2013年ロシア旅行~13年ぶりの再訪を3年前にあきらめた旅行計画で実現【第4日目:モスクワ】(3)トレチャコフ美術館(後編)静謐な風景画や庶民のドラマを感じる19~20世紀の絵画とアンドレイ・ルブリョフをはじめ圧倒的なイコン・コレクション
2013/07/09 - 2013/07/09
1136位(同エリア1830件中)
まみさん
2013/07/09火 モスクワ観光3日目
・トレチャコフ美術館(本館)(約4時間半)
・クリメンタ・パビ・リムスコ教会
・赤の広場散策
【モスクワ泊:マキシマ・パノラマ・ホテル】
トレチャコフ美術館編ラストのこの旅行記は、1階の19世紀末から20世紀初頭のロシア絵画の展示からかいつまんで撮った写真と、イコン・コレクションの中から撮った写真です。
1階は2階の展示に比べると、著名な画家の作品が比較的少なく、見学者も少なかったです。
時間もおしてきて、閉館時間までの残り時間が気になりだしたし、最後のイコン・コレクションも気になったので、19世紀末から20世紀初頭のロシア絵画はだいぶ素通りしました。
それでも、たとえ有名でなくても、画家の名を知らなくても、ゆっくり味わいたい作品がたくさんありました。
日本であまり紹介されないそういう作品に触れられるのも、本場の美術館の醍醐味といえます。
アナログカメラ時代は、そういった画家のことをできるだけ覚えておくために名前を手書きでメモしておくことしかできませんでした。
でも、どうあっても、そういう作品の大半は、帰国後、まもなく記憶が薄れてしまい、わざわざ手書きしても、画家の名すら忘れてしまいます(苦笑)。
でもいまは、写真にとどめておけます@
今回のトレチャコフ美術館で、そういった記憶しておきたいと思った画家はレヴィタンとポレーノフ。彼の作品は、トレチャコフ美術館の来日企画展でもふれることができました。
日本人も好みそうな、静かで余韻のある静謐な風景画が印象的でした。
帰国後に写真をひっくり返してみたら、あのときにはピンと来なくても、いまなら風景の中に見覚えがあるものもあって、ますます親しみが持てました。
レビィタンやポレーノフのそういった作品は私好みだったので、13年前の2000年の初ロシア旅行のときも、きっと目に留めたと思いますが、記憶はもう全然ありません。
ただ、その後、日本で開催されたトレチャコフ美術館展で出会って気に入り、今回トレチャコフ美術館で再会できた絵があったので、感慨深かったです。
1階には企画展用の特別展示室もあり、今回は、2階のヒーロー的な画家の1人のヴィクトル・ヴァツネツォフ(兄)の長大な宗教画が展示されていました。
説明がロシア語しかなかったので詳しくは分からないのですが、教会か何かの建物を飾るための壁画ではないかと思います。
イコン・コレクションでは、ノヴゴロド派とかモスクワ派とか、そういうのがさっぱり見分けがつかないのが残念でした。
現物を見て、素人なりに、違いがなんとなく分かった気になるまでしっかり鑑賞したかったのですが、そこまで時間も気力も残っていませんでした。
でも、このあとの旅程でイコン・コレクションに触れる機会は何度もあったのですが、やはりトレチャコフ美術館のコレクションは、群を抜いて圧巻でした。
イコンは、神の世や聖人たちの姿を映し出す信仰の対象なので、画家のユニーク性や独自のセンスを働かせるものではなく、むしろ伝統様式を守り、信仰対象としての既存のイコンをきっちり模写するもの───と、昔読んだイコンの本からの私なりの理解です。
それでも、地方性だけでなく、画家の個性や時代の流行はイコンの中に反映されてきました。
時代を追うごとに見られる変化も興味深いものがありました。
そうはいっても、私の好みはやはりアンドレイ・ルブリョーフなどのプリミティブなイコンの方で、現代に近づけば近づくほどきれいすぎると感じたのは、2000年の初ロシアの頃と変わらない感想でした。
<2013年ロシア旅行:簡易旅程>
7/06土 出国&モスクワ到着
7/07日 モスクワ1日目(国立歴史博物館と民芸品博物館)
7/08月 モスクワ2日目(クレムリン)
7/09火 モスクワ3日目(トレチャコフ美術館)★
7/10水 ズズダリ
7/11木 ウラジーミル
7/12金 モスクワ4日目(コローメンスコエ)
7/13土 ペトロザヴオーツク経由でキジ島へ
7/14日 ソロヴェツキー島1日目
7/15月 ソロヴェツキー島2日目(ザヤツキー島エクスカーション)
7/16火 サンクトペテルブルグ1日目(ロシア民族学博物館ほか)
7/17水 サンクトペテルブルグ2日目(エルミタージュ美術館)
7/18木 パヴロフスク宮殿&庭園
7/19金 ノヴゴロド1日目
7/20土 ノヴゴロド2日目
7/21日 サンクトペテルブルグ3日目(宗教博物館・ユスポフ宮殿ほか)
