2011/02/14 - 2011/02/15
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世界攻略者さん
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「ラオスの桃源郷」と一部で言われている、陸の孤島ムアンゴイ。この町に関する旅行者の評価は様々です。「何もないところがいい」と肯定する人もいれば、「何がいいのかわからない」という正直な人もいます。一体どっちなんだ! というわけで実際に行ってきました。
**情報は2011年2月のもの。 1万(10K)キップ = 100円で計算。
==シリーズ一覧==
[ラオス]ムアンゴイ① 桃源郷の厳しい現実 <==
http://4travel.jp/travelogue/10552014
[ラオス]ムアンゴイ② のんびり田舎トレッキング
http://4travel.jp/travelogue/10552016
[ラオス]ムアンゴイ③ 万仏祭りを味わう(執筆予定)
変更:
2014/09/06 画像拡大
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[目次]
ムアンゴイへの道
街の様子
ゲストハウス
川辺へ
街を散策
電力事情
ムアンゴイの一日
まとめ -
[ムアンゴイへの道]
ムアンゴイへの唯一の交通手段は船。少々長くなりますが、一応詳しく説明しておきます。
アクセスは、まずノンキャオまで行き、そこからボート(11AM, 2PM)で一時間。2万Kip(200円)。ノンキャオへは、ルアンパバーンからバスで4.5時間、ウドムサイからバスで3時間。そこから2時発のボートに乗り継げれば、その日のうちにムアンゴイに到着できます。
北のムアンクアからナムウー川を南下してくるボート(9AM,10AM)もあります。4時間、10万Kip(1000円)。ただし、人数が揃いにくいので、その場合は割高な運賃になります。ムアンクア-ムアンゴイ間のボートをチャーターする時の標準料金が100万kip(1万円)。十人揃わなければその料金を頭割り..というのは建前で実際には総額60-70万kip辺りまでディスカウント可能です。 -
帰りは、ノンキャオ行きのボートが9:30AMに出発。乗客が多ければ船を追加するので、予約の必要はありません。ムアンクア行きも9:30AM出発。来る時同様、人数が揃わないと、一人当たりの料金が割高になります。
ムアンクア行きの船に関しては、チケットオフィスの壁に一週間分の「乗船予定客」のリストが張ってあります。それを見て、人数が多そうな日を選ぶと定価で乗れる確率が高くなります。このリストは、あくまで乗客が自ら書き込んだ「予定」なので、当日キャンセルしても何ら問題ありません。ムアンクアからは、ポンサリー方面へボートを乗り継ぐか、ウドムサイまでバスで戻るか、国際バスでベトナムのディアン・ビエン・プーに行くなど、いくつか選択肢があります。 -
ナムウー川をボートで快走してムアンゴイに到着です。船着場から伸びる階段を登り、町に向かいます。川の上に見えているのはゲストハウス。
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[街の様子]
階段を登り、少し歩くとムアンゴイのメインストリートに到着します。ムアンゴイは町というよりも小さな集落。この南北に真直ぐ伸びる通りを中心にゲストハウスやレストラン、商店などが並びます。町の南、通りの先に見えるのがムアンゴイのシンボル的存在「桂林っぽい山」(写真)です。
一見、どこにでもある田舎町のようですが、さすがに「船でしか来れない町」は一味違います。観光客が増えた今でも、村には電気が来ていません。毎晩、各家やゲストハウスが三時間ほど発電をしてやりくりしています。町に張り巡らされた電線らしきものは、発電した電気を近所に配るためのものです。 -
メインストリートは幅の広い土の道。基本的に車もバイクもない所なので、みなさん歩きです。ここはムアンゴイの生活が凝縮された場所。道端で子供らが遊び、鶏が横断し、犬が昼寝する。屋台が並び、住民が行き来し、旅行者がぶらつく。地元民はもちろん、旅行者もこの通りを何度も何度も、滞在中往復することになるでしょう。
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他のラオスの町と比べると、ムアンゴイの物価はやや高め。売店の品揃えもそれほど充実していません。唯一、ありがたく感じるのは、夜食べ放題を提供する店が三軒ほどあること。主に野菜料理や果物のバイキングで、たったの15K(150円)。
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村の北側に登れる小山があるので行ってみました。そこから見たムアンゴイはこんな感じです。縦の線がメインストリート。横の線が船着場から隣の集落に伸びる道。赤い点は、右から船着場、寺院、市場です。
