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ブルサの2日目。<br /><br />この日はやはり、前出・鹿野健太郎さんのブログを読み、ブルサ郊外の村・ジュマルクズクをバスで訪ねることにする。<br />まねっこマネマネなのである。<br /><br />ジュマルクズク、というのは、伝統的な家並が保存されていることで、近年世界遺産の暫定リストに登録されたそうな。<br /><br />ホテルを出て、てこてこ歩き、「地球の歩き方」が指定するバス停で待つ。<br />と、目の前のベンチに座った、そのベンチがはみ出すくらいに太ったおばさんが、トルコ語で話しかけてくる。<br /><br />「オトガルに行くなら、この乗場じゃないよ」<br /><br />どうやら、そんなことをしゃべっているらしい。<br /><br />「ジュマルクズク」<br /><br />とゆうと、このおばさん、大袈裟に驚き、<br /><br />「おやまー、そりゃ〜アタシの村だよ!」<br /><br />それからまわりでバスを待ってた他のおばさんたちに、<br /><br />「どーだい、アタシの村には観光客ってのが来るのよ〜」<br /><br />と鼻高々に自慢するのであった。<br />で、バスがやってくると、乗れ乗れ、とワシらを急き立てるのであった。

ブルサの山奥で「奥さんはシンガポール人だな」って、ちちちち違いますがな。

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2012/06/12 - 2012/06/12

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旅行記グループ トルコふたり旅

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鯨の味噌汁

鯨の味噌汁さん

ブルサの2日目。

この日はやはり、前出・鹿野健太郎さんのブログを読み、ブルサ郊外の村・ジュマルクズクをバスで訪ねることにする。
まねっこマネマネなのである。

ジュマルクズク、というのは、伝統的な家並が保存されていることで、近年世界遺産の暫定リストに登録されたそうな。

ホテルを出て、てこてこ歩き、「地球の歩き方」が指定するバス停で待つ。
と、目の前のベンチに座った、そのベンチがはみ出すくらいに太ったおばさんが、トルコ語で話しかけてくる。

「オトガルに行くなら、この乗場じゃないよ」

どうやら、そんなことをしゃべっているらしい。

「ジュマルクズク」

とゆうと、このおばさん、大袈裟に驚き、

「おやまー、そりゃ〜アタシの村だよ!」

それからまわりでバスを待ってた他のおばさんたちに、

「どーだい、アタシの村には観光客ってのが来るのよ〜」

と鼻高々に自慢するのであった。
で、バスがやってくると、乗れ乗れ、とワシらを急き立てるのであった。

旅行の満足度
4.0
同行者
カップル・夫婦(シニア)
交通手段
高速・路線バス 徒歩
旅行の手配内容
個別手配

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  • 村は、ブルサの街から10キロ、坂道を登ったどん詰まりにあった。<br />多分、戸数100。世界遺産に暫定登録されてから、観光客が押し寄せているらしい。<br /><br />が、この日は平日で、トルコ国内からのお客さんは少ないらしく、観光客はぱらぱら、といったところであった。<br />農家の前では、おばさんたちが手作りのジャムやらハチミツやらを売っている。<br />それがいかにも「まだこういうのに慣れてません」といった風情で、恥じらいがあってヨイ。<br />

    村は、ブルサの街から10キロ、坂道を登ったどん詰まりにあった。
    多分、戸数100。世界遺産に暫定登録されてから、観光客が押し寄せているらしい。

    が、この日は平日で、トルコ国内からのお客さんは少ないらしく、観光客はぱらぱら、といったところであった。
    農家の前では、おばさんたちが手作りのジャムやらハチミツやらを売っている。
    それがいかにも「まだこういうのに慣れてません」といった風情で、恥じらいがあってヨイ。

  • 家のつくりは木造と土壁の組み合わせで、これはエチゴの農家、というより日本の稲作農家の定番だ。<br />土壁に藁を練り込んで、粘りを出しているところまで一緒。<br /><br />なるほどなるほど。<br />どうやら、土からイノチを貰う農業という文明は、アジアの両はじで同じような家を作り出したらしい。<br />文明の一滴が水面に落ち、そこから小さなさざ波が拡がり同心円を描き、同じような外見の家を日本とトルコの地で作ったのかな。