7/22月 サンクトペテルブルグ4日目(ロシア美術館)&出国
7/23火 成田空港着
※この旅行記の対象の日に★印をつけました。
詳細旅程はこちら。
「2013年ロシア旅行~13年ぶりの再訪を3年前にあきらめた旅行計画で実現させた旅行【旅程一覧】」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10797557
準備編や帰国後の全体の感想は、ブログ「まみ's Travel Diary」(http://mami1.cocolog-nifty.com/travel_diary1/)に掲載しました。
「(前略)1階に下りると、35~48室にかけて、19世紀末~20世紀初頭のロシア絵画が展示されている。2階に比べると有名な画家が少なく、見学する人の数もぐんと減る。その中にあって名高いのはセローフだろう。ロシアでは珍しい印象主義的性格をもった画家とされ、移動派の時代から次世代への転換期に活躍した巨匠である。(中略)
その後、革命前までのロシア絵画が並んでいるが、移動派の全盛期は過ぎ、有名な画家はあまり多くない。おもに18世紀以降の画家たちのデッサンやスケッチなどが展示されている。また、49~54室は企画展示室となっている(常設展の料金で見学できる)。(中略)
見学の最後は、イコン絵画のコーナーとなる。トレチャコフ美術館はイコン収集においても群を抜いており、世界屈指のコレクションを誇っている。ノヴゴロド派、モスクワ派など、どの系統のイコンも豊富に集められているが、多くの見学者のお目当ては、やはりアンドレイ・ルブリョフの60室ということになろう。なかでも名画『聖三位一体』(60室、1420年代)が観客の目を惹きつけている。またビザンチン時代の至宝『ウラジーミルの聖母』は、展示室ではなく美術館付属の教会に飾られている。」
(「地球の歩き方 ロシア(2012~2013年版)」より)
- 同行者
- 一人旅
- 旅行の手配内容
- その他
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-
「日射しの下のヤギたち」の一部
1904年
N.A. タルホフ(1871〜1930年)画
2階で2時間40分もかけてしまい、間に一時間以上の休憩を入れたため、1階の展示の鑑賞を開始したのは15時15分。
なのでイコン・コレクション以外は、ぱっぱっと見てすませて、写真は極力撮るまいと思っていました。
でもこの絵は、ほのぼのとした主題と印象派のような粗いタッチが気に入りました。 -
「2月の青空」
1904年
I.E. グラバリ(1871〜1960年)画
ロシアらしい景色だなと思って撮りました。
白樺と雪の組合せが、私の中ではロシアのステレオタイプを刺激しました。 -
「湖」
1902年
A.M. ヴァスネツォフ(1856〜1933年)画
兄ヴィクトルではなく、弟のヴァスネツォフの絵です。
だからというわけでなく、こういう景色を見たら、きっと写真を撮っちゃうだろうな、という好みの風景だったので。
「アポリナリー・ヴァスネツォフ(1856年8月6日 ヴャートカ県リアボヴォ村 - 1933年1月23日 モスクワ)はロシアの画家・美術家。より著名な兄ヴィクトルもまた美術家である。モスクワ中世史からの場面を専門とした。
正規の専門教育を受けてはおらず、有名な画家の兄ヴィクトルより指導を受ける。1883年から兄とともにアブラムツェヴォに暮らして創作し、その地でワシーリー・ポレーノフの感化を受けた。1898年から1899年までヨーロッパ中を遍歴する。
アポリナリー・ヴァスネツォフは、ロシアの自然の壮大な景観の描写に加えて、歴史的・考古学的な資料に基づき、歴史的な光景を再構築するという独自のジャンルを創り出した。その絵画は、中世のモスクワを視覚的に説明するものだった。
1899年から移動派の一員となり、1900年からペテルブルク帝国美術アカデミーに奉職した。「芸術世界」の後身である「ロシア美術家連盟」の創設者に名を連ね、その監督を務めた。
(ウィキペディアフリー百科事典「アポリナリー・ヴァスネツォフ」より引用) -
野花を摘む女性
一部に注目したことにより、湖の向こうに村があることにも気付きました。 -
「つむじ風」
1906年
F.A. マリャヴィン(1869〜1940年)画
抽象絵画かしら、と思ったら人物の顔がちゃんと描かれていました。 -
きっと揺れる真っ赤な衣装で風を表現
-
木造彫刻「ストリボーグ」
1910年
C.T. コネンコフ(1874〜1971年)作
目力がある彫刻です。
ストリボーグはスラヴ神話の風神。 -
覚えておきたい画家レビィタン(1860〜1900年)の「永遠の平和」
1894 年
静謐な風景でステキだなぁと思ったのですが、今見るとこれはなんとなんと────!
