2014/07/24 - 2014/07/27
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Weiwojingさん
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カウナスで最も興味があったことは「日本のシンドラー」と言われた杉原千畝 ( すぎはら・ちふね )の足跡を辿ることであった。カウナスがこの国の首都であった時、ここに日本領事館が置かれ、杉原は1939年( 昭和14 )から1940年( 昭和15 )まで領事館の領事代理をしていていた。
1940年7月18日の朝、領事館前に大勢のユダヤ人が押し寄せ、杉原は一体何事かと驚いていていると、その中の一人が「日本通過のヴィザが欲しい」と叫んだ。彼は数日間悩んだ後、外務省に何度も電報を送り、指示を仰いだが、答えは「発行は不可」であった。
日増しに増え続ける人々の姿を見て、彼は自らの信仰と信念に照らし合わせて、「私に頼ってくる人々を見捨てるわけにはいかない。でなければ私は神に背く」と考え、ヴィザの発行を決断した。日本領事館はソ連によってすでに封鎖を求められていたが、8月28日封鎖するまでの4週間の間に出国直前まで発行を続け、約2000人もの人々に発給した。
その後、チェコ、ルーマニア等で勤務し、1946年日本に帰国した。翌年外務省を退職。訓令違反のヴィザ発給を理由に退職に追い込まれたとの思いから、退職後は外務省関係者との交流を絶ち、様々な仕事に就き、最後にロシアとの貿易会社を設立して、生活してきた。1986年7月31日亡くなった。
* このカバーの写真は旧日本領事館の建物で、ここで杉原千畝は2000人ものユダヤ人にヴィザを発給したのである。
- 旅行の満足度
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ヴィリニュスの街を歩いていると、何やら珍しいもの ( 文字 )がビルの外壁にあるのに気が付いた。
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それは壁に“SUGIHARA“と書かれた文字があったことである。勿論これは「日本のシンラー」と言われた杉原千畝と関係があるものと思われるが、具体的にどうして彼の名前がここに掲げられているのかは分からない。
ここで立ち止まつて見ていたら、ノルウェィから来られたという老夫妻が話しかけてきた。「“Sugihara“という人物についてよく知っている。多くのユダヤ人を助けた人だ」と話してくれた。日本に友人がいるので、日本には何度か行ったことがあるそうだ。 -
その杉原千畝を顕彰する御影石で出来た記念碑がヴィリニュスの街外れのネリス川の畔にある。記念碑は早稲田大学が2001年10月2日に建てたものである。
早稲田大学は彼の出身大学 ( 中途退学しているが )で、ここと中国ハルピン学院でロシア語を学んでいる。1924年ハルピンに赴き、ロシア関係の諜報活動に従事した。 -
記念碑には杉原千畝のレリーフが埋め込まれている。
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2001年10月2日の日付けが記された早稲田大学による記念碑建設の由来が書かれている。
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杉原が2000人ものユダヤ人に書き与えたヴィザの写しが紹介されている。彼は彼らに日本通過のヴィザを発行し、そのおかげで6000人もの人々の命を救ったのである。
彼らはシベリア経由で敦賀へ上陸し、そここら神戸に出て、アメリカを目指す者もいれば当時のオランダ領であったカリブ海のキュラソー島へ行く者、上海を目指す者等、大勢のユダヤ人が日本に上陸することが出来た。 -
記念碑の周りにはたくさんの桜の木が植えられていて、桜公園になっている。これらはすべて早稲田大学から寄付されたものである。まだそんなに大きくなっていないが、いずれ見事な花を咲かせるだろう。その頃にはもう一度来てみたいものだ。
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2007年5月、天皇・皇后陛下がバルト3国を訪問された際、この杉原顕章記念碑を訪ねられたが、その時の写真がある。
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ヴィリニュスの国立ユダヤ博物館の敷地にも、杉原を顕彰する碑が建っている。
新市街地には杉原千畝の名前を付けた「杉原通り」があるが、今回は場所があまりよく分からないので、行くことが出来なかった。次回を期したい。 -
続いて、カウナスに移動し、ここでの杉原の足跡を追いたいと思う。
カウナスにはここが首都であった時日本領事館が置かれていた。この写真の道路は旧領事館前を走るもので、旧領事館は左側にある。 -
付近は閑静な住宅地であった。最初よく分からなかったので、近くにいた人に旧日本領事館の場所を訪ねたところ、「お!日本人 ( ヤポンスキー )か。ようこそ。ほら、あそこの白い2階建ての家だよ」と教えてくれた ( 恐らくこのような意味だったと思う。エストニア語だったので )。その上、庭で収穫していたリんごを「美味しいぞ。持って行きなさい」と数個くださった。
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ここが日本領事館の建物で、当時のまま残されている。
1940年7月、この門前に多くのユダヤ人が押し寄せ、日本経由でアメリカや安全なところへ逃れるためのヴィザの発行を求めていたのだった。 -
門前に押し寄せたユダヤ人たちを撮った写真が残されている。日増しに数が多くなり、100人を越えるユダヤ人たちがやって来た。彼らの多くはポーランドから逃れてきたユダヤ人であった。彼らが日本領事館へやって来たのは恐らくリガにあったオランダ領事館からの示唆があったものと思われる。