    家のつくりは木造と土壁の組み合わせで、これはエチゴの農家、というより日本の稲作農家の定番だ。
    土壁に藁を練り込んで、粘りを出しているところまで一緒。

    なるほどなるほど。
    どうやら、土からイノチを貰う農業という文明は、アジアの両はじで同じような家を作り出したらしい。
    文明の一滴が水面に落ち、そこから小さなさざ波が拡がり同心円を描き、同じような外見の家を日本とトルコの地で作ったのかな。

  • …などとカンドーしつつ、農家の庭先の鄙びたカフェに入り、二人でチャイなんぞすすっていると。<br />隣でチャイをすすっていたおじいちゃんが話しかけてきた。<br />推定年齢83歳。<br /><br />よく聞くと、英語だ。英語をしゃべってる。<br /><br />「ワシ、若いころオーストラリアで働いてたんよ」(⇒タンキュー、なんて感じでこんなふうに聞える)<br /><br />なるほど。青雲の志を燃やして、海外雄飛したのネ。<br /><br />「シドニーにいた。年取ったんで、ふるさとに帰ってきたんよ」<br /><br />うんうん。<br /><br />「あんたは日本人だな」<br /><br />さいでござんす。<br /><br />「奥さんはシンガポール人だな」<br /><br />ちちちちち違いますがな。日本人ですがな。<br /><br />「ここは年寄りだけなんよ。みんな街に行っちまったんよ」<br /><br />うんうん。でも世界遺産に登録されたら、ここに若者たちがもどってくるかもしれないね。<br />オーストラリア帰りのおじいちゃんを、カタコトの英語で慰める鯨であった。

    …などとカンドーしつつ、農家の庭先の鄙びたカフェに入り、二人でチャイなんぞすすっていると。
    隣でチャイをすすっていたおじいちゃんが話しかけてきた。
    推定年齢83歳。

    よく聞くと、英語だ。英語をしゃべってる。

    「ワシ、若いころオーストラリアで働いてたんよ」(⇒タンキュー、なんて感じでこんなふうに聞える)

    なるほど。青雲の志を燃やして、海外雄飛したのネ。

    「シドニーにいた。年取ったんで、ふるさとに帰ってきたんよ」

    うんうん。

    「あんたは日本人だな」

    さいでござんす。

    「奥さんはシンガポール人だな」

    ちちちちち違いますがな。日本人ですがな。

    「ここは年寄りだけなんよ。みんな街に行っちまったんよ」

    うんうん。でも世界遺産に登録されたら、ここに若者たちがもどってくるかもしれないね。
    オーストラリア帰りのおじいちゃんを、カタコトの英語で慰める鯨であった。

  • 1時間ばかりで、ムラを一回りし、帰りの路線バスをぼんやりと待っていると。<br />ちっこくて元気のいいバスが、ブイブイとエンジンをふかせて坂道を登ってきた。<br />うむうむ。いわゆるひとつの「ドルムシュ」というヤツだな。こんな山奥までやってくるのか。<br /><br />閑話休題。トルコのバスには3種類あり。<br /><br />1.都市間を結ぶ長距離バス。<br />2.町と郊外を結ぶ路線パス。<br />3.「ドルムシュ」と呼ばれるミニバス。<br /><br />このうち「ドルムシュ」は、路線パスが通わないような細かい路地まで入り込み、お客さんを拾っていく、バスとタクシーの中間みたいなヤツだ。<br />

    1時間ばかりで、ムラを一回りし、帰りの路線バスをぼんやりと待っていると。
    ちっこくて元気のいいバスが、ブイブイとエンジンをふかせて坂道を登ってきた。
    うむうむ。いわゆるひとつの「ドルムシュ」というヤツだな。こんな山奥までやってくるのか。

    閑話休題。トルコのバスには3種類あり。

    1.都市間を結ぶ長距離バス。
    2.町と郊外を結ぶ路線パス。
    3.「ドルムシュ」と呼ばれるミニバス。

    このうち「ドルムシュ」は、路線パスが通わないような細かい路地まで入り込み、お客さんを拾っていく、バスとタクシーの中間みたいなヤツだ。

  • ドライバーに「ブルサ?」と聞くと、「乗れ乗れ」という仕草。<br />入口に料金が明示してある。1.00TLから1.75TLまでの4種類。<br />距離別の料金体系らしい。<br />市営バスは2TLだから、若干、オトクなのね。<br />とゆうわけで、ケチケチ旅行のわれわれは、すかさず乗ってみる。