この後の旅程で思いがけず行くことができた、ロシアの北の果ての白海に浮かぶ聖地ザヤツキー島ではないでしょうか。
きっとそうです! -
「池のほとり」
1892年
I.I. レビィタン(1860〜1900年)
これも心惹かれた風景画でした。
郊外のどこにでもありそうな身近さもいいです。
まずは絵の雰囲気を壊さないシンプルな額縁とともに全体図を。 -
夕日が水面にきらめく
この印象画チックな筆致も気に入りました。 -
「夕方の鐘が鳴る」
1892年
I.I. レビィタン(1860〜1900年)
玉ネギ屋根の正教会がある、ロシアでぜひ見たいと思う風景です。
ひょっとしてズズダリかしら。 -
どこか見覚えのある水辺の修道院
-
「黄金の秋」
I.S. オストロコフ(1898〜1929年)画
13年前の初ロシア旅行のときは、幸運にもこのようなロシアの短い黄金の秋の最中でした。 -
2羽の鳥が遊ぶ黄葉の世界
こうすると別の絵のようになるのが楽しいです。 -
「川辺で」
1886年
A.A. キセリエフ(1838〜1911年)画
これもロシアらしいイメージぴったりの風景です。 -
ボートが浮かぶ川の一部を中心に
これも、こうすると別の絵のようになります。 -
「病気の少女」
1886年
V.D. ポレーノフ(1844〜1927年)
光と影が効果的に使われています。
彼女の顔でなく手の付近だけ照らす手法もいいと思いました。 -
来日企画展で惚れた絵の一枚
ポレーノフの「モスクワの中庭」
1878年
日本で見たトレチャコフ美術館展で、この絵の5年分のカレンダー付きの下敷きを買って愛用していたので、いまやとてもなじみがあります。
原画に再会できて嬉しかったです。
ほんとは縦長の絵なので、これでも一部です。 -
無邪気に遊ぶ子供たちと水を運ぶ女性
-
途中で見つけた1階の特別企画室にて
兄ヴィクトル・ヴァスネツォフの作品が展示されていました。
ここにはウクライナのキエフのウラジーミル教会(聖ヴォロディーミル聖堂)を飾った絵が展示されていました。
「キーエフ時代(1884年 - 1889年)
1884年から1889年にかけて、ヴァスネツォフはキーエフの聖ヴォロディームィル大聖堂にフレスコ画を描くよう依嘱された。これはロシアや西欧の宗教画の伝統に逆らうものであり、それゆえ野心的な仕事であった。有力な芸術批評家のヴラジーミル・スターソフはこれらの作品をロシア人の宗教心に対する冒瀆的なお遊びと決めつけた。もうひとりの人気批評家ディミトリー・フィロソフォフは、これらのフレスコ画を「ロシア社会のさまざまな階級を200年ものあいだ切り離している入江に架かった最初の橋」と呼んだ。
キーエフ時代のヴァスネツォフは、同じく聖ヴォロディームィル大聖堂の内装に勤しんでいたミハイル・ヴルーベリと親交を結び、一緒に作業をする中で、年下のヴルーベリに多くを教えた。「灰色の狼に乗るイワン王子」を完成させ、最も有名な作品「勇士たち」に着手したのもキエフ時代のことだった。」
(ウィキペディアフリー百科事典「ヴィクトル・ヴァスネツォフ」より引用) -
天使に抱かれて天に昇る聖女
-
厳かな大天使たち
-
天に召される殉教者たち
十字架を背負っているのはペテロかな。
壺をもっているのはきっとマグダラのマリア。
キリストの足をぬぐった香油が入っているのではないかと思います。 -
聖女と彼女を慕う少女たち
聖母マリアかなと思ったのですが、それにしては端っこでしたので、たぶん別の聖女。 -
おそらく教会の扉か窓の上部を飾った「最後の審判」
中央には、天秤で死者の生前の行いを裁く天使。
向かって右は天に召される人々、左は地獄に墜ちる人々。 -
地獄に墜ちる絶望の表情の人々
おどろおどろしくはなく、わりときれいに描かれています。
イブを誘惑した悪魔の大蛇がいます。 -
天に召される恍惚の表情の人々
-
聖書を掲げるキリストと、よりそう母マリア、両脇に天使たち
