1961/11/16 - 1961/11/16
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ソフィさん
1961年11月16日(木)
シュッツさんから招待されたオービュッソンのランチは、何時までも楽しい話が尽きなかったが、今日中に400キロを運転してパリに戻らなければならない。
名残を惜しみながら出発したのは、15時を過ぎたころだった。
フランスの晩秋は、早く暮れる。
そろそろ暗くなり始めた上、霧が深かった。
私はワインとコニャックの酔いで、半分夢の中である。
しかしシュッツさんは、ほとんど休まずに、ハンドルを取り続ける。
車を運転しながら、私に「ソレタンシュ社に入らないか」と誘いがかかった。
思いがけない急な話に驚いたが、彼はこの話を持ち出そうかどうか、今まで迷っていた様子である。
おそらく出発前から、会社と打ち合わせしており、彼の今回の旅行目的のひとつだったと考えられる。
シュッツさんは、スカウトまでやっているのだ。
この会社はアジア市場への進出を目指しており、私が貴重な戦力になるとのことである。
条件は、月給400ドル。
現在私の給料が100ドルだから、その4倍だ。
フランスの最高学府(グランド・ゼコール)出身者の初任給は600ドルとのことだから、それに比べれば低いが、「あなたの力が認められれば、すぐに昇給するよ」とのことだ。
私は、この話に、非常な魅力を感じた。
フランス社会の一員となって働けば、多くのものが得られるに相違ないと考えたからである。
二三年修行すれば、ずいぶん勉強になるだろう。
私は「少し考えさせて欲しい」と、即答を避けた。
私が自分の部屋に戻ったのは、20時半だった。
この二日間シュッツさんに案内してもらって、フランスの土木現場や技術などたくさんのものを見せてもらったが、一番学んだものは彼自身の驚くばかりの、人生への情熱だった。
パリに学ぶ日本人の友人が、
「頭じゃ負けないが、彼らの体力には参るよ」
と言っていたことを、如実に実感する。
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