簡単にヨーロッパに行けなかった昔にスペインへの憧れを集めて開いた、日本初のスペイン料理専門店
- 4.5
- 旅行時期:2020/11(約5年前)
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by porculsさん(非公開)
神戸 クチコミ:15件
明治時代の神戸は、それはそれはお洒落で海外からの文化がいち早く入ってくる街だったそうです。香港の高級百貨店レーン・クロフォードが神戸にあり、少年時代の淀川長治さんが買物したとか、今も旧居留地や北野に面影が残っています。そんなハイカラ神戸の流れを汲む、日本初のスペイン料理専門店が、カルメンだそうです。1956年の創業ですが、その前身の店では神戸出身の天才小説家・久坂葉子が、20代で夭逝した人生最後の晩御飯を食べたとも聞いたことがあります。
今もカルメンは創業当初のまま?みたいな古くて暗い店内で、三宮駅からのアクセスも、徒歩すぐながら、怪しい路地裏に入っていく最後のアプローチが不安だったりしますが、古くて暗い店内をよくよく見ると、壁に貼ってあるゴヤの古いポスター、ゴヤなどのボロボロになった大型画集が何冊も隅に置いてあったり(先代の店主は、一見さんみたいなランチ客にも、待ち時間に「ゴヤの画集でも見てお待ちください」と画集を持ってきてくれた!)、店の入り口のところに、スペインから輸入してきたアクセサリーや絵葉書などの雑貨が所狭しと置いてあったりと、スペインへの愛があふれていて、笑みがこぼれます。今どきの、スペインの有名店で修業したシェフだとか、最先端のおしゃれスペイン料理とかと全く違う、ヨーロッパに簡単に行けなかった時代に、現地に行くことなく思いを昇華させた昔の日本人のヨーロッパへの憧れというひとつの文化が、今に残っているお店で、お料理も、最近あちこちにあるおシャレモダンスパニッシュと違って、昔の日本の洋食みたいな、胸がキュっとなるような美味しいお料理です。フラメンカエッグとか、パエリアとか、ニンニクのスープとか。とても美味しいです。お昼のランチメニューはリーズナブルすぎて申し訳ないほど(フランメンカエッグランチがお勧めです)、夜はライブなども行われるようです。
古き良き神戸の香りを今に伝える貴重なお店です。地元の人も、観光客の人も、楽しめると思います。
- 施設の満足度
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4.5
- 利用した際の同行者:
- 一人旅
- 一人当たり予算:
- 1,500円未満
- 利用形態:
- ランチ
- アクセス:
- 4.0
- JRと阪急・阪神三宮駅から徒歩すぐですが、土地勘がないとわかりにくい、入っていくのに勇気の要る雰囲気の場所ではあります。
- コストパフォーマンス:
- 4.5
- ランチ(特にフラメンカエッグランチでライス選択)はコスパ良すぎて申し訳ないほど。ディナーも、リーズナブルだと思います。
- サービス:
- 3.5
- 先代のオーナーは、一見のランチ客にまでご自慢のゴヤの画集を待っている間見てくださいと持ってくる素敵な人でした。比べると今は普通のサービス。
- 雰囲気:
- 4.0
- 好みですが、1956年の開店当初から変わっていないような、趣があるを通り越して古い暗い店内ですが、隅々にまでスペイン愛が…
- 料理・味:
- 4.0
- 今みたいにスペインの有名店で修業したとかではない、昔ながらの懐かしい味です(個人的にこういう方が好き)
- バリアフリー:
- 2.0
- お店が古いビルの2階なので、階段のところがつらいかもしれません。
- 観光客向け度:
- 4.0
- 神戸は明治の昔には日本で最も早く海外の文化が入ってきた「ハイカラ」な街で、その古き良き神戸の香りを今に伝えるお店の一つです。
クチコミ投稿日:2020/12/17
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