足元には福音書記者のシンボルのワシやライオンもいます。 -
中心にいるのはキエフ公国のウラジーミル1世
キリスト教を国教として聖人に列せられた王です。
この壁画のタイトルは「古代ルーシの洗礼」。 -
洗礼を受ける人々
筆致が、まさしく西欧の世紀末美術っぽいです。 -
ヴァスネツォフの自画像
-
まさしくロシアの印象画!
コンスタンティン・アレクセイエヴィッチ・コロヴィン(1861〜1934年)画 -
「ノソヴァ夫人の肖像」
1911年
K.A. ソモフ(1869〜1939年)画
美しい衣装と、妙に印象に残った表情の女性の絵です。 -
誇り高そうな美しい女性の憂い顔
-
1910年
K.F. ボガエフスキー(1872〜1943年)画
こういう絵は大好きです!
まずは、額縁も入ってしまいますが、全体像の写真を。 -
廃墟のある遠景を中心に
真ん中へんを切り取って、周りの森を外してみたら、絵の雰囲気がずいぶん明るくなりました。 -
「朝食で」
1914年
Z. Ye. セレヴィアコヴァ(1884〜1967年)画
少しばかり意味深な表情をしている子供たちが、とっても可愛らしいです。
前の2人はいったい何に注目しているのでしょうか。 -
「庭にて」
1914年
コンスタンティン・アレクセイエヴィッチ・コロヴィン(1861〜1934年)画
フランス印象派画家もよく描いたようなテーマの絵です。 -
「子供たち」
1898年
P.Pl. トリュヴェツコイ(1866〜1938年)制作
子供らしい神経質さも見られるけれど、実に美しい子供たちの彫像で、気に入りました。 -
武装した聖人の黄金モザイク
いよいよイコン・コレクションに向かいますが、これはその途中の展示の1つです。 -
2人の騎馬戦士のレリーフ
1062年
キエフ
こういうコレクションもありました。
はじめは古代オリエントのものかと勘違いしかけました。 -
「聖なるキリストの顔」
13世紀末〜14世紀
ロストフ
ロストフはロシアの古都で、ズズダリやウラジーミルほどメジャーではないですが、黄金の環の都市の1つです。
これはいかにも、教会のイコノスタシス(イコンの壁)の前にあって、礼拝のメインとなるイコンっぽいです。 -
オラントの聖母
13世紀初頭
ヤロスラヴリ
正教会圏にある聖母マリア像の典型の1つ。
両手を広げてすべてを包み込む、母性的な寛容性をみせる慈しみの聖母像を「オラントの聖母」といいます。
ヤロスラヴリもロシアの古都で、黄金の環の都市の1つです。 -
「聖なるキリストの顔」
13世紀末〜14世紀
ロストフ
ロストフはロシアの古都で、ズズダリやウラジーミルほどメジャーではないですが、黄金の環の都市の1つです。
これはいかにも、教会のイコノスタシス(イコンの壁)の前にあって、礼拝のメインとなるイコンっぽいです。 -
「奇跡のイコン〜しるしの聖母/ノヴゴロド公国とズズダリ公国の戦い」
イコノスタシスを飾っていたイコンかもしれませんが、こうなると歴史画でもあります。
1番上の枠に描かれているのは聖母のイコンを教会に納めているところのようです。
戦う人々の細部は興味深いです。 -
大軍の表現の仕方が面白い@
-
馬上の人々にも光輪あり
まるで聖戦のようです。
正教会の聖人は公国や王国の王が多いのですが、そういう人たちでしょうか。 -
「父子と天使たち」
14世紀末
ノヴゴロド
全体的に縦長で人物像がほっそりしています。
ひざに子供のイエスをのせているこの聖人は、のちに聖別された大工の父ヨハネでしょうか。 -
「神の国の王座についた救世主と天使たち」
13世紀後半
ノヴゴロド
イエス・キリストの顔がなんだかいたずらをごまかしている茶目っ気のある表情に見えてきました。 -
有名なイコン画家アンドレイ・ルブリョーフ・ルームにて
-
「栄光のキリスト」
14世紀
ものすごく哀しみが伝わってくるイコンです。 -
青い髪飾りをつけた天使
-
哀しみの表情のイエス
-
