海外旅行ではクレジットカードが必須であることはよく知られていますが、デビットカードの重要さについて語られることはあまり多くなく、デビットカードを持っていない、よく知らないという人も珍しくありません。
実は、海外では欧米を中心に、デビットカードはクレジットカードより多く使われている国や地域があり、デビットカードしか使えないという場面もあります。特に欧米では、デビットカードがあるとより快適かつ安全に旅行を楽しむことができるのです。
この記事では、クレジットカードしか持っていないトラベラーにこそおすすめしたいデビットカードについて詳しくお伝えします。
デビットカードは、銀行預金の口座と紐付けられた決済用のカードのことをいいます。クレジットカードとの最も大きな違いは2点です。
・即時引き落としされる
・使えるのは口座残高の範囲内
デビットカードは口座残高の範囲内でしか利用できないので現金感覚で買い物ができ、使いすぎしまう心配があるトラベラーにはクレジットよりむしろオススメです。また、欧米を中心に国や地域によっては、デビットカードの利用率がクレジットカードを上回っている場合もあります。
たとえばイギリスでは、2017年に現金決済とデビットカード決済がほぼ同額になり、今後はデビットカードが現金を上回ると考えられています。オランダでは2019年の決済手段はデビットカードが 66.4%、現金が 32.1%を占めており、クレジットカードによる決済は極めて少ないのです。
このように、デビットカードの方が普及している国も少なくないため、欧米ではクレジットカードのみでは心もとないですね。
クレジットカード同様、デビットカードにも複数のブランドがあります。VISA/JCB/Mastercardブランドのデビットカードは、大手銀行や一部のネット銀行・地方銀行のみしか扱っていませんが、国内外のVISA/JCB/Mastercardマークのついたお店で使用可能なため、海外でも使用できます。
一方で、J-Debitという機能が付いたデビットカードもあり、国内約1,100の金融機関で扱っているものの、海外では使えないため注意が必要です。
クレジットにないデビットカード最大の特長は、海外のATMで自分の銀行口座から現地通貨が引き出せることです。ただし、ブランドによって使えるATMが異なります。
海外では、日本と文化が異なるためチップなど現金が必要になる場面もあります。そういった観点からも、必要な時に口座から現金を引き出せるのは便利ですよね。
いずれの場合も暗証番号で認証をして引き出しますが、暗証番号を一定回数以上間違えるとロックがかかり、場合によってはカードの再発行が必要となりますので、海外では普段以上に暗証番号の管理には気を付けましょう。
デビットカードの特徴は、ほかにもたくさんあります。
デビットカードでは、利用金額によってポイント還元のみならず、キャッシュバックもあります。ただし、還元率はクレジットカードほど高くはないことがほとんどです。
三菱UFJ銀行 | 三井住友銀行 | 楽天銀行 | Sony Bank WALLET |
住信SBI ネット銀行 |
|
---|---|---|---|---|---|
VISA | 0.2% キャッシュ バック |
0.5%ポイント または 0.25% キャッシュ バック |
1.0%ポイント バック |
最大2.0% キャッシュ バック |
- |
JCB | 0.2% キャッシュ バック |
- | 1.0%ポイント バック |
- | - |
Master card |
- | - | 1.0%ポイント バック |
- | ミライノ 【一般】 0.8%ポイント 【プラチナ】 1%ポイント バック |
2020年11月10日現在
クレジットカードは取得に際し審査が行われます。所得の申請や年齢制限があり、誰でも発行できるわけではありません。一方、デビットカードはクレジットカードに比べて審査がそれほど厳しくなく、審査自体がない場合もあります。
また、加入年齢制限も15歳または16歳からと低いため、高校生でも持つことができます。お子さんが留学やホームステイをする際、デビットカードを持たせておけば多額の現金を持ち歩かずに済み、日本から送金もできるので安心です。
参考:楽天銀行 Visaデビットカード、ジャパンネット銀行 Visaデビットカード
