「海外旅行には何度も行ったけれど、ケガや病気をしたことはない」というトラベラーは多いでしょう。そして、そんなトラベラーこそ「クレジットカード付帯の保険があれば十分。海外旅行保険に加入しなくても大丈夫」と感じていると思います。
けれど、「海外旅行保険に入っていたから助かった」という声が意外と多いことを知っていますか。海外旅行保険に入っておけば、安く効率的に『安心』を獲得できます。取り返しのつかないことになってから後悔することもありません。
必要な補償をしっかり受けつつ、コストを抑えられる海外旅行保険の選び方をお伝えします。
2018年に家族でタイのプーケットを旅したkurototoさんは、旅行の最終日に娘さんが発熱。念のため病院へ行ってみると、医師から「熱が高いのでこのままでは飛行機に乗せてもらえません」と入院を勧められました。
そのまま入院したところ、デング熱にかかっていることが判明。娘さんはプーケットの病院に9日間入院し、kurototoさんも付き添いました。
入院でかかった費用は60万円。帰りの飛行機代も2人で20万円以上。しかし、海外旅行保険に入っていたため、食費を除くほぼすべての費用が賄われました。
「そういえば、旅先で熱が出たという話は聞いたことがある」「自分も、重症にはならなかったけどお腹がゆるくなったことはある」という人も多いでしょう。
ジェイアイ傷害火災保険の調べによると、2019年度の「海外旅行中の事故に遭う確率」は4.1%。これは24人に1人の確率です。つまり、30人程度のツアーがあれば、そのうち誰か1人は事故(病気・ケガをはじめとした何らかのトラブル)に遭うということになります。海外では長時間の移動や時差、気温差、衛生環境や食事、水質の違いから体調を崩しがちです。また、全般的に犯罪率が高く、伝染病をはじめとした地域特有のリスクもあります。そうしたことを踏まえると、日本にいるときよりも事故に遭うリスクは高いのです。
海外旅行中に病院にかかった場合、「海外療養費制度」を利用すれば一部費用が払い戻されます。しかし、その金額は日本での医療水準で算出されるため、医療費が高額な海外で実際に支払った金額より、大幅に少ない金額しか支給されないことも珍しくありません。
海外旅行中はケガや病気のリスクが高いことを考えると、海外旅行保険は必須だと言えます。
参考:2019年度 海外旅行保険事故データ:ジェイアイ傷害火災保険株式会社
海外で急な病気にかかって治療を受けたとき(海外療養費):全国健康保険協会
2019年度 海外旅行保険事故データ:ジェイアイ傷害火災保険株式会社
海外旅行保険における補償項目別の事故件数を調べると、3つの項目が全体の95%を占めています。海外旅行保険に入る際は、この3つの項目は必ず抑えましょう。
ケガや病気による治療費用、救急車の交通費や医療通訳費、入院した際に家族が現地に駆けつける場合の渡航費用、日本や第三国までの医療搬送費用等
パスポート、スーツケースやカメラ、携帯電話等の手荷物の盗難や破損
航空機の遅延や欠航、航空会社に預けた荷物が行方不明といった、予期せぬ偶然な事故により負担を余儀なくされた費用(交通費、宿泊費、食事代、身の回り品購入費等)
この項目のパーセンテージは地域によって変わります。ヨーロッパでは「携行品損害」(便の乗り換えに伴うスーツケースの破損や盗難被害など)、アジア・北米・オセアニアは「治療・救援費用」(衛生環境や気候の違いによる体調不良など)が高い割合を占めています。
この3つの項目の中でも、特に重要なのは「治療・救援費用」です。件数が多いのはもちろん、治療内容や国・地域によって、その費用は数百万円から数千万円以上に及ぶこともあります。例えば医療費が高額なアメリカでは、1日あたりの入院費が100万円~200万円になることも珍しくありません。
2019年度の高額医療費用事故の事例を見てみましょう。いずれも「家族が駆けつけ」ており、通常では支払えない高額な費用となっています。海外旅行保険を選ぶ際は、治療費に加え救援者費用も補償対象に入っているか、どのくらいの金額がカバーされるかにも注目する必要があります。
