「吾妻鏡」に登場する香南市香我美町の月見山(68.8m)は、承久の乱(1221年)により土佐の幡多へ配流となった土御門上皇が二年後、阿波に向かう途次、月見山西麓の常楽寺(廃仏毀釈後、明治7年「宝幢院」として再興)を御所として滞在中、しばしば登って観月したと言われている。<br /><br />この山には国際児童年を記念して「こどもの森」が整備され、フィールドアスレチックや野鳥観察小屋等が設置されているが、3月下旬から4月上旬には2,700本に及ぶソメイヨシノや山桜が開花すると共に、朱色や濃いピンクのツツジも同時に咲き、全山色とりどりに鮮やかに染まる。また、遊歩道沿いの展望台からは土佐湾から太平洋の絶景が広がる。<br /><br />この山には戦時中、四国防衛軍第155師団第451連隊本部が設置され、3841人の兵力を展開し、山砲やカノン砲を据えていた。今でも山中の到る所に横穴壕跡や塹壕、砲台壕跡等が残っている。<br />アプローチは、徒歩時でも車時でも道標が案内してくれる。後者は県道221号から登山道路を上がり、第二駐車場に駐車する。途中、姫倉山の斜面に横穴壕が開いているのが確認できる。<br /><br />駐車場東の登山口から登るが、遊歩道は桜とツヅシの中を通っており、潮風が吹くと桜吹雪となり、行楽客が歓声を上げている。<br />道は北西から西へと向きが変わるが、その変わった辺りの上部に横穴壕跡がある。<br />遊歩道は今度、支尾根に沿って西から南に向きを変えるが、その変わる手前の下にも横穴壕跡がある。<br /><br />道は三叉路となるが、まずは月見山展望台へ登る。香長平野や手結岬、太平洋の眺望が素晴らしい。<br />展望を楽しむと稜線を東に引き返す。桜の中、道はカーブを描いて東から北へ向きを変えるが、カーブ手前から東の樹林に入り、支尾根に乗る。少し下った所に北向きに掘られた横穴壕がある。土砂が堆積し、入口は少ししか開いていない。<br />そこからは支尾根の反対側に回り、斜面を北へトラバースする。すると西方向に掘られた山砲砲台壕跡群が次々と現れる。<br /><br />斜面を更にトラバースして行くと、右手下方に第三駐車場北西のトイレから上がってくる遊歩道が見えてきた。その遊歩道に向けて踏み跡があったから下りようとすると、左手に垂直方向に掘られた塹壕が現れたが、取り敢えず山の最高所に登ろうと思い、やり過ごすと、その先の下方にも規模の大きい横穴壕跡があるような雰囲気。<br />それもやり過ごし、稜線の遊歩道に出て、北に進むとすべり山のあるわんぱくの森。展望台からは南東方向、手結岬方面に展望が開けていた。<br /><br />さきほどの三叉路下方の横穴壕跡を確認すると、南方向に垂直に掘られた塹壕が見える。塹壕は遊歩道を横断すると北西に進み、右急カーブを描くとその先の横穴壕へと繋がっていた。<br />そこから稜線の遊歩道に出て、南下し、鞍部に達すると尾根幅が狭くなっていたから、壕が必ずあるものと思い、西下の歩道を北に下りて行くと、案の定、尾根の最も狭くなっている下にあった。<br /><br />その南上から西方向にも道が付いていたので辿ってみると、地面に小さな竪穴が複数ある。大半が土砂に埋まっているが、地下には竪穴から続く横穴壕もありそう。<br />稜線に並行して西から南に回り込み、北に登ってピークに上がると旧サイレン塔があり、その南にはロープと針金が張ってある。覗いてみると竪穴壕だった。<br /><br />そこからは鞍部の遊歩道に戻り、最初の展望台東方の三叉路を南に折れ、支尾根を南から西に回り込んだ所から下方のトイレ近くの道に下り、横道を北西に進み、ファイヤー広場を横切って展望台へ達するメイン歩道に出て、道路に下り、西の「子供の森ハウス事務所」上部へ上がって土御門上皇碑を見学後、駐車場へと戻った。

