは遠いところへと考えて…アジアはもっと先のことと考えていた。 が、3泊5日、全食事つき、ホテルワンランクアップ、添乗員付き、燃油サーチャージ込みで10万円を僅かだが切る(もちろん空港施設利用税、ビサ発行手数料などの費用は別にかかるが、それにしても安い。)といううたい文句に吊られて行く気になった。 福岡のカンボジア名誉総領事館でビサを取得。<br /><br />(行 程)<br />1日目 :福岡→ホー・チ・ミン乗継(ベトナム)→シェム・リアップ(カンボジア)泊<br />2日目 :ロリュオス遺跡群(ロレイ、プリア・コー、バコン)→オールド・マーケット→休憩→アンコール遺跡群(プラサット・クラヴァン、東メボン、バンテアイ・スレイ)→プレ・ループ遺跡夕日鑑賞 泊<br />3日目 :アンコール・ワット朝日鑑賞→ベン・メリア→休憩→アンコール・ワット→アプサラ・ダンス鑑賞 泊<br />4日目 :アンコール・トム→休憩→アンコール遺跡群(タ・プロム、プリヤ・カン、ニャック・ポアン)→シェム・リアップ空港→ホー・チ・ミン乗継<br />5日目 :ホー・チ・ミン→福岡<br /><br />12月21日(日)<br />朝9時30分福岡空港国際線ターミナル集合。 旅行会社の受付には次々に人が詰めかけている。 このツアーの参加者は総員32名、多い! 男性10名、女性22名、圧倒的に女性が多い。 母娘の親子連れで来ている人が多いようだ。 <br />ベトナム航空で福岡を発ち、ベトナムのホー・チ・ミンのタン・ソン・ニェット空港でトランジット(が、なんとこの空港で4時間の待ち時間、帰りも同じ)、そしてカンボジアのシェム・リアップ空港に到着、小さな空港だが建物はパンフレットなどで見かけるカンボジア風の味わいのある建物。 現地ガイド君(この旅行でずーっと一緒)が迎えに来ていた。 夕食後ホテル・エンプレス・アンコールに入ったのは21時頃。 <br />カンボジアは王国、面積18万k?(日本の約1/3)、人口1,300万人、人種はクメール人、ほとんど平地で国のほぼ真ん中近くをメコン川が北から南へ貫いている。 カンボジアの始まりは1世紀末インドシナ半島の南部で起きた扶南といわれている。 その後6世紀中頃メコン川中流域でクメールが起こり扶南を滅ぼした。 9世紀初頭ジャヤ・ヴァルマン2世がアンコール王朝を起こした。 12世紀頃のクメール王朝時代がカンボジアの最盛期でインドシナ半島の80〜90%を支配していた。 15世紀前半タイのアユタヤ王朝がアンコールを攻略、アンコール王朝はプノンペンに遷都した。 宗教は現在は仏教だが、クメール朝時代はヒンドゥー教、クメール朝末期に仏教になった。<br />シェム・リアップは国の北西部に位置し、観光に依存する小さな町。 ラテン語表記でSiem Reap(現地の人はシーム・リープと呼んでいる。 Siemはシャム(現在のタイ国)、Reapは「治める、平定する」の意)、17世紀頃シャムに占領されていたこの地をクメールが奪還したことに由来するらしい(12世紀、14世紀、15世紀にシャムがアンコールを攻略・平定していたことに由来するとの説もあるが…)。 カンボジアとタイは古来から抗争を繰り返してきた、最近でも国境での紛争があった。 このような歴史的背景もあってカンボジア人はタイ人が大嫌い。<br /><br />12月22日(月)<br />朝からよい天気、が、夜はちょっと寒かった。 今日から観光。 ホテルのロビーでは女性がカンボジアの民族楽器(なんという楽器だろう? 日本の琴をごく小さくしたような10数本の弦を張ったものを竹の耳掻きを大きくしたようなあるいは茶杓の少し大きなもので敲いて音を出す。)を弾いていた。 