小さな街、桂林のような周りの小山、ゆったり流れるナムウー川、アクセスの悪さ、電気のない生活、この辺りがこのムアンゴイを桃源郷と呼ばせる要因でしょうか。 -
[ゲストハウス]
ムアンゴイにはゲストハウスが十数軒。ほとんどが竹壁を使った長屋やバンガロー風の建物です。一番立派そうなのが、独立バンガローを多く抱えるLattanavongsa 1(80K=800円)。ガイドブックによるとガスのホットシャワー付き。川沿いでないため、眺めはありません。
写真: バンガローの間の水色の壁がシャワートイレ室。 -
眺めを求めるのなら船着場を上がった所にある5-6軒の宿がいいでしょう。ただし、眺めがいいのは主に付属レストラン(写真)で、部屋から川が見える宿は限られます。
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私が最初に泊まったのは、川沿いにあるRainbow G.H.(写真)。ムアンゴイではめずらしく、普通のホテルのような外観をしています。2Fの廊下にテーブルが並び、読書などをして過ごすには快適そうです。40K-50K(4-500円)。水シャワー・トイレ付。電気6:30PM-9:30PM。
実際に泊まってみると、次々と問題が見つかります。まず、見かけと違い壁が薄いため、となりの部屋の声が丸聞こえ。さらに、部屋の採光が不十分で日中でもドアを開けないと暗くて本も読めなせん。外見はOK,中身はNGなホテルでした。 -
次に泊まったのが民家を改造したような造りのPhetdavanh G.H.(写真)。船乗り場からの道とメインストリートが交差する便利な場所にあります。ここの売りが24時間使用可能な電気。表立って宣伝はしていませんが、朝でも点灯された電気が「他とは違いますよー」とアピールしています。ロケーションのおかげか、そこそこ人気があり、手前の座敷や二階のテラスでくつろぐ西洋人客をよく見かけます。30K(300円)。水シャワー・トイレ共同。
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中は4畳半くらいの部屋にベットを置いただけ。竹を編んだ壁のため、隣室の音だけでなく光も漏れてきます。部屋が狭いおかげで、窓からの光は十分。ただし、窓にガラスがないので、夏は蚊帳が必須です。
この宿では、ジェネレーターではなく、水力を利用して全日給電しています。一日中使えるといってもかなり限定的で、パソコンがまともに使えるのは午後くらい。夜間は電力不十分で、午前は運がよければ。他の使用者の有無に加え、川の水量も関係している気がします。それでも、24時間電気のあるゲストハウスはここくらいなので、文句は言えません。 -
ムアンゴイの宿は全体的に安めです。とは言っても設備を考えれば、むしろ高いのかもしれません。他の町では、テレビ、エアコン、ホットシャワーが付いて60-70K(6-700円)。ムアンゴイでは、エアコンはおろか、扇風機もありません。やはり電力供給のない村の宿は、それなりの我慢が強いられます。
写真: 犬小屋のような少年僧侶の宿泊施設。下には下がいるものです。 -
[川辺へ]
景色を眺めながら、川辺の様子を観察してみます。交通ルートが船だけなので、すべての物資が船で運ばれてきます。ナムウー川では、観光客を乗せた定期船の他、近場の村からの船、漁師の小船や運搬船などをよく見かけます。特に目立つのがビア・ラオの入った黄色いビールケース。船着場で数ケース荷揚げされ、逆に空ビンを載せたケースが船に積み込まれます。 -
ムアンゴイ発の定期船(写真)は、すべて朝9時半に出発します。客が多い時は向かい合って座り、こうすると20人ちょっと座れます。人が少なければ椅子が用意され、左右一人ずつ正面を向いて座ります。前者は船にもたれることができて楽な反面、写真は撮りづらそうです。
船が出入りするのは一日数回だけ。それ以外の時間は現地民が川辺で洗濯や入浴をしています。 -
川辺に並んでいるボートを見てみると主に二種類。小型のものは、エンジンの前後に運転手が座り、長い竿を使って船尾の舵をコントロールしています。定期船のような大型のものは、運転席が船首にあり、ハンドルに巻かれたロープを伝って船尾の舵をコントロールしています。いずれも、停泊する時は、エンジンを切りオールをこいで舟を岸に寄せます。
写真: 黄色い点:右からエンジン・キーを挿す場所、オール、ハンドルの軸に巻かれたロープ、バックミラー -
ムアンゴイでのアウトドア系アクティビティはトレッキングと川遊び。後者には、カヤックやタイヤチューブ(写真)があります。川の流れが緩く、泳いでも渡れそうです。私は山派なのでパス。
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[街を散策]
