2005/07/22 - 2005/08/11
1137位(同エリア1162件中)
極楽蝶さん
8月2日火曜日。クラクフを立ちワルシャワに向かう。朝9時15分にHさんとホテルのロビーで待ち合わせ,僕の荷物が多いのでホテルでタクシーを呼んでもらい,ソファーで寛ぐ。レセプションの女性の話では,3分ぐらいでタクシーが到着すると行っていた。しかし,10分経ってもまだ来ない。不安になったので窓の外を見ると1台のタクシーが止まっている。これまでどこの国のホテルでタクシーを呼んでもらっても,タクシーが来たら,ドアマンがそれを知らせに来るか,ドアマンがいなければ運転手がロビーに迎えに来た。ここでもそうだと思っていたが,どうやら彼も入口に車を止めて5分以上は待っていた様子。運転手の性格なのか,お国柄なのか,いずれにしても何もせずにお客を待っていて平気なのかと思った。
まあ,ともかく,こんな経験もするのが個人旅行の良いところなのだから,時間までには駅に着けたので,OK。クラクフ発10時ちょうどの電車に乗り,ワルシャワに着いたのは12時45分。ここで,Hさんとは夕食の時間とレストランを決めて分かれる。後で書くが,この夕食のレストランでまた出会いがあった。
ホテルはここでもホリデー・イン,ここに2泊する。駅から近かったこと,インターネットでまずまずの特別プランが出ていたので決めた。ホテルでワルシャワの旧市街までの距離を聞くと,歩いて30分以上かかるという。その上,今日は暑いからバスかタクシーを使った方が良いという。距離はともかくとして,確かに今日も暑い。ホテルを出た3時頃(迂闊にも部屋に入ってベットに寝ころんだところで,居眠りをしてしまった)で,30数度はあった。でも,僕は初めての町では,最初はできるだけ徒歩で町を廻り,町並みをゆっくりと見ることは勿論,その町の大きさや起伏などを感じるこで,その町の様子を知ろうと思っているので,ここでもまずは歩く。
この町,実に道が広い。クラクフなどは,戦禍にさらされなかったこともあるだろうが,旧市街をぐるりと取り囲む環線以外は目立って広い道は少ないし,真っ直ぐの道もあまり見かけない。ワルシャワとはまったく対照的だ。その上,ワルシャワ中央駅の周りには背の高い近代的なオフィスビルや西側資本の有名ホテルがいくつも建っている。さすがにポーランドの首都,旧東の中心都市といった面持ちである。
ホテルを出てからしばらくすると,クラクフ郊外通りに行き着いた。この通りが旧市街に向かうと道で,この道の両側には聖十字架教会(ショパンの心臓が埋められている教会)やラジヴィウ宮殿など観光ポイントがいくつもある。恐らく,ホテルからクラクフ郊外通りまでの距離とそこから旧市街までの距離とは大体同じぐらいのものだと思うが,この暑い中,何も目を楽しませるものがない前者(文化科学宮殿はあったが)の距離と右も左も写真に納めたい建物や景色がいっぱいの後者の距離では,倍以上に距離が違うように感じた。
さて,ワルシャワの旧市街だが,ここは第2次世界大戦時の市街戦でそのほとんどが破壊されてしまった。その後,ワルシャワ市民の情熱は,残された写真や絵,生き残った人の証言から以前と寸分違わぬ街を再現したという。確かにこの旧市街は,こんな予備知識を持たずに訪れたならば,戦後に作り直された街などとは誰も思わないと思う。それぐらいに,完璧に再現されている。例えは,ワルシャワ歴史博物館に行ってみる。この建物もそのほとんどが破壊されたものである。しかし,その中の梁などなんともいえぬ年季が感じられる。旧王宮にしても同じだ。この再建が終えたのが1988年だそうだが,新しい建物に感じるけばけばしさはまったく感じない。よくぞここまで再現したと,感心させられる。
ところで,夕食だが,ワルシャワ中央駅の近くの日本食レストラン「日本館」でとることにした。Hさんと午後8時にレストランで待ち合わせた。ここにした理由は「地球の歩き方」の紹介に「ダシにこだわったとんこつラーメン」とあり,これが食べたいと二人とも思っていたからだ。