なんともやさしい音色。 <br /><br />朝食後バスに乗り込んでチケット売り場へ向かう。 アンコール遺跡は国の委託を受けた「アプサラ委員会」が一元的に管理している。 そしてこの委員会がアンコール遺跡観光のためのチケットを発行している。 チケットの目的はもちろん遺跡の保守管理のため。 このチケットは通用日数によるパスポート方式になっていてこのチケット1枚でアンコール遺跡のほとんどに入ることができる。 面白いのはチケット購入の際顔写真を撮られ、チケットに顔写真が印刷されること。 費用は結構高くわれわれは3日間のチケットだが40US$、首から提げられるチケットケースも一緒にくれるが…(ただし、このツアーの場合ツアー料金に含まれている)。 チケットの管理はかなり厳格で、遺跡の入口では必ずチェックされる、万一忘れたり、紛失した場合は再発行される(実費必要)まで遺跡には入れない。<br /><br />さて、チケットも手に入り、ロリュオス遺跡に向かう。 ロリュオス遺跡はシェム・リアップの東方14kmくらいのところにある。 ロリュオスには3つの遺跡「プリア・コー寺院」「バコン寺院」「ロレイ寺院」のいずれもクメール朝初期(9世紀後半)に建てられた寺院がある。 ロリュオスはクメール王朝初期の王都だったそうだ。<br />まずはロレイ寺院の観光。 893年、ヤショ・ヴァルマン1世が築造したヒンドゥー教寺院。 かつて大きな貯水池の中の小島に建てられた4つの祠堂を持った寺院。 アンコール寺院のほとんどがそうだが、砂岩でできているため痛みは激しい。 今後見る寺院も同じ。 4つの祠堂の中心にはリンガが置かれ、リンガから四方に樋が延びていて聖水が流れるようになっている。 リンガとは、ヒンドゥー教の最高神シヴァ神(破壊の神であり創造の神)の想像力を現した男根型立柱。 祠堂の壁にはテヴァダー女神が飾られている、実に美しい姿。 <br />※ テヴァダー女神はいずこの寺院にも飾られているが、あまり意味のある神様ではないらしい。 どうやら装飾用女神らしい。<br /><br />ロレイ寺院の次はプリア・コー寺院の観光。 「プリア」とは「王」の意味だが「プリア・コー」は「聖なる牛」の意味を持つ。 879年、インドラ・ヴァルマン1世により両親のため建てられたヒンドゥー教寺院。 また先祖の王たちを奉るための墳墓寺院でもあったらしい。 アンコール寺院中最古の寺院。 6基の祠堂には漆喰によるレリーフが刻まれている。 寺院の前には聖なる牛の像が鎮座している。 祠堂のひとつで修復が行われていたが、大変な作業。 <br /><br />午前の最後はバコン寺院へ。 この寺院もインドラ・ヴァルマン1世が881年に造営したヒンドゥー教の寺院。 どの寺院もそうだが一般に寺院は池に囲まれているか、寺院の前後面に池がある。 この寺院も参道の両側に池がある。そして参道の両側には長さ20mくらいか?ナーガ(7つの頭を持った蛇の神様…生命力と不死をつかさどる)が置かれている。 この寺院は周囲1km弱平方の大きさで、ロレイやプリア・コーと異なり、5階建てのピラミッド型になっている。 祠堂は8基あり、中央祠堂は5階の中央にある。 階段はステップの幅は狭く勾配はかなりきつい。 5層目の回廊からの眺めは良い。 <br /><br />この後シェム・リアップに戻りオールド・マーケットで買い物。 ただし、添乗員の話では「高いものは買わないこと。 マーケットでは小銭で買えるものを買うこと。」 マーケットにはやはり土産物屋が多い。 銀製品なども売っていたが添乗員の忠告を守って買わなかった。<br /><br />昼食後ホテルに戻り1時間半ほど休憩、午後2時頃から午後の観光に向かう。 このツアーではこれが日課。 