国・地域 | 内容 | 支払保険金 |
---|---|---|
アメリカ | 嘔吐後に倒れ意識不明となり救急車で搬送。くも膜下出血と診断され25日間入院・手術。家族が駆けつける。看護師が付き添いチャーター機で医療搬送。 | 4,661万円 |
アメリカ | 頭痛のため受診、脳内出血と診断され18日間入院・手術。家族が駆けつける。医師が付き添い医療搬送。 | 3,506万円 |
グアム | コーヒーショップで倒れ救急車で搬送。心筋梗塞と診断され19日間入院・手術。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。 | 2,100万円 |
ハワイ | ハイキング後に胸の苦しみを訴え救急車で搬送。心筋梗塞と診断され14日間入院・手術。家族が駆けつける。看護師が付き添い医療搬送。(補償限度額超過) | 1,500万円 |
ハワイ | 現地到着後、まっすぐ歩くことができなくなり受診。脳梗塞と診断され6日間入院・手術。家族が駆けつける。 | 1,174万円 |
2019年度 海外旅行保険事故データ:ジェイアイ傷害火災保険株式会社
参考:2019年度 海外旅行保険事故データ:ジェイアイ傷害火災保険株式会社
世界の医療事情 アメリカ合衆国(ニューヨーク):外務省
水も飲めなくなる、飲めば吐く。うめき続ける。(ここで旅続行をあきらめ病院手配)
損保ジャパンのメディカルヘルプの番号にかけ、まず日本語完備のクリニックへ(キャッシュレス応対)。熱が38℃。すぐにただ事ではないからと救急センターを紹介され、タクシーで移動。現時点の現地での請求は18万円分のみ。タクシー代はレシート取って後日保険でカバー。
保険は大事です。世界一周だから入っていたけど、オーストラリア2週間なら入ってなかったかもしれません。危なかったです。...もっと見る>>
クレジットカードに付帯されている海外旅行保険は、条件を満たせばお金を払わずとも適用されます。クレジットカード付帯の保険をうまく活用すれば、海外旅行保険料を安く抑えることができます。
クレジットカード付帯保険は利用付帯と自動付帯があるため、まず自分のクレジットカードの保険がどちらかを確認し、利用付帯なら条件を満たしておきましょう。
次に、クレジットカード付帯の海外旅行保険の補償限度額がどの程度なのか、チェックします。
以下に代表的なカードの事例を紹介します。
エポスカード | 楽天カード | JCB一般カード | |
---|---|---|---|
利用条件 | 自動付帯 | 利用付帯 (募集型企画旅行の 代金に限る) |
利用付帯 (「搭乗する公共乗用具」 または 「参加する募集型企画旅行」 の料金をお支払い) |
傷害死亡・後遺障害 | 500万円 | 2,000万円 | 3,000万円 |
傷害治療費用 | 200万円 (1事故の限度額) |
200万円 (1事故の限度額) |
1回の事故につき 100万円 |
疾病治療費用 | 270万円 (1疾病の限度額) |
200万円 (1疾病の限度額) |
1回の病気につき 100万円限度 |
賠償責任 | 2000万円 (1事故の限度額) |
2,000万円 (1事故の限度額) |
1回の事故につき 2,000万円限度 |
救援者費用 | 100万円 (1旅行・保険期間中 の限度額) |
200万円 (年間限度額) |
100万円限度 |
携行品損害 | 20万円 (1旅行・保険期間中 の限度額) |
20万円 (年間限度額) |
1旅行中20万円限度 保険期間中100万円限度 |
参考:海外旅行傷害保険:エポスカード
海外旅行傷害保険:楽天カード
カード自動付帯保険のご案内(個人カード一覧):JCBカード
実際に治療費用・救援者費用が発生した場合、やはり高額になりがちです。そのため、100~200万円程度の補償額ではまったく足りない恐れがあります。どの国でも、どのような事態でも安心できる補償額と考えると、なるべく数千万円以上は欲しいところ。選べるなら無制限にして、しっかり厚みを持たせるのがベストです。
