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余り世の中に知られていない、このサンボー遺跡を訪ねることになったのは全く偶然の機会からだった。シェリムアップからプノンペンへ行くのには、スピードボートでトンレサップ湖を横断して約4時間、40ドルで行くことも出来る。一方バスは湖の北側、田園地帯を走ること約6時間で、8−9ドル程度。<br /><br />昨日30ドル出して湖上クルーズをしたばかりだから、今日又高いお金を出して真っ直ぐプノンペンへ行くこともなかろう、途中どこか寄り道して行こう、と選んだのがコンポントムで、バスストップを降りた途端、呼び止められたバイクタクシーの運転手に誘われ、この遺跡を見物することになった。<br /><br />途中までデコボコの簡易アスファルト、それから先は砂塵混じりの赤土道で、くねくねした田舎道を疾走すること約1時間、深い森林の中にこのサンボー遺跡はあった。<br /><br />サンボー遺跡。6世紀から9世紀に掛けての前アンコール遺跡で、正式な名称は「サンボー・プレイ・クック」(Sambor Prei Kuk)という。アンコール王朝が現在のシェリムアップへ移る以前の王都のあった場所で、半分崩れかけた寺院(前アンコール様式のワット)が林の中に100数十も現存している、広大な王城の跡である。<br /><br />今現在早稲田大学の遺跡発掘調査団が2001年以降調査に当っているようだが、この時は日本人学生の姿は見えなかった。又、何年か後にはエジプト学の吉村教授のような有名教授の名前がマスコミを賑わすようになるかも知れない。<br /><br />さて遺跡に到着すると、待ち構えていたように英語の達者なガイドがすり寄ってきて、案内を申し出る。と同時に、小学生位の少女がそれぞれ土産物を手にして、口々に「これ買って、あれ買って」と合唱しながら、何人も付いてくる。<br /><br />そのガイドと5−6人の少女の合唱隊を引き連れた、全く大名か貴人の行列のような感覚で、林の中のワットを一つ一つ巡り歩く。子供達の清らな懇請の声が林にこだまする。ガイド(彼の名前も盗難ノートに書いてあったが)の説明は熱心で、如何に彼が、カンボジアの古文化に誇りを持ち、それを如何に外国人に伝えるかの熱意が伝わってくる。<br /><br />もう殆ど崩れてしまった寺院には大きな樹木の巨大な根っこが建物全体を巻き込み、これが後1000年もしたら、皆自然の森に帰るに違いない、自然の大きな包容力、ホメオスターシスを感じさせるものがあった。<br /><br />寺院の幾つかは、今も尚地元民の信仰の対象になっているのか、内部にはヒンドウの神様が安置され、色とりどりの花で飾られていた。線香の香りも漂ってくるから、毎日何人かの人がお参りにやってくるのだろう。<br /><br />今から1400年も前の昔、日本では漸く板葺の宮が出来かけた頃、この地ではレンガ造りの広大な王城が出来上がっていた。ガイドが誇りの思うのは当然のことかも知れない。<br /><br />しかしポルポト時代、この遺跡はポルポト軍の根城になり、タイのウドンタニー、コンケーン、スリン辺りから飛来した米軍B52の標的となり、いまでも林の中のあちこちに爆弾投下の大きな穴が開いたままになっている。幸いにポルポトが敷設した地雷は既に皆取り除かれているようではあった。<br /><br />1000年前の廃城と現代の戦場。それ等全てを圧し包む自然の森の大きな力。カンボジアの過去と現在、その将来。この遺跡は色々なことを考えさせられる場所であった。<br /><br />ガイド料10ドルというのを6ドルにまけさせ、その残りで最後まで付いてきた子供達からお土産を買ってやる。残念そうなガイドの顔、喜び満面の少女達。その経緯を黙って見ているバイクタクシーの運転手。今日は又思いもよらぬOptional Tourとなった。<br /><br />

「写真の無いブログ」悲しみのカンボジア(14)サンボー遺跡。

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2008/12/23 - 2009/01/07

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ちゃお

ちゃおさん

余り世の中に知られていない、このサンボー遺跡を訪ねることになったのは全く偶然の機会からだった。シェリムアップからプノンペンへ行くのには、スピードボートでトンレサップ湖を横断して約4時間、40ドルで行くことも出来る。一方バスは湖の北側、田園地帯を走ること約6時間で、8−9ドル程度。

昨日30ドル出して湖上クルーズをしたばかりだから、今日又高いお金を出して真っ直ぐプノンペンへ行くこともなかろう、途中どこか寄り道して行こう、と選んだのがコンポントムで、バスストップを降りた途端、呼び止められたバイクタクシーの運転手に誘われ、この遺跡を見物することになった。