2,700本の桜とツツジが同時に咲く陸軍山砲陣地の山

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2013/04/01 - 2013/04/01

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#歴史・芸術

マローズさん

「吾妻鏡」に登場する香南市香我美町の月見山(68.8m)は、承久の乱(1221年)により土佐の幡多へ配流となった土御門上皇が二年後、阿波に向かう途次、月見山西麓の常楽寺(廃仏毀釈後、明治7年「宝幢院」として再興)を御所として滞在中、しばしば登って観月したと言われている。

この山には国際児童年を記念して「こどもの森」が整備され、フィールドアスレチックや野鳥観察小屋等が設置されているが、3月下旬から4月上旬には2,700本に及ぶソメイヨシノや山桜が開花すると共に、朱色や濃いピンクのツツジも同時に咲き、全山色とりどりに鮮やかに染まる。また、遊歩道沿いの展望台からは土佐湾から太平洋の絶景が広がる。

この山には戦時中、四国防衛軍第155師団第451連隊本部が設置され、3841人の兵力を展開し、山砲やカノン砲を据えていた。今でも山中の到る所に横穴壕跡や塹壕、砲台壕跡等が残っている。
アプローチは、徒歩時でも車時でも道標が案内してくれる。後者は県道221号から登山道路を上がり、第二駐車場に駐車する。途中、姫倉山の斜面に横穴壕が開いているのが確認できる。

駐車場東の登山口から登るが、遊歩道は桜とツヅシの中を通っており、潮風が吹くと桜吹雪となり、行楽客が歓声を上げている。
道は北西から西へと向きが変わるが、その変わった辺りの上部に横穴壕跡がある。
遊歩道は今度、支尾根に沿って西から南に向きを変えるが、その変わる手前の下にも横穴壕跡がある。

道は三叉路となるが、まずは月見山展望台へ登る。香長平野や手結岬、太平洋の眺望が素晴らしい。
展望を楽しむと稜線を東に引き返す。桜の中、道はカーブを描いて東から北へ向きを変えるが、カーブ手前から東の樹林に入り、支尾根に乗る。少し下った所に北向きに掘られた横穴壕がある。土砂が堆積し、入口は少ししか開いていない。
そこからは支尾根の反対側に回り、斜面を北へトラバースする。すると西方向に掘られた山砲砲台壕跡群が次々と現れる。

斜面を更にトラバースして行くと、右手下方に第三駐車場北西のトイレから上がってくる遊歩道が見えてきた。その遊歩道に向けて踏み跡があったから下りようとすると、左手に垂直方向に掘られた塹壕が現れたが、取り敢えず山の最高所に登ろうと思い、やり過ごすと、その先の下方にも規模の大きい横穴壕跡があるような雰囲気。
それもやり過ごし、稜線の遊歩道に出て、北に進むとすべり山のあるわんぱくの森。展望台からは南東方向、手結岬方面に展望が開けていた。

さきほどの三叉路下方の横穴壕跡を確認すると、南方向に垂直に掘られた塹壕が見える。塹壕は遊歩道を横断すると北西に進み、右急カーブを描くとその先の横穴壕へと繋がっていた。
そこから稜線の遊歩道に出て、南下し、鞍部に達すると尾根幅が狭くなっていたから、壕が必ずあるものと思い、西下の歩道を北に下りて行くと、案の定、尾根の最も狭くなっている下にあった。

その南上から西方向にも道が付いていたので辿ってみると、地面に小さな竪穴が複数ある。大半が土砂に埋まっているが、地下には竪穴から続く横穴壕もありそう。
稜線に並行して西から南に回り込み、北に登ってピークに上がると旧サイレン塔があり、その南にはロープと針金が張ってある。覗いてみると竪穴壕だった。

そこからは鞍部の遊歩道に戻り、最初の展望台東方の三叉路を南に折れ、支尾根を南から西に回り込んだ所から下方のトイレ近くの道に下り、横道を北西に進み、ファイヤー広場を横切って展望台へ達するメイン歩道に出て、道路に下り、西の「子供の森ハウス事務所」上部へ上がって土御門上皇碑を見学後、駐車場へと戻った。