日差しの強い中この日課はありがたい。 ホテルのプールでは西洋の観光客は泳いだり、ビーチチェアで寝たり。<br /><br />午後の観光の初めはプラサット・クラヴァン寺院。 シェム・リアップから北へ8kmくらいでアンコール・ワット、そのアンコール・ワットから西へ2kmくらいのところのプラサット・クラヴァンはある。 921年にクメール王朝の高官により建てられた寺院。 この寺院はアンコールには珍しいレンガ造りの建物、それも焼きレンガらしい。 建物の形は比較的良く残っている。 この寺院のすばらしさは祠堂の壁面に残されたレリーフにある。 中央祠堂の北、南、西の3面の壁にはヴィシュヌ神の姿が刻まれている。 壁は幅10m弱、高さ10m強くらい、その壁一面に躍動するヴィシュヌ神の姿が浮き彫りされている。 すばらしい躍動感、筋肉の盛り上がりが見えるよう。 北の祠堂の西壁にはラクシュミ女神、南壁にはドゥルガ女神の姿が、壁一面に豊満な上半身をさらけ出して刻まれている。 アンコール遺跡にはレリーフが極めて多い。 この寺院のみならず他の寺院でもレリーフを見ているとクメール文化の水準の高さが伺われる。 <br />※  ヴィシュヌ神はヒンドゥー教の三大神の2番目の神、世の中を救済、慈愛する神。<br />※ ラクシュミ女神はヴィシュヌ神の妻、美と豊穣と幸運をつかさどる神。 仏教に取り入れられて吉祥天となる。<br />※	 ドゥルガ女神は美しいが恐るべき戦いの神。 10本の腕に武器を持つ。<br /><br />プラサット・クラヴァンの北23〜4km、シェム・リアップからは北北東35kmくらいのところにバンテアイ・スレイ(バンテアイは「砦」、スレイは「女」、つまり「女の砦」の意味らしい)がある。 ここに森の中にひとつだけ小さな寺院がある。 イシュヴァ・ラプラ寺院。 ラジェンドゥラ・ヴァルマン2世により着工、息子のジャヤ・ヴァルマン5世が967年完成させたヒンドゥー教の寺院。 プラサット・クラヴァンもこの寺院もピラミッド型ではない。 この寺院は赤い、赤色砂岩で造られている。 そしてこの寺院のすばらしさはその装飾にある。 三重の周壁に囲まれた祠堂まで外塔門、中塔門、リンガの並んだ参道を通り内塔門を抜けるが、塔門の柱や破風、経蔵や祠堂の外壁、切妻壁、いたるところに精緻な彫刻が施されている。 内塔門の内側にはサンスクリット語かクメール語か碑文が刻まれている。 中でも中央祠堂の入り口両側の壁に彫られたテヴァダー神の像は上智大学アンコール遺跡国際調査団団長の石澤良昭教授が「東洋のモナリザ」と賞した微笑を浮かべた表情と体を少しくねらせた柔らかい姿がすばらしい像。 が、あまりの評判で像の損傷を心配してか、現在は像には近寄れない、遠くから見るだけ。 この寺院には大勢の観光客が押しかけていた。 <br /><br />バンテアイ・スレイを後にしてアンコール・トムの東5kmくらいの東メボンへ。 この地域には2つの寺院がある。 どちらもラジェンドゥラ・ヴァルマン2世によって造られた、953年にできた東メボンと961年にできたプレ・ループ寺院である。 両寺院とも階段式ではないが大きなテラスを持ったピラミッド型の寺院。 東メボンはテラスの四隅に象が置かれている。 象はこの世とあの世のシンボルとされている。 <br />プレ・ループ寺院は王を荼毘に付した寺院。 日没の光景を見るには絶好の場所といわれている。 われわれのグループが着いたのは夕刻5時過ぎ、中央祠堂前のテラスにはすでに大勢の観光客が場所取りをしていた。 日没は午後5時半過ぎ。 寺院から見える景色は小さく見えるアンコール遺跡を取り囲む森林の向こうに沈んでゆく太陽の光。 <br /><br />

