2011/05/13 - 2011/05/21
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ねんきん老人さん
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香川県観音寺市に豊稔池堰堤というものがあると聞きました。
日本最古の石積式アーチダムということで、コンクリートではなく、自然石を積み上げて作られたダムです。
日本最古というのはどういう基準で言っているのか知りませんが、完成したのが1930年で、青森県には1909年に完成したという大湊第一水源池堰堤というのがありますから、その辺はちょっと眉唾のような気もします。
ただ、大湊のものが高さ約8m、堤長約27mというのに、こちらは高さ約30m、堤長約128mですから、規模は比較になりません。
これだけのものを石を積んで作ったという話そのものが稀有壮大で、これはやはり直接見てみなければ、という衝動にかられて行ってみました。
国道11号線にある道の駅「とよはま」から内陸部に向かって20分ほど走った所にそのダムはありました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
【 案内板 】
駐車場といえるような場所はないので、道の脇に車を停めます。(A地点)
小さな橋があり、手前に案内板がありました。(B地点)豊稔池堰堤 名所・史跡
-
【 そびえ立つ堰堤 】
橋を渡ると目の前に巨大な堰堤がそびえ立っています。なるほど石を積み重ねてできているのがよく分かります。(C地点から)
完成が昭和5年ということですから、現在のような大型クレーンはなかった・・・ということは、滑車や橇を人の手で操作し、一個々々引き上げたり押し上げたりしたのだろうと思います。 -
【 記念碑 】
堰堤を右前方に見る位置に、立派な記念碑があります。(D地点)
「碑池稔豊」と書かれています。そう、右から読むのですね。 -
【 堰堤の上に出て下流方向を見下ろす 】
堤の上に出る小路(E地点)を登ると視界が広がります。(F地点)
右奥に私の車が見えます。 -
【 堰堤の上から上流を望む 】
さらに進むとダムの上に出られます。(G地点)
柞田川を堰き止めてできたダム湖を見渡すと、かなり減水しているのが分かります。 -
【 多連式アーチ 】
弧状の堤をつなげた形の多連式アーチダムというのは日本に2つしかないそうです。
下の方がのっぺりしているのは、石積みの老朽化をうけてコンクリートで補強した部分です。この補修工事だけで6年かかったとか。(H地点) -
【 堰堤から下を覗く 】
そっと堤の端に寄って下を覗いてみます。足がすくむようです。 -
【 堰堤から下を覗く 】
同じく下を覗いた写真です。左側がアーチの部分です。 -
【 土砂吐樋門 】
さっき登った小路を下り、下に出た所にこんなものがありました。ダム湖の底に堆積した土砂を吐き出すための樋のようです。もちろんこれは使わなくなって移築したものです。(I地点) -
【 改めて仰ぎ見る堰堤 】
同じ地点からもう一度堰堤を仰ぎ見ます。
なにか西欧の要塞を見るような景観です。 -
【 間近に見る堰堤 】
思い切って近づいてみると、その迫力に圧倒されます。
石工たちが石を斫る様子が想像できます。(J地点) -
【 同じく間近に見る堰堤 】
逆の角度から見上げます。
一個々々石を積み上げて作られていることがよく分かります。
斜面同士を組み合わせる微妙な角度に技術の高さを感じます。(J地点) -
【 正面から見上げるアーチ 】
堰堤のアーチ部分を正面から見上げます。(K地点)
現在でも、田植えの時期には上部に開いた四角い穴からの放水で下流の灌漑を行っているそうです。 -
【 真下から見上げるアーチ 】
アーチの真下に立ってみます。
アーチは上に行くほど上流に向かって傾斜している筈なのに、逆に下流側に覆いかぶさっているような錯覚に捉われます。
崩れないと分かっていても、長くはいられません。(L地点) -
【 振り返って見る堰堤 】
上から下から堪能した豊稔池堰堤に別れを告げます。ここで述べ15万人の人が4年間働いていたのだと思うと、立ち去りがたい気持になりました。(M地点) -
【 銭形砂絵 】
「人の手で」といえば、観音寺市にはもう一つ、人の手で作られた巨大なものがあります。
そう、あの有名な「銭形砂絵」です。