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その門には今では 「 希望の門、命のヴィザ / VILTIES VARTAI VIZOS GYVENIMU 」 という文字が書かかれている。
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ここが旧領事館の入り口であったが、今は杉原記念館&日本文化研究センターとなっている。記念館入り口はこの写真の左側に回った所に地下部分の入り口があり、そこから入る。
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建物にはプレートがはめ込まれ、「杉原 ー 命の外交官基金 杉原記念館」とエストニア語、日本語、英語で書かれている。
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領事代理であつた頃の杉原千畝の写真が残されていて、年齢は40代初めである。
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杉原が日ごろ使っていた執務室で、当時のまま残され、再現されている。机の上には家族の写真が置かれて、背後に日の丸が掲げられている。
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椅子に座って写真を撮ってもいいですよと係員に言われたが、ここで2000人ものヴィザを書き続けた苦労を思うと、とても座ることが出来なかった。
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一枚のヴィザの写しが残されている。2ページにわたって、すべて手書きで書かれている。これが後に「命のヴィザ」と言われたものである。
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ヴィザに押された領事館のスタンプである。
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ここに紹介している3人のオランダ人は、リトア二アのユダヤ人たちを救うために協力した外交官たちであった。
<L.P.J. デ・デッケル ( L.P.J. de Decker )>
1939年にバルト3国へのオランダ大使に任命されラトヴィアのリガに駐在していたが、翌年ソ連が外国領事館をすべて封鎖してからはストックホルムに転勤した。ここでヤン・ツバルデンディグにいわゆる「キュラソー・ヴィザ」を発給するよう助言したのが彼であった。 -
<ヤン・ツバルテンディク( Yanas Zwertendijkas ) 1896〜1976 >
ツバルテンディクはリガのオランダ領事館の領事をしていた。1940年8月にソ連が領事館を封鎖したが、彼はそれまでに少なくとも2345通の「キュラソーヴィザ」(☆)を発行した。
☆ 「キュラソーヴィザ」というのは、カリブ海にあるオランダ領植民地キュラソーへユダヤ人たちを逃れさせるためのヴィザであった。 -
<A.M.デ・ヨング ( A.M.de Jong )>
在スーエデン総領事をしていたヨングはキュラソー・ヴィザを数百枚を発行したが、これらは発行するまでに時間がかかりすぎ、ほとんどが実際には使用できなかった。 -
杉原一家の写真が紹介されている。中央に杉原、左端に夫人の幸子、右端は菊子の妹の節子が、そして2人の子供たち( 長男と次男 )がいる ( 1939年撮影 )。
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杉原ご夫妻の子供たちの写真がある。これは常に執務室の机の上に置かれていたものである。このうちの一人が日本へ帰国後亡くなっている。
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執務室の隅の方にソファが置かれていて、幸子夫人がよくここに腰かけて、夫のヴィザ発行の仕事を心配しながら見ていたそうだ。杉原は妻の幸子に決して手伝いを求めることはなかった。それは禍いが夫人や子供たちに及ばないよに考えた末での決断であった。
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執務室には写真を始めたくさんの資料が展示されていて、初めて目にするものや初めて知ることなど、大いに参考になった。
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記念館には杉原千畝だけでなくこの国のユダヤ人に関する書籍が紹介されていて、どれも日本では手に入りにくいものばかりである。
この本は『FLIGHT AND RESCUE』というもので、リトアニアにおけるユダヤ人の第二次大戦中の存亡を描いている。 -
『LIFE AND DEATH IN A Lithuanian Ghetto 1941〜1945』
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『Syangogues in Lithania』
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『 杉原千畝ガイドブック 』というタイトルの日本語で書かれた書籍もある。このほかにも日本語で書かれたものも数冊あり、いずれも興味のある本ばかりで、帰国したら読んでみたいと考えている。
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記念館を出る際、このようなポストカードをいただいた。長時間にわたる見学であったが、杉原の行動と信念に深い感動を覚え、第二次世界大戦の混乱の中で彼の勇気ある姿を多くの人に知っていただければという思いでいっぱいである。
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杉原千畝の2枚写真を紹介しながら、この稿を閉じたいと思う( これらの写真はWikipedia から借用したものである )。
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