アンコール遺跡訪問 (1)

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2008/12/21 - 2008/12/25

7660位(同エリア8656件中)

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10

tetsu60さん

旅行会社から届いたメールを開くと、最近の原油価格低下と円高の影響を受けた極めてリーズナブルな価格の海外ツァーの案内があった。 この冬場に北半球はとても行く気はしないが、暖かいところはと思って眺めていた中で目に留まったのがアンコール遺跡、アンコール遺跡観光は前々からの念願でもあった。 これまで海外へは主としてヨーロッパを回っていて…元気なうちは遠いところへと考えて…アジアはもっと先のことと考えていた。 が、3泊5日、全食事つき、ホテルワンランクアップ、添乗員付き、燃油サーチャージ込みで10万円を僅かだが切る(もちろん空港施設利用税、ビサ発行手数料などの費用は別にかかるが、それにしても安い。)といううたい文句に吊られて行く気になった。 福岡のカンボジア名誉総領事館でビサを取得。

(行 程)
1日目 :福岡→ホー・チ・ミン乗継(ベトナム)→シェム・リアップ(カンボジア)泊
2日目 :ロリュオス遺跡群(ロレイ、プリア・コー、バコン)→オールド・マーケット→休憩→アンコール遺跡群(プラサット・クラヴァン、東メボン、バンテアイ・スレイ)→プレ・ループ遺跡夕日鑑賞 泊
3日目 :アンコール・ワット朝日鑑賞→ベン・メリア→休憩→アンコール・ワット→アプサラ・ダンス鑑賞 泊
4日目 :アンコール・トム→休憩→アンコール遺跡群(タ・プロム、プリヤ・カン、ニャック・ポアン)→シェム・リアップ空港→ホー・チ・ミン乗継
5日目 :ホー・チ・ミン→福岡

12月21日(日)
朝9時30分福岡空港国際線ターミナル集合。 旅行会社の受付には次々に人が詰めかけている。 このツアーの参加者は総員32名、多い! 男性10名、女性22名、圧倒的に女性が多い。 母娘の親子連れで来ている人が多いようだ。 
ベトナム航空で福岡を発ち、ベトナムのホー・チ・ミンのタン・ソン・ニェット空港でトランジット(が、なんとこの空港で4時間の待ち時間、帰りも同じ)、そしてカンボジアのシェム・リアップ空港に到着、小さな空港だが建物はパンフレットなどで見かけるカンボジア風の味わいのある建物。 現地ガイド君(この旅行でずーっと一緒)が迎えに来ていた。 夕食後ホテル・エンプレス・アンコールに入ったのは21時頃。 
カンボジアは王国、面積18万k?(日本の約1/3)、人口1,300万人、人種はクメール人、ほとんど平地で国のほぼ真ん中近くをメコン川が北から南へ貫いている。 カンボジアの始まりは1世紀末インドシナ半島の南部で起きた扶南といわれている。 その後6世紀中頃メコン川中流域でクメールが起こり扶南を滅ぼした。 9世紀初頭ジャヤ・ヴァルマン2世がアンコール王朝を起こした。 12世紀頃のクメール王朝時代がカンボジアの最盛期でインドシナ半島の80〜90%を支配していた。 15世紀前半タイのアユタヤ王朝がアンコールを攻略、アンコール王朝はプノンペンに遷都した。 宗教は現在は仏教だが、クメール朝時代はヒンドゥー教、クメール朝末期に仏教になった。
シェム・リアップは国の北西部に位置し、観光に依存する小さな町。 ラテン語表記でSiem Reap(現地の人はシーム・リープと呼んでいる。 Siemはシャム(現在のタイ国)、Reapは「治める、平定する」の意)、17世紀頃シャムに占領されていたこの地をクメールが奪還したことに由来するらしい(12世紀、14世紀、15世紀にシャムがアンコールを攻略・平定していたことに由来するとの説もあるが…)。 カンボジアとタイは古来から抗争を繰り返してきた、最近でも国境での紛争があった。 このような歴史的背景もあってカンボジア人はタイ人が大嫌い。

12月22日(月)
朝からよい天気、が、夜はちょっと寒かった。 今日から観光。 ホテルのロビーでは女性がカンボジアの民族楽器(なんという楽器だろう? 日本の琴をごく小さくしたような10数本の弦を張ったものを竹の耳掻きを大きくしたようなあるいは茶杓の少し大きなもので敲いて音を出す。)を弾いていた。 なんともやさしい音色。 

朝食後バスに乗り込んでチケット売り場へ向かう。 アンコール遺跡は国の委託を受けた「アプサラ委員会」が一元的に管理している。 そしてこの委員会がアンコール遺跡観光のためのチケットを発行している。 チケットの目的はもちろん遺跡の保守管理のため。 このチケットは通用日数によるパスポート方式になっていてこのチケット1枚でアンコール遺跡のほとんどに入ることができる。 面白いのはチケット購入の際顔写真を撮られ、チケットに顔写真が印刷されること。 費用は結構高くわれわれは3日間のチケットだが40US$、首から提げられるチケットケースも一緒にくれるが…(ただし、このツアーの場合ツアー料金に含まれている)。 チケットの管理はかなり厳格で、遺跡の入口では必ずチェックされる、万一忘れたり、紛失した場合は再発行される(実費必要)まで遺跡には入れない。

