「真土」とは、現在の奈良県と和歌山県の県境にある標高100mほどの小山で、古代から、ここを流れる「落合川」が「紀伊国」と「...
続きを読む大和国」の国境とされていました。
その頃は、大きな橋を架ける技術が無かったため、旅行者が川を渡るためには、川幅が狭く、徒歩や馬でも渡れるような場所を探さなければなりませんでした。その点で、この「真土」では川の両岸に大きな岩が張り出しており、水量の少ない時期にはひとまたぎで川を渡れるようになっていたことから、自然とこの場所が国境を越える道となっていったようです。
このため、誰言うとなく、川の両岸にある大きな岩を「真土の飛び越え石」、この場所全体を「真土の飛び越え」と呼ぶようになったものと思われます。
当時の奈良からの行程を考えると、平城京から真土山までは2日、飛鳥・藤原京からは1日の距離にあったと言われており、ここに至った古代の旅人は、現在の橋本市周辺に広がる平野を目にして、いよいよ大和を離れ、異国に入ったことを実感したのでしょう。
現在、この場所へ行くには、国道24号線を奈良に向かって真土山を越える峠の直前を南に入り、「慈願寺」というお寺の脇を抜けていくことになります。道が狭く、駐車場が無いので車で行くのは難しいですが、機会があればぜひ訪れて見て下さい。
位置的には、国道24号線からわずか100mほど離れただけの場所なのですが、飛び越え石のまわりには静謐な空気が漂い、この場所だけが奈良時代にタイムスリップしたような不思議な感覚に襲われます。
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投稿日:2015/08/06