海外旅行中は何が起こるか分からないもの。うっかり財布を落としてしまったり、盗難にあったりする恐れもあります。そんな「もしも」の時にも、デビットカードなら安心です。デビットカードで支払うと、その都度、利用通知メールが送られてきます。そのため、悪用されていることが分かった場合、すぐにカードを止めることができるのです。また、デビットカードの不正利用は、預金者保護法に基づき原則補償を受けることができます。ただし、補償限度額や条件は金融機関により異なります。
このように、安心のサポートもあるデビットカードですが、使用にあたり注意しておきたい点もあります。
海外では、ホテルやレンタカーを使用するとき「デポジット(保証金)」を請求されることがよくあります。デポジットは後日返金されますが、数日から2週間ほどかかる場合があります。デポジットの支払い分を忘れて口座残高を管理していると、残高不足になることもあるので注意しましょう。
加盟店であっても、下記のケースの場合、デビットカードが使えないこともあります。
・ギャンブル目的
・ガソリンスタンド
・飛行機の機内販売や一部の券売機
アメリカ圏一部のガソリンスタンドや券売機では、購入時に郵便認証が必要な加盟店があります。また、利用国独自の本人認証システムが導入されていると、デビットカードが使えない場合があります。
参考:よくあるご質問「カードが利用できなかったのですが? 」(スルガ銀行)、Q&A「デビットカードが利用できませんでした。」(ミライノ デビット)、Visaデビットで困ったら(ジャパンネット銀行)、海外でのご利用にあたって(東京VISAカード)
デビットカードに限りませんが、海外のATMでは、吸い込まれたまま出てこなくなることや、現金を取り出す前に回収されてしまうことがあります。もしこのような事態に遭遇した場合は、ATMを設置している金融機関に説明し、カードの返還や現金の返金をしてもらいましょう。その場ですぐに対応しないと、カードを取り戻せなくなる恐れがあります。こういう事態が起こったときすぐに対応してもらえるよう、金融機関の施設内や隣接しているATMを選んで使うのがおすすめです。
デビットカードで海外のATMから現地通貨を引き出すと手数料がかかります。手数料は 発行の金融機関によって異なりますが、各金融機関が定める手数料(ATM利用手数料)に加え、VISAやJCB、Mastercardなどが定める基準レートに海外事務手数料率がプラスされた金額が加算されます。
三菱UFJ銀行 | 三井住友銀行 | 楽天銀行 | Sony Bank WALLET |
住信SBI ネット銀行 |
|
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VISA | 110円/回 Visa料率 +3.05% |
110円/回 Visa料率 +3.05% |
0円/回 Visa料率 +3.08% |
220円/回 Visa料率 +1.79%(※) |
- |
JCB | 110円/回 JCB料率 +3.05% |
- | 0円/回 JCB料率 +3.08% |
- | - |
Master card |
- | - | 0円/回 MasterCard 料率 +3.08% |
- | ミライノ デビット (Mastercard) 料率 +2.5% |
2020年11月10日現在
※Sony Bank WALLET(VISA)では、外貨10通貨で口座開設でき、かつ残高ありの場合は、ATM利用料が無料になります。
さらに、現地ATM設置会社がATM利用料請求する場合もあります。デビットによる引き出しは「手数料が取られるから高くつくのでは」と不安になるかもしれませんが、国内の空港で外貨両替をする場合よりオトクな傾向にあるようです。
※2020年11月26日 10万円をUSDにした場合の試算
参考:本日の為替レート(GREENPORT AGENCY Co.,ltd)、Currency Exchange Calculator(Visa)
日本で買い物をする際にデビットカードを使っても、手数料はかかりません。しかし海外で買い物やレストランの支払の際にデビットカードを利用すると、決済手数料がかかります。
決済手数料は、VISAやJCB、Mastercardなどの各ブランドが定める為替レートに、金融機関毎に決められた手数料(ATM引出し時と同じ海外事務手数料)がプラスされます。手数料は2~3%前後が一般的です。
※デビットカードは利用時の為替レートで引き落としがされます。利用店舗からの売り上げデータが届くタイミングで為替変動があった場合、後ほど差額が引き落としされる、あるいは入金されるという処理が行われます。
参考:デビットカードは海外旅行に超便利!その選び方と利用方法をご紹介(ソニー銀行 公式ブログ)、デビットカード 海外での使い方(楽天銀行デビットカード)、海外でのご利用(ミライノデビット)、SMBCデビットの使い方(三井住友銀行)