携行品損害は、保険によって「1点につき」「年間限度額で」「1旅行あたり」などと、限度額単位が異なります。特にカメラやスマートフォンなど、旅先で重宝する電子機器類の破損や盗難リスクを考えると、1旅行あたりの補償額20万円では不安です。
飛行機の遅延や欠航は比較的起こりやすいトラブルですが、多くのクレジットカード付帯保険の補償項目には、それにかかる費用を補償する旅行事故緊急費用が含まれていません。ゴールドカードでも付いていないことがあります。
これらを踏まえ、クレジットカード付帯保険の不足分を補える海外旅行保険を選びましょう。
海外旅行保険には、補償項目が一通り揃った「セットプラン」と、必要な補償だけのバラ掛けや補償金額を自由に選べる「フリープラン」があります。
クレジットカード付帯の海外旅行保険が利用できない場合は、セットプランがおすすめです。
クレジットカード付帯保険が利用できるなら、不足分を選択して補えるフリープランを選びましょう。特定の補償項目を厚くできることに加え、不要な補償をカットし保険料を安く抑えられます。
フリープランでバラ掛けする場合、必ず入れておきたい補償項目は以下の3つです。
いざ治療、いざ入院といった事態に備えておくなら、せめて2,000~3,000万円の補償枠、選べるなら無制限にしてもいいくらいです。また、高額治療費が発生しても、現地で治療費自己負担の必要がない、キャッシュレスメディカルサービスありの保険に加入しておきたいところです。
持って行く荷物の金額にもよりますが、カメラと携帯等の電子機器類があるならクレカ付帯保険の補償枠と合算して40~50万円は設定しておきたいです。
事故発生時の費用負担は大きな金額にはなりにくいですが、航空会社に預けた荷物が届かない、というトラブルは特に乗継便の場合よく聞くうえ、バラ掛けしても保険料は数十円程度なので、ぜひつけておきたいです。
その他、「賠償責任」も数十円の保険料で1億円の補償を付けられることがあります。万が一のことを考え、付けておくと安心です。
香港到着日から体調が悪いチビ。保険会社から送られてきたメールとか読み直して、ホテルのフロントに翻訳画面を見せて電話をかけてもらった。そして保険会社と繋がり、日本語がわかる病院を紹介してもらった。
やっぱり保険は大切!特に子供連れは!今回は風邪だったので、多分そこまでの治療費はかかってないとは思うが、保険に入っておけば、すぐに行動にうつせる。...もっと見る>>
JTBグループとAIGグループの旅行保険に特化した合弁会社がt@biho(たびほ)です。当記事おすすめの補償項目をバラ掛けできるので、クレジットカードの付帯保険が使える人向け。インターネット専用の保険なのでリーズナブルで、出発当日でも契約が可能です。
旅行先に加えて、年齢によっても保険料が細かく設定されており、ケガや病気のリスクが低い10歳~49歳のトラベラーは割安です。
14項目の補償項目は業界最多。コロナ禍の海外旅行で懸念される「旅行キャンセル費用」や、発生率の高い「航空機遅延」(出発遅延、欠航、着陸地変更等により発生した追加出費)までカスタマイズして選べます。
セットプラン保険料例:990円(韓国、3日間、1人、18~49歳、保険料節約プランの場合)
※過去3年以内のリピーターは保険料が3%割引になります。
HISグループのインターネット専用保険がたびともです。バラ掛けはできないものの、ネット専用旅行保険の中でもセットプランの保険料が一段とリーズナブル。緊急時には、世界50カ国以上で利用できるフリーダイヤルの他、LINEの無料通話からサポートセンターへ連絡できます。
さらに、オプションの電子機器等補償を付帯すれば、カメラやスマートフォンが破損した場合も、携行品損害保険金の範囲内かつ修理代立て替え不要で、提携先にて修理してもらえるので安心です。
Wi-Fiレンタル料20%割引(提携サービス)の契約者限定特典もあるので、現地でSIMを買わない人にはうれしいサービス。
セットプラン保険料例:870円(韓国、3日間、1人、20~64歳、P1タイプの場合)
※過去2年以内のリピーターは保険料3%割引となります。
参考:海外旅行保険たびとも
