1987/08/27 - 1987/08/31
51位(同エリア187件中)
ころたさん
旅はいい。
いつ行っても同じ感動を呼び起こしてくれる場所を訪れるのもいい。雄大な自然に触れたり、歴史遺産に身を置いたり、美術に浸ったり...でも、その時その場所でしか得られないような感動に巡り合えたら、それはそれは素晴らしい記憶に昇華する。
1987年。もう30年近く前のその旅のことを俺は鮮明に記憶している。それは、まさにその時にしか巡り合えない2つの事に触れられたから。
前半は、日本の宇宙史を彩る大型ロケットの黎明期、H-1ロケットの発射を目撃した時のことを。
後半は、今ではもう人ごみの中で遠くからしか見ることにできない、縄文杉を思い切り抱きしめた日のことを。
(屋久島編は、 http://4travel.jp/travelogue/11023015 )
ころた3大旅行の1つ。ちょっと力いれて書くよ!
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- タクシー JALグループ
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
旅は人生の一部だ。人生も時々、旅の一部になる。
何を言っているのかというと、その時の己の境遇が旅を作る時がある。この時の俺がそうだった。
種子島の旅行記になぜニューヨークの風景が? それは1987年の俺の一部だったから。1985年からの3年間はまさに俺にとって激変の時代だった。1年有余のアメリカ駐在、帰国した後に大病を患い3か月の入院休職、復職後の一大プロジェクト参加、そして大恋愛、大失恋・・・ -
特にこの失恋は、俺の青春の終わりを意味した。それまで望むものは何でも手に入れた俺にとって(それが仕事だろうが女だろうが、まあ大金は欲しなかったがね)、初めての「最愛のものを失う」という経験。一人の女を失うということが、こんなにも大きいとは・・・
「だめだ。人生をリセットしなければ。」
東京を日本を、いや地球を飛び出したかった。
「そうだ、宇宙に行こう・・・」 -
「あんさんあんさん、プロペラ機じゃぁ宇宙には行けまへんで。」
名古屋空港で係員に言われ、我に返った。いや、そうじゃないんだ。
明日の夕方、種子島宇宙センターから日本の大型ロケットの第1号、Hー1ロケットが発射されると聞いて、「絶対見たい! 俺自身を変えるために!!」と思い立った。
なんとか種子島に渡ろうと思ったが既に羽田からの便はない。残されたのは、名古屋→鹿児島→種子島 というJACの便のみ。 -
東京から新幹線で名古屋に行き、まだ自衛隊と共同使用していた名古屋空港でYS-11に飛び乗った。鹿児島経由で種子島着は17時ちょうど。18時予定のHー1発射にはぎりぎりだった。
-
飛べ! YSー11。
俺を宇宙に連れて行ってくれ!! -
YS-11はがんばった。定刻通りに種子島空港に到着した。それでもゲートを出たのは5時30分。ロケットの発射予定は6時20分。
だめだ! 宇宙センターには間に合わない。とりあえず空港でタクシーに飛び乗った。
「運転手さん、ロケットの見える所へお願い!」 -
「客さん、宇宙センターまでは1時間かかるよ。」
と言うことで、ぎりぎり発射台の見える畑に連れて行ってもらった。お〜、同好の士がいるではないか。しかも電信柱によじ登ってる。
と、はるか前方で光が煌めき、噴煙が立ちあがった。
「でた〜!」種子島宇宙センター 名所・史跡
-
ぎりぎりで発射に間に合った、
「いっけ〜!!」
叫びながらシャッターを切りまくった。 -
白く曳航を引きながらまっすぐに飛んでいくH−1。
俺の頭の中で何かが弾け飛んだ気がした。 -
目指すは地球外周軌道。
3段式のブースターが唸りを上げる。 -
真っ青な空に吸い込まれるように、昇っていくH−1。
-
早くもH−1は点にしか見えない。30秒と言われる補助ブースター9本は、もう切り離されたのだろうか。
-
噴煙が風に流されていくばかりだ。
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後で確認したのだが、H−1 2号機の打ち上げは大成功だった。
見たか、日本の技術力を! 感じたか、日本の技術者の誇りを!!
搭載していた試験用通信衛星 きく5号は、みごと赤道上36000kmの静止軌道に投入された。 -
まずはこの旅の初期目的を果たし、大満足でその日の宿に向かった。
「運転手さん、どこか民宿を知ってる?」
そう、宿も取らずに飛行機に乗っちゃってたのである。
でも宿はすぐに見つかり、海に面した民宿で気持ちのいい一夜を過ごした。 -
明けて8月28日。発射直後の種子島宇宙センターを訪れた。当時は今のJAXAではなく、NASDAと呼ばれていた。
JAXAの中のNASDAと宇宙科学研究所の微妙な関係など、この時は知る由もなかった。
(そのあたりは下記を見てね。
http://4travel.jp/travelogue/10763266 ) -
宿泊した民宿からバスで宇宙センターに向かった。途中の峠から宇宙センターの全貌が見渡せた。
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約30年前に思い描いていた宇宙開発の夢が、キラ星のごとく展示されていた。本格的大型ロケットの開発、放送衛星や気象衛星の実用化、宇宙ステーションへの参画、みんなみんな現実のものになったじゃないか。
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日本人はもっと自信と誇りを持っていい。
分野は違えどメーカーで働く技術者の端くれとして、いつも思っていることだ。種子島宇宙センター 名所・史跡
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手間の発射ランチの陰に、昨日H−1 2号機がh地上げられたランチが見える。残念ながら今日はこれ以上近づけない。
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いいさ、H?1が発射されたこの地で、同じ空気を吸っていることだけで大満足さ。なぁ?
展示されていたNー1ロケットに同意を求めたが、彼は寡黙だった。 -
今日の夕方の船で屋久島に渡る。それまでちょっとだけ種子島の海を楽しむことにした。
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種子島は決して人の集まる観光地でもリゾートでもないが、きれいなビーチがたくさんある。もう名前も忘れたが、ここもきれいでしょ。
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離島らしい大きな波も、サーファーは喜びそうだけどね。
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上の写真にポツンと写っていた彼女、近づいて話を聞くとなんと、テレビのレポーターらしい。今は撮影も終わってのんびりお散歩中とのこと。
かわいい娘でしょ。名前も聞いたのだが忘れちゃった。 -
飽きるまで海を眺めてから、次の目的地 屋久島に向かう船の出る港に向かった。
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屋久島行きの目的は言わずと知れた屋久杉。と言ってもこの時はまだ、世界遺産などという言葉もなく、そんなにメジャーな観光地ではなかった。
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もちろん俺自身は縄文杉の存在を知っていて、是が非でも見てみたいと思った。
種子島から屋久島までは高速船で1時間たらず。晴天を祈りつつ船に乗り込んだ。
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