アンドレイ・ルブリョーフの大作ぞろい
ここのイコンだけはむき出しではなく、ガラスケースの中に収められていました。
なので、写真を撮ろうとするとガラスに反射してしまって仕方がなかったので、少しななめから撮るようにしました。 -
とりわけ有名な「聖三位一体」
1420年
少しななめから撮ったのでゆがんでいますが、あしからず。
でも、そのくらいでは天使の優美さは損なわれていないでしょう@ -
「聖三位一体」を象徴する天使たち
私はこの絵を、旧約聖書でアブラハムのもとに訪れた3人の天使の図像として覚えていました。
昔はそのように紹介されていたようです。 -
中央の天使───天使らしく中性的な顔つき
-
イコノスタシスを飾ったと思われるイコン群
1408年
アンドレイ・ルブリョーフ画
このイコンの前のイスにすわって、休みながらじっくり鑑賞することができます。 -
「マリアの御眠り」
1497年頃
モスクワ
計算された構図の中にきれいに収まっています。
マリアの死は子のキリストによって天に導かれる(被昇天する)ので、厳密に死ではなく「眠り」といわれます。 -
「祝福された神の王の戦士たち」
1550年
モスクワ
壮大なイコンでした。
オリジナルだと細部までつぶさに見られるので、ほんとに見ごたえがありました。 -
祝福されし王と戦士たち
戦士達はカラフルで、ワンパターンは1つとしてありません。 -
ペガサスに乗る天使たちも応援
山の上の教会には聖母子もいます。 -
タイトルはさしずめ、英知は自らの家を建てる、くらいかな
1548年頃
ノヴゴロド -
ドーム屋根のある教会をメインに
聖人がぎっしり! -
「聖ゲオルグと竜/聖ゲオルグの生涯図像付き」
16世紀末から17世紀
コストロマ
コストロマもロシアの古都です。
これはよく描かれる人気の図像の1つです。
やられ役の竜は、悪魔の象徴でもありますが、いつも迫力のないへなちょこ竜であることが多いです。 -
「最後の審判」
16世紀
ノヴゴロド
これも重要な図像の1つです。よく教会の壁画に描かれます。
決まりごとがあってワンパターンの図像なのですが、それだけに違いもよく分かって、いろんなものを比べてみるのは面白いです。 -
図像として一番興味深くユニークなのは地獄図の方
-
「神の子に栄光あれ」
1668年頃
武器庫派
時代が下るにつれ、イコンもだいぶ三次元的表現になってきます。
複雑な絵が描けるようになった一方で、プリミティブでシンプルな美しさから離れてしまいました。 -
神の家たる教会のイコン
1565〜1596年
タイトルがロシア語でしか書かれていなかったので、推測。 -
洗礼者ヨハネのイコン
17世紀末から18世紀はじめ
ヤロスラヴリ
博物館に収められるイコンとしてはだいぶ新しいものになってきました。
聖人の足もとの建物や都市に注目。 -
洗礼者ヨハネの生涯場面〜ユハネの首を所望したサロメの踊り
-
洗礼者ヨハネの首を母ヘロデヤに差し出すサロメ
-
寄贈新と新取得の展示案内
一部だけ撮影不可の展示がありました。 -
すばらしい装丁の聖書・その1
四隅には福音書書記者。
たとえば……。 -
右下にはマルコ伝書記者の聖マルコ
ライオンは聖マルコを示すアトリビュートです。
他にルカが牛、マタイがテンし、ヨハネがワシです。
縁取りに使われているのは、ローズカットのダイヤモンドではないかしら。 -
すばらしい装丁の聖書・その2
トルコ石やガーネットが使われています。
そして四隅にはちゃんと4人の福音書書記者。
以上でトレチャコフ美術館編の旅行記おわり。
次は、この日ちょっとだけ散策した赤の広場や美術館のそばの教会などの写真を集めた、この日最後旅行記です。
午前中は雨だったので、一日中美術館にこもっていようと決めた日で、それはそれで大変充実していたのですが、それでも途中で天気が良くなり、日が差してくると、街中撮影をしないのは非常にもったいない気分になったため、少し写真を撮りためたわけです。
