2006/10/20 - 2006/10/20
122位(同エリア185件中)
まみさん
2006/10/20(金)第13日目:ペーチ
ブダペスト・ケレーティ駅発9:30の列車でペーチ着12:30頃
旧ガーズィ・カスィム・バシャ・モスク、チョントヴァーリ美術館、大聖堂、ジョルナイ博物館、ハンガリー現代絵画館、マーティン・フェレンツ美術館、良きサマリア人の教会とジョルナイ噴水、セーチェーニ広場で夕刻と夜景の撮影
ペーチといえば、1にチョントヴァーリ、2にチョントヴァーリ、3と4はなくて、5にチョントヴァーリ───などと大げさなことは言いませんが@
でも、そのくらい楽しみにしていました、チョントヴァーリ美術館。
ハンガリー現代画家の黎明期を飾るチョントヴァーリ・コストカ・ティヴァダル。1853年生まれで、亡くなったのは1919年。絵筆を取ったのは41才のときでした。
ゴッホと同じ年に生まれ、原色に近い鮮やかな色使いの、どこかシュルレアリステックな絵を描き、生前、その作品はあまり顧みられることなく、晩年は孤独のうちに狂気に苛まれて亡くなった彼は、ハンガリーのゴッホと喩えてもよいかもしれません。
彼の作品は約100点と数は多くないのですが、そのほとんどは1903年から1909年という短い間に制作されたことを考えると、かなりの多作な画家でした。
ペーチのチョントヴァーリ美術館は全部で6部屋でした。
廊下にも何枚か飾られていましたが、巨大な作品も多かったし、他に人もいなかったせいで、ゆっくり鑑賞しても30分で終わってしまいました。でもすばらしいひとときでした。
こんなすてきな美術館の存在を教えてくれた、shinesuniさんには大感謝@
ブダペストのナショナルギャラリーにもチョントヴァーリの作品があるはず。
でも、2004年7月の初ブダペストのときは、ナショナルギャラリーではなぜか近代絵画部門は見学することができず、見損ねてしまいました。
あれから2年と3か月。やっと生のチョントヴァーリを味わうことができました。
日本では西洋絵画といえばどうしてもドイツより西に偏重しがちで、それより東の国々のすばらしい画家はなかなか紹介されなくて、もどかしいくらいです。
ペーチのチョントヴァーリ美術館では撮影禁止でしたので、ポストカードでも買ってこの旅行記でチョントヴァーリの作品を紹介しようと思ったのですが、パンフレットがあったのでパンフレットの方を買いました。紹介されている作品はパンフレットの方が多いし、展示されていた作品の中で私が特に気に入った絵が載っていたため@
ただし、ドイツ語のパンフレットしかなかったんですよね。まあ、ハンガリー語は全然読めないけれど、ドイツ語なら辞書を片手に読もうと思えば読めるから、いいや、と手を出してしまいました。
といっても、チョントヴァーリについては、こちらの英語のサイトの解説を参考にしました。
FINE ARTS in HUNGARY
http://hungart.euroweb.hu/
Csontvary Kosztka, Tivdar
http://hungart.euroweb.hu/english/c/csontvar/
チョントヴァーリを紹介しているshinesuniさんの旅行記はこちら。
「チョンドヴァーリの名画とオスマントルコ時代の爪跡が共存する町」
http://4travel.jp/traveler/shinesuni/album/10040565/
チョントヴァーリについて断片的な紹介なら、ネットの日本版や書籍にないわけでもありません。
「20世紀初頭の最もユニークで力強い芸術家。孤独を愛した彼は生前はほとんど無名だった。膨大な油絵を残した。「パールベク」、「孤独な杉」、「タオルミナのギリシャ劇場の廃墟」、「レバノン杉巡礼」。地中海を想起させる幻想的ナチュラリズム。ペーチにチョントヴァーリの美術館があって、これらの作品が収蔵されている。」
(「ハンガリー」(クセジュ文庫)より抜粋)
「ヤヌス・パンノニウス通り1番のネオ・ルネサンス様式の宮殿の中にあるチョントヴァーリ美術館では、ハンガリー美術界の奇才、ロマン主義と象徴主義、表現主義の融合した独自の世界を築き上げたチョントヴァーリ・コストカ・ティヴァダルのライフワークを展示」
(ハンガリー政府観光局HPステップ・バイ・ステップより抜粋要約)
http://www.hungarytabi.jp/index2.htm
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チョントヴァーリ美術館の階段
帰国したらチョントヴァーリ美術館だけで一つの旅行記をまとめようと思っていましたので、美術館の建物の写真はなにかしら撮るつもりでした。
