万葉ロマン　信濃　（長野）

2016/03/23 - 2016/03/26

万葉集ゆかりの地を訪問しようと決めてから、今回が初めての宿泊を伴う旅行だ。行き先は、”信州”。奈良在住なので、どのように行こうか、悩んだが、初めて青春18切符を使うことにした。費用を考えると、圧倒的に安い。そして、乗継案内・ジョルダンを使えば、経路も一瞬のうちに組んでくれるので、煩わしさはない。

青春18切符の落とし穴は、一日乗り放題だからといって、無理なスケジュールを組むと、体に堪えることだろう。ほどほどがいいように思う。腰に爆弾を抱える身なので、あまり無理をしないようにと、計画を立てると、3泊4日になってしまった。

1泊目が戸倉上山田温泉、2泊目が小諸、そして3泊目が上諏訪。今回紹介する万葉歌に関わりがあるのが、戸倉上山田温泉と、小諸と上諏訪の途中にある、ＪＲ小海線・佐久海の口駅近くの海の口温泉だ。

ホテルは、3泊ともルートインに決めた。大浴場があり、朝食はバイキングを食べられる。値段もそんなに高くない。現役時代、国内出張はあまりなかったが、一番多く訪問した群馬・伊勢崎では、必ずといっていいほどルートインに泊まり、大浴場で1日の疲れを癒した。

ところで、行き先について、”信州”にするか”鹿児島”にするか、最後までかなり迷った。信州で生まれた歌を”鹿児島”のある場所を舞台背景として紹介する。そのへそ曲がりなこだわりが私らしいと、もう少しで鹿児島に行くところだった。辛うじて私の理性がそれを押し止めた。

何故そのような無謀なことを思い付いたのか。私と万葉集を結び付けたのが、犬養孝氏の「万葉の人びと」テープ10本である。活字を見たいという欲望を抑え、テープ10本を繰り返し聞いた。今回紹介する歌のところで、犬養氏はあるエピソードを披露された。歌はそのエピソードと一体となり、そのエピソードに秘められた悲痛な叫びが私を”鹿児島”へと誘った。そのエピソードの場所が”鹿児島”なのである。

エリア 戸倉上山田温泉(長野)

• 旅行の満足度: 4.5

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: JRローカル 私鉄
• 旅行の手配内容: 個別手配

王寺駅

今回の旅行は、ここからスタートします。電車は1番線発の大和路線で加茂行です。加茂までは33分掛ります。発車は8：36で、発車まで時間があるので、駅周辺の写真を撮ります。

王寺駅 駅

王寺駅周辺

王寺駅周辺

王寺駅

王寺駅

加茂駅　（京都）

ここで27分の待ち時間があります。乗り継ぐ電車は、関西本線・亀山行。伊賀上野などを通って、83分の小旅行です。

加茂駅 (京都府) 駅

加茂駅から周辺を撮る

加茂駅

亀山行の電車が来ました。写真を悠長に撮っている場合ではありません。早く乗り込まないと、1時間以上立ったままになります。

亀山駅　（三重）

モク切れです。25分の待ち時間ですが、駅の外に出て、タバコを一服。

亀山で名古屋行きの快速に乗ります。乗車時間は71分で、名古屋着が12：35。少し早いですが、持参した巻き寿司2本を車内でいただきました。

亀山駅 駅

亀山駅周辺

名古屋駅

名古屋では、13番線に着き、中央本線・中津川行きの快速に乗り継ぎます。8番線発です。こういった情報もジョルダン乗換案内で教えてくれます。

名古屋から中津川までは、81分の乗車です。

名古屋駅 駅

名古屋駅

中津川駅　（岐阜）

中津川駅に到着したのが、14時7分。ここで18分の待ち時間だが、次に乗る松本行電車の乗車時間は、136分。「もう堪忍して」との言葉が喉元まで出掛かっている。

中津川駅 駅

中津川駅周辺

中津川駅周辺

中津川駅〜松本駅の途中

「ようこそ」という言葉はいいですね。これを見つけたのが...。

中津川駅〜松本駅の途中

木曽福島の駅からでした。

中津川駅〜松本駅の途中

何枚か窓の外の景色を撮ったのですが、お見せできるのが、この1枚ぐらいです。

松本駅　（長野）

さて、ここが思案のしどころです。５時にはなっていないが、なんとここで待ち時間が53分もあるのです。今日の目的地である戸倉には、7時を回って到着です。そうなんです。昼に食べた巻き寿司は消化されずにまだ胃にあるようなのですが、夕食をいただくかどうか、それが問題です。

今後の電車の予定は、松本発17：34で、篠ノ井着18：38。篠ノ井で、しなの鉄道に乗り換え、本日の最終駅である戸倉まで行きます。戸倉着は、19：06。

松本駅 駅

松本駅近くの中華料理店　おおぎや

野菜たっぷり味噌ラーメンと餃子。美味しかったです！

最初は品よく食べていたのですが、時計を見ると、急がないと電車に遅れそうで、人にお見せできないような姿になって猛然と野菜たっぷりラーメンと格闘しておりました。

松本駅周辺

松本駅周辺

松本駅周辺

篠ノ井駅

そろそろ犬養孝さんが教えてくれたエピソードを紹介します。

ＮＨＫの「こんにちは奥さん」という番組で、80歳を過ぎたおじいさんとおばあさんが、初めて旅行をした。そういった人達をスタジオに連れて来て感想を聞く。その一組の話だ。

「新婚旅行はどこに行かれたのですか」
「そんなもの、行ってないよ」
「それじゃ、夫婦で旅行するのは、全く初めてなのですね。どこに行かれたのですか」
「鹿児島へ行った」
「汽車の座席では、並んで座られ、さぞ話が弾んだでしょうね」と聞くと、
「そんな恥ずかしいことせなんだ。わしゃ、こっち、ばあさんは、あっちと座っとった」

篠ノ井駅 駅

しなの鉄道の車内

その夫婦は、戦争中、自分の長男が鹿児島から飛行機で飛び立ち、帰らぬ人となったが、一度夫婦揃って息子が飛び発ったところを訪ねたいと思っていた。

さて、現地に行ったら、雨が降っていた。タクシーの運転手に事情を話すと、「そういうことなら、厭わないからどこまででも行って探してあげる」と言ってくれた。

行ってみると、飛行場なんてない。記念塔のようなものが立っていて、砂利が敷いてあった。おじいさんは、その石が欲しかった。息子が最後に踏んだかもしれないからだ。

その砂利は、公共のものだし、持ち帰ることはできないだろう、と考えたが、運転手が「ひとつ、坊ちゃんが踏んだものかもしれないから、お持ちになったら」と言ってくれたので小石を一つ持って帰った。

アナウンサーが「じゃ、ここにお持ちですか」と聞くと、おばあさんが、もう涙を流し、震える手で、布きれの中から、小石を取り出した。その小石は、この夫婦にとって、掛け替えのない息子そのものとなっていた。

戸倉駅

やっと第一の目的地である戸倉に着いた。

戸倉駅 駅

戸倉駅

私をこの地に呼んだのは、下記の歌である。

巻14-3400

　信濃なる　千曲（ちぐま）の川の　細石（さざれし）も　
　君し踏みてば　玉と拾はむ