つづく。
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この旅行記へのコメント (2)
-
- ykさん 2013/12/09 18:30:48
- ロシアイコン
- 素晴らしいですね。ため息をつきながらみせていただきました。
要所要所を拡大してのせてくださっているので絵がよくわかります。これだけの絵を前にしたら、私なら熱に浮かされたようになって写真をとりわすれたかもしれないのに、遠くから、近くから よくとっていらっしゃいますね。
あのレリーヌ11世紀ですね、ロマネスク時代です、他にもこの時代のレリーフはあったのでしょうか。
それと今回初めて知ったことですが、ロシア時代 風景画などにもとても素晴らしい作品があるのですね。どれも好きです。 暗い森の部分を取ったら絵が明るくなった、こういう試みも面白いです。
素晴らしい絵をたくさんみせてくださってありがとうございました。
やっぱりロシア行も検討してみようかしら。行きたいところがまだいくつかあるのに、そうそうは出かけられる状態ではなくて迷います。
- まみさん からの返信 2013/12/11 08:53:12
- RE: ロシアイコン
- ykさん、こんにちは。続けてコメントありがとうございます。
写真に撮ったイコンはほんとにほんとにごく一部です。
前編・中編におさめた2階の展示に比べると、時間もおしてきたので、あまり写真を撮らないようにしたのです。
絵画の写真は二次元同士なので、ただのカタログになってしまうだけでは物足りないと思って、いろんな撮り方をためしてみました。
細部の写真はどこに目をつけたかっていう私の思いっきり主観が入るところが撮り甲斐があるかな〜と思いますし、原画でこそ、きれいな写真集などでは気付かない細部の発見が楽しいですよね! その発見の記憶を残したくて写真にとりこんだつもりです。
しかし、ほんとは写真に撮っていると、意識がそちらにいってしまうので、撮らないでもっとじっくりみる時間もとるべきだろうな〜と思っているんですけど〜。
> 素晴らしいですね。ため息をつきながらみせていただきました。
> 要所要所を拡大してのせてくださっているので絵がよくわかります。これだけの絵を前にしたら、私なら熱に浮かされたようになって写真をとりわすれたかもしれないのに、遠くから、近くから よくとっていらっしゃいますね。
> あのレリーヌ11世紀ですね、ロマネスク時代です、他にもこの時代のレリーフはあったのでしょうか。
記憶がうすれてしまいましたが、たしかありました。数は多くなかったと思います。
教会からのだと思います。
思いっきり私好みなのですが、ykさんもお好きそうですよね!
> それと今回初めて知ったことですが、ロシア時代 風景画などにもとても素晴らしい作品があるのですね。どれも好きです。 暗い森の部分を取ったら絵が明るくなった、こういう試みも面白いです。
そうなんですよ。
ロシアの風景画もすてきですよ。全般的に、とても詩的なんです。
それに玉ネギ型の屋根の教会があるだけでも、西欧絵画にない魅力を感じてしまったりして。
> 素晴らしい絵をたくさんみせてくださってありがとうございました。
> やっぱりロシア行も検討してみようかしら。行きたいところがまだいくつかあるのに、そうそうは出かけられる状態ではなくて迷います。
わかります、行きたいところはたくさんですよね!!
でも、行こうかなと思っていると、あるとき不意にチャンスがあるかもしません。
私が去年一昨年出かけたウズベキスタンなどの中央アジアの旧ソ連圏も、とある人の旅行記がきっかけで気になっていて、そのときは当分行くことはないと思っていたのですが、自分で知らないうちにその気持ちを温めていたようで、あるとき急に、今年行こう!って気分になりました。
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