2006/05/08 - 2006/05/18
639位(同エリア816件中)
鉄人60さん
アーネスト・へミングウエイ(シカゴ1899〜1961年)
読書家であった文豪は酒と海を愛した。「誰が為に鐘はなる」の売り上げ収入で購入した邸宅にはペットの墓まである心優しい動物愛好家。
へミングウエイがキューバに住んだ20年間(1940年〜1960年)の足跡を追ってみた。島を愛した文豪はキューバの前はアメリカの最南端の「キーウエスト島」に12年間も住んでいた。サンフランシスコ・デ・パウラの静かな漁村にある邸宅は、今では博物館となっている。改装中のリビングやキッチン、居間を覗くと数多くの本(9000冊)が並んでいる。邸宅内に保存されている愛艇「ピラール号」(聖母マリアの名前)の操縦席には特別な穴がある。酒好きな彼は釣をしながらいつでも飲めるようにしたラム酒やビール瓶の置き台である。
当時はコヒマル港に停泊している愛艇で何時でも出航できる準備がされていたらしい。「老人と海」の舞台となった漁村には、今も主人公となった老人の孫が健在である。
寂れた港には大物釣の餌用の小魚を獲る小船が数隻、漁をしている。文豪の胸像のあるコヒマル公園の傍ではギターを片手にキューバソングを歌うミュージシャン。へミングウエイの縁のあるものはなんにでも商売になるものだ。文豪が立ち寄ったレストラン「ラ・テラサ」の店内にはカストロ議長とのツーショットの写真や大物釣を楽しんでいる貴重な写真が並んでいる。現地でしか見ることの出来ない写真に当時の釣好きの様子が良く解る。この店の名物「ランチト」が又、旨い。(鶏肉・海老・トマト・たまねぎをデミグラソースで煮込んだ料理)。小鉄と二人当時を偲んで舌鼓を打って味わった。
邸宅が出来るまではハバナ市内に宿泊していた。ホテル「アンボス・ムンドス」の511号室は、観光名所のひとつになっている。当時の手紙・タイプライターや釣具が展示されている。ホテルの滞在中は旧市街にあるラ・フロリティータ(バーレストラン)へ繰り出し陽の高いうちから飲んでいたのも理解できる。
この暑いキューバで昼間からアルコールを口にしたくなるのは何処の国の観光客でも同じ思いである。彼の特注のダイキリ(ラム酒・ライムジュース)は「パパ・ダブル」と言う名でこの店の看板メニューになっている。訪れる観光客は「パパ・ダブル」を片手に文豪になった積りが、昼間の酒は暑さを増すばかりである。彼が通った店は何処でも「行列が出来る店」。
訪問客のサインで圧倒されるレストラン「ラ・ボランギータ・デル・メディオ」は文豪の写真やサインが店内装飾を引き立てている。二回目も訪れ、やっと席に付けた。
彼の足跡をたどって見たが酒と釣をこよなく愛し、動物好きで数多くの趣味を持つ読書家であった。早朝からの執筆活動は誰からも邪魔されない白亜の館で……。
文豪は一夜にしてなれるものではない。一日7時間の執筆、夜も空けぬうちから集中して出来る環境が文豪を生み出した。本で埋まった居間は努力の現われを感じる。
昼からの時間は好きな酒と釣、そんな中から「老人と海」は書き下ろされたのだろう。
明日は彼が愛した海で釣に挑戦してみる事にした。「老人と海」に乞うご期待。
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