nynさんのクチコミ全6件

初めての利用です。シーズンオフだったせいか定価をさらに割り引いた激安（１泊1900円）でした。
この値段なのに、簡単な朝食、飲み物、タオル類、シャンプー・リンス、洗顔石鹸、化粧水・乳液、歯磨きペースト、等々が無料で用意されています。ドミトリーなので、自分専用スペースはベッド１台分だけですが、カーテンできっちり仕切れるようになっており、中は蛍光灯で充分な明かりをとれるし、コンセントやハンガーもある。狭いながらとても機能的にできていて、さほど不便に感じませんでした。その他に、共用スペースには人数分の鍵のかかるロッカーもあります。また、ドミトリーなのに部屋に施錠できるのにも驚きました。ただし、男性専用ドミトリーは廊下のような部分にあり、鍵のかからないオープンスペースのようでした（寝台車みたいな感じ）。
難を言えば、２階（宿泊する階）のトイレは小用専用で深夜～早朝は使用不可なこと、３台ある洗面台のいずれもお湯が出ないこと（冬の朝の洗顔がつらい！）。あと、共用のゴミ箱が朝満杯で溢れそうになっていたこと（こまめに中身を片付けてほしい）。これさえ改善されれば言うことなしです。
古民家の趣きを生かし、オーナーのアットホームなおもてなしを売りにしたゲストハウスは京都や奈良に多く見られますが、ここはそういうのとは全く違います。内装は機能的な現代風ですし、スタッフもビジネスライクな感じで、特に用事がなければ放っておかれます。「観光ですか？」「どこに行かれましたか？」なんていう世間話的な声掛けもありませんでした。そんな雰囲気なので、宿泊客同士の積極的な交流なども取り立ててありませんでした。これはこれであっさりしてて良いかもしれません。“旅館風”なおせっかいが苦手な人にはいいかも。快適に寝るだけの安い宿を捜している人にはお勧めです。

本堂も、そこに安置されている大きな地蔵菩薩坐像も鎌倉時代のもので、国の重要文化財です。国宝・重文だらけの奈良では目立ちませんが・・・。地蔵菩薩は大きいだけでなく、凛とした厳かな雰囲気。光背にびっしり付いた化仏（小さい仏像）にも圧倒されます。拝観者が少ないこともあり、お寺の方の応対も丁寧で、お茶や飴玉でもてなしてくださいます。
こじんまりとしたお庭も、たくさんの石仏などが配され、花が植えられているなど、さりげなく趣きあります。奈良時代の高僧・玄ゆかりのお寺ということで、玄の顕彰碑も建っています。怪奇な伝説も多く、とかく悪者扱いされがちな玄僧正ですが、こちらのお寺では歴史的な再評価に努めておられるようです。
歴史好き、仏像好きの通な旅人にお奨め。

　橿原市の古い街並みエリアとしては「今井町」が有名ですが、近鉄橿原線を挟んで東側にある「八木町」もお奨めです。こっちはあまり観光化しておらず、少々地味ではありますが、今も多くの人たちが住んでいる現役の街で、本物の良さがあります。八木町は街道筋に栄えた町だそう。その街道が交わる重要スポット「八木札の辻」に建つ大きな旅籠が橿原市によって保存され、見学施設兼休憩所になっています。入場見学無料なのが嬉しい。ボランティアガイドさんがいて、丁寧に説明してくれます。説明を聞くと、当時の様子が想像できてより深く楽しめます。八木町のその他の見どころも教えてくれます。
　

　国の登録有形文化財「志賀直哉旧居」の、小道を挟んで隣にあるカフェです。このお宅自体も、画家・足立源一郎が大正８年に建てたレトロ洋館（同じく登録有形文化財）。その庭を利用して、現住人の画家・中村氏と奥様がカフェを営んでいます。母屋の中には立ち入れませんが、お庭だけでも充分雰囲気は味わえます。
　メニューはコーヒーと素朴なケーキくらいで、お値段も高めですが、雰囲気を味わうための代金と思えば、まあ納得。中村氏は、志賀直哉旧居の保存のために尽力したことで有名な方です。ＪＲ奈良駅旧駅舎や旧奈良県物産陳列所などの保存にも関わったという、奈良の近代建築保存運動の父みたいなお人。普段、お店を切り盛りされているのは奥様のようですが、ラッキーなことに中村氏がおられたので、色々お話を伺うことができました。
　中村氏は、やはり画家である父親の代からこの洋館に住んでおられ、志賀直哉とも少しだけですが面識があるそうです。文化人街・高畑の生き証人のような方。志賀直哉ファンは、旧宅を訪れた後にこのカフェに寄ってみてはいかがでしょう。運良く中村氏がおられれば、貴重なお話を伺うことができるかもしれません。