生ビールにとんこつラーメンと餃子を注文。この生ビールも嬉しかった。ヨーロッパに来ると,日本のように冷えたビールを出すところは少ない。その上,ジョッキまで冷やしているとなると,これまでに飲んだことがない。しかし,日本館ではジョッキまで冷やしたビールが出てきたのだ。やっぱりこれは旨い。そしてラーメン。ポーランドでとんこつなど,正直言ってあまり期待はしていなかった。不味くても仕方ないと思っていた。でも,スープをすすってみると,日本で食べるとんこつスープと同じ。具も紅ショウガが入っている。麺は僕にとってはちょっとだけ柔らかかったが,問題はない。つまり,日本のとんこつラーメンが出てきたのだ。餃子も美味しい。ポーランド料理ではピエロギという茹でた餃子のような料理があり,それを焼いたようなものが出てくると思っていたが,これもまったく日本の餃子。ポーランドまで来て,ちゃんとした日本食を食べることができるとは思ってもいなかったので,とても驚いた。もしもワルシャワに行くことがあったら「日本館」はおすすめである。
食事を終え,二人で出ようとしていたとき,店にいた日本人の男性が声をかけてきた。店の従業員のようで,時間があったら少し話をしていきませんか,という。まあ,二人とも明日ワルシャワを出るわけではないので,ワルシャワの様子を聞いてみようと思い,促されたテーブルに着く。話を初めてすぐに分かったが,この人,店の従業員ではなく,オーナー。福岡県出身だった。だから,とんこつラーメンには思い入れがあり,彼自身としても店で自慢のメニューだったのだ。美味しくて当たり前だった。
最初はチョット話していこうと思っていたが,オーナーのポーランドに店を出すまでの話やワルシャワのポーランド料理の店の話などで大いに盛り上がる。1時間以上話し込んでしまし,時間も夜の11時を回っていた。するとオーナーが遅くなったからホテルまで送るよ,という。それに加えて,夜の市内を案内するというので車に乗せてもらう。旧市街,新市街,各国大使館街,ワルシャワ蜂起記念碑,旧ゲットーやワジェンキ公園などを廻る。その上,オーナーの自宅マンションにまでお邪魔してしまった。このオーナーのマンションから見るワルシャワの夜景もとても綺麗で,彼自身このことを自慢にしていた。週末には奥さまと夜景を見ながらベランダでバーベキューをするというから羨ましい。
翌日もワルシャワの旧市街に行く。昨日は街を散歩するぐらいで終わってしまった。2日目は歴史記念館や旧王宮,聖ヤン大聖堂などを見学。夜はまた,Hさんと「日本館」で夕食をとった。
Hさんとはここでお別れ。僕は明日からはグダンスク。彼女はリトアニアのビリニュスに向かうという。
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文化科学宮殿
これを見ると旧共産主義国と感じる。同じような建物がラトヴィアのリガにもあったように思う。
ガイドブックにはワルシャワ市民は皮肉を込めて「ソビエトの建てたワルシャワの墓石」と呼んでいるらしいが,せめてもこれが旧市街の近くに建てられなかったのが幸いである。でも,この建物もいずれ旧ソ的建築の最高傑作と称えられる日が来るかもしれない(実際にそれぐらい立派ではある)。 -
旧市街市場広場
ワルシャワ歴史博物館の窓から撮った一枚。歴史博物館に入るとき,リュックのような大きい荷物はクロークに預けなければいけないが,僕がカメラをリュックに仕舞い,鍵をかけて預けようとしたとき,クロークのおばさんが(この人はとても分かり安い英語を喋った),「展示物を写真に撮ってはダメだけれども,窓から見える広場は撮っても良いんだよ」と教えてくれた。そのおかげで,窓から見える広場の様子を写真に撮ることができた。 -
旧市街市場広場と馬車とハト
ワルシャワもクラクフと同じように観光客が多い。旧市街地は特にだ。だから観光客相手の馬車も結構ある。
それと旧市街にはたくさんのハトがいる。人間にとても慣れていて,チョット近づいたぐらいでは逃げようともしない。 -
旧市街市場広場にある人魚像
人魚はワルシャワの街のはじまりの伝説に深く関わっているということである。しかし,この写真で注目してもらいたいのは,人魚が振り上げている剣に雀が留まっていること。彼女には剣より雀の方が似合う。 -
夕方の旧王宮とジグムント3世の碑
旧市街と新市街を廻ってホテルに帰ろうとしていたとき,赤い煉瓦でできた旧王宮が夕陽でさらに赤く染められて綺麗だった。 -
旧王宮の玉座の間
深紅と金がとても印象的で美しい部屋。普通,赤と金とが部屋いっぱいにあったら,あまりにもけばけばしくて長くいることは絶えられないと思うが,どうしてこういうところの色はそれを感じさせないのだろうか?
