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荷物をピックアップして空港の到着ロビーで一服する。<br />気がつけば正午に近かった。<br />とりあえず空港から外に出ることにした。<br />猛暑を予想していたが、曇っていたせいか暑くはなかった。<br /><br />すぐ正面にバスが停まっている。<br />ここがバス停のようである。<br />運転手に「ムジャンマ・アブダリ?」と尋ねると、うなづいて答えた。<br />運転手は、バスの横っ腹のトランクのハッチを開けてあちきらのバックパックを放り込む。<br />チップでもせびられるかと思って身構えていたが何もなかった。<br /><br />あちきらは、空港からアブダリバスターミナルに向かう予定である。<br />参考までにムジャンマがバスターミナルの意味らしい。<br />バスは割りときれいで新しい。<br />バスに乗りこむと先ほどの日本人青年も乗り込んできて近くに座る。<br />これも何かの縁と思いお互い自己紹介した。<br /><br />彼は、カツタさん。<br />学生と思いきや勤め人だそうで、彼はこのヨルダンとイスラエルに行くらしい。<br />中東は初めてだそうだ。<br />他に数名の乗客がこの空港に乗り込むと、ドライバーが乗車賃を集めだす。<br />1.4JD+0.25JDでこの0.25JDは意味不明だった。<br />ちゃんと乗車賃の金額が書かれたチケットを渡してくる。<br />それにも0.25JDのチケットがあった。<br /><br />バスは定刻になったらしく出発した。<br />空港周辺は、殺風景で何もなかった。<br />なぜか砂漠のイメージもあったが、どちらかというと穀倉地帯のような風景も見える。<br /><br />バスが走るハイウェイの路肩には、自動小銃を持った兵士が等間隔で立って警備をしている。<br />橋の近くでは、さらに重武装した装甲車やトラックが配置されている。<br />さすが隣国と紛争していた国は物々しい。<br /><br />ようやくアンマンの中心部にやってくると風景がまた一段と変化する。<br />丘陵地帯というよりもっと険しい地溝帯のような風景が広がり、その下部も上部も建物が建築されている。<br />見慣れない風景に感動を覚える。<br /><br />バスは、20〜30分くらいでアブダリに着いた。<br />ここでバスから降りるとタクシードライバーが駆け寄ってきて値段交渉を始める。<br />ホテルまで1JDだ、とカンボジアのシェムリアップにバスから降りたときと似たようなことを言われるが、カンボジアに比べて群がるような数のドライバーではなく、まだ紳士的な対応にちょっとだけ話しをしてみた。<br />そのタクシードライバーに、3人でも1JD?と尋ねるとそうだと答える。<br /><br />カツタさんは、彼に現在位置を確認するために地図を見せる。<br />彼は安宿が集まる地区にあるファラホテルに泊まる予定らしい。<br />あちきらは、クリフホテルを考えていた。<br />いろいろと話し合って、このままカツタさんと共に歩いて行くことになった。<br /><br />15分ほど歩くと先にクリフホテルが見つかった。<br />カツタさんは、ここで別れてファラホテルへ。<br />いつしか小雨が降り出してきた。<br /><br />路地に入って数メートル進むとクリフホテルの入っている雑居ビルの入り口に着く。<br />そこから階段で3階まで上がるとクリフホテルがあった。<br /><br />レセプションで、あの有名人の男性が日本人の若者とゲームを楽しんでいるところだった。<br />彼に予約はないのだが泊まれるかと尋ねると笑顔で返事をくれた。<br /><br />この宿にはドミトリーがないらしく、ツインのベッドルームの部屋を借りた。<br />1泊7JD。<br />トイレとバスは共同である。<br />部屋の天井にはファンがついていた。<br />あちきの方のベットは、骨組みとなる木が何本か抜けていてベットのマットレスが抜け落ちそうになっている。<br />そしてクローゼットもあるのだが、はるか昔に泊まった宿泊客の私物がそのまま放置されていた。<br />そのクローゼットの中に一際目立つ赤いスプレー缶がある。<br />気になって手にすると殺虫剤だった。<br />親切な宿である。<br /><br />荷物を置いてパスポートを持ってレセプションでチェックインの手続きをする。<br />対応してくれたのが、やはりあのサメールさんであった。<br /><br />そもそもこのクリフホテルがどんなホテルなのか説明しないといけないかもしれない。<br /><br />湾岸戦争が終結した頃の話である。<br /><br />ある日本人青年がイラクに復興支援のボランティアをするために、まずこのアンマンにやってきたそうだ。<br />そしてこのホテルに滞在して彼はイラクへと向かう。<br />彼はイラクに渡り誘拐されて殺害されてしまった。<br /><br />その当時の話をネット等で調べると、このサメールさんは危険だから殺害された方のイラク行きを必死に止めようとした。<br />彼は止めたのにも関わらず、地元当局に取り調べのため拘留されたりとひどい扱いを受けた話も聞く。<br /><br />気の毒な話である。<br />彼が有名なのは、この話だけではない。<br />とにかく彼は、信じられないほど親切だという話が山ほどある。<br />どんなに親切なのかは、ぜひネットで「クリフホテル」「サメール」等検索していただければ知ることができるでしょう。<br /><br />そんな彼に、ジャーナリストでもないのに過去の残念な事件を聞くのは失礼と思い、いち旅行者として旅のアドバイスをしてもらうことにした。<br /><br />実は、明日からの予定がはっきり決まっていなかったのである。<br />ノブラの希望で、明日はチェックアウトして死海に向かい浮遊体験。<br />そこから先はペトラに向かうのだが、死海からペトラへの移動手段が決まっていなかった。<br />出発前にこちらで「Q&A掲示板」を利用して得た情報で、有力なのがタクシーの利用である。<br />だが値段交渉する前に相場もいまひとつ不明だったので、彼にズバリ聞いてみた。<br /><br />こちらのブランを話すと、相場が70JDくらいらしい。<br />これは一台の料金だから二人で半額となる。<br />ついでにサメールさんに、タクシードライバーの友達がいるか尋ねると、もちろんいると返事が来る。<br /><br />話は早かった。<br />すぐに彼は電話をしてくれたタクシーを頼んでくれた。<br />そして電話が切れると、明日午前7時にタクシーが迎えに来るらしい。<br />65JDで頼んでくれた。<br /><br />「あ、ありがとう。サメール」<br /><br />後で彼は噂どおりネスカフェを振舞ってくれた。<br /><br />アンマンの空港のハプニングは、彼によって帳消しにされた気分だった。<br />