【off!(オフ)】は、累計契約者1200万人以上を誇る人気の旅行保険です。
一番の特徴は「オーダーメイドプラン」。補償項目だけではなく、補償額まで細かく設定できるので、補償内容を自分でカスタマイズしたい人向きの保険です。また、家族で加入すると「賠償責任」「携行品損害」「救援者費用」「航空機寄託手荷物遅延」の4項目は補償額を共有できます。2人目以降をカスタマイズすれば、保険料が抑えられるというメリットも。
セットプラン保険料例:1,480円(韓国、3日間、1人、保険料抑えたいプランの場合)
先生も看護師さんも優しくとても過ごしやすかったです。
気になるお値段は55,000バーツでした(約17万くらい)。保険に入っていてよかった(*´ω`*)
因みに海外保険のオフ(25日間で8000円)に入っていたのでキャッシュレスで治療が受けられました。...もっと見る>>
A.保険会社各社により対応が異なりますが、疾病死亡および治療・救援費用において補償の対象とする保険サービスが増えております。
適用範囲は、旅行行程中に感染し、保険責任期間終了後 30 日以内(従来の72時間以内より拡大)に治療開始した場合(死亡保険金については死亡された場合)に補償対象となることが多いです。
一方で、旅行出発前の感染による治療費用やキャンセル費用は対象にならないことが多いので注意が必要です。(※別途、旅行キャンセルや旅行変更費用の特約については保険各社にご確認ください。)
また、国ごとに感染症防止措置がとられていることから、キャッシュレス治療サービスの利用が一部制限されていることがありますので、ご注意ください。
A.チェコ、ポーランド、ラトビア、リトアニア、ブルガリア、エストニア、ハンガリー、エクアドル、イランなどで義務化されています。
国によって義務付けている保険内容が異なりますので、渡航の際は確認しましょう。必ずしも、入国時に保険加入証明書の提示が求められるというわけではありませんが、警察などから提示要求された際に持参していない場合は、罰金の対象になる場合もありますので、ご注意ください。
A.保険会社によりますが、海外滞在中に帰国日が延びた場合、現地から保険期間の延長手続きができることが多いです。
搭乗予定の交通機関の遅延・欠航・運休、医師の治療を受けたこと、旅券の盗難または紛失で旅券または渡航書の発給を受けたこと、などの事由に該当する場合は、一定時間自動的に保険期間が延長されることもありますので、各社サービス内容や約款をご確認ください。
これまで大きな事故に遭わず海外旅行をしてきたトラベラーは、毎回旅行の度に海外保険を契約するのは掛け捨て損だと感じるでしょう。しかし、自己責任ではない事故や病気になったトラベラーも数知れません。それだけでなく、ケガや病気で数千万円単位の金額が必要になることもあります。
万が一の時に「入っていて助かった」と胸を撫で下ろせるのが保険。何事もなく旅行を終えられ「必要経費だった」「安心して旅行ができた」と思うことが大切なのではないでしょうか。
ただし、必要以上に掛け金を払うのは避けたいところ。クレジットカード付帯保険をしっかり活用しつつ、ネット専用保険のバラ掛けでコスパ良く「安心」を手に入れましょう。
みんなの体験談
2018年GWプーケット旅行(入院?)記
最終日… 疲れが出たか?と思い、熱を計ると38.5度の高熱。。。 診察、血液検査を終え、検査結果を待つこと1時間後… 先生からは「扁桃腺が腫れています。熱が高いのでこれでは飛行機に乗せてもらえません。医者としてはこのままここで入院を勧めます」とのこと。 判明した病名は『デング熱』 結局長女と私は現地に9日間入院しました。 この入院でかかった入院費は約60万円!飛行機も二人で20万円以上しました....もっと見る>>
海外旅行保険について
ヨーロッパツアー初日に体調崩され入院された方がいました。(重篤)
治療を受けて帰国するにあたり、医師・看護師が必要で付いてくるようですが、どのくらいの費用がかかるのかわかりません、この方は成田で行く当日に保険加入をしていたそうです。自費だったらと考えただけでゾッとします....もっと見る>>