さて、チケットも手に入り、ロリュオス遺跡に向かう。 ロリュオス遺跡はシェム・リアップの東方14kmくらいのところにある。 ロリュオスには3つの遺跡「プリア・コー寺院」「バコン寺院」「ロレイ寺院」のいずれもクメール朝初期(9世紀後半)に建てられた寺院がある。 ロリュオスはクメール王朝初期の王都だったそうだ。
まずはロレイ寺院の観光。 893年、ヤショ・ヴァルマン1世が築造したヒンドゥー教寺院。 かつて大きな貯水池の中の小島に建てられた4つの祠堂を持った寺院。 アンコール寺院のほとんどがそうだが、砂岩でできているため痛みは激しい。 今後見る寺院も同じ。 4つの祠堂の中心にはリンガが置かれ、リンガから四方に樋が延びていて聖水が流れるようになっている。 リンガとは、ヒンドゥー教の最高神シヴァ神(破壊の神であり創造の神)の想像力を現した男根型立柱。 祠堂の壁にはテヴァダー女神が飾られている、実に美しい姿。 
※ テヴァダー女神はいずこの寺院にも飾られているが、あまり意味のある神様ではないらしい。 どうやら装飾用女神らしい。

ロレイ寺院の次はプリア・コー寺院の観光。 「プリア」とは「王」の意味だが「プリア・コー」は「聖なる牛」の意味を持つ。 879年、インドラ・ヴァルマン1世により両親のため建てられたヒンドゥー教寺院。 また先祖の王たちを奉るための墳墓寺院でもあったらしい。 アンコール寺院中最古の寺院。 6基の祠堂には漆喰によるレリーフが刻まれている。 寺院の前には聖なる牛の像が鎮座している。 祠堂のひとつで修復が行われていたが、大変な作業。 

午前の最後はバコン寺院へ。 この寺院もインドラ・ヴァルマン1世が881年に造営したヒンドゥー教の寺院。 どの寺院もそうだが一般に寺院は池に囲まれているか、寺院の前後面に池がある。 この寺院も参道の両側に池がある。そして参道の両側には長さ20mくらいか?ナーガ(7つの頭を持った蛇の神様…生命力と不死をつかさどる)が置かれている。 この寺院は周囲1km弱平方の大きさで、ロレイやプリア・コーと異なり、5階建てのピラミッド型になっている。 祠堂は8基あり、中央祠堂は5階の中央にある。 階段はステップの幅は狭く勾配はかなりきつい。 5層目の回廊からの眺めは良い。 

この後シェム・リアップに戻りオールド・マーケットで買い物。 ただし、添乗員の話では「高いものは買わないこと。 マーケットでは小銭で買えるものを買うこと。」 マーケットにはやはり土産物屋が多い。 銀製品なども売っていたが添乗員の忠告を守って買わなかった。

昼食後ホテルに戻り1時間半ほど休憩、午後2時頃から午後の観光に向かう。 このツアーではこれが日課。 日差しの強い中この日課はありがたい。 ホテルのプールでは西洋の観光客は泳いだり、ビーチチェアで寝たり。

午後の観光の初めはプラサット・クラヴァン寺院。 シェム・リアップから北へ8kmくらいでアンコール・ワット、そのアンコール・ワットから西へ2kmくらいのところのプラサット・クラヴァンはある。 921年にクメール王朝の高官により建てられた寺院。 この寺院はアンコールには珍しいレンガ造りの建物、それも焼きレンガらしい。 建物の形は比較的良く残っている。 この寺院のすばらしさは祠堂の壁面に残されたレリーフにある。 中央祠堂の北、南、西の3面の壁にはヴィシュヌ神の姿が刻まれている。 壁は幅10m弱、高さ10m強くらい、その壁一面に躍動するヴィシュヌ神の姿が浮き彫りされている。 すばらしい躍動感、筋肉の盛り上がりが見えるよう。 北の祠堂の西壁にはラクシュミ女神、南壁にはドゥルガ女神の姿が、壁一面に豊満な上半身をさらけ出して刻まれている。 アンコール遺跡にはレリーフが極めて多い。 この寺院のみならず他の寺院でもレリーフを見ているとクメール文化の水準の高さが伺われる。 
※ ヴィシュヌ神はヒンドゥー教の三大神の2番目の神、世の中を救済、慈愛する神。
※ ラクシュミ女神はヴィシュヌ神の妻、美と豊穣と幸運をつかさどる神。 仏教に取り入れられて吉祥天となる。
※  ドゥルガ女神は美しいが恐るべき戦いの神。 10本の腕に武器を持つ。