2007 ヨルダン・エジプト旅記 0516-03

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2007/05/15 - 2007/05/24

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morikens

morikensさん

荷物をピックアップして空港の到着ロビーで一服する。
気がつけば正午に近かった。
とりあえず空港から外に出ることにした。
猛暑を予想していたが、曇っていたせいか暑くはなかった。

すぐ正面にバスが停まっている。
ここがバス停のようである。
運転手に「ムジャンマ・アブダリ?」と尋ねると、うなづいて答えた。
運転手は、バスの横っ腹のトランクのハッチを開けてあちきらのバックパックを放り込む。
チップでもせびられるかと思って身構えていたが何もなかった。

あちきらは、空港からアブダリバスターミナルに向かう予定である。
参考までにムジャンマがバスターミナルの意味らしい。
バスは割りときれいで新しい。
バスに乗りこむと先ほどの日本人青年も乗り込んできて近くに座る。
これも何かの縁と思いお互い自己紹介した。

彼は、カツタさん。
学生と思いきや勤め人だそうで、彼はこのヨルダンとイスラエルに行くらしい。
中東は初めてだそうだ。
他に数名の乗客がこの空港に乗り込むと、ドライバーが乗車賃を集めだす。
1.4JD+0.25JDでこの0.25JDは意味不明だった。
ちゃんと乗車賃の金額が書かれたチケットを渡してくる。
それにも0.25JDのチケットがあった。

バスは定刻になったらしく出発した。
空港周辺は、殺風景で何もなかった。
なぜか砂漠のイメージもあったが、どちらかというと穀倉地帯のような風景も見える。

バスが走るハイウェイの路肩には、自動小銃を持った兵士が等間隔で立って警備をしている。
橋の近くでは、さらに重武装した装甲車やトラックが配置されている。
さすが隣国と紛争していた国は物々しい。

