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2009年1月1日、カンボジア・プノンペン。<br /><br />2009年の元旦はここプノンペンのワットプノンに近いホテルの一室で、憂鬱な気分の中で朝を迎えた。元旦の朝とはいえ心躍らない。昨日の602号室は東に面していて、プノンペンの町並みを越して、トンレサップ川の向こう側の地平線の彼方から朝日の上がる、初日の出、ご来光、を拝することも出来たが、この西側の部屋では、朝の暗闇がほのぼのと明るくなり、今ようやく朝になり、太陽が地平線から顔を出しているに違いない、と想像できるのみだった。<br /><br />元日の朝、2時間遅れで見るNHK国際放送は、昨夜放映したばかりの紅白歌合戦を又今朝も能も無く繰り返し放映している。今、東京は朝の8時。どうしてお正月らしい、日本の文化、伝統を国際社会にアピールするような番組を放送しないのか。担当者、責任者の無策・無能振りを改めて知る。<br /><br />ホテルでの朝食。これがカンボジア風かも知れないが、タイと殆ど変わらない「カオトム」。「カオトム・タレー」と言って、「タレー」、海のもの、イカとかエビがいっぱい入っているお粥で、栄養豊富ではあるし、お正月、元日の朝食としてはそれ程の不満はない。ここ数年、年末年始を海外で迎える慣行が身につき、今更ながらお屠蘇、御節とは縁遠くなっている境遇を思う。<br /><br />「元旦の食膳うまし異国の地」<br /><br />仏教暦で行事を行うこの国の文化がもともとそうなのか、或いは文化的に新年を祝う風習がないのか、昨夜の大晦日の馬鹿騒ぎとは打って変わって、今朝は静かなもので、お正月らしい飾りも何もなく、数日前に行われたらしいMerry Christmas の真っ赤な飾り看板がロビーの所々にぶら下がっているだけだった。<br /><br />さて今朝はこれから警察へ行かなければならない。昨日午後、王宮前広場でショルダーバッグが盗難に遭い、大切なカメラ、いや、カメラ以上に大切な500枚を越える写真がストックされているマイクロ・メモリーが一瞬の間に消えてしまった。その手続きの為、今日再び警察詰め所へ行くことになった。<br /><br />昨日昼近く、キリングフィールドからツクツクで王宮まで戻ったが、本日は大晦日につき王宮は2時から開場とのこと。近くの食堂でお昼を食べ、2時までにはまだ1時間近く時間があったので、王宮前広場の公園の芝生の上で横になり、ガイドブックを見ていたが、最初はショルダーを枕代わりにしていたが、中のカメラが頭に当たり、外して身体の横40−50cmのところに置いて横になっていたが、何回か寝返りを打っていた間、ものの見事に消えてしまっていた。引田天紅の手品以上に音も無く、姿も見えず、全くの気配すら無く、最初はキツネに包まれ、何かの間違いかと周辺を見回し、それでも矢張りショルダーはなく、盗難を現実のものとして受け入れざるを得なかった。正しく神技の所業。プロ中のプロ。何か不思議に相手の神技を愛でてやりたい気持ちすら起こった。久し振りに遭遇したプロの腕前。<br /><br />「神技に脱帽もせり大晦日」<br /><br />周辺に屯している何人かのグループのところへ行っては、カメラの所在を聞いたが、反応は薄い。その内の一人、二人が英語が分るので、「カメラの中のマイクロチップ、メモリーが当方に取り、かけがえも無く重要なもので、カメラのバッグ内のお金も全部くれてやるが、マイクロだけを返してくれれば、報酬として100ドル、1万円を支払う。犯人に心当たりがあれば、伝えてくれ。当方のホテルはCosaだ。」と訴え続けるも、目の色の変わるような者もいない。<br /><br />長い間の戦乱の中、上からの圧政で、皆事件には巻き込まれたくない、無関心を装うのが一番、という習性が身についているのか、話を聞きに人は集まってくるが、誰も積極的に旗を振る人もいない。「出る杭は打たれる」は日本のムラ社会に残された伝統と思っていたが、ここカンボジアでも同じ様なものだった。<br /><br />兎も角、最寄の警察へ行き、そこから更にツーリスト・ポリスへ行ったが、担当者は名刺を出して、この人が責任者だから明日の8時半にもう一度来てくれ、というのみ。警察の情報網を期待し、同様に謝礼を持ち出し、マイクロだけの回収をお願いし、再び現場に戻り、再度人を集め、当方からのOfferがひょっとして犯人の耳にまで届いていないか期待もしたが、明らかな反応はなかった。<br /><br />と同時に、次なる心配は、ショルダーの中にはホテルの部屋の鍵とセイフテイの鍵も入っている。もしも犯人或いはその片割れが当人に成り済まし、部屋に入り、セイフテイが開けられたら、お金の全部とパスポートまで盗られてしまう。何でもありのこの国のこと、この危険性にハタと気がつき、急いでホテルに戻り、ルーム係に確認したが、誰も不審者は来なかったとのこと。フロント及びルーム係には当方以外の人物は絶対に部屋に入れないよう念押しし、再び現場へ。犯人からのアプローチを空しく待った。<br /><br />昨日の夜までには少し甘い期待もあった。盗んだ犯人がバッグの中からCosa Hotelのルームキーを見つけ、ホテルに連絡してくることも期待したが、それも無く、結局ルームキーとセイフテイBoxのカギを壊して、部屋を移動し、見晴らしの良い部屋から今日のこの西側の部屋に移った次第だった。<br /><br /><br /><br />

