2006/10/28 - 2006/10/28
350位(同エリア447件中)
まみさん
2006/10/28(土)第21日目:ブカレスト
国立オペラ座でチケットをとる、オペラ座のそばのルーマニア新教会と旧教会、大主教教会と宗教関係物品の出店散策、大学広場から旧共産党本部前広場へ、クレツレクス教会、共和国宮殿内の国立美術館(ルーマニア美術部門とヨーロッパ美術部門)
国立オペラ座でバレエ「シンデレラ」鑑賞
大主教教会の見学を終えた後、統一広場から地下鉄に一駅乗り、大学広場からヴィクトリア大通り(Calea Victoriei)を通って革命広場へ向かいました。
1989年の民主革命の舞台となった革命広場は、思ったより広かったです。
今は都会のだだっ広いロータリーにしか見えませんでしたけど。
私はこの民主革命について、旅行前まではほとんど知らなかったため、自分なりに調べてきました。そしてブカレストに行くなら、その現場を見ておこうと思っていました。
しかしながら、今回は広場をゆっくり回る時間がありませんっ!
この広場付近には見どころが多いのです。
私を待っているのは、クレツレスク教会とルーマニア国立美術館という二大ハイライトです。
クレツレスク教会はともかく、国立美術館は、3時間ではとっても見学しきれない、膨大なコレクションでした。美術館好きの私にとって、ここだけで一日ずっと過ごしていてもよいくらいでした。
それでいて、実はこの国立美術館の収蔵品は、1989年の革命のときにたくさん失われてしまったというのですから。
実に惜しいと共に、さすが首都の美術館です。
革命広場はゆっくり回れず、二大ハイライトのどちらも内部は撮影禁止ではあったとはいうものの、やはりこの付近の写真を撮ってはいます。
なので、少し離れた大学広場の一枚をオマケに、1つ旅行記に独立させました。
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大学広場の古本市
さすがに大学のそばだけあって、古本市@
ゆっくり見たかったけれど、今日はこのあと、革命広場に行ってクレツレスク教会に国立美術館!
やりたいことがたくさんあるのです@ -
クレツレスク教会
やって来ました、クレツレスク教会@
「地球の歩き方」の紹介文を読んで、ぜひここは見学したいと思ったものです。
通りから見ると、ほっそりした教会です。
しかし、周囲に広場がないため、全貌を撮りにくいです。 -
クレツレスク教会の正面
「革命広場に建つ18世紀建造の教会。典型的なルーマニア正教の教会で、都会の真ん中にあることを忘れさせてしまうほど、教会内の静けさは別世界。その静けさの中で、ひたすら祈りを捧げる信者たちがあとを絶たない。入口ポーチの天井には、善と悪を裁く神の姿が描かれた、18世紀当時のフレスコ画を見ることができる。」
(「'05〜'06年版 地球の歩き方 ブルガリア・ルーマニア」より) -
クレツレスク教会の入口前のポーチのフレスコ画
三つの塔のある教会、ひょっとしてこれは大統一教会ではないかしら。
うーん、でも屋根のあたりがちょっと違うかな。
ドームも見当たらないですしね。 -
クレツレスク教会の入口前のポーチのフレスコ画
聖人たちがずらり。善と悪を裁く神の姿かな。
縁を飾る模様もすてきです@ -
クレツレスク教会の入口前のポーチのフレスコ画
勝利の子羊とドラゴンですね、きっと。 -
クレツレスク教会の入口前のポーチのフレスコ画
天井のフレスコ画は、どこか曼陀羅を思い出させます。
その下の半円は、マリアの生涯を描いたものでしょうか。
キリストと共に神の王座に座るマリア(左)とマリアの死(右)の場面のような気がします。 -
クレツレスク教会
浮き彫りの美しい窓に注目。 -
革命広場の旧共産党本部と、どこかおどろおどろしい像
1989年革命の犠牲者でしょうか。
あるいは、ひょっとして、チャウシェスクの像でしょうか。
犠牲者か英雄を讃えるにしては、ちょっとおぞましい像です。
そういえば私は、チャスシェスクの顔を知らないことに気付きました。 -
革命広場の慰霊碑……かな。
「地球の歩き方」によると、旧共産党本部の前には1989年の革命の慰霊碑があるとあったので。 -
革命広場の慰霊碑の基部の彫刻
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革命広場の慰霊碑と旧共産党本部
最初、あの建物はなかなかかっこいいのに、窓に一つ一つ律儀にくっついているあのクーラーが興ざめだなぁと思いました。
でもそこも妙に面白くなってきて、写真に撮っておきました。
後でこの建物が旧共産党本部だと気付きました。
「1989年12月22日、故チャウシェスク大統領の最後の演説の場となり、その時、市民が勝利を収めた旧共産党本部は、演説中、民衆の罵声に気づいたチャウシェスクが、屋上からヘリコプターで逃走した場所である。」
(「東欧の郷愁」(新潮社)より) -
革命広場の慰霊碑と旧共産党本部