ムアンゴイの町には、これといった観光ポイントがありません。あえて言えば、川辺、僧院、学校、北側の洞穴と見晴らしポイントくらい。市場もありますが、規模が小さく、普段は開かれていません。 僧院はメインストリートの北端にあります。名前はWat Okadsayaram(写真)。 -
僧院の中には大小の仏像があります。滞在中、このお寺で万仏祭(マカブーチャ)がありました。その時の様子については別の旅行記で紹介します。
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メインストリートの南端を左に曲がったところに、学校があります。特に変わったところのない小中学校ですが、訪問して気になるものがありました。それが校舎の裏にある竹の小屋(写真)。4畳半くらいの小屋が数個、壊れかけの長屋のような建物がひとつあります。なんとも謎の存在ですが、おそらく前者が売店や給食係の家族が住んでいて、後者が生徒の寄宿部屋のような気がします。中には竹の二段ベットのようなものがありました。竹さえあればなんとでもなる、そんな南国のライフスタイルです。
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校舎裏の広場で、男子生徒が砲丸のようなものを使ってゲームをしていました。カーリングみたいなものでしょうか。ここの制服は白いワイシャツと黒いズボン。日本の中学生と変わりません。唯一最大の違いは首に赤いスカーフを巻いていること。
よく考えたら、この村にはゲームセンターがありません。劣悪な電気事情では、テレビゲームも難しいでしょう。そうなると、「外で遊ぶ」という健全さがまだ残っている気がします。 -
村の北側に洞窟と見晴らしポイントがあり、散歩がてら登ることができます。このルートは最近整備されたばかりのようで、ガイドブックにはまだ載っていません。行き方は、船着場から伸びる道を市場まで進み、そこから案内サインに沿って山の方へ。5-6分で料金所に着くので、そこで10Kキップ(100円)払い、やや険しい山道を登ります。最初に洞窟(Pha Noi Cave)があり、そのまま登るとムアンゴイの町を見下ろせるポイントに到着します。目安時間は20分くらいか。
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見晴らしポイントからは、来た道を戻るか、先に続く急な下りの道を進みます。この道を歩き続けると、料金所の100メートル程手前の場所に出ます。つまり、こちら側から登れば料金を払わなくてすむわけです。
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[電力事情]
桃源郷でのんびり..のはずが、実際に感じるのは生活の窮屈さ。電気がないとどれだけ不便か痛感させられます。恵まれている今の宿でも、パソコンを使えるのは実質午後のみ。他のほとんどの宿では電気ががあるのは夜3時間だけで、9:30PMには強制消灯です。
村や宿で使われている電球のほとんどは節電タイプの蛍光灯(写真)。ソケットの上についているコンセント(2口)を利用してカメラの充電などを行います。 -
村の一部で使っている水力発電はどんなものか見に行きました。学校のあたりから奥の小川のほうに向かって電線が5-6本伸びています。その電線を追って7,8分歩き、その「発電現場」に到着しました。私が想像していたよりはるかに小規模なもので、見た目プロペラとモーターを両端につけただけの棒です。
川に段差を造り、一箇所に流れを集中させた場所にこの棒を並べます(写真)。これらの発電棒はおそらく全部で3-4本、学校裏の売店と民家、隣の集落などに電気を供給しています。Phetdavanh G.H.へは電線がつながっていないようなので、他にもこのような場所があるのでしょう。 -
南アジアや中国など、いろいろな田舎を経験していますが、公共電気のない村はここがはじめて。ヒマラヤの集落でさえ、電気のあるところはたくさんあります。考えるに、近くに道路や町がないから電線が引けない、まともな水力発電できるほどの川がない、太陽電池でまかなえる以上の電力が必要、などの理由で、ジェネレーターが主流になっているのでしょう。そんな不便な場所が観光地としてもてはやされ、その不便さゆえに魅力が維持され、発展できずにいる。ムアンゴイは何とも微妙な所です。
写真: ナムウー川で見つけた同様の発電装置。段差がなくても水流があればなんとかなるようです。 -
電気がないとできないことがたくさんあります。冷蔵庫に製氷、水の給水タンクへの汲み上げ、学校の校舎にはパソコンはおろか、電燈もありません。幸い、携帯の電波(ETL)は届いているので、USBのデータ通信を使えばインターネットは可能です。実際、ラップトップでネット接続を提供しているレストランが一軒だけあります(一分400Kip=4円、日本語読める、激遅)。そういえば、寺院の裏にある携帯電話会社のアンテナ塔、あれは、一体どうやって電力供給してるのでしょう。ジェネレーターの音が聞こえないところを見ると、定期的に充電されているのかもしれません。