美術館の建物はなかなか大きな館だったのですが、あいにくその前の道が狭くて、うまく写せません。
ということで、美術館にいたるこの階段の写真を代わりに撮りました。
建物よりむしろこの階段の方が気に入ったせいもあります。
この変わったシャンデリアと、美しい手すり、そしてCsontvary Muzeumという看板の3つとも、がんばってファインダーの中に収めるようにしました。
美術館はこの階段を上ったところにあります。
建物の1階はカフェになっていました。
美術館を鑑賞したあと、猛烈に喉が渇いていたので、ジュースとミネラルウォーターを買って喉を潤しました。
美術館の入場料は、700フォーリントでした。
(2006年10月現在、1フォーリント=約0.6円) -
チョントヴァーリの絵のマット
これは実は、次の次に入ったジョルナイ博物館で買ったものです。
値段は、1,000フォーリントでした。
(2006年10月現在、1フォーリント=約0.6円)
まわりに2004年の初ハンガリーのときに買ったカロチャ刺繍を配置しました。
手前にいる白い恐竜は、六本木ヒルズ(東京)のハナコさんです。
タイトル「モスタール(Mostar)のローマ橋」
1903年制作
実物のサイズ:92×185cm
美術館には、大きな作品が多かったです。
カタログやポストカードやこういった小物でチョントヴァーリの絵を思い出すことができますが、でも原寸大のオリジナルが見られるのが、なんといってもわざわざ美術館に足を運ぶ醍醐味ですね。ましてや大きな作品であればあるほど、小さな複製画とオリジナルの迫力の差を思わずにはいられません。
でも、チョントヴァーリの絵は、カラフルさで目を引きます。ポストカードでもなかなか見応えがあったくらいです。
細部はちょっと単純化され、どこかシュルレアリスティックですが、親しみのもてる絵が多かったです。
もっともそう思えるのは抽象絵画があたりまえになっている現代人の感覚でしょう。当時の人々がこの絵を前にして親しみがもてると思えたとは思えません。
ゆえに、なかなか理解されず、孤独な画家となってしまったのでしょう。 -
ドイツ語のチョントヴァーリのカタログ
値段は、1,280フォーリント
(2006年10月現在、1フォーリント=約0.6円)
表紙の絵は、「パールベク」の一部です。3分の1くらいですね。
1906年制作
実物のサイズ:386×716cm
以下、このカタログから気に入った絵をいくつかご紹介します。
私の好みとして、色使いが鮮やかで、どこか孤独を感じさせる風景画が多いです。 -
チョントヴァーリのカタログから
「トラウ(Trau)の夕日」
1899年制作
実物のサイズ:70×95cm
これは個人蔵で、美術館にはありませんでした。
でもこの色使いが気に入りました。 -
チョントヴァーリのカタログから
「モスタール(Mostar)に春がやってきた」
1903年制作
実物のサイズ:69×91cm
花のある風景画というのは、華やかで心が弾みます@ -
チョントヴァーリのカタログから
「ナザレのマリアの井戸」(一部)
1908年制作
実物のサイズ:362×516cm
チョントヴァーリはこういう人物画を描くのですね。
この世でない、どこか違う世界を見ているような目つきは、ベルギーのシュールレアリズムの画家デルボーを思い出させます。 -
チョントヴァーリのカタログから
「孤独な杉」
1907年制作
実物のサイズ:194×248cm
これは特に気に入った絵です。
杉の一部が鳥のようになっていするシュルレアリスティックなところがなんともいえません。
タイトルのまんま、孤独を感じさせる巨大なキャンバスを前に、しばし時間を忘れました。
これはポストカードにはなく、カタログにはありました。ゆえに、カタログを買うことに踏み切ることができました。
一緒に写っているのは、1989年頃にロンドンで買った粘土細工の家です。 -
チョントヴァーリのカタログから
「タオルミナのギリシャ劇場の遺跡」
1904〜1905年制作
実物のサイズ:302×570cm
ただしこの絵は、ブダペストの王宮のナショナル・ギャラリーにあるそうです。
一緒に写っているのは、2000年にモスクワで買った小箱です。 -
チョントヴァーリのカタログから
「祈るキリスト」
1903年制作
実物のサイズ:100×82cm
このキリスト像から、イギリスの詩人にしてロマン主義画家ウィリアム・ブレークを、手前の人々から、ベルギーの象徴主義画家ジェームズ・アンソールの仮面を連想しました。 -
チョントヴァーリのカタログから
「自画像」
1892〜1902年制作
実物のサイズ:67×39.5cm