砂ですから、雨風にさらされてだんだん崩れていきます。そこで年2回、砂を盛り直すのですが、この中に重機は入れませんから、すべて市民の手作業で行うのだそうです。
観音寺市の皆さんの心意気が感じられて、温かい気持になります。
ちなみにこれを見た人は一生お金に困らなくなると言われていますが、信じられません。(私が何よりの証拠です)琴弾公園 公園・植物園
-
【 砂絵の説明板 】
なんとも珍妙な文章です。
句読点が全くないので読みずらいということは我慢するとして、「てにをは」がどうなっているのか・・・。おまけに楕円形の「楕」の字が変ですね。私の持っている小さな漢字辞典には載っていません。
そもそも寛永十年に一夜で作り上げたとありますが、デザインの寛永通宝が初めて鋳造されたのは寛永十三年だそうですから、話のつじつまが合いません。
市という公共団体がそんなことに気づかない筈はありませんから、この辺は観音寺市民のおおらかさでそのままになっているのでしょう。
私の住む千葉県の言葉で言うなら、「ま、いっぺ」(まあ、いいだろう)ということで、なんとなく気持がほっこりします。 -
【 根上がりの松 】
琴弾公園には、根が地上に張り出している力強い松があります。
豊稔池堰堤や銭形砂絵を人力で作り出した観音寺市では、自然もまた桁外れの造形力を持っているのでしょうか。
人々が力を合わせて巨大なものを作り上げてゆく、ロマンとエネルギーを心底感じ取った、観音寺市への旅でした。
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この旅行記へのコメント (2)
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- 琉球熱さん 2015/06/08 01:34:18
- 銭型?
- ねんきん老人さん、こんにちは
もはや大安売りの感すら出てきた「世界遺産」ですが、今回の登録騒ぎになっている「昭和の遺構群」に入っていても不思議ではないくらい見事なダムですね。
昔の人の技術、情熱には感嘆するものが多いです。
今の建築物も50年後の人々から「昔の人は凄かった」と言われるのでしょうか?
ところで、銭形砂絵。あの看板に書かれていることは嘘です。
特に「お金に困らない」という一節。私が証明しています(笑)
- ねんきん老人さん からの返信 2015/06/08 11:10:51
- 観音寺の人々のすごさと緩さについて
- 琉球熱さん、こんにちは
豊稔池堰堤の記事にご投票くださり、ありがとうございます。
おっしゃるとおり、昭和の遺構として長く保存してもらいたい建造物だと思います。
> 今の建築物も50年後の人々から「昔の人は凄かった」と言われるのでしょうか?
残念ながら、そうは言われないのではないでしょうか。コンクリートは4〜50年で劣化するそうで、日本中で今、多くのビル、道路、橋、トンネルが崩壊の危機を迎えているということですから、現代の建造物は常に作り直していかなければならないわけで、昔の木造石造建造物のように「遺産・遺構」にはならずに消滅していくのだと思います。
> ところで、銭形砂絵。あの看板に書かれていることは嘘です。
> 特に「お金に困らない」という一節。私が証明しています(笑)
旅行をしていると、あちこちで説明板を見ますが、おしなべて文章が下手、というより文章になっていないのに呆れます。
私はそういう悪文を書き写したり写真に撮ったりしていますが、そのうちの1枚があの銭形砂絵の説明板です。
自分の文章を棚に上げての講釈なので気がひけますが、不特定多数の人の目にさらす公的な文ですから、もう少しまともな文を書いてもらいたいものだと思います。
とはいえ、私は観音寺市という所にとても親近感を抱いています。
旅行記にも書いたとおり、見たものの中にとても人間味を感じたからでしょうか。
押し付けがましくて恐縮ですが、私が観音寺市に行ったときの見聞を下記のブログに載せていますので、もし退屈なときでもありましたら、暇つぶしにご一読いただけると嬉しい限りです。
http://zatsunen4989.web.fc2.com/tabi/tabi_009_5.html
これからも含蓄に富んだ琉球熱さんの旅行記を楽しみにしております。
ねんきん老人
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