4traデビュー1周年作品シリーズ 花と草原の地に銀の焔（ほむら）たつ憧れのキジー島?

2006/07/18 - 2007/07/18

人は一枚の写真を目にして、なにか得も言えぬ感銘を覚えたことはないだろうか？
私も幼い頃、心動かされる一枚の写真があった。緑の草原の中から忽然と、にぶい銀色の屋根が天に向かって、炎（ほむら）の如く舞い上がっていく不思議な建造物群の写真であった。当時はその地名など知らなかったし、知るすべさえ持っていなかった。
しかし、その憧憬は深く深く私の心に刻まれ、やがて心の底に埋もれていった。
十数年後のある日偶然にも、ついにその場所が判明した。それがキジー島であった。それから月日が経つに連れて、私の心には、いつかそこへ訪れたい、という気持ちが徐々に、いや訪れなければならない地であるという、強い衝動にかられていったのである。
そして、ついに念願のその日がやってきたのである。

エリア キジー島(ロシア)

ワインレッドに輝く湖面のオネガ湖を、滑るようにして飛んでいく水中翼船のKOMETA（流星）号に揺られて1時間半。
不思議なのは、料金体系と時刻だ。日によっても、運行する船によっても、出発時間や値段がその都度変更しているのはなぜだったのだろうか？
いかにも、ロシアらしいではないか。
あるガイドブックには往復２１２０ｐ（約９０００円）とあったが、私が乗ったこのKOMETA号の往復は９００ｐ（約4000円）であった。ということは、私はラッキー？だったのかもしれない。

つ、つ、ついに、キジー島のプレオブラジェーンスカヤ聖堂が見えてきた！！
本当に本当に長い旅路であった。
感動のあまり、頬からいくつもの熱い想いの結晶が滴り落ち、オネガ湖に溶けていった。

乗船時は、ものすごい雷雨が船体を打ちつけていたが、天は我を見放さなかった。私の煮えたぎる熱い想いが天に通じたのかもしれない。ただひたすら、感謝のみである。
うっすらと蜃気楼の如くそのシルエットを浮かび上がらせる。

キジー島の埠頭にあったキジー島全図で先ずチェック。島の南端に、目指す世界遺産のキジー島保全歴史建築民俗国立野外博物館はある。
ゆくっり見たいが、私に残された時間は２時間しかないのだ。
ウルトラマンよりまだましか。。。と・ほ・ほ・・・・・・。

北極に近い北の大地は、短い夏を惜しむかのように、一面お花畑。
これぞ、花みち　を通って、プレオブラジェーンスカヤ聖堂に足を運ぶ。

ユニークな形の建造物のプレオブラジェーンスカヤ聖堂。皆さんはご存知でしょうか。この教会、白川郷の合掌作りと同じように、建設の際、釘を一本も使っていないということを。
まさしく、人智に勝る技の結晶ともいえるでしょう。

木片で葺かれた銀の玉ねぎ坊主は全部で２２個。積み上げた玉ねぎのアンサンブルは、天に伸びていく、いぶし銀の焔（ほむら）である。

中央にプレオブラジェーンスカヤ聖堂、向かって右側がポクロフスカヤ聖堂、左に鐘楼を従えている。３つの建物のアンサンブルも実に調和が取れていて美しい。

お花畑に浮かぶ幻想的な教会。童心に返って、おとぎ話に迷い込んでしまったみたい。

島の南端は、オネガ湖畔の村々から移築された農家や風車など、生活に密着した建物が集められて保存管理されている。キジー島版明治村といった感じか。
建物内部も博物館となっており、生活用品や農具・漁具が所狭しと並べられている。

美しいシルエットをさらす教会だが、構造疲労が進んで、ユネスコに修復が必要と指摘されたにもかかわらず、誰にも修復方法がわからない、という神がかり的な建物なのだ。実際、プレオブラジェーンスカヤ聖堂は内部から鉄骨で支えられている状態で、内部には入場できない。

ポクロフスカヤ聖堂内部に飾られていたイコン。昔は多くの信者が、このイコンに祈りを捧げていたのであろう。
外観の割には、内部は実に質素である。

１７６４年建造のポクロフスカヤ聖堂のみ入場できる。ヨーロッパの石造りの教会というより、木造建築なので、私にはお寺にお参りするような気分だ。

この旅行記へのコメント （5）

• フルリーナさん 2007/10/03 00:38:47

  すごいですね・・・。

  なんとも不思議な魅力に満ちてますね・・。
  釘を一本も使ってないなんてびっくりです。
  イコンもすてきですね。
  さすがジオディオスさんの目をつける村はすごいわあ・・。

  ジオディオスさん からの返信 2007/10/03 16:17:28

  RE: すごいですね・・・。

  フルリーナさん、ご無沙汰しております。お元気でしょうか？
  フルリーナさん、カヌさんのお陰を持ちまして、私も４traデビュー１年になりました。
  それを記念しまして、キジー島シリーズをリリースしました。この作品は、その感謝を込めて、特にフルリーナさんとカヌさんに捧げたい作品でしたので、ご訪問うれしく、早速の書き込みありがとうございました。同じシリーズで、もう一つ上げたいのですが、相変わらず、仕事が忙しく、アップデートが遅くて、旅行記が進みません。もう少し、お待ち下さい。
  そうそう、今月２５日に友人と２人で、日光の世界遺産見学に行く予定です。
  なにかわからない点がありましたら、教えてください。
  それでは、また。
  ジオディオス
  

  フルリーナさん からの返信 2007/10/03 22:16:27

  RE: すごいですね・・・。

  ほんとうに！！
  その日はお昼なら日光まで出向けます。
  よかったらランチご一緒しましょうか？
  お忙しいかしら？

• カヌ太郎さん 2007/09/12 22:35:43

  びっくりしたなぁ

  ジオディオスさん
  
  キジー島、もう言葉がありません。
  奇妙、奇天烈、驚異
  いかなる言葉でも表現が出来ない！
  人間が考え、造ったものとは
  到底想像できません。
  夢に出てきそう（笑）
  いいものを見せていただきました。
  
  カヌ太郎
  

  ジオディオスさん からの返信 2007/09/14 19:30:19

  RE: びっくりしたなぁ

  カヌさん、早速の訪問ありがとうございました。
  
  今回はキジー島での１日を、同じようなカットで同じような構成で組み立てつつも、３作品全ての違う写真を使用したグラデーション方式にしてみました。
  （ごめんなさい。多分私の表現が稚拙すぎて、カヌさんには真意は伝わらないと思いますが。。）来週初めに、最後の一作をリリースします。
  
  結局、キジー島って、とっても不思議な素晴らしい所でした。
  カヌさんの新作も楽しみにしております。
  それでは、また。
  
  ジオディオス