写真: 人力で水タンクに給水。 -
[ムアンゴイの一日]
さて、この不便な桃源郷、ムアンゴイの生活はどんな感じでしょうか。一日の様子を追ってみました。朝、鶏の鳴き声で目が覚め外に出てみると、住民はすでに一日の活動を開始しています。家の前で道路の掃き掃除をする人、花に水をやる人、店の準備に精を出す人もいます。さすが、夜が早いだけあって皆さん朝型です。
犬や猫たちにとっても、人間が同じペースで生活してくれるのは好都合。主にメインストリートで過ごす彼らは、ストレッチをして今日一日に備えます。 -
7時を過ぎると、托鉢を知られる太鼓の合図が寺から聞こえてきます。人々は家の前に並んで座り、僧侶が来るのを待ちます。自分の前まで僧侶が来ると、竹篭に入ったもち米を一つまみ、人によってはお菓子などを一人一人にお布施します。
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きりのいいところで僧侶達が立ち止まり、お経を唱えます。その後、信者の人達は左手で拝みながらコップの水を地面にたらします。これが終わると、何事もなかったかのように中断していた作業に戻ります。
僧侶が寺からメインストリートの端まで行って帰ってくるのに約30分。これが毎日繰り返されます。もちろん、ご飯やお菓子だけでは足りないので、托鉢の後、当番の住民がなべを抱えてお寺に向かいます。 -
9時を過ぎると、ボートに乗る旅行者が川辺に集まり出します。滞在中、ノンキャオ行きの船が毎朝2,3隻出ていたので、毎日50-70人程度の旅行者がこの村にやってきている計算です(貸切船含まず)。
そろそろ出発..というところで、チケットオフィスの上から学生の集団が降りてきました。何だ! と思ったら朝のごみ拾い。なんともわざとらしいタイミングでやってくるものです(写真)。 -
日中、やることといえば、部屋や川辺のカフェでくつろぐか、街をぶらつくことくらい。
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かつてこの村を「発見」したヒッピ−達は、ドラッグと安い宿と安全さえあれば十分でした。しかし、現在主流のアウトドア派健全旅行者にとっては、それでは物足りません。そういうわけなので、多くのツーリストは奥の村までハイキングに出かけます。このトレッキング・ルートの様子は次の旅行記で紹介したいと思います。
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夜、日が暮れると発電が始まり、民家や店に電気が点ります。通りを照らすのは、お店の電球だけ。夜のムアンゴイはどこか寂しげです。この暗い道を歩いて、夕食をとるレストランを探します。一人で食事しやすい場所が少ないため、結局はバイキングに落ち着きます。
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ムアンゴイでは、ほとんどの家が家の戸を空けたままにしているので、中の様子が丸見えです(写真)。たいていリビングの床に座り、テレビを見ながら一家団欒しています。見ている番組は、タイのドラマがメインのようです。
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中には、衛星放送で新日本プロレス(タイ語解説)を見ている先進的なご家庭も。公共電気のない村で見る流血デスマッチ..。何だかシュールです。
10時を過ぎるとジェネレーターの音も消え、村は静寂に包まれます。虫の鳴声や風の吹く音を聞きながらゆっくりと就寝。 そして、翌朝また同じような生活が始まります。 -
[まとめ]
結局、ムアンゴイには5日ほど滞在しました。これは、トレッキングに一日半、祭りの見学に2日半使ったためで、それらの活動がなければ2泊で帰っていたと思います。実際、こういう場所が好きそうな欧米人でも2泊以上する人は少数派です。何が言いたいかというと、やはりムアンゴイはつまらないということ。ものすごい絶景があるわけでもなく、人がとりたててフレンドリーというわけでもありません。ただのんびりするのなら、他にもっと快適にのんびりできる町があるはずです。 -
不便なムアンゴイは、「何日でもいたい」場所ではなく、「数日なら我慢できる」タイプの場所。旅行者は船で「桃源郷っぽい」この村にやってきて、すぐに次の魅力的な場所に移動していきます。というわけで、私も「何がいいのかわからない」派。何もないのはいいけど、電気だけは何とかしてほしいものです。
[リンク集]
==国内旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=dm&sort=when
==海外旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&sort=when
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