途中までデコボコの簡易アスファルト、それから先は砂塵混じりの赤土道で、くねくねした田舎道を疾走すること約1時間、深い森林の中にこのサンボー遺跡はあった。

サンボー遺跡。6世紀から9世紀に掛けての前アンコール遺跡で、正式な名称は「サンボー・プレイ・クック」(Sambor Prei Kuk)という。アンコール王朝が現在のシェリムアップへ移る以前の王都のあった場所で、半分崩れかけた寺院(前アンコール様式のワット)が林の中に100数十も現存している、広大な王城の跡である。

今現在早稲田大学の遺跡発掘調査団が2001年以降調査に当っているようだが、この時は日本人学生の姿は見えなかった。又、何年か後にはエジプト学の吉村教授のような有名教授の名前がマスコミを賑わすようになるかも知れない。

さて遺跡に到着すると、待ち構えていたように英語の達者なガイドがすり寄ってきて、案内を申し出る。と同時に、小学生位の少女がそれぞれ土産物を手にして、口々に「これ買って、あれ買って」と合唱しながら、何人も付いてくる。

そのガイドと5−6人の少女の合唱隊を引き連れた、全く大名か貴人の行列のような感覚で、林の中のワットを一つ一つ巡り歩く。子供達の清らな懇請の声が林にこだまする。ガイド(彼の名前も盗難ノートに書いてあったが)の説明は熱心で、如何に彼が、カンボジアの古文化に誇りを持ち、それを如何に外国人に伝えるかの熱意が伝わってくる。

もう殆ど崩れてしまった寺院には大きな樹木の巨大な根っこが建物全体を巻き込み、これが後1000年もしたら、皆自然の森に帰るに違いない、自然の大きな包容力、ホメオスターシスを感じさせるものがあった。

寺院の幾つかは、今も尚地元民の信仰の対象になっているのか、内部にはヒンドウの神様が安置され、色とりどりの花で飾られていた。線香の香りも漂ってくるから、毎日何人かの人がお参りにやってくるのだろう。

今から1400年も前の昔、日本では漸く板葺の宮が出来かけた頃、この地ではレンガ造りの広大な王城が出来上がっていた。ガイドが誇りの思うのは当然のことかも知れない。

しかしポルポト時代、この遺跡はポルポト軍の根城になり、タイのウドンタニー、コンケーン、スリン辺りから飛来した米軍B52の標的となり、いまでも林の中のあちこちに爆弾投下の大きな穴が開いたままになっている。幸いにポルポトが敷設した地雷は既に皆取り除かれているようではあった。

1000年前の廃城と現代の戦場。それ等全てを圧し包む自然の森の大きな力。カンボジアの過去と現在、その将来。この遺跡は色々なことを考えさせられる場所であった。

ガイド料10ドルというのを6ドルにまけさせ、その残りで最後まで付いてきた子供達からお土産を買ってやる。残念そうなガイドの顔、喜び満面の少女達。その経緯を黙って見ているバイクタクシーの運転手。今日は又思いもよらぬOptional Tourとなった。

  • このサンボー遺跡はコンポントムの町から車で約1時間、50キロほど奥地に入った場所にある。

    このサンボー遺跡はコンポントムの町から車で約1時間、50キロほど奥地に入った場所にある。

  • 広大な域内には100を越える寺院の建物が残されていた、今、早稲田大学の調査団が発掘研究に当っている。

    広大な域内には100を越える寺院の建物が残されていた、今、早稲田大学の調査団が発掘研究に当っている。

  • 林の中の迷路のようになった小道を歩き、ひとつづつの寺院を訪問する。

    林の中の迷路のようになった小道を歩き、ひとつづつの寺院を訪問する。

  • 大きな樹木により今しも土に還りそうな建物もある。

    大きな樹木により今しも土に還りそうな建物もある。

  • 今も尚、人々の信仰を集めている寺院も存在している。

    今も尚、人々の信仰を集めている寺院も存在している。

  • 前アンコール時代、ここではまだヒンドウ教が主流であった。

    前アンコール時代、ここではまだヒンドウ教が主流であった。

  • ヒンドウの経典に出てくる数々の神様。

    ヒンドウの経典に出てくる数々の神様。

  • チェンラ時代の空中宮殿と言われている由縁の建物。

    チェンラ時代の空中宮殿と言われている由縁の建物。

  • 入り口にはヒンドウのシンボル、ナーガが飾られている。

    入り口にはヒンドウのシンボル、ナーガが飾られている。

  • それ等一切を押し包み、遺跡は自然の森に還りつつある。

    それ等一切を押し包み、遺跡は自然の森に還りつつある。

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