　ならまちに古くからある砂糖問屋。ただの砂糖ではお土産にならないので、水飴、砂糖菓子、蜂蜜や黒砂糖を使った自然派石けんなどを販売しています。特に水飴（商品名「御門米飴」）は、米と麦芽を使って昔ながらの製法で作られており、独特の風味は一度口にしたらクセになります。陶器の壺入りなのも素敵。お土産には少々重いですが・・・。プラスチック容器入りや、硬い飴玉バージョンもあります。
　そして、このお店のもうひとつの売りは、90歳近いと思われるお歳の大奥様（増尾正子さん）。この地に生まれた跡取り娘さんという生粋の奈良っ子です。大変な物識りで、奈良の名所旧跡や昔の町の様子などを綴った本を何冊も出版されています。スゴイのは、70歳代でこのような活動を始められ、今も現役だという点。シリーズ最新刊（第５巻）は2013年に出ています。今も時々お店に出ておられ、私も２回ほどお目にかかれました。老舗の大女将というよくあるイメージとは違って、にこやかで気さくな洋装のモダンな方でした。
　奥様の著書は店頭でも販売されています。通りいっぺんの観光ガイドブックには飽き足らない奈良好き・奈良ツウのひとに断然お奨めです。

2011年11月にオープンしたゲストハウスです。大正時代に建てられたという女将さんの祖母の家を改装した宿です。居間兼食堂として使われている元客間がレトロな洋室でお洒落。貸切の（相部屋でない）和室２部屋は、普通の民家の畳の部屋という感じ。複数ベッドの入るドミトリー（女性専用・男性専用の各１部屋）は、狭いながらも大幅に改装されたスッキリとした造りです。シャワー室や２か所あるトイレは、新しく設備された清潔で機能的なもの。風呂場は家庭の古いお風呂ですが、シャワーや追い炊き機能などの十分な設備はされています。ゲストハウスにはシャワーしかない所も多いようなので、お風呂があるのはありがたいです。
ゲストハウスには若者向けの合宿所みたいな所もよくあるようですが、ここは経営者夫妻が６０歳前後（たぶん）ということもあり、落ち着いた雰囲気です。泊り客も老若男女、日本人も外国人も、と様々ですが、旅慣れた文化的雰囲気を漂わせた人が多いように見受けられ、安心感があります。私もこの歳（５０代）で初めてのゲストハウス利用だったので最初は多少の不安もありましたが、全くの杞憂でした。以来、奈良旅行の定宿にして、何度も泊まっています。
　ゲストハウスなので、他人と顔を合わせるのが煩わしい人には向かないかもしれませんが、人と交流するのが嫌じゃない人にはお勧めです。旅慣れた泊り客からいろいろな耳より情報をもらえるし、経営者夫妻も地元の人なので、地元ならではの情報を教えてくれます。外国人の泊り客も多いですが、経営者夫妻が英会話自在で（特にご亭主）気軽に通訳してくれるので、私のような凡人でも焦らずに済みます。
　ドミトリー内での飲食は禁止ですが、居間ではいつでもお茶やコーヒー（インスタントですが）が飲めますし、無料のちょっとしたお菓子も常に置かれています。一人でくつろぐも良し、誰かがいれば会話を楽しむも良し、ちょっとしたサロンのような雰囲気です。
　昼食・夕食は出ませんが、「ならまち」のただ中なので、ちょっと出ればいろんな店がある便利な立地です。とはいっても、賑やかな通りからは奥まっているので、とっても静か。奈良ホテルの裏口前、奈良ホテルの裏庭の緑が借景で、時々鹿も通るような場所です。細い路地の奥にあるので、夜は少々歩くのが不安かもしれませんが・・・。ちなみにその路地は「不審ヶ辻子」といって、鬼が逃げ込んだという伝説があるそうです。
　奈良好きで何度も通いたい、連泊したいという通な旅人に、だんぜんお勧め。安いし、耳より情報が得られるし、立地も風流。奈良の住人になったような気分を味わえますよ。