ようやくアンマンの中心部にやってくると風景がまた一段と変化する。
丘陵地帯というよりもっと険しい地溝帯のような風景が広がり、その下部も上部も建物が建築されている。
見慣れない風景に感動を覚える。

バスは、20〜30分くらいでアブダリに着いた。
ここでバスから降りるとタクシードライバーが駆け寄ってきて値段交渉を始める。
ホテルまで1JDだ、とカンボジアのシェムリアップにバスから降りたときと似たようなことを言われるが、カンボジアに比べて群がるような数のドライバーではなく、まだ紳士的な対応にちょっとだけ話しをしてみた。
そのタクシードライバーに、3人でも1JD?と尋ねるとそうだと答える。

カツタさんは、彼に現在位置を確認するために地図を見せる。
彼は安宿が集まる地区にあるファラホテルに泊まる予定らしい。
あちきらは、クリフホテルを考えていた。
いろいろと話し合って、このままカツタさんと共に歩いて行くことになった。

15分ほど歩くと先にクリフホテルが見つかった。
カツタさんは、ここで別れてファラホテルへ。
いつしか小雨が降り出してきた。

路地に入って数メートル進むとクリフホテルの入っている雑居ビルの入り口に着く。
そこから階段で3階まで上がるとクリフホテルがあった。

レセプションで、あの有名人の男性が日本人の若者とゲームを楽しんでいるところだった。
彼に予約はないのだが泊まれるかと尋ねると笑顔で返事をくれた。

この宿にはドミトリーがないらしく、ツインのベッドルームの部屋を借りた。
1泊7JD。
トイレとバスは共同である。
部屋の天井にはファンがついていた。
あちきの方のベットは、骨組みとなる木が何本か抜けていてベットのマットレスが抜け落ちそうになっている。
そしてクローゼットもあるのだが、はるか昔に泊まった宿泊客の私物がそのまま放置されていた。
そのクローゼットの中に一際目立つ赤いスプレー缶がある。
気になって手にすると殺虫剤だった。
親切な宿である。

荷物を置いてパスポートを持ってレセプションでチェックインの手続きをする。
対応してくれたのが、やはりあのサメールさんであった。

そもそもこのクリフホテルがどんなホテルなのか説明しないといけないかもしれない。

湾岸戦争が終結した頃の話である。

ある日本人青年がイラクに復興支援のボランティアをするために、まずこのアンマンにやってきたそうだ。
そしてこのホテルに滞在して彼はイラクへと向かう。
彼はイラクに渡り誘拐されて殺害されてしまった。

その当時の話をネット等で調べると、このサメールさんは危険だから殺害された方のイラク行きを必死に止めようとした。
彼は止めたのにも関わらず、地元当局に取り調べのため拘留されたりとひどい扱いを受けた話も聞く。

気の毒な話である。
彼が有名なのは、この話だけではない。
とにかく彼は、信じられないほど親切だという話が山ほどある。
どんなに親切なのかは、ぜひネットで「クリフホテル」「サメール」等検索していただければ知ることができるでしょう。

そんな彼に、ジャーナリストでもないのに過去の残念な事件を聞くのは失礼と思い、いち旅行者として旅のアドバイスをしてもらうことにした。

実は、明日からの予定がはっきり決まっていなかったのである。
ノブラの希望で、明日はチェックアウトして死海に向かい浮遊体験。
そこから先はペトラに向かうのだが、死海からペトラへの移動手段が決まっていなかった。
出発前にこちらで「Q&A掲示板」を利用して得た情報で、有力なのがタクシーの利用である。
だが値段交渉する前に相場もいまひとつ不明だったので、彼にズバリ聞いてみた。

こちらのブランを話すと、相場が70JDくらいらしい。
これは一台の料金だから二人で半額となる。
ついでにサメールさんに、タクシードライバーの友達がいるか尋ねると、もちろんいると返事が来る。

話は早かった。
すぐに彼は電話をしてくれたタクシーを頼んでくれた。
そして電話が切れると、明日午前7時にタクシーが迎えに来るらしい。
65JDで頼んでくれた。

「あ、ありがとう。サメール」

後で彼は噂どおりネスカフェを振舞ってくれた。

アンマンの空港のハプニングは、彼によって帳消しにされた気分だった。

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