「革命広場は1989年の民主革命時の銃撃戦の舞台となった。南東端に建つ旧共産党本部は、そのテラスで故チャウシェスク大統領が、大群集を前にして最後の演説をした場所としてあまりにも有名になった。民衆の大ブーイングで演説が遮られると、彼は屋上からヘリコプターで逃亡した。トゥルグヴィシュテへと落ち延びた大統領は、その近郊にあるデアル僧院の兵営内で妻とともに処刑された。」
(「旅名人ブックス ルーマニア 伝説と素朴な民衆文化と出会う」(日経BP社)より) -
国立美術館のある共和国宮殿
「ヴィクトリア広場からヴィクトリア通りに入ると、沿道にルーマニアを代表する博物館、また美術館が並ぶ。(中略)
革命広場まで来ると、広場西側を占める巨大な共和国宮殿。この中には国立美術館がある。この国立美術館のイコン・コレクションと、アート・コレクション美術館(現代は国立美術館の一部)にあるニコラエ・グリゴレスク(19世紀のルーマニア人画家)のコレクションは、見落とせない。」
(「旅名人ブックス ルーマニア 伝説と素朴な民衆文化と出会う」(日経BP社)より) -
国立美術館のある共和国宮殿の入口
なかなか洒落た入口で、気に入ってしまいました@
「革命広場に面した共和国宮殿の一部が美術館として使用されている。1989年、革命広場での銃撃戦の戦火を受け、多くの絵画が焼失してしまったものの、量・質ともにルーマニア最大級の規模を誇る。美術館内は、ルーマニアの宝物、ルーマニア美術、ヨーロッパ美術の3つに別れており、チケットもそれぞれ別れているが、3つを合わせた共通チケットもある。」
(「'05〜'06年版 地球の歩き方 ブルガリア・ルーマニア」より)
と、「地球の歩き方」には書かれていましたが、ルーマニア美術とヨーロッパ美術部門の2つしかなくて、共通券もこの2か所のみでした。
どうやら今回はルーマニアの宝物は見学できなかったようです。
あるいは展示場所が変わったのでしょうか。
入場料は、ルーマニア美術とヨーロッパ美術の共通券が8レウでした。
ルーマニア美術だけだと、7レウです。
(2006年10月現在、1レウ=約40円)
ヨーロッパ美術の有無で1レウしか違わないので、大急ぎで見ることのなるかもしれないけれど、共通券の方を買いました。 -
国立美術館の庭の彫刻
テーマはさしずめ、「風」でしょうか。
「ルーマニアの宝物は、金製、銀製の聖遺物入れや十字架、食器などを収めたまばゆいばかりのコレクション。ルーマニア美術では、中世から現代にかけての宗教美術、絵画、彫刻などを収蔵をしており、特に宗教美術では、各地域、時代にわたったイコンのコレクションや、木彫技術の粋を極めたイコノスタス(教会内の至聖所の前に置かれたついたて)などが見応えある。また、ルーマニア近代絵画の三大巨匠アンドレスク、グリゴレスク、ルキアンのそれぞれの代表作も集められている。ヨーロッパ美術では、レンブラントやエル・グレコ、ルーベンス、クラナッハといった巨匠たちの作品など、見応えは充分。もともと宮殿だった建物を利用しているので、内部の装飾も非常に美しい。」
(「'05〜'06年版 地球の歩き方 ブルガリア・ルーマニア」より)
国立美術館は3時間は見て回ることはできましたが、3時間でもとても足らないボリュームでした。最初の古典美術をゆっくり見過ぎたかもしれません。いや、3時間でも足らないかもしれないと思っていたのでそんなにゆっくり眺めたつもりはなかったのですが、どこかの教会の扉だのイコノスタシスだのフレスコだののオリジナルが保存されていましたし、教会宝物やイコンやら、とにかく豪華ぞろいだったのです。
1階の教会美術が見終わったところでひと休みしたかったのですが、まだまだモダン部門やヨーロッパ美術が残っているので、休まずに見学を続けました。
2階はルーマニア古典美術(Galeria de Arta Veche Romanesca)、3階は、モダン部門(Galeria de Arta Romanesca Moderna)でした。
古典美術といっても、2階から18〜20世紀くらいの近代美術が始まっていました。ここはルーマニア美術史上、重要そうな画家の名前はメモしながら見学しました。だいたい何枚もある画家はそうだろうと見当つけて。
やはり首都にある国立美術館だけあって、下調べで大急ぎで調べた範囲で名前を覚えた画家や、3日前のブラショフ美術館でも目をつけた画家たちの作品がたくさんでした。
「地球の歩き方」にもあったイオアン・アンドレスク(Ioan Andrescu; 1850-1882)、ニコラエ・グリゴレスク(Nicolae Grigorescu; 1838-1907)、シュテファン・ルキアン(Stefan Luchian; 1868-1916)もバッチリです。この三大巨匠はルーマニアの印象派といったらよいでしょうか。グリゴレスクはマネみたいに、最初は具象的なのですが、どんどん筆のタッチが変化していきました。
