1998/11/12 - 1998/11/28
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kojikojiさん
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夜明け前のアテネのシンタグマ広場からバス024でキフィスーのバスターミナルBへ向かいました。まだ暗いのに出勤客でバスは満員です。切符の刻印機は後ろなのでどうしようと思っていると隣の青年が「切符は持っている?」と聞いてくれます。切符を見せるとそれを隣の人に渡してしまいます。エッと思っていると切符はバスの後ろに行って打刻されて戻ってきました。そのうちおばあさんがズボンの裾を引っ張ります。「隣の席が空いたから座りなさい。」満員のバスで後から乗ったので遠慮していると廻りから「荷物があるのだから遠慮しないで。」と声がかかります。
そのうちにバスの車内は空いてきました。隣のおばあさんは「あなたが降りるのはあと5つ先よ。」と声を掛けて席を立ちます。そして反対隣の女の子に「この人はバスターミナルへ行くから。」と伝えてくれます。その女の子も「次で降りるのよ。」と声を掛けてから降りていきます。その間も降りる人があと3つとかあと2つと声を掛けてくれます。これって偶然にバスに乗り合わせた人が全員親切な人だったのでしょうか?打刻は結構当たり前に行われていることですが、あまりにも親切にされて泣きそうな気分でバスを見送りました。
さてバスターミナルで切符を買ってリヴァディアまで移動します。
その先はどうやって修道院に行けばいいのかガイドブックにも書いてありません。。リヴァディアに着くと運転手さんが「何かお手伝いできますか?」と声を掛けてくれました。修道院への行き方を訪ねると修道院行きのバスは午後2時40分が最終なので、修道院でタクシーを呼んでもらって帰ってくるしか無いとのことでした。まだ午前10時過ぎです。仕方ないので公園の脇のタクシー乗り場で交渉です。しかし全く英語が通じません。そのうち人だかりが出来て一人のおばあさんが「私がフランス語で通訳しましょう。」と言う事になりました。こちらは全くフランス語は分からないのだけれど・・・。みんなの話をまとめると片道でも5000ドラクマ、往復なら修道院で2時間待っていて10,000ドラクマというのが相場のようです。当時のレートで5,000円くらいです。高いことを言われたかなと思いながら助手席に座りましたが、直ぐに高くないと思いました。時速80キロで40分かかりましたからからかなりの距離があったと思います。パルナッソス山に向かってすっ飛ばしていきました。すれ違いにツアーバスが出て行ったのですが、到着した教会には観光客は誰もいませんでした。たった一人で修道院をゆっくり2時間見学できたのは今思い返しても奇跡のような時間でした。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 2.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 高速・路線バス タクシー
- 航空会社
- アエロフロート・ロシア航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
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リヴァディアのバスターミナル近くでフランス語を話すおばあさんを介してタクシーをチャーターしました。
リヴァディアを出て約40分、いくつもの山を越えてオシオス・ルーカス修道院に到着です。ツアーであればアテネとメテオラを結ぶ中間地点なので簡単に立ち寄ることが出来るようです。 -
念願の修道院が見えてきました。タクシーを降りてしばらく坂道を下ります。
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係りのおじさんが「今団体ツアーの人が帰ったから誰もいないよ。」と教えてくれました。聖堂の形は正十字形(ギリシャ十字形)であろうことが外観からも想像できます。
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10世紀前半に予言と治療で信仰を集めた聖人ルカス・ステリオティスによって建てられた修道院です。中央聖堂では複合型スクィンチ式の中期ビザンチン特有の建築様式が見られます。
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建物の一部は第2次世界大戦で爆撃されたそうです。往時は外部もフレスコや漆喰で覆われていたのでしょう。
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中に一歩足を踏み入れた瞬間息を呑みます。
眼が慣れると黄金のモザイクが浮かび上がります。分かりやすく言うとヴェネツィアのサンマルコ寺院が辺鄙なギリシャの片田舎に置いてある感じです。 -
イタリアのヴェネツィアやラヴェンナで感じた感動が甦ります。ヴェネツィアのサンマルコも凄いけれど、混雑した大聖堂とは違った荘厳な空間を一人で味わえる感動があります。
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前室から堂内への入り口上部のモザイクは完全な形で残っています。イエスの人差し指が Ι(ギリシャ文字のイオタ)、中指が C(同シグマ(Σ))、親指と薬指とで Χ(同キー(カイ))、小指が Cを表しており、イエス(ΙC) キリスト(ΧC)を意味しています。イエス・キリストは、ギリシャ語で「ΙΗΣΟΥΣ ΧΡΙΣΤΟΣ」と書きますが、ΙC・ΧCは、それぞれの語頭・語尾による省略形です。CとΣは同じ文字(シグマ)です。
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周りを取り巻く聖人の指も同じ形です。
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1990年に先日行ったアテネ近郊のダフニ修道院とこのオシオス・ルカス修道院、ヒオス島のネア・モニ修道院の教会ともにユネスコの世界遺産に登録されています。今回そのうちの二つを参拝しましたが、ヒオス島にはまだいけていません。
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内陣のフレスコ画はかなり痛んでいますが、往時を想像することは可能です。
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やはりモザイクの方が造られた時のまま時間が止まっています。
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数百年経過しているとは思えません。
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ドームを支えるスキンチ・アーチの部分には新約聖書の場面が鮮やかな黄金のモザイクで表わされています。こちらはキリストの誕生の場面です。
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文盲の人でも絵を見れば聖書の物語が分かったように、聖書の物語が分かればどの場面なのか理解することが出来ます。こちらは「寺院でのイエスの披露」。
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キリストの洗礼の場面です。キリストに洗礼する洗礼者ヨハネです。頭上には聖霊を表す白い鳩と父なる神の手が見えます。
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そして大天使の姿も見ることが出来ます。
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ヴェネツィア郊外ムラーノ島とトルッチェロ島やイスタンブールのアヤソフィアなどの聖母子のモザイクを思い出させます。こんなに離れた所なのに同じデザインとは当時の情報伝達はどのようになっていたのでしょうか?専門の職人が渡り歩いていたのでしょうか?
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十二使徒のモザイクは一部が剥離してしまっていますが、彼らの雄弁な話し合いはいつまでも続いて行くようです。
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親指と薬指とで Χ、小指でCを表す聖人の姿。
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聖人の名前までは読み取れませんでした。
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昨日出来上がったと言われても信じられるようなモザイクです。東洋的な色遣いが心落ち着かせます。
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周囲の回廊部分は美しいフレスコで仕上げられています。こちらも落ち着いた色遣いで日本人には受け入れやすい雰囲気です。
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こちらの聖母子のフレスコも素朴ですが素晴らしいです。
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ギリシャ十字と神を表す手首。そして周囲の紺碧の空には星が輝きます。
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地下には天上の低い聖堂があります。こちらは太陽光線が当たらないせいか、フレスコの状態がすごい良く残っています。
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結局約2時間の間誰にも出会いませんでした。苦労して来た甲斐がありました。
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中央聖堂 ( Katholikon カトリコン )の正面を最後に眺めておきます。
正面に向かって右側に半地下になった堂があります。
じっくり2時間見学させていただいて同じ道をリヴァディアへ戻ります。後日気がついたのですがリヴァディアはデルフィへ行く途中の街でした。
タクシーの運転手は町に戻ると奥さんを呼んで二人でレストランへ入っていきました。今日の売り上げはもう確保出来たのでしょう。
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