「写真の無いブログ」・悲しみのカンボジア（４）JALのカード保険。

2008/12/23 - 2009/01/07

帰国直後にJALに連絡し、プノンペンで盗難に遭ったこと、大事なカメラが盗まれ、現金その他で１０万円からの損害になる旨伝えたところ、当方が所有しているカードは普通会員のカードで、これには携行品の盗難は含まれていない、との説明。愕然とした。

帰国後の保険請求の為に元旦の一日を警察回りにほぼ振り回され、挙句の果てには警官からも現金を要求されたが、元々保険適用が無い、と分っていれば、お金を払ってまでして盗難証明書を貰う必要もなく、元旦の一日を無駄にすることもなかった。無知とはこういうものかも知れない。

４０年以上もJCBの会員で、JALメンバーも３０年以上になるが、初めての盗難で初めての保険請求が、こんなことで拒否されるとは。全く想像外のことだった。他のカード保険、ANAもVISAも皆一緒で、タイアップカードでは携行品は担保されないとのこと。

しかし考えてみればこれで良かったのかも知れない。自分の不注意で起きたこと。不可抗力でも何でもない。保険に頼ることもなかったのだ。これをして盗人への功徳、タンブン、と思えば、今まで自分はさしたる功徳をしたこともなく、盗んだ犯人がこの先数ヶ月、これを以って食事に困らない、とすれば、彼及び彼の家族には大いなるタンブン、功徳を施したことになる。

好き好んで盗まれることも無いが、川に投げ捨てた訳でもなく、燃やして無くした訳でもない。物の輪廻、ではないが、一つの物がくるくる人手に渡り、その都度、何人かが食費にありつけ、命が長らえるとすれば、盗まれて却って良かったのかも知れない。それ以上に自分が保険を得る為に悪い考えを起こさなかっただけでも保険が出ないことは自分への救いであったかも知れない。

盗まれたこと、保険が出ないことに感謝したい気持ちになったのも、あの混沌とした、目の底に悲しみの色を湛えたカンボジア人を見続けてきた、今回旅行の一つの功徳なのだろうか。

「泥棒に憐憫の情除夜の鐘」

エリア プノンペン(カンボジア)

電話した翌日、早速にもJALから速達で送ってきた保険約款。

無保険であったのは自分の不注意ではあったが、改めて自己の無知を知る。