「写真の無いブログ」・悲しみのカンボジア(1)「盗難」

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2008/12/23 - 2009/01/07

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ちゃお

ちゃおさん

2009年1月1日、カンボジア・プノンペン。

2009年の元旦はここプノンペンのワットプノンに近いホテルの一室で、憂鬱な気分の中で朝を迎えた。元旦の朝とはいえ心躍らない。昨日の602号室は東に面していて、プノンペンの町並みを越して、トンレサップ川の向こう側の地平線の彼方から朝日の上がる、初日の出、ご来光、を拝することも出来たが、この西側の部屋では、朝の暗闇がほのぼのと明るくなり、今ようやく朝になり、太陽が地平線から顔を出しているに違いない、と想像できるのみだった。

元日の朝、2時間遅れで見るNHK国際放送は、昨夜放映したばかりの紅白歌合戦を又今朝も能も無く繰り返し放映している。今、東京は朝の8時。どうしてお正月らしい、日本の文化、伝統を国際社会にアピールするような番組を放送しないのか。担当者、責任者の無策・無能振りを改めて知る。

ホテルでの朝食。これがカンボジア風かも知れないが、タイと殆ど変わらない「カオトム」。「カオトム・タレー」と言って、「タレー」、海のもの、イカとかエビがいっぱい入っているお粥で、栄養豊富ではあるし、お正月、元日の朝食としてはそれ程の不満はない。ここ数年、年末年始を海外で迎える慣行が身につき、今更ながらお屠蘇、御節とは縁遠くなっている境遇を思う。

「元旦の食膳うまし異国の地」

仏教暦で行事を行うこの国の文化がもともとそうなのか、或いは文化的に新年を祝う風習がないのか、昨夜の大晦日の馬鹿騒ぎとは打って変わって、今朝は静かなもので、お正月らしい飾りも何もなく、数日前に行われたらしいMerry Christmas の真っ赤な飾り看板がロビーの所々にぶら下がっているだけだった。

さて今朝はこれから警察へ行かなければならない。昨日午後、王宮前広場でショルダーバッグが盗難に遭い、大切なカメラ、いや、カメラ以上に大切な500枚を越える写真がストックされているマイクロ・メモリーが一瞬の間に消えてしまった。その手続きの為、今日再び警察詰め所へ行くことになった。

昨日昼近く、キリングフィールドからツクツクで王宮まで戻ったが、本日は大晦日につき王宮は2時から開場とのこと。近くの食堂でお昼を食べ、2時までにはまだ1時間近く時間があったので、王宮前広場の公園の芝生の上で横になり、ガイドブックを見ていたが、最初はショルダーを枕代わりにしていたが、中のカメラが頭に当たり、外して身体の横40−50cmのところに置いて横になっていたが、何回か寝返りを打っていた間、ものの見事に消えてしまっていた。引田天紅の手品以上に音も無く、姿も見えず、全くの気配すら無く、最初はキツネに包まれ、何かの間違いかと周辺を見回し、それでも矢張りショルダーはなく、盗難を現実のものとして受け入れざるを得なかった。正しく神技の所業。プロ中のプロ。何か不思議に相手の神技を愛でてやりたい気持ちすら起こった。久し振りに遭遇したプロの腕前。

「神技に脱帽もせり大晦日」

周辺に屯している何人かのグループのところへ行っては、カメラの所在を聞いたが、反応は薄い。その内の一人、二人が英語が分るので、「カメラの中のマイクロチップ、メモリーが当方に取り、かけがえも無く重要なもので、カメラのバッグ内のお金も全部くれてやるが、マイクロだけを返してくれれば、報酬として100ドル、1万円を支払う。犯人に心当たりがあれば、伝えてくれ。当方のホテルはCosaだ。」と訴え続けるも、目の色の変わるような者もいない。

長い間の戦乱の中、上からの圧政で、皆事件には巻き込まれたくない、無関心を装うのが一番、という習性が身についているのか、話を聞きに人は集まってくるが、誰も積極的に旗を振る人もいない。「出る杭は打たれる」は日本のムラ社会に残された伝統と思っていたが、ここカンボジアでも同じ様なものだった。

兎も角、最寄の警察へ行き、そこから更にツーリスト・ポリスへ行ったが、担当者は名刺を出して、この人が責任者だから明日の8時半にもう一度来てくれ、というのみ。警察の情報網を期待し、同様に謝礼を持ち出し、マイクロだけの回収をお願いし、再び現場に戻り、再度人を集め、当方からのOfferがひょっとして犯人の耳にまで届いていないか期待もしたが、明らかな反応はなかった。

と同時に、次なる心配は、ショルダーの中にはホテルの部屋の鍵とセイフテイの鍵も入っている。もしも犯人或いはその片割れが当人に成り済まし、部屋に入り、セイフテイが開けられたら、お金の全部とパスポートまで盗られてしまう。何でもありのこの国のこと、この危険性にハタと気がつき、急いでホテルに戻り、ルーム係に確認したが、誰も不審者は来なかったとのこと。フロント及びルーム係には当方以外の人物は絶対に部屋に入れないよう念押しし、再び現場へ。犯人からのアプローチを空しく待った。

昨日の夜までには少し甘い期待もあった。盗んだ犯人がバッグの中からCosa Hotelのルームキーを見つけ、ホテルに連絡してくることも期待したが、それも無く、結局ルームキーとセイフテイBoxのカギを壊して、部屋を移動し、見晴らしの良い部屋から今日のこの西側の部屋に移った次第だった。



同行者
一人旅
一人あたり費用
25万円 - 30万円
交通手段
高速・路線バス
航空会社
JAL

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