プラサット・クラヴァンの北23〜4km、シェム・リアップからは北北東35kmくらいのところにバンテアイ・スレイ(バンテアイは「砦」、スレイは「女」、つまり「女の砦」の意味らしい)がある。 ここに森の中にひとつだけ小さな寺院がある。 イシュヴァ・ラプラ寺院。 ラジェンドゥラ・ヴァルマン2世により着工、息子のジャヤ・ヴァルマン5世が967年完成させたヒンドゥー教の寺院。 プラサット・クラヴァンもこの寺院もピラミッド型ではない。 この寺院は赤い、赤色砂岩で造られている。 そしてこの寺院のすばらしさはその装飾にある。 三重の周壁に囲まれた祠堂まで外塔門、中塔門、リンガの並んだ参道を通り内塔門を抜けるが、塔門の柱や破風、経蔵や祠堂の外壁、切妻壁、いたるところに精緻な彫刻が施されている。 内塔門の内側にはサンスクリット語かクメール語か碑文が刻まれている。 中でも中央祠堂の入り口両側の壁に彫られたテヴァダー神の像は上智大学アンコール遺跡国際調査団団長の石澤良昭教授が「東洋のモナリザ」と賞した微笑を浮かべた表情と体を少しくねらせた柔らかい姿がすばらしい像。 が、あまりの評判で像の損傷を心配してか、現在は像には近寄れない、遠くから見るだけ。 この寺院には大勢の観光客が押しかけていた。 

バンテアイ・スレイを後にしてアンコール・トムの東5kmくらいの東メボンへ。 この地域には2つの寺院がある。 どちらもラジェンドゥラ・ヴァルマン2世によって造られた、953年にできた東メボンと961年にできたプレ・ループ寺院である。 両寺院とも階段式ではないが大きなテラスを持ったピラミッド型の寺院。 東メボンはテラスの四隅に象が置かれている。 象はこの世とあの世のシンボルとされている。 
プレ・ループ寺院は王を荼毘に付した寺院。 日没の光景を見るには絶好の場所といわれている。 われわれのグループが着いたのは夕刻5時過ぎ、中央祠堂前のテラスにはすでに大勢の観光客が場所取りをしていた。 日没は午後5時半過ぎ。 寺院から見える景色は小さく見えるアンコール遺跡を取り囲む森林の向こうに沈んでゆく太陽の光。 

同行者
カップル・夫婦
一人あたり費用
15万円 - 20万円
交通手段
観光バス
航空会社
ベトナム航空
旅行の手配内容
ツアー(添乗員同行あり)

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  • ロレイ寺院

    ロレイ寺院

  • バコン寺院

    バコン寺院

  • バンテアイ・スレイ、池に映る寺院

    バンテアイ・スレイ、池に映る寺院

  • バンテアイ・スレイ、寺院のテヴァダー像、東洋のモナリザ

    バンテアイ・スレイ、寺院のテヴァダー像、東洋のモナリザ

  • プレ・ループ寺院からの日没光景

    プレ・ループ寺院からの日没光景

  • ホテルにて、民族楽器の演奏

    ホテルにて、民族楽器の演奏

  • ロレイ寺院のテヴァダー像

    ロレイ寺院のテヴァダー像

  • プリア・コー寺院

    プリア・コー寺院

  • プラサット・クラヴァン寺院の祠堂壁面のレリーフ、ヴィシュヌ神

    プラサット・クラヴァン寺院の祠堂壁面のレリーフ、ヴィシュヌ神

  • 東メボン、ピラミッド式寺院のテラスの四隅を飾る象の像

    東メボン、ピラミッド式寺院のテラスの四隅を飾る象の像

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