ただし、この絵は、ブダペストの王宮のナショナル・ギャラリーにあるそうです。 -
チョントヴァーリのカタログから
「ヤイス(Jaice)の滝」
1903年制作
実物のサイズ:97×149cm
こんな風にドラマチックをめざした作品も、画家の感性でどこか歪曲されているところがいいです@
一緒に写っているのは、1997年にチュニスで買ったクルミ材の小箱のフタです。 -
チョントヴァーリのカタログから
「エルサレムのなげきの壁」の一部
1904年制作
実物のサイズ:205×293cm
表現主義やフォーブを思わせる原色使いに惹かれます。
一緒に写っているのは、1998年にエルサレムで買ったメノラー(ユダヤ教の七枝の燭台)のデザインの置物です。
エレサルム・モチーフでそろえてみました。
ちなみに、チョントヴァーリの生涯を描いたハンガリー映画「死海のほとり」(1979年)というのがあるそうです。
今度見てみたいものです。
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この旅行記へのコメント (11)
-
- さすらいおじさんさん 2007/01/16 10:33:57
- 「祈るキリスト」
- まみさん
エルサレムを訪問してから、キリスト像、マリア像を見ると目に止まります。
>チョントヴァーリのカタログから
「祈るキリスト」
1903年制作
実物のサイズ:100×82cm
このキリスト像から、イギリスの詩人にしてロマン主義画家ウィリアム・ブレークを、手前の人々から、ベルギーの象徴主義画家ジェームズ・アンソールの仮面を連想しました。
絵にもお詳しいのですね。私は印象派の画家や有名な画家の絵しか知りませんが、この絵はキリスト、マリア像も色が明るくて、失礼な表現かもしれませんが、アニメを見ているようです。
祈るキリストはゲッセマネの園での祈りを描いているのだろうか、と思いながらみました。
- まみさん からの返信 2007/01/17 08:11:21
- RE: 「祈るキリスト」
- さすらいおじさん、こんにちは。書き込みありがとうございます。
たしかにイスラエル旅行をした後は、キリスト像、マリア像に注目しますね。
私も経由便の都合で帰りに寄ったロンドンのナショナルギャラリーのイタリアルネサンス画家たちの聖書を題材にした絵を見て、「これ、もろイタリア〜!」とものすごく違和感を感じたことがあります。
まあ、違和感はあのときだけで@
そう、チョントヴァーリのような絵を描く画家は、西洋近代絵画史にもわりといるのですが、はじめて見たときは、私もマンガにような顔だと思ったものです。
「嘆きの壁」の絵も、ものすごくカラフルで、漫画チックですよね。
でも好みの変化か、慣れると、好きになってきました。
写実的で、胸を打たれるようなものも好きですが、カラフルでマンガっぽいけれど、絵画でしか表現できない世界もいいなぁって。
でもそれって、キリスト像、マリア像として見てるかどうか、あやしくなってきました(笑)。
ちなみに世の中にキリストやマリアを描いた絵画や彫刻はあまたありますが、さすらいおじさんのコメントを拝読して、ふと思い出した好きなキリストの絵があります。
モスクワのトレチャコフ美術館にあった、クラムスコイの「荒野のキリスト」です。
新潮社「読んで旅する世界の歴史と文化 ロシア」で初めて知った画家であり絵ですが、ネットを検索したら、写真が出てきました。
http://src-home.slav.hokudai.ac.jp/coe21/publish/no9/zuban_02.pdf
- さすらいおじさんさん からの返信 2007/01/17 10:56:23
- 「荒野のキリスト」
- まみさん
>モスクワのトレチャコフ美術館にあった、クラムスコイの「荒野のキリスト」です
URL 張っていただきありがとうございます。
拝見しました。まみさんの知識の広さにまた脱帽です。
嘆き悲しんでいるキリストの姿ですね。
この絵を見ると、キリストは人間的だなあ、と思います。
素晴らしい絵を見せていただきありがとうございます。
-
- shinesuniさん 2007/01/12 19:23:31
- この絵は...^^;
- ずっとペーチの絵だと思っていましたww
私の持ってる絵葉書の裏にも
Tavasznyilas Mosztarban
モシュタールにおける花の咲く春
早春のモシュタール
と書かれてましたww
早速訂正させていただきますm(_ _)m
PS
この旅行記のアドレスリンクさせてもらいます♪
- まみさん からの返信 2007/01/12 23:20:44
- RE: この絵は...^^;