ただ,椅子は王の椅子にしてはチョット小振りで派手さは内容に思った。(「謁見の間」の椅子の方がチョットだけ立派) -
旧王宮の大理石の間
天井を除いて全てが大理石。だから,他の部屋に比べてチョットだけひんやりする。
ここの部屋の大理石を見ると,黒,緑,青,赤,グレーなどの大理石にも色々な色があることが分かる。
天井の絵も素敵だ。 -
聖ヤン大聖堂
この大聖堂,旧市街の家と家との間に挟まれていて,窮屈そう。この写真からはその高さが実感できないが,前に写っているおじさん二人が見上げていることで,それを感じてほしい。
時間によって,オルガンコンサートが開かれているようだが,チケットが無いと入れない。僕は時間が無くて聞けなかったが,音色のいいオルガンとの評判があるようなので,いった人は是非聞くと良いだろう。また,ステンドグラスも綺麗だ。モザイク画のようなステンドグラスで,これまでこのようなのは見たことがない。 -
バルバカンと城壁
クラクフにもあった円形の防塁,バルバカン。ワルシャワのバルバカンはクラクフのよりもチョットだけスリム。
旧市街の家々はこれが戦後に再建されたものかと感心したが,このバルバカンはどういう訳だが「あれ,これはやっぱり新しいな」という感じがする。煉瓦の色や肌にまだ丸みがない。 -
漆喰のライオン
聖ヤン聖堂から旧市街市場広場に向かうと,広場の入口にあたる家の角にライオンの漆喰があった。「不届き者はこの広場に一歩たりとも踏み入れさせない」というような形相だった(かな?)。 -
漆喰のペリカン
旧王宮の近くの家の角にあった(多分)ペリカンの漆喰。足下に二羽の雛がいるのが分かるだろうか。こんなところにまで洒落っけがある。 -
漆喰の帆船
今度のは家の入り口にあった帆船の漆喰。波まで漆喰で作っている上に,船の乗組員まで細かく描いている。もしかしたら,これを作らせた家の主人は海運で一儲けしたのか,それとも船に大砲があるから軍艦のキャプテンだったのか,なんとも良くできている。壁の薄い赤い色ともよく合っている。 -
旧市街地の裏路地
ワルシャワの旧市街は昼間は街の人や観光客で賑わっている。でも,その旧市街で一本か二本,道を入るといっぺんに静かな空間が現れる。ヨーロッパの古い町を訪れるとき,本当はこんな静寂を求めてきているのかもしれない。 -
旧市街地の広場に置かれた鐘の彫刻
聖ヤン聖堂の西側は前の写真のように人通りの多い道路に面している。けれども東側はまったく静かな場所だ。狭い広場のようになっていて,そこに鐘が置いてあった。よく見ると鐘を吊す部分に人の顔が描かれていた。この洒落っけもカメラにパシャ。 -
ラジヴィウ宮殿
クラクフ郊外通りに面したラシヴィウ宮殿はポーランドの大統領官邸だ。厳つい兵隊達がこのライオンから奥には人を入れないようにいつも警備している。でも,これだけでかいライオンがいたら(それも二頭もいる)兵隊達がいなくても良いだろう。 -
聖十字架教会のイコン
聖十字架教会もクラクフ郊外通りに面している。この教会はショパンの心臓を石柱の下に埋葬していることで有名だ。でも,中に入ってその石柱のところに行っても,特に他の石柱と区別されているわけではなく,ちょっとガックリ。でも教会の南側にあったイコンは信者の真珠のネックレスで埋め尽くされ,とても綺麗だった。その上,このイコンに祈りを捧げる人が引きも切らなかった。でも,なぜ真珠の首飾りなのかは分からなかった。(知っている人がいたら教えて) -