    ドライバーに「ブルサ?」と聞くと、「乗れ乗れ」という仕草。
    入口に料金が明示してある。1.00TLから1.75TLまでの4種類。
    距離別の料金体系らしい。
    市営バスは2TLだから、若干、オトクなのね。
    とゆうわけで、ケチケチ旅行のわれわれは、すかさず乗ってみる。

  • ドルムシュは、坂道を降りつつも、あちこちの通りから通りへ、細かく走る。<br />ジグザグにブルサに近づいていく感じだ。<br /><br />市バスと違い、幹線道路をまっすぐ走るわけではないらしい。<br />町に差し掛かるたびに、小さな通りまで入っていき、お客さんを拾う。<br />つまりは、市バスより時間はかかるが、<br /><br />・マメに止まる<br />・価格が安い<br /><br />で、市バスとのすみわけを実現しているらしい。<br /><br /><br />ブルサが近づくと、車内が込んできた。<br />といっても、定員は15人くらいだ。立ってる人を入れても20人ほど。<br />お年寄りや女性が乗ってくると、若者は席を譲る。<br />何もいわずにスッと立つ。お、いい感じではないか。<br /><br />ワシらは始発からの客であるが、お子さん連れが乗ってきたので、席を譲った。<br />で、ワシはドライバーの後ろに立った。<br /><br />すると、後から乗ってきた人が、ワシに<br /><br />「×××」<br /><br />といいながら、オカネを差し出すのであった。<br /><br />なんだなんだ。<br />ワシにオカネをめぐんでくれるのか、とも思ったが。<br />どうやら、ドライバーの後ろに立った乗客は、そのオカネを中継する義務があるらしい。<br /><br />えーと、ワシ旅行者なんですけど。日本人なんですけど。<br /><br />…などとは思うものの、ここは義務を果たさねばならぬ。<br />前を向き、グイグイハンドルをブン回しているドライバー氏ヘ、<br /><br />「ハイッッッ」<br /><br />と声をかけて、オカネを渡すと。<br />ちゃんとバックミラーでチェックしているらしく、右手で受け取り。瞬時に収納し。<br />手元のムートンのバラバラ撒いてある小銭をすばやく取り上げ、お釣りとして、ワシに渡す。<br />この間3秒。職人技、というべきであろう。<br />ワシは、それを後ろの客にまた渡すのであった。<br /><br />なんだかジモピーになった気分で、ちょっぴりうれしい鯨の味噌汁であった。<br />

    ドルムシュは、坂道を降りつつも、あちこちの通りから通りへ、細かく走る。
    ジグザグにブルサに近づいていく感じだ。

    市バスと違い、幹線道路をまっすぐ走るわけではないらしい。
    町に差し掛かるたびに、小さな通りまで入っていき、お客さんを拾う。
    つまりは、市バスより時間はかかるが、

    ・マメに止まる
    ・価格が安い

    で、市バスとのすみわけを実現しているらしい。


    ブルサが近づくと、車内が込んできた。
    といっても、定員は15人くらいだ。立ってる人を入れても20人ほど。
    お年寄りや女性が乗ってくると、若者は席を譲る。
    何もいわずにスッと立つ。お、いい感じではないか。

    ワシらは始発からの客であるが、お子さん連れが乗ってきたので、席を譲った。
    で、ワシはドライバーの後ろに立った。

    すると、後から乗ってきた人が、ワシに

    「×××」

    といいながら、オカネを差し出すのであった。

    なんだなんだ。
    ワシにオカネをめぐんでくれるのか、とも思ったが。
    どうやら、ドライバーの後ろに立った乗客は、そのオカネを中継する義務があるらしい。

    えーと、ワシ旅行者なんですけど。日本人なんですけど。

    …などとは思うものの、ここは義務を果たさねばならぬ。
    前を向き、グイグイハンドルをブン回しているドライバー氏ヘ、

    「ハイッッッ」

    と声をかけて、オカネを渡すと。
    ちゃんとバックミラーでチェックしているらしく、右手で受け取り。瞬時に収納し。
    手元のムートンのバラバラ撒いてある小銭をすばやく取り上げ、お釣りとして、ワシに渡す。
    この間3秒。職人技、というべきであろう。
    ワシは、それを後ろの客にまた渡すのであった。

    なんだかジモピーになった気分で、ちょっぴりうれしい鯨の味噌汁であった。

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