ほかにもユトリロっぽいなと思ったゲオルゲ・ペトラスク(Gheorghe Petrascu; 1872-1949)、ブラショフ美術館で出会った抽象画家ハンス・マティス・テッシュ(Hans-Mattis Teutsch; 1884-1960)など、画家の名前だけなら40名、メモしてきました。その画家たちの作品のほとんどは覚えていられないのですが、名前に覚えがあると、今度出会ったときに、「あの画家か!」と、見る目が違ってくるはずです。
しかし、残り時間を考えると、だんだん足早になり、非常にもったいなかったです。素通りした訳ではないのですが、一つの絵の前に数秒とかチラッとではなく、せめて1分くらいじっと眺めていたかったくらい、どれも素敵だったからです。
ヨーロッパ美術部門に行くには、いったん外に出て、別の入口から建物に入り直さなくてはなりません。上着をクロークに預けてしまったので「しまった」と思いましたが、上着だけを取りに行く時間が惜しく、ちょっと寒かったのですが、走って行きました。
ヨーロッパ美術部門を見学するには、30分しか残っていませんでした。まあルーマニア美術部門のきらびやかさに比べると見劣りしましたが、でもいい作品がそろっていました。巨大な作品はあまりなくても、有名な画家の絵がたくさんありました。たとえば、ファン・アイク、レンブラント、クラナッハ、ティントレット、エル・グレコ、メムリンク、ピーター・ブリューゲル(父)、テニエール、ルーベンス、ヨルダーンス、カラヴァッジョ、印象派のピサロ、シスレー、クールベ、シニニャック、ブータン、モネ。特に、ビーター・ブリューゲルの作品が6枚もあったのはすばらしかったです。
ヨーロッパ部門は、イタリア・ルネサンス初期の絵画から始まりました。
実は私はこういうオーソドックスな絵を鑑賞するのはずいぶん久しぶりなのです。ここ数年はどちからというと劇場通いと美術工芸に関心が抱き、国内で開かれる美術展にもあまり足を運ばなくなりました。美術館三昧になる格好の海外旅行も、行き先はここ数年、東欧ばかりで、日本にめったに紹介されることにない知られざる東欧の画家発掘に燃えていましたから。
フランス印象派にイタリア・ルネサンス絵画。その昔、私が西洋美術好きになった原点であり、かつてその絵を求めて海外旅行を計画したくらい夢中になったものです。
なので、もう見飽きたようなつもりになっていたものですが、それは驕りでした。
やっぱり名画であり巨匠の作品は何度眺めても心底見飽きることなどあり得ず、いいものはいいもんだなぁ、と懐かしさとともに、久しぶりに堪能することができました。
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この旅行記へのコメント (4)
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- nekoさん 2013/07/07 15:32:48
- クレツレスク教会
- 読み直して不審に感じたのは、教会内部に関する記述や写真がないことです。で、また読み直して、「二大ハイライトのどちらも内部は撮影禁止ではあった」との記述を見付けました。クレツレスク教会は私が訪れた2012年11月16日だと何の問題もなく撮影させてくれたんですがね。
- まみさん からの返信 2013/07/08 03:48:07
- RE: クレツレスク教会
- nekoさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かにいま読みかえすと、内部の感想がないのは、片手おちですね。
写真がないから、書きそびれたようです。
教会内部の撮影は、はっきり掲げていないところは、許可を求めた相手によるところが、大きい気がしませんか。熱心な人はいやがりますよね。nekoさんは問題なく撮れたんですね、羨ましいです。
> 読み直して不審に感じたのは、教会内部に関する記述や写真がないことです。で、また読み直して、「二大ハイライトのどちらも内部は撮影禁止でよるはあった」との記述を見付けました。クレツレスク教会は私が訪れた2012年11月16日だと何の問題もなく撮影させてくれたんですがね。
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- nekoさん 2013/07/07 15:01:25
- お久しぶりです
- クレツレスク教会に関して調べているうちにまみさんのページに辿り着きました。ついでにあれこれ読んでいるうちに、「多くの会がが焼失してしまった」?「多くの絵画が焼失してしまった」でしょうか。
- まみさん からの返信 2013/07/08 03:41:38
- RE: お久しぶりです
- nekoさん、こんにちは。ああ、タイポですね、のこっちゃったんだあ。ご指摘ありがとうございます。帰国後なりますが、直します!
> クレツレスク教会に関して調べているうちにまみさんのページに辿り着きました。ついでにあれこれ読んでいるうちに、「多くの会がが焼失してしまった」?「多くの絵画が焼失してしまった」でしょうか。
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