聖十字架教会の天井画
聖十字架教会の天井画も素晴らしかった。これがどんな場面を描いているのか,知っている人がいたら教えてください。 -
ワルシャワ大学の正門
ワルシャワ大学もクラクフ郊外通りにある。最初は素晴らしい門柱があるので目に留まったが,真ん中に「UNIWERSYTET」とあったので,ここが大学だと分かった。まるで貴族の館のようだ。 -
ベランダを支える大男の像
前の門から北に少し行ったところに四人の大男が支えるベランダがあった。もう何年のもこの格好で支えているのだろうか? -
ワルシャワの一片
少し休もうと座ったベンチで,後ろを振り向くと木と木の間から家の紋章らしきものが目に入った。紋章と左に伸びる影の具合がとても良かったので,一枚パシャ。
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この旅行記へのコメント (2)
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- kk1224さん 2007/09/20 18:38:35
- 「日本館」行ってきました
- はじめまして。
極楽蝶さんの記事を見て、昨日(2007/9/19)レストラン「日本館」へ行ってきました。
思ったより立派で高級そうな店でした。
お勧めのとんこつラーメン・餃子・ビールを堪能しました。
ただ思ったより量が少なかったので、ウェイトレスの方に「替え玉はないか?」と聞いたところ、オーナーに伝えてもらいましたが、「替え玉はない」とのことでした。
その後、オーナーの方が出てこられたので、「味は良いが、麺がやわらかすぎる」と言ったところ、「それでは、麺をかためにするので、もう一杯食べていってくれ」と言われました。
作り直していただいたラーメンはとてもおいしかったです。
その後、ビールをおかわりして、オーナーの方と30分以上、南米やポーランドの話をしました。
ただ、とんこつラーメン30zl、餃子18zl、生ビール大12zl×2で合計72zlはちょっと高いなと感じましたが、外国の日本レストランでは普通なのでしょう。
- 極楽蝶さん からの返信 2007/09/21 00:05:22
- RE: 「日本館」行ってきました
- kk1224さま
はじめまして。極楽蝶です。
旅行記を読んで頂いただけでなく,あの日本食レストランにも
行って頂いたなんて,とても感激です。
大将はお元気でしたか? なつかしいです。
僕もワルシャワの”とんこつ”ラーメン,と旅行案内で見て,
半信半疑僕で(不味くてもともと,話のタネに),と思って行
ったのですが,外国であの”とんこつ”スープを味わえるとは
思っていませんでした。 美味しいですよね!!
値段の件ですが,ポーランドでは日本料理店は高級レストラン
に分類されるようなので,それを考えると安いのかなと思って
いました。
それと,大将の南米とポーランドの話。大将が,日本から南米,
ポーランドとモデルを探して行く話は面白いですよね!
そうそう,kk1224さんは,いまもしかしてポーランドに旅行中
ですか? もしそうなら,お気をつけて。 今度は,kk1224さ
んのポーランド旅行記を楽しみにしています。
では,また。
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