- shinesuniさん、こんにちは。書き込みありがとうございます。
Mostarは、モシュタールですね。「s」は「シュ」となるのを、つい忘れてしまいます@@
この旅行記に限らず、固有名詞でカナをふった後にスペルを括弧書きしているものは、カタカナ表記がいまいち自信がないものだったりします。
旅行から戻ってそろそろ3ヶ月。旅行の最中はスペルと発音になれたつもりでいても、どんどん忘れてしまいますね(泣)。
チョントヴァーリハ、モシュタールの風景画を好んで描いていますね。ハンガリー国内の都市かしら。調べる必要がありそうです@@@
しかし、チョントヴァーリのカタログはまだドイツ語なのでマシなのですが、翌日のペーチのとあるギャラリーでは、題名はみなハンガリー語。
現地で買った辞書は、なんと洪英辞書であって、洪英・英洪辞書じゃなかったので、調べられない〜〜。シクシク。
オンラインでもなかなか引っかからなくて。。。
それにしても、なんとしてもペーチは観光しようと思ったのは、ほんと、shinesuniさんにご紹介いただいたおかげです@
- まみさん からの返信 2007/01/12 23:23:14
- RE: RE: この絵は...^^;
- 洪英でなく、英洪辞書の間違いでした@
ハンガリーにいてハンガリー語を学ぼうというのであれば、言いたいことを英語から調べるのには有効なんですけどっ。。
- shinesuniさん からの返信 2007/01/12 23:29:08
- モシュタルはセルビアモンテネグロです^^
- ここの石橋は古いのと景観がすばらしいので有名だったのですが、先のユーゴ内戦で爆破されて、近年復活しました。
この橋が民族国境になっている複雑な土地柄です...
http://www.dubrovnik-area.com/excursions/images/excursions/large/mostar.jpg
ハンガリー語の表記ですとモシュタールかモスタールになります。
aの上に'がつく特殊文字ですが、4トラではバグってしまうので、仕方ないところでしょう^^;
- まみさん からの返信 2007/01/13 17:12:32
- RE: モシュタルはセルビアモンテネグロです^^
- shinesuniさん、こんにちはる
モシュタルはセルビアモンテネグロですか。さすが、この方面にくわしいshinesuniさん!
写真のリンクもありがとうござまいす。
モシュタルはもしかしたらチョントヴァーリ時代はまだハンガリーだったかもしれませんね。
旧ユーゴ圏も、いずれ制覇したいです。
第一次世界大戦勃発のきっかけ、ヨーロッパの火薬箱といわれたバルカン。
私はさっぱりわからなかったものです。
いまや、ユーゴ紛争から10年以上たって、観光はしやすくなったようですし、あの小さなエリアの中に国ごとに違った文化背景のあるヴァラエティに富んだところではないかとちょっと楽しみにしています。
それ以上に、旅行ターゲットとして関心をもつことで、歴史背景を知りたい@
ちなみにモシュタールは、ハンガリー語ならモスタールでも許容範囲ですか?
- shinesuniさん からの返信 2007/01/13 18:43:01
- szは...
- >ちなみにモシュタールは、ハンガリー語ならモスタールでも許容範囲ですか?
★モシュタールよりもモスタールの方が正しい表記かもしれません...
ポーランド語でszはソリ舌で『シュ』と発音しますので、
どうしてもそのクセが治らなくて^^;
まあsよりも若干シュに近い発音くらいでいいのでは...
因みに19世紀、ボスニアヘルツェゴビナはオスマントルコ領でしたので、モスタールも当然オスマン帝国内です^^
- shinesuniさん からの返信 2007/01/13 18:45:51
- 訂正
- セルビアモンテネグロではなくボスニアヘルツェゴビナです
勘違いしていましたww
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%AB
- まみさん からの返信 2007/01/15 07:54:18
- モスタル
- shinesuniさん、こんにちは。
モスタールorモシュタールorモスタルの情報ありがとうございます。
ちょうどチョントヴァーリの晩年から亡くなるあたりに、オスマントルコから亡くなる少し前くらいのとき、ハンガリー領だったのですね。
チョントヴアーリもオスマントルコの香りの残る街にエキゾチックを感じて惹かれたかもしれませんね。
いやぁ、旧ユーゴ圏もぜひ行かなくちゃっ!って気持ちにますますなりました。
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