徳川将軍家の祈願所として江戸府内の北方守護を担った神社です!
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- 旅行時期:2022/10(約3年前)
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by hiroさん(男性)
王子・十条 クチコミ:6件
『王子神社(王子権現)』は、和歌山県を代表する紀伊半島南部に鎮座する神社「熊野本宮大社」(田辺市本宮町)、「熊野速玉大社」(新宮市新宮)、「熊野那智大社」(東牟婁郡那智勝浦町)の総称となる「熊野三山」に祀られる祭神を「熊野権現」と称する「熊野信仰」のもとこの「熊野権現」を国内各所に勧請(神仏の分霊を迎え祀ること)した神社(約3000社)のひとつに数えられるとともに江戸時代には徳川将軍家の祈願所として江戸府内の北方守護を担う『王子権現社』と称され「飛鳥山」の桜とともに江戸名所の行楽地として江戸庶民にも親しまれていた現在の北区王子本町1丁目に鎮座する神社です。
この『王子神社』の創建については不詳とされていますが、現在の王子エリアが暴れ川として河川流域が広かった現在の荒川河川岸に位置していたことから岸村と呼ばれていた平安時代から室町時代にわたり、この地の領主であった「豊島氏」一族が鎌倉時代末期となる1322年(元亨2年)に紀伊国(現:和歌山県)の「熊野権現」を勧請し、現在地にもともと鎮座していた神社を『若一王子宮』として奉斎したことが『王子神社』のはじまりとされ、このことがきっかけとなり岸村の名称も王子村に改称されています。
さらに戦国時代を迎えるとこの地の領主になった「小田原北条氏」からも崇敬されていますが、「豊臣秀吉」が1590年(天正18年)に「小田原北条氏」の本拠地である「小田原攻め」を実施して「小田原北条氏」が滅亡、領地替えにより「徳川家康」が江戸に入府するとその翌年の1591年(天正19年)に「徳川家康」より広大な社領となる200万石が『若一王子宮』に寄進されています。
その後も『若一王子宮』が徳川将軍家の祈願所となり『王子権現社』と称されるとともに1609年(慶長14年)には第2代将軍「徳川秀忠」が『王子権現社』の別当時となる「金輪寺」を再興し、1634年(寛永11年)に第3代将軍「徳川家光」が『王子権現社』の社殿を造営したほか縁起絵巻「若一王子縁起」(3巻)を徳川幕府に仕えていた朱子学派の儒学者「林羅山」に命じて作成し寄進、また1703年(元禄16年)には第5代将軍「徳川綱吉」も『王子権現社』の社殿を造営しています。
さらに1737年(元文2年)になると第8代将軍「徳川綱吉」がお花見文化が定着するきっかけとなった桜を植樹し整備した「飛鳥山」を『王子権現社』に寄進したほか1782年(天明2年)に第10代将軍「徳川家治」が『王子権現社』の社殿を修繕、その後の1820年(文政3年)に第11代将軍「徳川家斉」も『王子権現社』の社殿を修繕しており徳川将軍家からも代々にわたり篤く崇敬されています。
明治時代になると東京遷都に伴い東京の鎮護と万民の安泰を祈るため東京近郊の主だった神社として『王子神社』を含む12社が「准勅祭社」に指定されており、この「准勅祭社」12社のうち東京23区内の神社が「昭和天皇即位50年」を奉祝して1975年(昭和50年)に企画した”東京十社巡り”が現在でも都内神社巡りの定番として「東京十社」の名称が定着しています。
現在は樹木に覆われた緑豊かな境内ではありますが、太平洋戦争末期となる1945年(昭和20年)の東京大空襲により境内のほぼすべてが焼失しており、1939年(昭和14年)に天然記念物として「東京都指定文化財」となった「大イチョウ」のみ奇跡的に戦災を免れています。
今回は平日の午後に「王子」エリアを訪れる機会があり周辺を散策して廻りながら『王子神社』に立ち寄り参拝しましたが、現在の社殿は1964年(昭和39年)および1982年(昭和57年)の2回の造営を経て再建されたもので、境内には七五三詣りのご家族を含む数名の参拝者のみでひっそりとした地元に根付いた神社であると感じました。
『王子神社』へのアクセスは、JR・京浜東北線「王子駅」北口改札から西側駅前にある「音無親水公園」の遊歩道を通り徒歩3分程度(約200メートル)であり、『王子神社』および「音無親水公園」の周辺は武蔵野台地の突端となる高低差のある崖線エリアで東京23区内の駅前であることを感じさせない樹木に覆われた緑豊かな散歩コースとしてお勧めできます。
機会があれば『王子神社』境内の「大イチョウ」が黄葉する時期に『王子神社』を参拝しながら周辺を散策して廻りたいと思います・・・
- 施設の満足度
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4.0
- 利用した際の同行者:
- 一人旅
- アクセス:
- 5.0
- JR王子駅・北口改札から徒歩3分程度です。
- 人混みの少なさ:
- 4.5
- 平日の午後に参拝しましたが、境内に七五三詣りのご家族のほか数名の方がいる程度でした。
- バリアフリー:
- 3.5
- 境内は社殿との段差にスロープが設置されていますが、武蔵野台地の高台に位置し王子駅から徒歩の場合は高低差があります。
- 見ごたえ:
- 3.5
- 樹木に覆われてひっそりとした地元に根付いた神社であり神社周辺を含むエリアは散歩コースとしてお勧めできます。
クチコミ投稿日:2023/04/30
いいね!:6票
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