イギリスはカード社会ですが、国民が使っているほとんどはデビットカード(銀行口座からの引き落とし)です。どう違うかというと、使うのがクレジットカードだった場合、3パーセントから5パーセントの手数料が取られる可能性があるのです(デビットカードなら取られません)。....もっと見る>>
海外旅行好きのトラベラーがぜひ持っておきたいデビットカードをご紹介します。
「余計な手数料はできるだけ払いたくない」という人におすすめしたいのが、ソニー銀行の「Sony Bank WALLET」です。手数料が低く、利用金額に応じたキャッシュバックが毎月受けられます。
海外のATMで現地通貨を引き出す場合、多くのデビットカードは2.5%以上の手数料がかかりますが、「Sony Bank WALLET」はわずか1.79%とリーズナブル。さらに、ソニー銀行が指定する米ドル、ユーロなど外貨10通貨で外貨預金の口座を開設していると、ATM手数料がかからないうえに、ショッピング利用時の手数料が無料になります。
それだけでなく、利用額に応じて最大2.0%キャッシュバックがあるため、利用手数料を十分カバーできる可能性もあるのです。
参考:Sony Bank WALLET(Visaデビットカード)
ニュージーランドでは、キャッシュ限定の路線バス、デビットカード不可のガソリン代以外、全てSony Bank WALLETで決済しました。実際、現金に両替するかクレジットカードで現地決済すると、おおよそ2~3%超の手数料がかかりますが、0.2~0.3%程度の手数料(1NZドル20~30銭)超格安。実質両替手数料2%ぐらいがディスカウントされている勘定です。例えば20万円現地で使えば、4,000円程度得になるという勘定です。....もっと見る>>
年会費無料で付帯サービスも欲張りたい方なら「三菱UFJ-JCBデビット」がイチオシ。年会費無料かつ、旅行保険が付帯サービスとしてついていて、充実した幅広いサービスが受けられます。
旅行保険は海外旅行・国内旅行ともに対象で、最大3,000万円が補償されます。また、JCB優待として、「JCBプラザ」や「JCBプラザラウンジ」が利用可能です。
旅行を充実させるサービスを求める方におすすめなのが、Mastercardブランドの「ミライノ デビット PLATINUM」カード。ポイント還元率1%で、旅行保険が付帯しています。この旅行保険は補償額がとても大きく、なんと最大1億円補償。さらに「ラウンジ・キー利用」の一言で、世界1,100か所以上のラウンジが無料で利用できるほか、とても便利なBoingo Wi-Fiも使用可能、世界100万か所以上のホットスポットや航空機内などでも無料でWi-Fi接続できます。また、Mastercard優待としてTaste of Premiumのサービスも付帯。高級レストランやホテルをはじめとした数々の優待が受けられます。
デビットカードは即時引き落とし型の決済手段としてはもちろん、国際キャッシュカードとして現地通貨が調達できる便利なカードです。特に欧米では広く普及しており、デビットカードしか使えない場面も少なくないです。
さらに海外旅行では、紛失や盗難リスクをふまえた「お金の持ち方」を考えなくてはいけません。その観点からも、多額の現金を持ち歩かずに済むデビットカードは有効です。欧米をはじめ、海外へ旅をする際は、クレジットカードとデビットカードを両方携帯するのがおすすめです。
みんなの体験談
Tram (The Hague)
【オランダ】ハーグのトラムは非常に便利です。ただ、現金は一切使えないので、事前にカードを買う必要があります。クレジットカードがないひとはVISAデビットカードを持参することをおすすめします。....もっと見る>>
現金よりも!
【イギリス】2年間ロンドンに住んでいました。現金よりもクレジットカード、デビットカードが主流です。ヨーロッパ全体的にこの流れにあります。特に、VISAなどが発行するデビットカードは、タッチ決済ができるのでとても便利です。....もっと見る>>
スーパーでの買い物にはデビットカードが便利
【スペイン】デビットカードならスーパーや駅、バスターミナル、バルなど、ほとんど使用できました。スーパーのレジで支払うときも財布の中を探したりせず、さっと済ませられるところがいいです。
デビットカードの決済はクレジットカードと違って、預金口座からの現金引き出しと同じなので、万が一盗難にあったときも被害が最小限で済みます....もっと見る>>